紛失などを理由に、取引先から請求書の再発行の依頼を受けた際にはどのように対応すればいいのでしょうか。請求書再発行の対応方法や注意点について解説します。
目次
請求書再発行の仕方
請求書の再発行を依頼された際に迷いやすい2つのポイントについて解説します。
請求書の日付は前回の発行日でよい?
再発行する請求書は、以前に作成した請求書の日付をそのまま使います。新しい日付を記載してしまうと、別々の請求だとみなされて混乱が生じるかもしれません。
どうしても新しい日付を記載したい場合は、再発行であることを明記した上で、初回の請求日と新しい請求日の両方を記載するケースもあります。
関連リンク:請求書の日付の決め方は?発行日やタイミングについて解説
請求書を再印刷すればよい?
再発行する請求書は日付をそのまま使用しますが、ただ単に請求書を再印刷すればいいというわけではありません。請求書を再印刷すると、初回の請求書と新しい請求書の両方が存在していることになるため、書類上は二重で請求していることになってしまいます。特に、初回の請求書が見つかった場合には、取引先に混乱が生じることになるでしょう。
そのような混乱を防ぐため、初回に発行した請求書は「再発行」と記載して使用します。再発行と記載されていれば、元の書類をただ単に再印刷したものでも問題ありませんが、より書類が管理しやすくなるよう、請求書の管理番号や通し番号を更新して発行することもあります。また、請求書を使うことの多い会社では「再発行」と書かれたスタンプが用意されていることもあるでしょう。
請求書の支払期日を過ぎてから再発行を依頼された場合も、期日はそのままの日付で発行します。ただし、何らかの事情で過去の支払期日を記載するのが難しい場合は、延長した日付を記載するケースもあります。
請求書再発行が必要な事例
請求書の再発行が必要なのは、取引先が請求書を紛失した場合だけではありません。支払い済みの請求書の誤りを指摘された場合や、送付後に請求書の誤りを発見した場合にも、再発行を行います。
再発行が必要なケースについて、次項から詳しく解説します。
支払い済みの請求書の誤りを指摘された場合
請求書に記載された金額が支払い済みであっても、誤りがあった場合には再発行します。
2023年10月からスタートしたインボイス制度によって、仕入税額控除(仕入にかかった消費税を控除することで税負担を抑える制度)の適用を受けるためには、適格請求書の保存が必要になりました。過去に送付された適格請求書に誤りを見つけた際は、取引先に再発行を求め、新しい内容の適格請求書を保存する必要があります。
請求書を受け取った側は、誤りに気づいても修正することはできません。しかし、修正について発行側の確認を受ければ、受領側が自ら修正することも可能とされています。その際は電話などで修正事項を伝えて、発行側が保管している写しも同様に修正を行うことになります。
参照:
送付後に請求書の誤りを発見した場合
請求書を送付した後、発行側が誤りに自ら気づいた場合、なるべく早く取引先に連絡してその旨を伝えましょう。その後、正しい内容の請求書を速やかに送付します。
補足:自社が請求書を紛失した場合
保管期間中に請求書の控えを紛失してしまうと、法人税法や消費税法(インボイス制度)における保存義務を果たせなかったことになります。したがって、請求書の紛失に気づいた際は再発行を行いましょう。
法人は原則として、自社が発行した請求書の控えを7年間保管する必要があります。欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度に関しては10年間です。
また、個人事業主は白色申告・青色申告のどちらを選択しても請求書を5年間保管します。しかし、インボイス制度に登録した適格請求書発行事業者は適格請求書の写しを7年間保管するものと定められているため、該当する方はそちらにあわせましょう。
参照:
請求書再発行を依頼されたときの返信例
取引先にメールで請求書の再発行を依頼された際の返信例を紹介します。
件名 | 請求書の再発行に関して |
本文 | 株式会社○○ ○○部 ○○様 お世話になっております。○○株式会社の○○です。 先日ご連絡いただきました請求書(管理番号:○○○○)の再発行についてご連絡いたしました。再発行した請求書を添付いたします。なお、紛失された請求書が見つかりましたら、新しい請求書は破棄いただきますようお願いいたします。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○○株式会社○○部 ○○電話番号:000-000-000メールアドレス:xxxx@xxxxx.com |
インボイス制度を踏まえた請求書再発行のポイント
インボイス制度が施行される前の「区分記載請求書」では、以下の項目を記載するものと定められていました。
- 請求書発行者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
- 請求書受領者の氏名または名称
それに加えて、インボイス制度における適格請求書では、以下の事項を追加で記載する必要があります。
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 適用税率と、税率ごとに区分した消費税額等
登録番号とは、インボイス制度に登録した適格請求書発行事業者に対して発行される番号です。法人は「Tと法人番号」、個人事業主は「Tと13桁の数字」から成り立ちます。
また、商品に対して適用される税率と、それに対する消費税額を記載します。例えば、10%の商品の合計は○○円で、それにかかる消費税は○○円であるといったように明記することになります。なお、税率ごとに区分して合計した対価の額は税抜と税込のどちらでも構いません。
参照:適格請求書等保存方式の概要|国税庁(4ページ、6ページ)
関連リンク:インボイス制度とは?【図解】概要や影響、必要な対応をわかりやすく解説
二重請求のリスクを防ぐために
請求書を再発行する際は、二重で請求してしまう可能性を考慮する必要があります。リスクに備えるための方法を2つ紹介します。
請求書番号の管理
請求書の番号とは、インボイス制度における登録番号ではなく、各事業者が取引を管理するために任意でつける番号のことです。請求書を再発行する場合は、再発行であるということがわかるように番号をつけるのも有効です。例えば、番号を連番にすることで関連する書類であることがわかりやすくなるでしょう。
再発行の旨を記載する
最初に発行した請求書と区別するために、再発行した請求書にはその旨を明記します。紛失したと思っていた請求書が見つかった際、二重で振り込まれるなどのトラブルを防止する効果があります。
目に入りやすい位置に再発行と手書きで記載することはもちろん、再発行のスタンプを押しても構いません。また、目立つように赤のペンやインクを使ってもいいでしょう。
インボイスに対応した請求書管理はINVOYにお任せください。
「INVOY」は、請求書などの書類をWeb上で発行・保管するためのサービスです。以下の機能によって経理業務をサポートします。
- 請求書、見積書、発注書、領収書の発行
- 受領した請求書の決済
- 受領した書類のクラウド管理(電子帳簿保存法対応)
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INVOYはインボイス制度に対応しているため、制度の要件を満たした適格請求書を簡単に発行・保管できます。インボイス制度の対応に課題をお持ちの方も、ぜひINVOYの利用をご検討ください。
まとめ
取引先から請求書の再発行を依頼された際は、再発行であることを明記した上で請求書を再度発行できます。しかし、請求書が2枚存在していることになるため、二重で振り込まれるなどのリスクがあることも覚えておきましょう。
また、適格請求書にミスがあった場合には、電話などで修正事項を共有した上、原本と控えをそれぞれが修正する方法もあります。インボイス制度の要件も確認し、状況に応じた対応を行いましょう。
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