
請求書を送ったのに未入金のままだと不安になりますよね。小さな会社やフリーランスにとって、入金遅れは資金繰り(キャッシュフロー)に直結する大問題です。
しかし「催促するのは気が引ける…」と悩む方も多いでしょう。本記事では、中小企業の経営者やフリーランス、個人事業主の方向けに、未入金時の上手な催促方法を解説します。
基本的なマナーから具体的なステップ、心理的負担の軽減策、すぐ使える催促メールのテンプレート、そして支払われない場合の対策や未然防止のポイントまで網羅したので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 未入金の催促が必要な理由
取引先からの入金が滞ったとき、催促するのは気まずいかもしれません。しかし、未入金の催促が必要な理由は大きく二つあります。
まず第一に、資金繰りの健全化です。未入金が続くと、こちらの支払い(仕入代金や経費など)にも支障をきたし、最悪の場合ビジネス継続が危ぶまれます。中小企業やフリーランスにとって、一件の支払い遅延でもキャッシュフローに影響が出ることがあります。早めに催促して確実に回収することが、安定した経営に欠かせません。
次に、ビジネス上のケジメとしても重要です。期日を守るのは取引の基本ルールなので、支払いをうやむやにさせないためにも催促は必要です。こちらから何も言わないと、「催促されないから大丈夫だろう」と相手に甘く見られてしまう可能性もあります。適切に催促することで、「支払い期日は守ってほしい」という意思を示し、今後の未払い抑止にもつながります。
要するに、未入金を放置しないで早めに対応することが大切です。円滑な資金繰りと健全な取引関係のために、催促は避けて通れない業務といえるでしょう。
2. 催促する際の基本マナー
未入金の連絡をする際は、相手に失礼のないよう基本的なマナーを押さえておきましょう。催促=クレーム対応ではないので、あくまでビジネス上のお願いという姿勢で臨むことがポイントです。
丁寧な言葉遣い
催促の連絡でもビジネスメール・電話の礼儀を守りましょう。感情的な表現や高圧的な言い方は逆効果です。特に初回の催促は、「お忘れではないでしょうか?」といった柔らかい表現で十分です。
自社側の確認
連絡前にまず自分側のミスがないかチェックします。例えば、請求書の送付漏れや宛先間違い、請求金額・支払期日の記載ミスがないか確認しましょう。こちらに落ち度があれば、催促する前に速やかに訂正する必要があります。
相手の状況への配慮
いきなり「なぜ支払わないのか?」と責めず、まずは相手も忘れているだけかもしれないと考えましょう。「お忙しいところ恐縮ですが…」といったクッション言葉を使い、相手の事情に配慮した伝え方を心掛けます。たとえ相手側に非があっても、丁寧で真摯な姿勢を貫くことが信頼関係を壊さないコツです。
記録を残す
口頭や電話で催促した内容もメモやメールで記録に残しておきましょう。後日のトラブル防止や、自分自身の進捗管理にも役立ちます。「〇月〇日〇時に電話、△△さん応対、支払確認依頼」など簡単にメモしておくと安心です。
基本マナーを守って催促すれば、相手にも悪い印象を与えにくくなります。ビジネスマナーに則った丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
3. ステップ別催促方法(メール、電話、郵送など)
未入金が発生した際は、状況に応じて段階的に対応しましょう。ここではステップ別の催促方法を、一般的な流れに沿って紹介します。
ステップ1:柔らかいメールでリマインド
支払期日を過ぎたら、まずはメールでやんわりと通知します。件名に「お支払いのご確認」などと入れて、本文では請求書送付日や金額、支払期日を明記しつつ、「念のためご確認ください」と優しく伝えます。
最初のメールでは催促というより「確認」のニュアンスで送り、相手に思い出してもらうことを狙います。メールだと相手も時間のあるときに対応しやすく、記録も残るのでおすすめです。
ステップ2:電話で直接状況を確認
メール送信後、数日経っても反応がない場合は、電話で連絡してみましょう。声のトーンを明るく保ち、「○月○日付でお送りした請求書の件でご連絡いたしました」と切り出して、相手の状況を尋ねます。電話ならその場で支払い予定日などを聞き出せるメリットがあります。
「何かご不明な点や問題がございましたか?」と相手の事情を聞く姿勢で話すと、相手も説明しやすくなります。直接話すことで相手に緊迫感を持ってもらえる場合もあります。
ステップ3:催促状(書面)を送付
メール・電話でも入金がない場合や、約束した入金予定日を過ぎても支払いがない場合は、催促状を郵送します。催促状とは、支払いを正式にお願いする書面です。内容はこれまでの経緯(〇月〇日に請求書送付、△月△日にメール連絡等)と未入金である旨、支払いをお願いしたい旨を丁寧に記載します。
郵送することで公式な催促の意思を示せるうえ、配達記録を残すこともできます。普通郵便より内容証明郵便を使うと、「いつ、どんな内容の催促を送ったか」の証明になるので安心です。
ステップ4:督促状(強い催促状)を送付
催促状送付後も反応がない場合、より強い文面の督促状を送ります。督促状では最終的な支払期日を改めて設定し、「◯月◯日までにお支払いいただけない場合、やむを得ず法的措置を講じる可能性があります」など、法的手段も辞さない姿勢を明記します。
言葉遣いは丁寧なままですが、内容はより厳格にし、相手に危機感を持ってもらう意図です。これでも反応がない場合は、次の段階として本当に法的措置を検討します。
以上が一般的な段階的催促方法です。状況に応じて柔軟に組み合わせつつ、段階が進むごとに対応をエスカレートさせていきましょう。
4. 催促時の心理的負担を軽減する方法
未入金の催促は精神的に負担がかかるものです。「催促の連絡を入れるのが怖い」「相手に嫌われたらどうしよう」と不安になることもありますよね。ここでは、催促時の心理的負担を軽減するコツを紹介します。
ルーティン化してしまう
催促作業を特別なことと考えず、請求業務の一部としてルーティンワーク化しましょう。「期日を○日過ぎたらメールする」とルールを決め、自動的に実行することで、余計な悩みを減らせます。仕事の一環と割り切れば気持ちも楽になります。
テンプレートを用意する
催促メールの文章や電話でのトークスクリプトをあらかじめ用意しておくと安心です。ゼロから言葉を考える負担が減り、伝えるべき内容も漏れなく伝達できます。定型文があれば、「この通りに伝えればOK」と自信を持って連絡できます。
相手の立場になってみる
自分が逆の立場で支払いを忘れていたら、むしろ連絡をもらえた方が助かるはず、と考えてみてください。多忙で忘れていたお客さんなら、催促の電話は「教えてくれて助かった」と感じるかもしれません。そう考えると、必要以上に気後れせずに済むでしょう。
周囲に相談する
フリーランスや小規模事業者だと一人で悩みがちですが、同業の知人や先輩に相談してみるのも手です。「自分だけじゃない」と分かるだけでも気が楽になりますし、具体的なアドバイスや成功例を聞けることもあります。
自分の正当な権利だと理解する
提供した商品・サービスの対価を受け取るのは当然の権利です。催促することは何も悪いことではありませんし、卑屈になる必要もありません。「こちらも生活がかかっているんだ!」と開き直って、堂々と請求しましょう。
これらの方法で心理的ハードルを下げておけば、催促の連絡も少しは楽になるはずです。自信を持って、しかし丁寧に、しっかり対応していきましょう。
5. 催促メールのテンプレート
いざ催促メールを書こうとすると、言い回しに悩むものです。ここではすぐに使える未入金催促メールのテンプレートを用意しました。初回の催促を想定した、丁寧かつ柔らかな表現の例です。自分の状況に合わせて適宜書き換えてご利用ください。
件名:お支払いのご確認(◯月◯日 請求書 ◯◯の件)
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様
いつもお世話になっております。◯◯(あなたの会社名・屋号)の◯◯(あなたの名前)です。
先日(◯月◯日)、◯◯の請求書をメールにてお送りいたしましたが、ご確認いただけましたでしょうか。
本日時点でお振込みの確認が取れておりませんでしたため、念のためご連絡差し上げました。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
もし行き違いで既にお支払いがお済みでしたら、ご容赦ください。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
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署名(あなたの会社名・名前・連絡先)
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テンプレート使用時のポイント
件名はひと目で趣旨が伝わるよう簡潔に書きましょう(「〇〇のご入金について」など)。
相手の会社名や部署名、名前は正式名称を入れます。相手が個人事業主なら「◯◯様」で問題ありません。
本文では、送付済みの請求書や支払期日の情報を具体的に明記します。ただし「未払いですよね?」と断定せず、「ご確認いただけましたでしょうか」と控えめに尋ねる表現にしています。
支払いが未確認であることを伝えつつ、「念のためご連絡」「ご確認お願いいたします」とお願いベースで書くことで圧迫感を与えません。
「行き違いでお支払い済みでしたら…」という一文を添えることで、相手のプライドを傷つけずフォローしています。実際、相手が既に振り込んでいた場合でも安心です。
結びの挨拶と署名も忘れずに。特にフリーランスや個人事業主の場合は、自分の屋号や連絡先を明記して信頼感を高めましょう。
このテンプレートを基に、自分の言葉でアレンジして使ってみてください。丁寧さと分かりやすさを心掛ければ、失礼なく意思を伝えることができます。
6. それでも支払われない場合の対策
丁寧に催促してもそれでも支払われない場合、残念ながら次の手段を検討する必要があります。相手の対応状況に応じて、以下の対策を取ることを考えましょう。
支払い督促や少額訴訟を検討する
内容証明郵便で督促状を送っても無視されるようなら、法的手続きを視野に入れます。比較的簡易な方法として、裁判所を通じた支払督促(相手に支払いを命じる通知を出してもらう手続き)や、請求額が少額なら少額訴訟の利用が考えられます。法的手段を取る前に最終通告として相手に知らせ、それでも支払いがなければ実行に移す形です。
専門家に相談
自分で法的措置をとるのが難しい場合、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談するのも有効です。内容証明の文面を代筆してもらったり、代理で交渉してもらったりできます。困ったときはプロの力を借りましょう。
取引停止・契約解除も視野に
度重なる未払いを放置すると、こちらが損害を被り続けることになります。ビジネスとして採算が合わない相手とは、今後の取引を停止したり契約を打ち切ったりする決断も必要です。
「未払いが解消されるまで納品停止」といった措置を取ることで、相手に支払いを促す効果もあります。今後も支払ってもらえないリスクが高いようであれば、思い切って関係を見直すことも検討しましょう。
泣き寝入りしない
相手によっては「払わずに逃げ得」を狙っているケースもあります。諦めてしまうと相手の思う壺ですので、取れる手段は全て試すくらいの気概で臨みましょう。ただし、コストや労力との兼ね合いもあります。
法的措置には費用や時間がかかるため、回収額とのバランスを考えて判断する必要があります。最終的に「勉強代」として諦める判断も場合によってはありますが、その前にできることは全てやり切る方が後悔は少ないでしょう。
万一支払われない場合でも、適切な対策を講じれば被害を最小限に抑えることができます。毅然とした態度で対応しつつ、今後の取引方針も含めて検討しましょう。
7. 事前に未入金を防ぐためのポイント
未入金が発生すると対応に手間も心労もかかります。理想は最初から未入金を出さないこと。そのために事前にできる予防策も押さえておきましょう。
契約と請求条件の明確化
取引開始前に契約書や合意書を交わし、支払い条件(支払期日や支払方法)を明記しておきます。「支払期限は請求書発行後◯日以内」などルールをはっきり決めておけば、双方の認識違いを防げます。また、可能であれば遅延損害金の規定を設けておくと、相手への抑止力になります。
信用調査と取引先選び
新規の取引先や高額の取引を行う前に、相手企業の信用度を確認するのも大切です。過去の取引実績や評判を調べたり、必要なら企業信用調査を利用したりしましょう。フリーランスの場合も、初めてのクライアントには慎重になり、あまりにも支払い条件が悪い(報酬支払いが遅すぎる等)案件は避けるのも自衛策です。
前金や分割払いの活用
金額が大きい案件や長期のプロジェクトでは、一部前払いや分割払いを交渉してみましょう。取引開始時に一部でも入金があれば、未払いリスクを減らせますし、相手の本気度も測れます。特にフリーランスの方は、着手金や前金をもらう習慣をつけておくと良いでしょう。
請求とフォローのシステム化
請求書は仕事完了後すぐに発行し、相手に送付します。請求が遅れると支払いも後ろ倒しになるので、スピードが肝心です。
また、支払期日の前にリマインドメールを自動送信するなど、フォローアップを仕組み化するのも効果的です。最近では請求管理サービスや会計ソフトで自動メールを出せるものもあるので活用を検討しましょう。
日頃から良好な関係構築
取引先とは日頃からコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことも大切です。
相手も人間なので、よく知っている相手への支払いは優先しがちですし、「この人には迷惑をかけたくない」と思ってもらえれば未払い抑止になります。ちょっとした連絡やお礼をマメにするなど、良い関係づくりが巡り巡ってリスクヘッジにつながります。
これらのポイントを実践すれば、未入金そのものを予防できる可能性が高まります。万全を期しても起こるときは起こりますが、リスクを減らす努力をしておくことで、いざというときのダメージを小さくできます。
8. まとめ
未入金の催促は誰しも気が進まないものですが、ビジネスを健全に続けるためには避けて通れないステップです。大切なのは、早めに丁寧に対応することと、日頃から未然防止に取り組むこと。
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