
費用削減はゴールじゃない。会社の数字を完全に掌握し、賢い経営者になるための第一歩。
法人決算の時期が近づくと、「税理士に依頼する費用を節約できないか」と考える経営者は少なくありません。税理士への報酬は、決算申告のみでも15万円から25万円、顧問契約を結べば年間で数十万円にのぼることもあります。
この費用を事業の成長に再投資できれば、会社の未来は大きく変わるかもしれません。法人決算を自分自身の手でやり遂げることは、単なるコスト削減以上の価値をもたらします。
この記事を最後まで読めば、法人決算を自分で行うための具体的な全手順を完全に理解できます。
日々の記帳から税金の納付まで続く8つのステップはもちろん、初心者にとって最大の壁となる「法人税申告書」や「勘定科目内訳明細書」といった複雑な書類の書き方まで、図解や記入例を交えて詳しく解説します。
これにより、あなたは自信を持って決算作業に臨むことができるようになります。
「専門用語が難しそう」「手続きが複雑で間違えそう」といった不安を感じるかもしれません。しかし、心配は不要です。この記事では、一つひとつの作業を丁寧にかみ砕き、なぜその手続きが必要なのかという理由から説明します。
会計の知識がまったくない方でも、手順通りに進めれば、法人決算を完了させることが可能です。さあ、会社の財務を自分の手に取り戻し、経営者として新たな一歩を踏み出しましょう。
目次
重大な決断 税理士は本当に不要か?「自分でやる」べきかの判断基準
法人決算を自分で行うと決める前に、そのメリットとデメリットを冷静に比較検討することが不可欠です。勢いで始めてしまい、本業がおろそかになったり、思わぬミスで追徴課税を受けたりしては本末転倒です。ここでは、あなたが本当に「自分でやるべきか」を判断するための基準を明確に示します。
メリット コスト削減だけではない、経営者としての成長
法人決算を自分で行う最大のメリットは、税理士費用の削減です。決算申告のみを依頼した場合でも15万円から25万円、顧問契約を含めると年間で50万円以上のコストがかかることもあります。特に創業期や小規模な会社にとって、この金額は決して小さくありません。
しかし、メリットはそれだけにとどまりません。もう一つの、そしておそらくそれ以上に重要なメリットは、経営者自身が会社の数字に強くなることです。決算作業を通じて、自社の財務状況や経営成績を隅々まで把握することができます。
例えば、税理士に任せていると損益計算書の結果だけを見て一喜一憂しがちです。しかし、自分で減価償却の計算や棚卸資産の評価といった「決算整理仕訳」を行うことで、利益が生まれる構造を肌で理解できます。
なぜこの利益になったのか、どの費用が経営を圧迫しているのか、資産と負債のバランスは健全か。こうした具体的な数字の裏付けを持つことで、今後の価格設定やコスト削減、投資判断といった経営戦略を、より的確に行えるようになります。これは、税理士費用を節約する以上の価値を持つ、経営者としての成長につながるのです。
| 特徴 | DIY申告(自分でやる) | 税理士への依頼(決算のみ) | 税理士への依頼(顧問契約) |
| 費用 | 会計ソフト代(年間2万〜5万円) | 15万〜25万円 | 月額3万円〜 + 決算料 |
| 時間的投資 | 非常に高い(50〜100時間以上) | 低い | 非常に低い |
| 節税効果 | 限定的(基礎知識のみ) | 一定の効果が期待できる | 戦略的・積極的な提案 |
| 税務調査対応 | なし(すべて自己対応) | 限定的(申告後の相談) | 完全サポート |
| 最適な企業 | マイクロ法人、売上小、取引が単純 | 予算を抑えつつ専門家のチェックが欲しい企業 | 成長を目指し、戦略的な財務・税務アドバイスを求める企業 |
デメリット 時間、ミス、税務調査のリスクを直視する
一方で、自分で法人決算を行うことには明確なデメリットとリスクが存在します。これらを軽視すると、深刻な事態を招きかねません。
第一に、膨大な時間と手間がかかることです。慣れない作業のため、一つひとつ調べながら進めることになり、決算期には本業が完全に止まってしまう可能性もあります。その結果、売上が落ちてしまっては元も子もありません。
第二に、ミスのリスクです。会計や税法の知識が不十分なまま作業を進めると、間違いが起こりやすくなります。例えば、減価償却の計算ミスや、交際費の損金不算入の処理間違いは、利益額、ひいては納税額に直接影響します。
もし納税額を少なく申告してしまった場合、後日の税務調査で指摘され、過少申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。節約したはずの税理士費用をはるかに上回る金額を支払うことになりかねません。
第三に、節税対策が不十分になる可能性が高い点です。法人には様々な節税策がありますが、専門知識がなければ活用できません。税法は頻繁に改正されるため、最新の情報を追いかけるだけでも大変な労力です。結果として、本来払う必要のなかった税金を納めてしまう「損」をするリスクがあります。
最後に、税務調査への対応という大きな壁があります。税務調査が入った場合、すべて自分で対応し、帳簿の正当性を説明しなければなりません。専門家である調査官を相手に、十分な説明ができないと、不利な判断を下される可能性があります。
あなたはどっち?自分で決算できる経営者の5つの特徴
以上のメリット・デメリットを踏まえ、どのような経営者であれば自分で法人決算に挑戦できるのでしょうか。以下の5つの特徴に当てはまるか、自己診断してみてください。
ひとり社長である
従業員がおらず、社長一人で事業を運営している場合、取引内容が比較的シンプルで、決算業務に集中する時間の調整もしやすいため、自分で挑戦しやすいでしょう。
売上規模が小さい
年間売上高が1,000万円未満であるなど、事業規模が小さい場合は、処理すべき取引の量も少なく、税務上の論点も複雑になりにくいです。特に、消費税の納税義務がない場合は、手続きが一段と簡素になります。
日常の経理を丁寧に行える
法人決算は、一年間の経理業務の集大成です。日頃から領収書の整理や帳簿への記帳をこまめに行い、会社の財政状況を把握できていることが大前提となります。最低限の簿記知識は必要不可欠です。
高度な節税にこだわらない
赤字経営で納税額が発生しない見込みの場合や、利益が少なく、積極的に節税対策を行う必要性を感じていない場合は、自分で申告するハードルは下がります。
会計ソフトを導入している
手書きや表計算ソフトでの決算は、ミスが発生しやすく非現実的です。会計ソフトを導入し、その操作に慣れていることは、自分で決算を行う上での必須条件と言えるでしょう。
これらの条件をすべて満たすのであれば、自分で法人決算に挑戦する価値は十分にあります。一つでも不安な点があれば、無理をせず税理士への依頼を検討することをお勧めします。
法人決算の完全ロードマップ 記帳から納税まで8つのステップ
法人決算は、事業年度が終わってから急に始まるものではありません。一年間の事業活動の積み重ねを整理し、報告する一連のプロセスです。ここでは、その全体像を8つのステップに分けて、具体的に何をすべきかを解説します。
ステップ1 決算の土台作り(日々の記帳と証憑整理)
決算作業のすべての基礎となるのが、日々の正確な記帳です。売上や経費の発生、資金の移動など、すべての取引を会計ソフトなどを用いて帳簿に記録します。この日々の積み重ねがなければ、決算は始まりません。
同時に、取引の証拠となる領収書や請求書、契約書といった証憑(しょうひょう)書類を整理・保管しておくことが重要です。これらの書類は、帳簿の記録が正しいことを証明するためのものであり、決算書作成や税務調査の際に不可欠となります。
ステップ2 現状把握(試算表の作成と残高確認)
事業年度のすべての取引の記帳が完了したら、次に試算表(しさんひょう)を作成します。試算表とは、総勘定元帳の各勘定科目の残高を一覧にした表です。この表の「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」の合計金額が一致していれば、日々の仕訳が正しく転記されていることを確認できます。
会計ソフトを使っていれば、この作業は自動的に行われます。さらに、帳簿上の預金残高と実際の銀行口座の残高、売掛金や買掛金の残高が一致しているかどうかの実査(じっさ)も行い、帳簿の正確性を確かめます。
ステップ3 決算特有の処理(決算整理仕訳の実行)
試算表で帳簿の正確性が確認できたら、決算期に特有の会計処理である決算整理仕訳を行います。これは、期中の取引記録だけでは正確に表せない会社の財政状態や経営成績を、期末の時点で正しく反映させるための調整作業です。
減価償却費の計上
パソコンや社用車、機械設備などの固定資産の取得費用を、その資産が使用できる期間(耐用年数)にわたって分割して費用計上する手続きです。
棚卸資産の評価
期末に残っている商品や製品、原材料などの在庫(棚卸資産)の数量を数え、その価値を評価します。これにより、当期の売上原価を正確に計算します。
期間をまたぐ取引の調整
翌期以降のサービスのために支払った家賃(前払費用)や、まだ入金されていない当期分の売上(未収収益)などを正しく当期の損益に反映させるための調整です。
ステップ4 成果の可視化(決算報告書の作成)
決算整理仕訳が完了すると、その事業年度の最終的な財務数値が確定します。この数値を基に、決算報告書(一般に「決算書」と呼ばれる)を作成します。決算報告書は、会社の財政状態と経営成績を外部に報告するための重要な書類で、主に以下の書類で構成されます。
貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)
決算日時点での会社の財産(資産)と借金(負債)、そして自己資本(純資産)の状態を示す一覧表です。
損益計算書(そんえきけいさんしょ)
一事業年度の間にどれだけ儲かったか(収益)、そのためにどれだけ費用がかかったか、そして最終的な利益(または損失)がいくらだったかを示す成績表です。
株主資本等変動計算書(かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ)
貸借対照表の純資産の部が、一事業年度の間にどのように変動したかを示す書類です。
個別注記表(こべつちゅうきひょう)
上記の計算書類の内容を補足するための重要な注記事項をまとめたものです。
ステップ5 会社としての承認(株主総会の開催と議事録作成)
作成した決算報告書は、会社法に基づき、取締役会および株主総会で承認を得る必要があります。これにより、決算書は会社の正式な成果報告として確定します。
社長と株主が同一人物である一人会社の場合でも、形式的に株主総会を開催し、その内容を記録した株主総会議事録を作成することが義務付けられています。この議事録は、税務申告の際に提出を求められることはありませんが、法的に作成・保管が義務付けられている重要な書類です。
ステップ6 税額計算の核心(法人税申告書の作成)
株主総会で承認された決算書を基に、いよいよ税金の計算と申告書の作成に取り掛かります。会計上の利益と税法上の所得は必ずしも一致しないため、決算書の利益に必要な調整(申告調整)を加えて、課税所得を算出します。
この計算過程と結果をまとめたものが法人税申告書です。法人税申告書は、多数の「別表」と呼ばれる書類で構成されており、法人決算の中で最も専門性が高く、複雑な部分です。
ステップ7 義務の履行(申告と納税)
作成した法人税申告書と決算報告書などの添付書類を、所轄の税務署等に提出します。申告と納税の期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されるため、厳守しなければなりません。
また、納付する税金の種類によって提出先が異なる点にも注意が必要です。例えば、法人税と消費税は税務署、法人事業税と法人住民税は都道府県税事務所や市町村役場にそれぞれ申告・納税します。
ステップ8 未来への備え(帳簿書類の保管)
申告と納税が完了しても、決算業務は終わりではありません。決算に使用した総勘定元帳や仕訳帳といった帳簿、そして決算書や領収書などの書類は、法律で定められた期間、保管する義務があります。
税法上は原則7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)、会社法上は10年間の保管が必要です。これらの書類は、将来税務調査が入った際に、申告内容の正当性を証明するための重要な証拠となります。
【記入例あり】最難関・3大書類の書き方徹底解説

法人決算を自分で行う上で、多くの人がつまずくのが専門的な申告書類の作成です。ここでは、特に重要かつ複雑な「法人税申告書」「勘定科目内訳明細書」「法人事業概況説明書」の3つの書類について、その目的と書き方のポイントを、初心者にも分かりやすく解説します。
法人税申告書 別表一、四、五を理解する
法人税申告書は、数十種類ある「別表」の中から、自社の状況に応じて必要なものを組み合わせて作成します。その中でも、ほとんどすべての法人が提出する、核となる書類が別表一、四、五です。
別表四「所得の金額の計算に関する明細書」
これは申告書の心臓部です。会計上の利益(損益計算書の税引前当期純利益)を、税法上の所得に変換するための計算表です。なぜこのような変換が必要かというと、会計のルールと税法のルールが異なるためです。
この変換作業を申告調整と呼びます。別表四では、会計上の利益からスタートし、税法独自のルールに基づいて金額を足したり(加算)、引いたり(減算)して、最終的な課税所得を計算します。
加算(損金不算入)の例
会計上は費用として計上しても、税法上は費用(損金)として認められないものです。代表的なものに、交際費の限度超過額や、納付した法人税・住民税などがあります。これらは利益に足し戻されます。
減算(益金不算入)の例
会計上は収益として計上しても、税法上は収益(益金)とみなされないものです。例えば、受け取った配当金の一部(受取配当等の益金不算入)や、還付された法人税等がこれにあたります。これらは利益から差し引かれます。
別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」
これは、会社の税務上の純資産の変動を示す書類です。期首の残高に、当期中の増減(別表四で計算した利益など)を加えて、期末の残高を計算します。税務署は、この書類を通じて会社の内部留保の状況を継続的に把握しています。
別表一「各事業年度の所得に係る申告書」
これが申告書の表紙にあたる最終的なサマリーです。別表四で計算した所得金額を基に、法人税額を算出し、中間納付額などを差し引いて、最終的に納付すべき税額、または還付される税額を記載します。別表二で判定した同族会社の区分などもここに記載します。
これらの別表は相互に関連しているため、別表四 → 別表五 → 別表一の順で作成していくのが一般的です。
勘定科目内訳明細書 税務署が見るポイント
勘定科目内訳明細書は、決算書(特に貸借対照表と損益計算書)に記載された各勘定科目の残高の内訳を詳細に説明するための書類です。全16種類ありますが、自社に関係のある科目についてのみ作成・提出します。
税務署はこの書類を見て、取引の具体的な内容やお金の流れを把握し、申告内容に不審な点がないかを確認します。特に以下の書類は注意深く見られます。
預貯金等の内訳書
会社名義のすべての預金口座について、金融機関名、支店名、口座番号、期末残高を記載します。ここに記載のない口座があると、所得隠しを疑われる原因になります。残高は決算書の現金預金勘定と一致している必要があります。
売掛金(未収入金)の内訳書
取引先ごとの売掛金の期末残高を記載します。長期間回収されていない売掛金や、実態の不明な相手先への売掛金がないかなどをチェックされます。原則として、相手先別の期末残高が50万円以上のものは個別に記載が必要です。
買掛金(未払金)の内訳書
取引先ごとの買掛金の期末残高を記載します。架空の経費計上がないか、役員や関連会社との不透明な取引がないかなどを確認する手がかりになります。これも売掛金と同様に、残高50万円以上は個別記載が原則です。
役員報酬手当等及び人件費の内訳書
役員ごとの報酬額や、従業員の給与の内訳を記載します。税務署は、役員報酬が不当に高額でないか、あるいは利益調整のために恣意的に変動させていないか(定期同額給与の原則を守っているか)などを厳しくチェックします。
この書類を正確に作成することは、決算書の信頼性を高め、税務調査のリスクを低減させることにつながります。
法人事業概況説明書 自社のビジネスを正しく伝える
法人事業概況説明書は、会社の事業内容や組織、経理の状況などを、税務署に説明するための書類です。税務調査の対象を選定する際の基礎資料として使われるため、会社のプロフィールとも言える重要な書類です。数字だけでは分からない事業の実態を伝える役割があります。
事業内容
どのような事業を営んでいるかを具体的に記載します。例えば「飲食業」だけでなく「東京都心部でのイタリアンレストラン経営」のように、誰が読んでもイメージが湧くように書きます。
期末従業員等の状況
役員、正社員、アルバイトなどの人数を職種別に記載します。人件費の妥当性を判断する材料になります。
経理の状況
誰が経理を担当しているか、会計ソフトを使っているか、試算表をどのくらいの頻度で作成しているかなどを記載します。経理体制がしっかりしているかどうかの印象を左右します。
月別の売上高等の状況
売上高や仕入高、人件費を月別に記載します。税務署は、この月次データを見て、特定の月に不自然な売上の増減がないか、季節変動のパターンは妥当かなどを分析します。決算書との間に矛盾があると、説明を求められることがあります。
この書類は、正直かつ正確に記載することが何よりも重要です。決算書の数字と整合性が取れていない記述や、実態と異なる説明は、かえって税務署の疑念を招く原因となります。
成功への近道 必須ツールと相談先の活用法

法人決算を自分一人で乗り切るためには、強力な味方が必要です。最新の会計ソフトを使いこなし、いざという時の相談先を知っておくことで、作業の効率と正確性は飛躍的に向上します。ここでは、DIY決算を成功に導くための必須ツールと、その活用法を紹介します。
会計ソフト比較 あなたの会社に合うのはどれ?
もはや、法人決算を自分で行う上で会計ソフトの導入は必須です。日々の仕訳入力から決算書の作成、さらには法人税申告書の作成支援まで、複雑な業務を大幅に効率化してくれます。ここでは、国内で人気の主要なクラウド会計ソフト3社を、それぞれの思想や特徴から比較します。
freee会計「簿記を知らなくても使える」思想
簿記の専門用語(借方・貸方など)を極力使わず、「収入」「支出」といった直感的な言葉で操作できるのが最大の特徴です。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引データが自動で取り込まれ、AIが勘定科目を推測してくれるため、日々の記帳の手間を大幅に削減できます。
簿記の知識に自信がない創業者や、経理作業に時間をかけたくない経営者に最適です。
マネーフォワード クラウド会計「伝統的な会計+クラウド」のハイブリッド
従来の会計ソフトに近い画面構成を持ちながら、クラウドならではの自動連携機能も充実しています。詳細なレポート機能や部門別会計など、事業の成長に合わせて高度な財務管理を行いたい場合に強みを発揮します。ある程度の簿記知識があり、自社の財務状況を細かく分析・管理したい経営者に向いています。
弥生会計 オンライン「シンプルさと信頼性」の業界標準
長年の実績を持つ弥生会計のクラウド版で、会計業務に特化したシンプルで分かりやすい操作性が特徴です。多くの税理士が弥生シリーズを使用しているため、将来的に税理士に依頼することになった際のデータ連携がスムーズというメリットもあります。
安定した動作と手厚いサポートを重視し、まずは基本的な会計業務を確実にこなしたいと考える小規模事業者に適しています。
| 特徴 | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計 オンライン |
| UI思想 | 簿記知識を意識させない | 伝統的な会計画面+クラウド | シンプルで会計業務に特化 |
| 強み | 自動化・直感的なワークフロー | 包括的な機能・詳細なレポート | 業界標準・手厚いサポート |
| 法人税申告機能 | ガイドが親切で初心者向き | 機能が豊富で柔軟性が高い | 信頼性が高く、実績豊富 |
| 料金(年額) | 約23,760円〜 | 約35,760円〜 | 約28,600円〜 |
| 最適なユーザー | 簿記初心者、テクノロジーに強い創業者 | 詳細な財務管理をしたいユーザー | シンプルさと信頼性を重視する小規模事業者 |
最後の砦 税務署への相談で聞けること・聞けないこと
どうしても分からないことが出てきた場合、所轄の税務署に無料で相談することができます。これは非常に心強い制度ですが、相談できる内容には限界があることを理解しておく必要があります。
聞けること(手続きに関する質問)
税務署は、手続きの「やり方」については教えてくれます。
- 「この申告用紙のこの欄には、どの書類のどの数字を転記すればよいですか?」
- 「提出に必要な添付書類の一覧はどこで確認できますか?」
- 「e-Taxでの申告手順を教えてください。」
聞けないこと(判断や節税に関する質問)
一方で、税務署は納税者に有利になるようなアドバイスや、経営判断に関わることは教えてくれません。
- 「うちの会社の場合、どの減価償却方法を選ぶのが一番得ですか?」
- 「この支出は、交際費として処理すべきでしょうか、それとも会議費でしょうか?」
- 「どうすればもっと税金を安くできますか?」
税務署の役割は、あくまでも公平な立場で税法を執行することです。彼らはルールの審判であり、あなたのチームのコーチではありません。
この線引きを理解し、「手続きの確認」のために税務署を活用するのが賢い方法です。節税などの戦略的なアドバイスが必要な場合は、やはり税理士という専門家の領域になります。
まとめ 法人決算を自力で乗り越え、経営者として次のステージへ
法人決算を自分自身の手で行うことは、決して簡単な道のりではありません。しかし、それは単なるコスト削減のための作業ではなく、経営者として自社の財務を完全に掌握し、次のステージへ進むための重要な通過儀礼です。
この記事で解説した内容を振り返り、あなたが「自分でやる」べきか、それとも専門家に任せるべきかを最終的に判断しましょう。
- ひとり社長で、事業規模もまだ小さいか?
- 日々の記帳を丁寧に行い、数字と向き合う覚悟があるか?
- 会計ソフトという強力なツールを導入しているか?
- 現時点では、高度な節税よりもコスト削減を優先したいか?
もし、これらの問いに自信を持って「はい」と答えられるなら、あなたは自分で法人決算をやり遂げる力を持っています。その過程で得られる会計や税務の知識、そして自社の経営状況に対する深い理解は、今後の事業運営において何物にも代えがたい財産となるでしょう。



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