確定申告について 雑所得とは?確定申告の必要性、計算方法、税率を徹底解説 最終更新日: 2024/01/11   公開日: 2023/01/10

雑所得とは所得の一種であり、他のどの所得にも該当しないものを指します。具体的には、ブログやYouTube、仮想通貨などによって得られた雑多な収入を雑所得として扱います。本記事では、雑所得の意味や計算方法、税率などについてわかりやすく解説します。

雑所得とはどんな内容の収入?

雑所得とは、他の所得に分類されない所得を指します。そもそも所得には、会社から給与を得た際の「給与所得」などをはじめとするさまざまなものがあり、以下の種類に分けられます。

・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得

雑所得はこれらのいずれにも該当しない所得のことです。具体的には、以下を通じて得た所得などが該当します。

・公的年金
・UberEatsの配達
・YouTubeの配信
・ハンドメイド品販売
・フリマアプリやネットオークションによる販売
・アフィリエイト
・FX、ピットコイン

なお、上記でも事業として活動している場合は、後述する「事業所得」に該当することもあります。 事業所得であるかどうかは「自己の危険と計算において独立して営まれている」「営利性、有償性を有している」「反復継続して営まれる業務であって、社会通念上事業として認められる」といったポイントにより判断されます。

参照:No.1500 雑所得
参照:所得税法(19ページ「(注)事業所得とされるかどうかの考え方)

雑所得以外の所得の種類

雑所得は他の所得に該当しないものであると説明しましたが、他の所得とは具体的にどのようなものなのでしょうか。所得の種類と概要について紹介します。

利子所得預貯金や公社債の利子など
配当所得株主や出資者が法人から受ける配当など
不動産所得アパート経営などで得た所得
事業所得農業、卸売業、小売業、サービス業などの事業で得た所得
給与所得勤務先から受け取った給料、賞与など
退職所得退職金など
山林所得森林の伐採や譲渡などで得た所得
譲渡所得土地・建物・ゴルフ会員権など資産の譲渡で得た所得
一時所得懸賞の賞金・競馬や競輪の払戻金・法人から贈与された金品など

参照:No.1300 所得の区分のあらまし

給与所得との違い

給与所得は会社などの勤務先からもらう給与・賃金・ボーナスなどの所得を指します。 そのため、本業の会社とは別に退勤後や休日などを使ってアルバイトをしている場合にも、受け取った給与は給与所得に該当します。

副業のアルバイトであっても、給与を雑所得に含めないように注意しましょう。

雑所得の計算方法とは?

UberEats配達やアフィリエイト、公的年金などで得た金額がそのまま雑所得となるわけではなく、必要な金額を引いた金額を雑所得として扱います。具体的な計算式は以下の通りです。

<年金以外の場合>
総収入金額 – 必要経費 = 雑所得

<年金の場合>
収入金額 – 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得

計算式で出てくる「必要経費」とは、所得を得るために使った原価や費用を指します。UberEatsの配達に使うバッグや、ハンドメイド品販売で必要な材料などにかかった費用などを含めることが可能です。

また、年金の場合には必要経費ではなく「公的年金等控除額」を差し引いた額を雑所得とします。この金額は年金を受け取る人の年齢や、年金の金額などによって決定されます。

参照:No.1500 雑所得
参照:No.2210 やさしい必要経費の知識
参照:No.1600 公的年金等の課税関係

必要経費として認められる経費とは?

必要経費として計上できるのは、具体的には以下のいずれかの金額です。

・総収入金額を得るために直接要した費用(売上原価など)
・その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用

販売費とは、商品の販売のために発生した費用であり、商品の発送費や保管費などが該当します。それに対して一般管理費とは、販売とは直接関係のないものの、収入を得るために使われる費用を指し、水道光熱費や家賃などが該当します。

参照:No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁

必要経費として算入が認められるタイミング

経費の算入が認められるのは、その事業年度終了の日までに債務が確定しているものとされています。個人事業主の場合は事業年度は1月1日から12月31日までなので、12月31日までに債務が確定しているものを、その年の経費として認めることができます。

債務の確定とは、以下の3つの要件を満たすことで認められます。

・12月31日までに債務が成立していること
・12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
・12月31日までにその金額を合理的に算定することができるものであること

1つ目の債務の成立とは、契約の成立のことです。注文した商品を実際に受け取ったり、サービスが提供されたりすることで、2つ目の「具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している」とされます。3つ目の要件は、12月31日までに対価の金額が確定していることが求められることを意味します。

必要経費の例

必要経費には、消耗品費・水道光熱費・通信費・地代家賃など、業務に関するさまざまな費用があります。雑所得の必要経費については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連リンク:雑所得の経費計上はどこまで?具体例や条件、申告時の注意点を解説

雑所得にかかる税率と税金

雑所得は所得が大きくなるにつれて一定金額を超えた分の税率が増える「累進課税制度」に基づいた所得税がかかります。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
参照:No.2260 所得税の税率

副業サラリーマンの所得税シミュレーション

給料による収入が400万円、副業で得た収入が500万円として、所得税の金額を実際に計算してみましょう。

<給与所得の計算>
400万円(もらった給料) – 124万円(給与所得控除) = 276万円(給与所得)

まずはもらった給料額を元に、給与所得の金額を上記のように計算します。「給与所得控除」の金額がわからない場合は、国税庁のホームページなどを参考に計算しましょう。

<雑所得の計算>
500万円(副業で得た収入) – 0万円(必要経費)= 500万円(雑所得)

ここでは計算しやすいよう、副業にかかった必要経費が0円だと仮定しています。

<総所得金額の計算>
276万円(給与所得)+ 500万円(雑所得)= 776万円(総所得金額)

ここまでに計算した給与所得と雑所得を合計して、総所得金額を求めます。

<課税所得の計算>
776万円(総所得金額) – 106万円(所得控除)= 670万円(課税所得)

ここでは所得控除を106万円と仮定して計算しています。

<所得税の計算>
670万円(課税所得)× 20% – 427,500円 = 912,500円(所得税)

先ほど解説した所得税の仕組みに基づいて、所得税率は20%、控除額は427,500円とわかります。それらの数字を使用し、所得税額が912,500円と計算できました。

実際に支払うべき税額には、上記の金額に住民税の金額も加算されることを押さえておきましょう。

参照:No.1410 給与所得控除
参照:No.2260 所得税の税率
参考コラム:所得税の計算方法とは?税率改定の影響や注意するべきポイントを解説!

副業の収入は、いくら以上で確定申告が必要?

会社員の方が副業をする場合、副業の収入が20万円以上になると確定申告を行います。雑収入の確定申告については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連リンク:副業はいくらから確定申告が必要?税金の計算方法や20万以下の場合も解説

雑所得の確定申告の必要性は?

個人事業主は基本的に、毎年の事業所得から税金額を計算する確定申告を行っています。会社に勤めているのであれば年末調整として会社が税金などの計算を行いますが、雑所得がある場合にも、条件に該当すれば確定申告を行わなくてはいけません。

雑所得がある方で確定申告が必要な人とは?

個人事業主基本的に確定申告が必要
会社員・アルバイト給与以外に副業などで雑所得を得ていて、かつ雑所得の金額が1年で20万円を超える場合
収入が雑所得のみの人1年間の所得が48万円を超える場合
年金をもらっている人年金以外の所得金額の合計が1年間で20万円を超える場合    

上記に当てはまる人は、基本的に確定申告を行う必要があります。副業をしていて給与所得と雑所得どちらもある場合や、年金と雑所得がどちらもある場合には、20万円が基準となることを覚えておきましょう。

また、雑所得のみの場合にはその基準が48万円となります。これには税金の計算をする際に総所得金額などから差し引くことができる「基礎控除」と呼ばれる仕組みが影響しています。

なお、会社員などの副業で雑所得が20万円以下であるため確定申告をしない場合には、住民税の申告を行いましょう。

参照:確定申告が必要な方
参照:No.1199 基礎控除

確定申告はいつ、どこで、どうやるの?

確定申告は毎年2月16日〜3月15日に税務署に提出します。例えば、2022年1月1日〜12月31日に稼いだ所得については、2023年2月16日〜3月15日に確定申告を行いましょう。確定申告の期限は曜日や新型コロナウイルスなどの状況に影響されることがあるため、ニュースや国税庁のホームページなどをチェックすることも大切です。

確定申告書を税務署に提出した後は所得税を支払います。税金を払いすぎていて還付金が発生する場合には、指定した銀行口座に振り込まれます。

参照:所得税の確定申告

参考コラム:
確定申告に必要な書類とは?ケース別に準備する書類を分かりやすく解説!
確定申告のやり方を流れで解説!対象者や必要書類から納税までわかりやすくご紹介

雑所得の税率は必ずしも50%ではない

雑所得の税率は金額に影響されるため、必ずしも50%のような高い税率になるわけではありません。収入が雑所得だけと仮定すると、所得税率は以下のようになります。なお、計算しやすいようここでは経費を0円としています。所得控除は適用を受ける要件がなく誰でも利用できる基礎控除48万円を適用した場合とします。

雑所得課税される所得金額所得税の税率控除額所得税
200万円152万円5%0円7.6万円
300万円252万円10%9.75円15.45円
500万円452万円20%42.75円47.65円
900万円852万円23%63.6円132.36円
1,100万円1,052万円33%153.6円193.56円
2,000万円1,952万円40%279.6円501.2円
4,200万円4,152万円45%479.6円1,388.8円

上記のように、雑所得の金額によっては5%や10%といった低い税率に収まる場合もあります。

雑所得で扶養から外れる可能性とは?

雑所得でも金額によっては扶養の対象から外れてしまうことに注意しましょう。

例えば、親に扶養されている人の雑所得が48万円を超えた場合には扶養親族の対象から外れてしまいます。親が支払うべき税金の金額が5万円〜17万円程度上がってしまうでしょう。

参照:扶養親族

経理業務はINVOYにお任せください

雑所得があるために確定申告する場合は、収入や費用の金額をまとめて、最終的な所得の金額を計算する必要があります。また、請求書を作成して取引先に送付したり、受け取った書類を管理したりといった作業も生じる方もいるでしょう。

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まとめ

雑所得はハンドメイド品の販売やYouTube、仮想通貨などによるさまざまな収入が含まれます。雑所得の税率は稼いだ金額によって決定されるため、低い金額で済む可能性
もあります。また、雑所得の金額などによって確定申告が必要となるため、条件に該当する方は忘れずに対応を行うことが大切です。

この記事の投稿者:

shimohigoshiyuta

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