個人事業主向けファクタリングは審査が緩い?「提出書類が少なめ」で資金調達する方法について解説

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「今すぐ運転資金が必要だ。しかし銀行審査には通らない…」

個人事業主であるあなたが抱える深刻な悩みから解放され、数日、早ければ即日中に必要な現金を確保できる未来を提示します。

実際に、赤字決算や税金の滞納といった、従来の融資では絶望的とされた状況下でも、銀行とは異なる審査基準を活用して資金調達に成功した個人事業主は多く存在します。

なぜファクタリングの審査は「緩い」のか、なぜ「提出書類が最小限」で済むのか、本記事ではその仕組みと、あなたが今すぐ実践できる具体的な方法を解説します。

目次

結論:個人事業主でも「書類が少ない」ファクタリングは利用可能です

本レポート(記事)の結論を簡潔に提示します。ファクタリングは「融資(借金)」ではありません。あなたが保有する「売掛金(請求書)」をファクタリング会社に売却する「債権譲渡」という取引です。

この根本的な違いにより、審査の対象が「あなたの信用情報」から「売掛先の支払い能力」へと大きくシフトします。これが「審査書類が少ない」と言われる最大の理由です。

特に近年主流となっている「オンライン完結型」のサービスを選べば、AI審査の導入などにより、手続きが大幅に簡素化されています。その結果、提出書類が「請求書」と「通帳」の2点のみ、といったケースも珍しくありません。

なぜ個人事業主は銀行融資で苦戦するのか? ファクタリングとの決定的な違い

多くの個人事業主が、資金調達の第一候補として銀行や公的機関の融資を検討します。しかし、そこで高い壁に直面することも事実です。ファクタリングがなぜ有効な選択肢となるのか、その前提となる融資との違いを明確にします。

銀行融資の審査対象:あなたの「返済能力」と「信用情報」

銀行や公的機関の融資は、「金銭消費貸借契約」に基づきます。これは分かりやすく言えば「借金」です。銀行が審査で最も重視するのは、あなたが将来にわたって元本と利息を支払い続けられるか、という「返済能力」です。

そのため、過去数期分の決算書や確定申告書、詳細な事業計画書の作成、そして場合によっては不動産などの担保や保証人が厳しく問われます。個人事業主は、法人と比較して事業基盤が弱いと見なされがちで、この審査のハードルが非常に高くなります。

ファクタリングの審査対象:売掛先の「支払い能力」

一方、ファクタリングは「売掛債権譲渡契約」です。これは「資産の売却」を意味します。

ファクタリング会社が審査で最も重視するのは、「その売掛金が実在し、売掛先(取引先)が期日通りに支払うか」という点、つまり「売掛先の信用力」です。

これは、従来の「自分が審査される」という融資の考え方とは根本的に異なります。あなたの信用力が低くても、取引先の信用力が高ければ資金調達できる可能性があるのです。

この違いが「赤字決算」や「税金滞納」時の利用可否を分ける

審査対象の違いは、経営状況が苦しいときにこそ鮮明になります。銀行融資では、赤字決算や税金の滞納は「返済能力の欠如」を意味する致命的なマイナス要因であり、審査通過は極めて困難です。

一方でファクタリング会社は、利用者が赤字決算であっても「売掛先が安定した優良企業であれば」売掛金の回収は可能だと判断します。

ただし、「税金滞納」については注意が必要です。ファクタリング会社が恐れるのは、税務署による「差し押さえ」です。税金は他のどの債権よりも優先されるため、もし売掛債権が差し押さえられれば、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなります。

「滞納しているが、税務署と分納計画を立てて誠実に支払っている」など、差し押さえのリスクが低いことを示せれば、利用できる可能性は残されています。

ファクタリング審査が「緩い」と言われる3つの根拠

ファクタリングの審査が「緩い」または「柔軟である」と言われるには、明確な理由があります。それは、審査の「視点」がまったく異なるからです。

根拠1:審査の焦点が「売掛先の信用力」であるため(最重要)

これが最も重要な根拠です。ファクタリング会社が評価するのは、あなたの経営状況ではなく、あなたの「取引先」の経営状況や支払い能力です。

極端な例を挙げれば、あなたが創業直後で実績がなくても、あるいは一時的な赤字であったとしても、取引先が上場企業や、長年の取引実績がある優良な中堅企業であれば、その売掛債権(請求書)の信用力は高いと判断されます。結果として、審査は非常に通りやすくなります。

根拠2:担保・保証人が原則不要であるため

ファクタリングは融資ではないため、信用保証協会の保証や、自宅や事務所を担保に入れる必要は基本的にありません。

個人事業主にとって、担保や保証人の準備は資金調達における大きな心理的・物理的な負担です。これらが不要であるだけで、資金調達のハードルは劇的に下がります。

根拠3:過去の金融履歴(赤字など)を問われにくいため

銀行融資では、過去2〜3期分の決算書が重視されます。赤字決算や債務超過は、審査において大きな障害となります。

しかしファクタリングでは、そうした「過去」の経営状態よりも、「現在」手元にある売掛債権の確実性が重視されます。

ファクタリングは「過去の信用」を担保にお金を借りるのではなく、「現在の取引」を早期に現金化する手法です。これは、一時的に業績が落ち込んだ事業者や、創業間もない個人事業主にとって、非常に合理的な資金調達手段と言えます。

提出書類が「少なめ」を実現するオンライン完結ファクタリング

「審査が緩い」ことに加え、「提出書類が少なめ」であることも、多忙な個人事業主にとって大きな魅力です。これは、近年のテクノロジーの進化によって実現しました。

AI審査とオンライン化がもたらした手続きの革命

従来型のファクタリングでは、対面での面談や、決算書、事業計画書など、融資に近い多くの書類を求められることもありました。

しかし、「WEB完結型(オンライン完結型)」ファクタリングと「AI審査」の登場が、この状況を一変させました。

申し込みから審査、契約締結、入金までの全プロセスがオンライン上で完結するため、物理的な書類の郵送や面談の手間が一切不要になったのです。

最小限の提出書類:本当に「請求書」と「通帳」だけで可能なのか?

結論から言えば、多くのオンライン完結型サービスにおいて「可能」です。具体的には、以下の3点が最小限の必要書類となるケースが主流です。

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 売掛債権の存在を証明する書類(請求書、発注書、契約書など)
  • 取引の事実を証明する書類(入出金明細のある通帳のコピー、直近3ヶ月分など)

なぜ、たったこれだけの書類で審査が可能なのでしょうか。それは、AI審査が「その請求書が本物か(架空債権ではないか)」を検証することに特化しているためです。

AIは、あなたが提出した「請求書」と「通帳の入出金明細」を瞬時に突合します。そして、「通帳に、過去にもその売掛先から、請求書に近い金額の入金が定期的になされているか」を確認します。

この事実が確認できれば、「この取引は実在する」という強力な証拠(エビデンス)となり、審査の第一段階をクリアできるのです。「書類が少ない」ことは、AIが「取引の真正性」を検証するために、焦点を絞った結果と言えます。

【表】個人事業主の資金調達方法:比較テーブル

ファクタリングの優位性を、従来の融資と比較して整理します。

比較項目銀行融資・公的融資オンライン完結ファクタリング(2社間)
審査対象利用者の信用力・財務状況売掛先の信用力
審査の柔軟性厳しい(赤字・滞納は困難)柔軟(赤字・滞納でも可能性あり)
提出書類非常に多い(事業計画書、決算書など)非常に少ない(請求書・通帳など)
資金化スピード1ヶ月程度最短即日〜数日
担保・保証人原則必要(または公的保証)原則不要
売掛先への通知不要不要(2社間の場合)
手数料(コスト)低い(金利:年2%~6%)高い(手数料:8%~18%)

個人事業主が知るべき「2社間」と「3社間」の戦略的使い分け

ファクタリングには、主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つの契約形態があります。あなたが求めるスピードやコスト、そして売掛先との関係性によって、選ぶべき方法はまったく異なります。

2社間ファクタリング:スピード重視、売掛先に知られたくない(本クエリ向き)

「あなた(個人事業主)」と「ファクタリング会社」の2社間のみで契約を完結させる仕組みです。

メリットとして、売掛先(取引先)への通知や承諾が不要です。そのため、取引先に資金繰りの状況を知られることはありません。また、手続きが非常に簡潔で、申し込みから入金まで最短即日、数日以内に完了します。

デメリットは、手数料が割高になる傾向がある点です。相場は10%~20%程度とされています。

なぜ手数料が高いのでしょうか。それは、ファクタリング会社にとって「回収リスク」が高いためです。売掛先に通知しないため、ファクタリング会社は「利用者が売掛金を回収した後、使い込んでしまうリスク」や「同じ請求書を複数の業者に売却する(二重譲渡)リスク」を負うことになります。このリスクヘッジの費用が、手数料に上乗せされているのです。

「審査が緩く」「書類が少なく」「迅速に」資金化したい個人事業主は、基本的にこの2社間ファクタリングを選択することになります。

3社間ファクタリング:手数料重視、売掛先の承諾が必須

「あなた」「ファクタリング会社」そして「売掛先」の3社間で契約を結ぶ仕組みです。

メリットは、手数料が劇的に安くなる点です。相場は1%~9%程度とされています。この仕組みでは、売掛先がファクタリングの利用を「承諾」し、支払い期日にはファクタリング会社へ「直接」売掛金を支払います。ファクタリング会社にとって、利用者による持ち逃げなどの「回収不能リスク」がほぼゼロになるため、手数料を安く設定できるのです。

デメリットは、売掛先の承諾が必須である点です。これが最大のハードルとなります。売掛先に「この会社は資金繰りに困っているのではないか?」という疑念を持たれる可能性も否定できません。また、売掛先の承諾を得るプロセスが発生するため、資金化までに時間がかかります。

コストを最優先し、売掛先との関係性が非常に良好で、ファクタリング利用への理解を得られる場合にのみ、選択肢となります。

注意:「審査が緩い」=「誰でも通る」ではない 審査落ちする6つのケース

「審査が緩い」という言葉を「誰でも通る」「無審査」と誤解してはいけません。ファクタリング会社も営利企業です。彼らにとって「回収不能」となる明確なリスク(貸し倒れリスク)が確認された場合、審査には通りません。

個人事業主が陥りがちな、審査落ちの代表的なケースを解説します。

ケース1:売掛先が「個人事業主」である

これは個人事業主やフリーランスにとって、最も重要な注意点です。多くのファクタリング会社は、売掛先が「法人」であることを利用条件としています。

理由は、個人事業主は法人に比べて事業実態や財務状況の把握が難しく、社会的な信用力も低いと判断されるため、ファクタリング会社にとって「回収リスクが高い」と見なされるからです。

(※一部には、売掛先が個人事業主(BtoB)や、消費者(BtoC)である債権に対応する稀なサービスも存在しますが、一般的なオンラインファクタリングとは審査基準が異なります。)

ケース2:売掛先の経営状況が著しく悪い

審査の焦点は売掛先です。その売掛先が、すでに倒産の噂がある、金融事故を起こしている、あるいは税金をひどく滞納しているといった情報がある場合、売掛金が支払われないリスクが高いため、審査には通りません。

ケース3:売掛金(債権)の存在が確認できない

提出された請求書や通帳の履歴を見ても、その取引が実在することを証明(エビデンス)できない場合、架空の請求書(ペーパーカンパニーとの取引)を疑われ、審査に落ちます。

ケース4:支払いサイト(回収サイト)が長すぎる

支払いサイト(請求書を発行してから入金されるまでの期間)が長すぎる場合(例:90日以上)、その間に売掛先の経営状況が悪化し倒産するリスクが高まります。そのため、支払いサイトが短い債権に比べて審査に通りにくくなります。

ケース5:売掛債権に「譲渡禁止特約」が付いている

売掛先との「業務委託契約書」や「基本契約書」に、「この売掛債権を他者に譲渡してはならない」という特約(譲渡禁止特約)が含まれている場合、審査に落ちる可能性が高いです。

(※法律(民法)の改正により、譲渡禁止特約があっても債権譲渡自体は可能になりましたが、実務上は、売掛先とのトラブルを避けるためにファクタリング会社が買取を拒否するケースがほとんどです。)

ケース6:税金の「差し押さえ」が既に実行(または通知)されている

これは「税金滞納」とはレベルが異なる問題です。「滞納」の段階であれば、分納計画などで対応中であることを示せば、利用できる可能性があります。

しかし、すでに税務署から「差し押さえ」の通知が届いている、あるいは実行されている場合、その売掛債権は売却できません。税務署は、ファクタリング会社を含む他の誰よりも優先的に、その売掛金を取り立てる権利を持つためです。

個人事業主が審査通過率を確実に上げるための5つの行動

ファクタリングの審査基準を理解すれば、通過率を高めるための対策を講じることができます。個人事業主が今すぐ実践すべき、5つの具体的な行動を紹介します。

行動1:信用力の高い「法人」宛の売掛債権を選ぶ

審査落ちのケースでも触れた通り、売掛先が個人事業主ではなく、安定した「法人」であるほど、審査通過率は劇的に上がります。可能であれば、上場企業や公的機関、あるいは長年の取引実績がある優良企業への請求書を申し込みましょう。

行動2:支払いサイトが短い売掛債権を選ぶ

ファクタリング会社のリスクが低い、支払いサイトが短い(例:30日~60日以内)債権を優先的に申し込むことが賢明です。

行動3:取引の存在を証明する資料(エビデンス)を揃える

「提出書類が少ない」からこそ、その「少ない書類」の信頼性が重要です。

ファクタリング会社から求められる「請求書」と「通帳」に加えて、売掛先との「基本契約書」、発注書、納品書、あるいはメールでの具体的なやり取りなど、取引の実在性を補強できる資料を自主的に準備しておくと、審査が非常にスムーズに進みます。

行動4:複数のファクタリング会社に相見積もりを取る

ファクタリング会社によって、得意とする業種や、審査で重視するポイントが異なります。A社で審査に落ちたとしても、B社では通過するということは頻繁に起こります。

また、手数料率を比較検討するためにも、最低2〜3社に申し込み、最も条件の良い会社を選ぶことを推奨します。

行動5:担当者への対応を誠実に行う

オンライン完結型であっても、申し込み内容の確認のために、担当者から電話やメールが来ることがあります。

審査では「売掛先の信用力」が最重要ですが、AI審査後の最終確認では「利用者の信頼性」も見られています。質問には誠実かつ迅速に回答することが、円滑な取引につながります。虚偽の申告は、信頼関係を根本から破壊するため論外です。

危険!「給与ファクタリング」と「悪質業者」の見分け方

資金繰りに窮している個人事業主は、残念ながら悪質業者の格好のターゲットになりやすいという側面もあります。ファクタリングの利便性だけを見て、安易に飛びついてはいけません。

それはファクタリングではありません:違法な「偽装ファクタリング」の手口

ファクタリング業は、貸金業のような「登録」や「届出」が不要で参入できるため、悪質な業者が紛れ込みやすい土壌があります。

彼らは「ファクタリング」という名目を使いながら、実質的には「違法な高金利貸付(ヤミ金)」を行っています。以下の特徴に一つでも当てはまったら、それは違法な「偽装ファクタリング」である可能性が極めて高いです。即座に取引を中止してください。

  • 契約書が「金銭消費貸借契約」になっている
  • 分割での「返済」を求められる
  • 手数料が相場より著しく高い
  • ウィズリコース(償還請求権あり)契約になっている
  • 契約書を発行しない、または控えを渡さない

正しいファクタリングの契約は「債権譲渡契約」です。「金銭消費貸借契約」は、明確に「借金」の契約です。また、ファクタリングは「売却」のため、売掛先から入金されたら、それを一括でファクタリング会社に支払うのが原則です。「分割での返済」が可能なサービスは、貸金業に該当します。

手数料が2社間ファクタリングの相場(8%~18%程度)を大きく逸脱し、年率に換算すると出資法に違反するような高額な手数料を提示された場合は、悪質業者です。

「ウィズリコース(償還請求権あり)」は、「もし売掛先が倒産したら、あなたが代わりに全額を支払いなさい」という契約です。これは「保証付きの貸付」であり、売掛金の未回収リスクを利用者が負うため、真のファクタリング(ノンリコース)ではありません。契約書を発行しない手口も論外です。

【表】安全な業者と「偽装ファクタリング」の見分け方

チェック項目安全なファクタリング偽装ファクタリング(違法な貸付)
契約形態債権譲渡契約金銭消費貸借契約
支払い方法売掛金を一括で支払う分割での「返済」を提示される
償還請求権原則なし(ノンリコース)あり(ウィズリコース)
手数料(相場)2社間:8%~18%著しく高い(年率換算で違法レベル)
担保・保証人原則不要要求されることがある

「給与ファクタリング」は絶対に使わない

個人事業主(フリーランス)に対して、「給与ファクタリング」を勧めてくる業者がいるかもしれませんが、これは「給与(労働の対価)」を対象とした「違法な貸付」です。

本記事で解説してきた、企業間の取引(BtoB)における「売掛債権ファクタリング」とはまったくの別物です。金融庁も厳しく取り締まっており、極めて危険ですので絶対に関わらないでください。

まとめ:審査と書類のハードルが低いファクタリングで、個人事業主の資金繰りを改善する

最後に、本記事の要点を再確認します。

第一に、個人事業主の資金調達において、ファクタリングは銀行融資とは全く異なる選択肢です。融資(借金)ではなく「債権の売買」であることを理解しましょう。

第二に、審査の焦点は「あなた」ではなく「売掛先」です。このため、あなたが赤字決算や税金滞納といった状況であっても、売掛先が優良であれば利用できる可能性が十分にあります。

第三に、オンライン完結型とAI審査の普及により、「請求書」と「通帳」だけといった、最小限の書類で迅速な審査が可能になっています。

第四に、注意点として「審査が緩い」は「無審査」ではありません。売掛先が個人事業主であったり、税金の「差し押さえ」が実行されていたり、債権の存在が証明できなければ、審査には通りません。

最も重要な第五の要点は、利便性の裏にある「悪質業者」の存在を認識することです。契約書の内容を必ず確認し、違法な「偽装ファクタリング」に騙されない金融リテラシーを持つことが、個人事業主のあなた自身を守る最大の武器となります。

この記事の投稿者:

垣内

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