4月上旬の時候の挨拶とは？ビジネスに使える季節の話題と挨拶例文

4月上旬は桜が見頃を迎え、新年度が始まる季節です。ビジネス文書やメールでも、この時期ならではの「時候の挨拶」を冒頭に添えることで、季節感を伝えつつ丁寧な印象を与えることができます。

そこで本記事では、4月上旬の気候や自然、行事など季節の話題を網羅的に紹介し、ビジネスで使える時候の挨拶の基礎知識や書き方のポイントを解説します。

さらに、すぐに使える文例もフォーマル・丁寧・カジュアルといったパターン別に掲載します。手紙やメールの文面準備にお役立てください。

時候の挨拶とは？ビジネスで使う理由と基本マナー

時候の挨拶とは、手紙やビジネス文書の冒頭で季節を感じさせる挨拶文のことです。正式な手紙では「拝啓」などの頭語に続けて季節の挨拶を書き出し、その後に本題へと続ける構成になります。

例えば4月であれば「拝啓 春暖の候、〇〇様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。」のように、季節を表現する言葉（春暖の候）と相手の健康や繁栄を祝う言葉をセットで用いるのが一般的です。

ビジネスシーンで時候の挨拶を使う主な理由は、相手への気遣いと丁寧さを示すためです。季節に触れる一文を添えることで、事務的な連絡であっても「あなたのことを思っています」という心遣いを表現できます。

また、「季節の移ろいに触れつつ相手の健康や発展を願う言葉」は日本の伝統的な手紙マナーのひとつであり、特に目上の人や取引先に送る文面ではこれがあるだけでグッと丁寧な印象になります。

新年度の挨拶状や、取引先へのお礼状・案内状などフォーマルな文書では、季節の挨拶が入っているとビジネスマナーに則った格式ある文章になるため、信頼感を与える効果も期待できます。

もっとも、時候の挨拶はあくまで形式的な挨拶ですので、状況によっては省略も可能です。

例えば社内のちょっとした連絡メールや親しい間柄のカジュアルなメール、LINEのメッセージなどでは、長々とした時候の挨拶はかえって仰々しく感じさせてしまいます。

そうした場面では無理に季節の挨拶を入れず、簡潔に要件から書き始めても問題ありません。

一方で、ビジネスメールでも改まった内容（案内状や礼状等）や、久しぶりの連絡など丁寧さを示したい場合には、文章の出だしに一言季節の話題を入れると好印象です。

要は、相手や場面に応じて使い分けることが大切だと言えるでしょう。

時候の挨拶の書き方ポイント（ビジネス文書編）

ビジネス向けに時候の挨拶を書く際、押さえておきたいポイントをまとめます。相手に伝わりやすく好印象な季節の挨拶文にするために、以下の点に注意しましょう。

季節に合った言葉選び

時候の挨拶ではまず季節感をしっかり表現します。4月上旬なら桜や春の陽気、新年度など「その時期ならでは」のキーワードを盛り込みましょう。

季節外れの話題を入れるのは避け、また4月といっても上旬・中旬・下旬で気候や景色が変わるため、手紙を出すタイミングに合わせた表現を選ぶことが大切です（例：桜の話題は桜が咲いている時期に、新緑の話題は芽吹き始める中旬以降に使う）。

言葉遣いとしては、「春爛漫」「桜花（おうか）」「陽春」など美しい季節の言葉や、シンプルに「桜が満開で～」「春の暖かさを感じ～」といった表現があります。

漢字四字や「～の候」といった漢語調の表現は改まった印象になるので社外向けに、有名な季語を織り交ぜた口語調の表現は親しみやすいので社内や親しい相手向けになど、使い分けるとよいでしょう。

フォーマル度合いの使い分け

時候の挨拶にも文章の硬さ・カジュアルさがあります。一般的に、社外向けの正式な手紙やメールでは「～の候」「～のみぎり」などの漢語調を用いた定型表現が多く使われます（例：「春光の候」「清明の折」など）。

これに対し、社内文書や気心の知れた相手へのカジュアルな文面では「春らしい暖かな日が続いていますね」などと柔らかい表現で書き出しても問題ありません。送り先の立場や親密度に応じて、敬語表現のレベルを調整しましょう。

例えば取引先の社長宛ての手紙なら「拝啓 ○○の候、貴社益々ご清栄のこととお喜び申し上げます」のように極めてフォーマルに、仲の良い取引先担当者にメールするなら「桜の季節となりましたね。

○○様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか」程度に砕けても構いません。

親しき中にも礼儀ありではありませんが、ビジネスである以上、カジュアルに寄せる場合でも最低限の敬意は感じられる丁寧語（です・ます調）で書くのが無難です。

挨拶文の構成を意識

時候の挨拶は単なる季節描写ではなく、相手の安否や繁栄を気遣う文まで含めて一つのセットです。

特にフォーマルな書簡では、時候の挨拶に続けて「お変わりなくお過ごしでしょうか」「益々ご健勝のことと存じます」「ご清栄のこととお慶び申し上げます」といった定型の安否伺いや繁栄を祝う表現を入れるのがマナーとなっています。

文章としては「季節の語句＋相手を思いやる語句」でワンセットと考えるとよいでしょう。

カジュアルな文面の場合はそこまで堅苦しくせず、「…季節になりましたね。お元気ですか？」というように一文または二文程度で簡潔に挨拶を終えてしまって構いません。

また、手紙の場合は頭語「拝啓」から始めたら結語「敬具」で締めること、メールの場合は頭語・結語は不要だが代わりに冒頭で「お世話になっております」など相手への挨拶を忘れないことなど、形式面の整合にも注意しましょう。

結びの言葉にも季節感を

時候の挨拶は本文前の「前文」に当たりますが、その「末文」（結びの挨拶）にも季節に触れた言葉を入れると、より統一感が出ます。

例えば4月上旬なら、本題が終わったあとに「まだ寒暖差の激しい時期ですので、どうぞご自愛ください。」「春爛漫の折、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。」といった形で文章を結ぶと、冒頭との呼応が取れて綺麗です。

ただし結びの挨拶は時候の挨拶ほど厳密に季節を入れる必要はありません。

ビジネスでは「取り急ぎお礼まで」「今後ともよろしくお願いいたします」といった内容になるケースも多いですが、余裕があれば一言季節の労わりを添えるとよいでしょう。

いずれにせよ、文章全体を通じて最初から最後まで相手を気遣う気持ちを盛り込むことが大切です。

4月上旬の時候の挨拶例文集【ビジネス向け】

ここからは、実際にビジネスシーンで使える4月上旬の時候の挨拶文例をパターン別に紹介します。

フォーマルな手紙向け、丁寧なビジネスメール向け、カジュアルな社内メール向けと、それぞれ文体や表現の異なる例文を用意しました。想定するシチュエーションに合わせて参考にしてみてください。

フォーマルな文例（社外向け・ビジネスレター）

取引先や目上の方に送る正式な手紙の書き出しでは、頭語・時候の挨拶・安否伺いを含めた定型表現を用いるのが基本です。漢語調の季節表現を使うことで、より改まった印象になります。

• 例文（1）

拝啓　陽春の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、（本文につづく）

…

敬具

（解説）「陽春の候」は春真っ只中の季節を指す時候の言葉です。「貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」は相手企業の繁栄を祝う安否挨拶です。

ビジネスレターではこのように季節＋繁栄/健康を祝う文をセットで用い、その後に本題へ入ります。頭語「拝啓」で始めたら、最後は結語「敬具」で結ぶようにしましょう。

• 例文（2）
  

拝啓　桜花爛漫の折、○○様におかれましてはご健勝にて新年度をお迎えのこととお慶び申し上げます。

（本文）

（解説）「桜花爛漫（おうからんまん）の折」は桜の花が見事に咲き誇っている時期という意味で、4月上旬の季節感を華やかに表現できます。

「ご健勝にて新年度をお迎えのこととお慶び申し上げます」と続けることで、新年度が始まったタイミングならではの挨拶になっています。ビジネスでは相手の会社や個人が無事に新しい春を迎えたことを喜ぶ一文を入れると良いでしょう。

丁寧な文例（社外向け・ビジネスメール）

社外向けのビジネスメールでも、内容によっては季節の挨拶を入れると効果的です。メールの場合は手紙のような頭語こそ不要ですが、冒頭で会社名や自分の名前を名乗った後に一文添える形で季節の挨拶を入れることができます。

フォーマルな手紙ほど堅苦しくない表現で、しかし丁寧さは保った文例を紹介します。

• 例文（1）

いつも大変お世話になっております。○○株式会社の□□です。

桜の花が満開を迎え、春の訪れを感じる今日この頃でございますが、△△様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

（解説）ビジネスメールの定型である「お世話になっております」に続けて、季節の描写と相手の安否伺いを組み合わせた例です。

「桜の花が満開を迎え、春の訪れを感じる今日この頃」というフレーズで4月上旬の季節感を伝え、「△△様（相手）におかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか？」と相手を気遣う問いかけで締めくくっています。

改行して二文にしていますが、一つの段落内で繋げても構いません。メールではあまりにも長い挨拶は全文読まれない可能性もあるため、この程度のボリュームに留めると良いでしょう。

• 例文（2）
  

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

春暖の折、貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお喜び申し上げます。

（解説）少しフォーマル度の高いメール挨拶の例です。

「平素より～厚く御礼申し上げます。」は日頃の厚情へのお礼挨拶で、その後に「春暖の折（春の暖かさを感じる頃）、貴社益々ご隆盛のこととお喜び申し上げます。」と続けています。

メールであっても、このように手紙に近いフォーマルな表現を用いることで、改まった案内メールや依頼メールなどに相応しい丁重な書き出しになります。

ただし、日常的なメールでここまで格式ばると仰々しい印象にもなりかねませんので、使い所を選びましょう。

カジュアルな文例（社内メール・親しい相手向け）

社内の上司・同僚や親しい取引先担当者など、比較的くだけた関係性の相手には、時候の挨拶ももう少しカジュアルな表現で問題ありません。

あまり格式張った漢語は使わず、会話に近い口調で季節感を伝えると親しみやすい印象になります。

ビジネスメールとはいえ最低限の丁寧さは保ちつつ、堅苦しさを和らげた文例を見てみましょう。

• 例文（1）

お疲れ様です。  

朝晩はまだ少し冷え込む日もありますが、日中は春の陽射しが心地よい季節になりましたね。◯◯さん、お変わりなくお過ごしでしょうか。

（解説）社内メールの冒頭を想定した例です。まず「お疲れ様です。」と社内向けの軽い挨拶を入れ、その後にカジュアルな時候の挨拶を続けています。

「朝晩はまだ少し冷え込む日もありますが、日中は春の陽射しが心地よい季節になりましたね。」と述べており、季節の中でも寒暖差に触れることで相手の体調を気遣うニュアンスも込めています。

結びの「お変わりなくお過ごしでしょうか。」も、フォーマルな「いかがお過ごしですか」より柔らかく、親しい相手を思いやるトーンになっています。

• 例文（2）

桜もそろそろ見納めの時期となりましたね。今年はどこかでお花見を楽しまれましたか？

（解説）こちらはシンプルかつフランクな口語調の挨拶です。「桜もそろそろ見納め（＝散り際）の時期となりましたね。」と語りかけるように季節を述べ、続けて「今年はお花見を楽しまれましたか？」と質問しています。

ビジネスメールではありますが、仲の良い同僚や気心の知れた取引先担当者とのやりとりであれば、この程度に砕けた話題提供から書き出しても差し支えありません。

ポイントは、敬語を崩しすぎないこと（「楽しまれましたか？」程度の丁寧さは維持）と、ビジネスの本題に極力差し障りのないライトな話題に留めることです。

• 例文（3）

4月になり、新しい生活がスタートしましたね。何かと慌ただしい時期かと思いますが、体調など崩されませぬようお気をつけください。

（解説）こちらは新年度の開始という話題を盛り込んだ挨拶例です。

「4月になり、新しい生活がスタートしましたね。」とフランクに季節と近況を述べつつ、「慌ただしい時期かと思いますが、ご自愛ください」と相手をいたわる内容につなげています。

社内のチームメンバーや親しい知人へのメールで、激励や労いの意味を込めて使える表現でしょう。ビジネスカジュアルな範囲であれば「〜ですね」「〜ください」程度の結びで構いません。

以上のように、表現の仕方や文体を変えるだけで、フォーマルにもカジュアルにも対応できます。自分がメールや手紙を送る相手との関係性や、文章を書く目的に照らして、適切なスタイルの挨拶文を選びましょう。

まとめ

4月上旬は桜の花や新年度といった明るく華やかな話題が多く、これらを時候の挨拶に取り入れることで、ビジネス文書やメールに季節感と心遣いを添えることができます。

季節の移ろいに敏感な挨拶は、読む相手に温かみや丁寧さを感じさせ、コミュニケーション全体の印象を良くしてくれるでしょう。

ぜひ本記事で紹介したポイントを踏まえて、宛先やシーンにふさわしい表現を選び、4月上旬ならではの時候の挨拶を書いてみてください。

季節感あふれる挨拶文が、ビジネスシーンでの円滑なやりとりや信頼関係構築の一助となることを願っています。