領収書の基礎知識

運転代行の領収書の書き方とは?勘定科目や税務のポイントを解説

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運転代行 領収書 書き方

飲み会や接待の後、自分の車で帰れないときに便利なのが「運転代行サービス」です。ビジネスシーンでも、社員や経営者が取引先との会食後に運転代行を利用するケースが増えています。

では、運転代行サービスを業務で利用した場合の領収書の書き方や、会社の経費として計上する方法をご存知でしょうか?
本記事では、運転代行サービス利用時の領収書の扱いから、経費計上の条件、適切な勘定科目、税務上の注意点までをわかりやすく解説します。
領収書の具体的な記入例や便利なテンプレートも紹介しますので、運転代行の利用者や経理担当者の方はぜひ参考にしてください。

領収書が必要となるケースとは?

まず、どんな場合に運転代行の領収書が必要になるのか確認しましょう。業務目的で運転代行サービスを利用した場合は、必ず領収書をもらっておくことが大切です。法人企業の社員や個人事業主が仕事絡みの移動で運転代行を使ったなら、その費用を経費として計上できます。ただし、経費にするには支出の証拠となる領収書が必要です。

法人の場合

会社の経費で落とすためには領収書が欠かせません。例えば、社用で取引先との会食後に代行を利用した場合や、社員の社内イベント(懇親会)後に代行を手配した場合など、公的(業務上)の支出であることを証明するため領収書を保存します。経理処理や税務調査の際に領収書がないと、その費用は経費として認められない可能性があります。

個人事業主の場合

青色申告でも白色申告でも、事業に必要な支出であれば運転代行の料金を必要経費にできます。ただしこちらも、事業用経費であることを示すために領収書は保存しておきましょう。特に青色申告では帳簿や証憑類を7年間保存することが義務付けられており、領収書の有無は重要です(白色でも5年間程度の保存が推奨されています)。

一方、プライベートで運転代行を利用した場合(例えば友人との飲み会の帰りなど)は基本的に経費計上できないため、税務上は領収書は必要ありません。

ただし、会社員の方が業務と私用のどちらかわからないケースで経費精算を申請するような場合には、やはり領収書が求められるでしょう。ポイントは、その運転代行費用が仕事に関連した支出かどうかです。仕事絡みであれば領収書を必ず受け取り、きちんと保管する習慣をつけましょう。

運転代行の領収書に記載すべき項目

運転代行の領収書に記載すべき項目

「運転代行 領収書 書き方」と検索する方も多いように、領収書にはどんな項目を書けば良いのか気になりますよね。基本的には一般的な領収書と同じですが、以下のポイントを押さえておきましょう。

宛名(受領者名)

領収書を受け取る側の名前です。法人なら会社名(「〇〇株式会社 御中」など)、個人事業主なら自身の名前を書いてもらうのが理想です。宛名が空欄の場合、通例「上様」と記載されることもありますが、可能であれば具体的な名前を書いてもらうほうが経理上は望ましいでしょう。

日付

金銭を受け取った日付、つまり代行サービスを利用した日(支払った日)を記入します。発行日が利用日と異なる場合もありますが、領収書には原則として実際に代金を支払った日付を入れてもらいます。

金額

支払った合計金額を記載します。通常、税込金額を円単位で書き、改ざん防止のために金額の後ろに「-」や「也」などを付けます(例:「¥8,000-」)。消費税額が分かるように内訳を書くケースもありますが、小額の領収書では税込総額のみの場合も多いです。

但し書き

支払いの目的や内容を示す一文です。運転代行の場合は「但し 運転代行代として」や「但し 代行運転料金として」などと記載されます。これによって何の支払いかが明確になり、後で経費処理する際もわかりやすくなります。

発行者の情報

サービス提供者である運転代行業者の名称を必ず含めます。通常は領収書の下部に、業者の会社名(または屋号)、所在地、電話番号などが印刷もしくは記入されています。また、領収書には発行者の押印(会社印や担当者のサイン)があるとベターです(電子発行やレシート形式の場合は省略されることもありますが、押印があると正式な書類として安心感が増します)。

上記の項目がきちんと記載された領収書であれば、経理処理や税務署への説明にも耐えうる正式な証拠書類となります。万一、受け取った領収書に空欄や不足がある場合は、その場で記入してもらうよう依頼しましょう。

注意: 一部の運転代行業者が手違いで宛名や但し書きが空白の領収書を渡してしまうケースがありますが、自分で書き足すことは避け、必ず業者に連絡して正式に記入してもらってください。領収書は後から改ざんされていない証明が重要ですので、自筆で追記するとトラブルの元になります。

また、日本では現金取引の領収書に収入印紙が必要な場合があります。5万円以上の金額を現金で支払った場合、領収書に所定の収入印紙(200円など)を貼付し消印するのが法律で定められています。

運転代行の料金で5万円を超えるケースは稀かもしれませんが、長距離の代行などで高額になった場合は発行者側で印紙が貼られているか確認しましょう(クレジットカード払いの場合は印紙税の対象外です)。

最後に、2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)にも触れておきます。運転代行業者が適格請求書発行事業者として登録している場合、領収書に「登録番号」や「適用税率ごとの消費税額」などが記載されます。

これは受け取り側(利用者側)が仕入税額控除を受けるために必要な情報です。仮に領収書に登録番号の記載がなくても経費にはできますが、消費税の控除を受ける事業者の場合は注意が必要です。

中小の運転代行業者だと免税事業者のこともあり、そうした領収書では消費税の仕入税額控除ができなくなるため、経理担当者は領収書の記載事項をチェックすると良いでしょう。

運転代行サービスの費用は経費になる? – 認められる条件と税務上の注意点

運転代行の料金を経費に計上するには、それが事業に必要な支出であることが条件です。言い換えれば、「仕事上やむを得ず発生した費用」であれば経費として認められますが、「単なる個人的な都合の出費」は認められません。この線引きと、税務上の注意点を詳しく見てみましょう。

業務関連であることが条件

例えば、取引先との会食や接待でお酒を飲んだ後、自家用車を安全に持ち帰るために運転代行を利用したケースは、事業遂行上の必要経費とみなせます。社長や社員が業務で遠方に出向き、帰りにやむを得ず代行を使った場合も同様です。

重要なのは「業務の延長線上かどうか」という点です。逆に、プライベートな飲み会のために代行を使った場合や、業務とは関係なくドライバーを手配した場合は、会社の経費や個人事業の必要経費にはなりません。

経費として認められるための証拠

経費計上する以上、先述の通り領収書が必須なのはもちろん、どのような目的で使ったかも社内で説明できるようにしておきましょう。

例えば、経理担当者に領収書を提出する際、「○月○日 接待後の帰宅代行(利用者:営業部〇〇)」といったメモを添えると、後日の確認もスムーズです。税務調査の際にも、「いつ・誰が・なぜ利用したか」を説明できるよう、予定表や会食の記録などを保管しておくと安心です。

税務上の注意点(交際費の損金不算入など)

運転代行の費用が経費になる場合でも、その性質によって税務上の扱いに注意が必要です。特に法人の場合、運転代行費用が「接待交際費」に該当するケースでは、税法上の損金算入(経費算入)に制限があります。

具体的には、法人税法で定める「交際費の損金不算入制度」により、交際費のうち一定額以上は経費にできないルールがあります。中小法人(資本金1億円以下の法人)であれば年間800万円までは全額経費算入できるか、または接待飲食費の50%までを経費算入するかといった選択肢があります。

一方、資本金が大きい大企業では、交際費は接待飲食費の50%までしか経費にできません。このように、もし運転代行費用を含む飲食関連費が交際費扱いになる場合、会社の規模に応じた上限を意識する必要があります。超過した分は税引後の利益(いわゆる自腹)で支払うことになり、税負担が変わります。

なお、個人事業主(所得税)の場合は、法人とは異なり交際費の明確な上限規定はありません。取引先との関係維持に必要な接待等であれば、運転代行の費用も含めて原則として全額が必要経費になりえます。

ただし、だからといって無制限に認められるわけではなく、あくまで事業に関連する範囲内であることが前提です。私的な飲食や移動なのに経費計上していると判断されれば否認されますので、公私の区別はきちんとしましょう。

青色申告と白色申告の違い

個人事業主の場合、青色申告をしていると経費計上の自由度やメリットが大きい反面、証拠書類の保存義務や帳簿付けが厳格になります。運転代行の費用を含め、領収書等の証憑書類は青色申告では7年間保存するルールがあります(白色申告でも経費を主張するなら保存しておくべきです)。

また青色申告決算書では経費を科目ごとに記載しますので、後述する「旅費交通費」「交際費」「福利厚生費」など適切な科目に仕分けておく必要があります。

白色申告では帳簿の簡易さが認められますが、経費の根拠を示す書類がないと税務上不利になることは同じです。結論として、青色・白色を問わず税法の範囲内で適切に経費計上すること、そのための領収書管理と科目選択が重要です。

その他税務上のポイント

運転代行費用には通常消費税が含まれます。法人や課税事業者の個人事業主であれば、支払った消費税は仕入税額控除の対象になります。ただし前述のインボイス制度の要件を満たす領収書であることが条件です。

適格請求書発行事業者でない業者からの領収書(登録番号無し)の場合、2023年10月以降は原則その消費税分は控除できません(経過措置あり)。経費精算時に消費税区分も確認し、必要に応じて税込経理・税抜経理を使い分けましょう。

社員の福利厚生目的で会社が負担する運転代行費用については、全社員が等しく享受できる機会であるかがポイントです。

例えば社内の忘年会後に希望者全員に代行代を補助するなら福利厚生費となりますが、特定の役員だけが会社負担で代行利用する場合は、それは福利厚生ではなく役員への経済的利益(役員報酬扱い)と見做されてしまう可能性があります。

経費計上が過度になると税務署から「それは本来個人が負担すべきものでは?」と指摘されることもあるため、公平性・妥当性にも配慮しましょう。

以上のように、運転代行サービスの費用は業務上必要な範囲でであれば経費に計上可能ですが、税務上のルールや注意点を踏まえて処理することが肝心です。

運転代行料の勘定科目は? – 旅費交通費・交際費・福利厚生費の判断基準

経理担当者にとって悩ましいのが、「運転代行の費用をどの勘定科目で処理するか」です。これは利用したシチュエーションによって変わります。主に考えられるのは次の3つの科目です。

旅費交通費

社員の出張や業務出先からの移動にかかった交通費を計上する科目です。運転代行サービスも、業務上の移動手段として利用した場合は「旅費交通費」で処理します。典型例としては、自社の社員が他社主催の懇親会や取引先との会合に参加し、帰宅のために代行を使ったケースです。

この場合、自社は接待をしておらず、業務上必要な移動手段という位置づけになるため旅費交通費が適切です。また、単に社員が仕事で遠方に行った帰りに運転代行を利用したような場合も旅費交通費に含めて問題ありません。

接待交際費

一般に「交際費」は、会社が取引先や顧客など社外の人に対して接待・贈答・慰安などのために支出する費用です。運転代行料がこの交際費に該当するのは、自社が主催者側として接待を行った場合です。

例えば自社が企画した飲み会や接待の席で、取引先や顧客(社外の人)の帰宅手段として運転代行を手配し支払った場合、その代行費用は接待の一環なので交際費となります。

また、自社主催でなくても、自社の社員と取引先が一緒に飲酒し、自社が接待する立場で代行を使ったなら同様に交際費で処理します。交際費として計上する際は前述のように損金算入限度額に注意しましょう。小規模な会社で上限内なら全額経費になりますが、大きな会社では一部しか経費にならないことがあります。

福利厚生費

「福利厚生費」は従業員の慰労や厚生のために会社が支出する費用です。社内の懇親会や社員旅行など社員向けイベントにかかった費用はこちらに分類されます。運転代行についても、社員同士の飲み会や社内行事の後に社員が利用したケースでは福利厚生費として処理するのが適切です。

例えば、社員の慰労会(社内飲み会)の後、酔った社員たちが安全に帰宅できるよう会社が運転代行費用を負担した場合などです。ただし、この費用を福利厚生費とするには、その飲み会が原則全社員(または少なくとも部署内の希望者全員)を対象としたものであることが望ましいです。

特定の社員だけを連れて行った飲み会で代行を使った場合は、それは接待でなければ交際費ではなく給与(または役員賞与)扱いとなる可能性がありますので注意が必要です。

上記のように、「誰のための支出か」「目的は何か」によって科目を判断すると分かりやすくなります。まとめると

取引先など社外の人をもてなすために支出した代行代

→ 接待交際費

社員本人(社外の人の接待ではない)で業務上必要な移動のために支出した代行代 

→ 旅費交通費

社員の慰安・福利のために会社が負担した代行代 

→ 福利厚生費

会社の経理規程によって細かい取り扱いが決まっている場合もありますが、迷ったときは「支出目的が接待(交際)か業務上の移動か社員福利か」を自問してみましょう。例えば、「取引先と自社社員が同席した飲み会」の後なら、一見判断が難しいですが、誰がお金を出して場を設けたかで考えます。

取引先が主催して自社が招かれたなら自社側は旅費交通費、自社が主催して取引先を招いたなら交際費、という具合です。

また、先述の飲食店がお客様のために代行を呼んだようなケースでは、そのお客様は不特定多数ですので販売促進費等で処理する例もありますが、通常の企業活動で特定の顧客を接待した場合は交際費で問題ありません。

勘定科目を正しく選ぶメリット: 科目を正しく使い分けることで、経費の内容が明確になり管理しやすくなります。交際費なのに旅費交通費に紛れ込ませてしまうと、後で交際費の上限管理が漏れてしまったり、税務署から指摘を受けるリスクもあります。

同様に、本来福利厚生費で落とせるものを交際費にしてしまうと不必要に損金不算入の枠を消費することにもなりかねません。社内では事前に「運転代行を使った場合の勘定科目ルール」を周知しておくと良いでしょう。そうすることで、経費精算時に社員が適切な科目を申請でき、経理担当者の判断もブレにくくなります。

領収書の記入例とテンプレート紹介

領収書の記入例とテンプレート紹介

最後に、運転代行の領収書の記入例を簡単に紹介します。特に運転代行業者自身が手書きで領収書を発行する場合や、経理担当者が社内向けに書式を整える場合に参考になるポイントです。

《領収書の記入例》

領収書                                         No. 12345  

                                               発行日: 2025年4月15日

○○株式会社 御中

   ¥8,000-

但し 運転代行サービス代として(消費税込)

上記正に領収いたしました。

株式会社〇〇運転代行

〒000-0000 東京都〇〇区〇〇町1-2-3 

TEL:03-xxxx-xxxx

(収入印紙 ¥200 貼付済)        代表取締役 〇〇〇〇 ㊞

上記は架空の例ですが、宛名・日付・金額・但し書き・発行者情報といった基本項目がすべて網羅されています。ポイントは、但し書きに「運転代行代として」と明記されていることと、発行者欄に運転代行業者の正式名称や連絡先が入っていることです。

社名の横に押印(㊞)もあります。実際の領収書では、印紙税が発生する金額なら右下などに収入印紙が貼られ消印が押されます。

手書きで領収書を書く場合、消せるペンや鉛筆は使わず耐水性の黒インクペンで記入しましょう。改ざん防止のため、金額はできるだけ桁を揃えて書き、余白が出たら線を引くと良いです(上の例では金額の後ろに「-」を付けています)。

また、発行者の社判(会社の角印)を押してもらえるとベストです。

《領収書のテンプレート》
領収書を書く機会が少ない方は、市販の領収書テンプレートや雛形を利用すると安心です。幸いなことに、会計ソフト各社や文具メーカーが無料の領収書テンプレート(PDFやExcel形式)を公開しています。

例えば、Misocaやfreee、弥生などのサイトからシンプルな様式の領収書フォーマットをダウンロード可能です。自社用にカスタマイズして社名ロゴや住所を入れて使えば、運転代行に限らず様々な経費の領収書発行に役立つでしょう。

もちろん、自分で手書きするのではなく代行業者から正式な領収書をもらうのが基本ですので、利用者側はそこまで詳細を書く必要はありません。ただ、経理担当者としては「正しい領収書とはどういうものか」を理解しておくことで、不備のある領収書を受け取った際に適切に対処できます。また、万一領収書をもらいそびれた場合でも、後日業者に領収書発行を依頼する際に必要事項を伝えられるでしょう。

まとめ

運転代行サービスを業務で利用した際の領収書と経費処理について、ポイントを整理しました。「運転代行 経費で落とせる?」という疑問には、「ビジネスに必要な支出であり、適切な領収書を伴っていれば経費計上可能」という答えになります。ただし、領収書の管理や科目の選択、税務上のルールを踏まえることが重要です。

改めて本記事の要点を振り返ります。

領収書は必ず入手・保管する

法人・個人事業主を問わず、業務利用なら領収書は経費の証拠です。不備があればその場で記入してもらい、紛失しないよう整理しましょう。

領収書に必要な項目

宛名、日付、金額、但し書き、発行者情報が揃っていることを確認。高額時の収入印紙やインボイスの登録番号などもチェックポイントです。

経費計上の条件

仕事上必要な支出であること。私的利用は不可。会食や出張など業務の一環なら経費になり得ますが、公私混同にならないよう注意しましょう。

税務上の注意

交際費に該当する場合は法人税法上の制限に注意(中小企業は年800万円まで全額OK等)。消費税の仕入控除や領収書の保存期間(青色申告で7年)など、関連する税法の規定も押さえておきます。

勘定科目の判断

運転代行費用は状況に応じて「旅費交通費」「接待交際費」「福利厚生費」に仕分けます。接待する側なら交際費、招かれた側なら旅費交通費、社員慰労目的なら福利厚生費、と覚えておくと便利です。科目選択を誤ると税務上の扱いが変わる場合もあるため、社内ルールを決めておくと安心です。

領収書の記入例とテンプレート

適切に記入された領収書の例を参考に、正しい様式を理解しましょう。必要に応じて無料テンプレートを活用し、領収書発行業務を簡素化することもできます。

運転代行サービスの領収書の書き方・経費処理は一度コツを押さえれば難しくありません。正しい領収書管理と経費計上で、安心して運転代行サービスを活用してください。

この記事の投稿者:

hasegawa

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