会計の基礎知識

損益分岐点とは?計算方法や経営への活用方法をわかりやすく解説

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損益分岐点とは「商品をどの程度販売すれば黒字となるのか」ということを明らかにするための指標です。損益分岐点を把握することで、 今後の経営戦略に役立てることができます。本記事では、損益分岐点の計算方法や経営への活用方法について、わかりやすく解説します。

損益分岐点とは何か?

売上高と費用の額が等しくなり、利益が0になる点を「損益分岐点」と呼びます。売上高が損益分岐点を上回ると利益となり、反対に損益分岐点を下回ると損失となります。

企業は従業員に支払う給与や、オフィスを借りるための家賃といった費用を支払わなくてはなりません。商品やサービスを提供して売上を上げたとしても、全額を利益とすることはできないため、損益分岐点などの指標をもとに売上高と費用のバランスを適切に保つ必要があります。

なお、費用は売上高に比例して変動する「変動費」と、売上高に関係なく生じる「固定費」があります。

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①変動費

仕入原価、原材料費、販売手数料、外注費など

②固定費

地代家賃、人件費、リース料、広告宣伝費など

損益分岐点売上高の算出方法

企業が利益を発生させるためには、毎月発生する固定費の金額分の売上高を最低限稼がなくてはいけません。加えて変動費も発生するため、十分な利益を出すためには売上高が固定費と変動費を合計した額を上回る必要があります。

売上高が、固定費と変動費を合計した額を上回りもせず、下回りもしない時の金額を「損益分岐点売上高」と言います。損益分岐点売上高は 以下の計算式で表します。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷{(売上高−変動費)÷ 売上高}

なお、売上高から変動費を差し引いたものは「限界利益」と言います。商品1つの販売につき、どの程度の固定費を回収できるかを示すものであり、以下の計算式で表します。

限界利益 = 売上高 – 変動費

損益分岐点売上高の具体例

損益分岐点売上高の金額を実際に計算してみましょう。ここでは以下の条件に基づいて計算することとします。

・商品の仕入額:1個につき80円
・商品の販売額:1個につき120円
・1ヶ月の固定費:50万円

仕入額と販売額から計算すると、限界利益は以下のようになります。

120円(販売額)- 80円(仕入額)= 40円(限界利益)

固定費の50万円を回収するためには、以下の計算から商品を12,500個販売する必要があるとわかります。

50万円(固定費)÷ 40円(限界利益) = 12,500個

損益分岐点売上高は、12,500個に販売額を掛けることで求められます。

12,500個 × 120円(販売額)= 150万円(損益分岐点売上高)

損益分岐点の経営指標

損益分岐点に関わる指標である「損益分岐点比率」と「安全余裕率」について解説します。

①損益分岐点比率

損益分岐点比率は、実際の売上高と損益分岐点売上高の比率を計算した指標であり、以下の計算式で求めます。

損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際売上高 × 100

この比率が低いほど売上高が低下しても赤字になりにくく、企業としての体力が高いと言えます。損益分岐点比率の目安は以下の通りです。

・60%未満:超優良企業
・60%〜80%:優良企業
・81%〜90%:普通企業
・91%〜100%:損益分岐点企業
・100%超:赤字企業

例えば、損益分岐点売上高が240万円で、実際の売上高が300万円の企業の場合は、以下のように計算します。

240万円(損益分岐点売上高)÷ 300万円(実際売上高) × 100 = 80%(損益分岐点比率)

この場合は80%なので、優良企業に該当することがわかります。

②安全余裕率

安全余裕率とは、実際の売上高を100%として、実際売上高と損益分岐点の差を%で表した指標です。

安全余裕率 =(実際の売上高 – 損益分岐点売上高)÷ 実際の売上高 × 100

先ほど同様に、損益分岐点売上高が240万円、実際の売上高が300万円として考えると、以下の計算となります。

(300万円 – 240万円)÷ 300万円 × 100 = 20%(安全余裕率)

この計算により「売上高が20%落ちたら赤字になる」ということがわかりました。 安全余裕率は高いほど良いとされ、黒字経営を行うために重要な指標です。安全余裕率を意識せず感覚的に経営を行っている企業もありますが、より的確な経営を行うためにも、一度計算してみるといいでしょう。

損益分岐点をもとにした経営の改善策

目標としている利益に届かない場合の考え方について、損益分岐点をもとに解説します。

販売数量を増やす

1つ目は、損益分岐点に到達するために必要な販売数量を上回って販売する方法です。なお、目標販売数量は以下のように定めます。

目標販売数量 = (固定費 + 目標利益)÷ 限界利益

目標利益のために商品をあといくつ販売すればいいのか考え、必要な対策を検討しましょう。

損益分岐点を下げる

2つ目は、より利益を出しやすいように損益分岐点を下げる方法です。損益分岐点を下げるには、以下をはじめとする方法があります。

・販売額を上げる
・変動費を削減する
・固定費を削減する

損益分岐点の考え方を使い、販売額をどの程度上げればいいのか、または費用をどの程度削減すればいいのかといったシュミレーションを行うことが大切です。また、固定費はその他の2つに比べて損益分岐点に与える影響が大きい点も意識して考えましょう。

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企業の経営を健全に行うためには、損益分岐点などの指標を用いて、戦略的に物事を考える必要があります。しかし、そのような時間をなかなか取れないという方や、経理業務が追いついていないために、リアルタイムで分析することができないという方も多いのではないでしょうか。

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まとめ

損益分岐点は「商品をどれくらい販売すれば黒字となるのか」を明らかにする指標であり、経営戦略を立てる上で役立ちます。また、損益分岐点比率や安全余裕率といった指標を計算することで、より詳細な分析を行うことも可能です。損益分岐点の考え方を生かすことで、より安定的な経営を目指しましょう。

この記事の投稿者:

reg@olta.co.jp

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