見積書は取引の条件を提示し、発注するかどうか検討してもらうために作成する書類です。個人事業主も会社と同様に、必要に応じて見積書を作成する機会があります。本記事では、個人事業主が見積書を作成する際の書き方・注意点などについて紹介します。
目次
個人事業主(フリーランス)の仕事に必要な書類
個人事業主が仕事を行う際、以下の流れで書類のやり取りを行います。
①見積書を送付する
②取引先から注文書を受け取る
③納品して納品書および請求書を送付する
取引の性質などによっても異なりますが、個人事業主は主に見積書・納品書・請求書といった書類を作成することになります。ただし、見積書や納品書は省略し、請求書だけ作成して送付することもよくあります。
見積書の役割
見積書の役割について整理しましょう。
取引の内容を明確にする
見積書に商品名や金額、支払条件などを記載することで、これから行う取引の内容を明確にします。認識の相違から生じるトラブルを防ぐ役割があります。
取引の内容を共有する
取引先の会社では、やり取りの窓口となる担当者の他にも、稟議で承認する役職者や経理担当者など、さまざまな方が関わっていると予想されます。見積書を送付することは、取引先の業務をスムーズに進めることにも繋がるでしょう。
発注を促す
取引先に送付した見積書は発注するかどうかの検討を行うためにも用いられます。取引先が複数の業者と比較検討している際、優れた内容の見積書が契約の決め手になることもあるでしょう。
見積書の書き方
見積書には以下をはじめとする項目を記載することが一般的です。
- 宛名
- 日付
- 見積番号
- 作成者の情報
- 有効期限
- 見積金額
- 商品名、数量、単価
詳しい見積書の書き方については、以下の記事で解説しています。
見積書の書き方を無料のテンプレートを用いてわかりやすく解説!ポイントや注意点も!-INVOY
個人事業主が見積書を書くときの注意点
見積書を作成する際に押さえておきたい注意点を5つ紹介します。
相見積りの可能性を考慮する
取引先から見積書を送付するように言われた際は、他の会社や個人事業主にも見積もりを取っている可能性があります。このような方法は「相見積り」と言い、取引の金額や納期などの条件を比較する際によく用いられます。
相見積りであると推測した際は、競合の情報を聞き出し、それよりも良い条件を提示して発注に繋げるなどの戦略も有効です。
安易に値下げしない
個人事業主は商品やサービスの価格を自分で決めることになりますが、発注してほしいからといって安易に安い金額で引き受けるのは控えましょう。安い金額で引き受けていると、その話を聞いた他の会社から「同じ価格で発注したい」などと言われ、事業の継続に支障が出る可能性もあります。
取引条件の交渉を行う
もし「値下げしてほしい」といった要望が出た際は、ただその条件を飲み込むのではなく、こちらも条件を提示して交渉することを考えてもいいでしょう。例えば、値下げする代わりに報酬を早く振り込んでもらったり、着手金を支払ってもらったりするなどの方法があります。事業の資金繰りが心配な場合などには試してみましょう。
サービスと報酬を明確にする
仕事を引き受けた後、取引先に「追加で作業を頼みたい」と言われることもあります。その場合は、すでに契約した分の報酬に含めるのではなく、新しく契約して追加の報酬をもらうようにします。
報酬の話を曖昧にしたまま仕事を引き受けると「追加の作業はサービスでやってほしい」と頼まれるなど、トラブルに繋がりかねません。そのためにも、見積書にはどの商品やサービスに対してかかる報酬なのか明確に記載することを心がけましょう。また、見積書に追加の作業が発生した場合の対応について明記しておくのも有効です。
見積書の送付方法を把握する
見積書は郵送・メール・FAXといった方法で送付できます。関係性を築きたい、商品の説明を直接したいなどの理由があれば、持参して手渡しすることもあります。
取引の規模が小さかったり、取引先が多忙であったりする場合には、メールで送付することが一般的です。メールで送付する際は、改ざんされにくいようにPDFに変換して送ります。
よくある質問
見積書について疑問に思いやすいポイントをQ&A形式で紹介します。
見積書は契約書と違う?
見積書は取引の内容を明確にし、発注を後押しする役割があります。見積書には法的効力はありませんが、契約書は相手と正式に契約したことを証明するための書類であり、法的効力が発生します。
見積書の内容で問題なければ、商品名や単価・金額といった条件が同じ契約書を交わすことになるでしょう。しかし、書類として役割が異なることから、同じ内容であっても見積書と契約書を別々に発行することになります。
見積書には税金を反映する?
取引にかかる金額を明確にするためにも、小計にかかる消費税額をできるだけ記載することが一般的です。最終的な見積り金額は「110,000円(税込)」などとして、税込・税抜のどちらであるのか明記するといいでしょう。
また、要件に当てはまる取引の場合、個人事業主は報酬から源泉徴収税を差し引かれることになりますが、見積書に源泉徴収税額を記載するのかどうか明確なルールがあるわけではありません。源泉徴収の有無をはっきりさせるために見積書の段階から記載するケースも、請求書の段階で初めて記載するケースもあります。
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まとめ
見積書は発行することで取引条件を提示し、発注するかどうか検討してもらう役割があります。必ずしも発行しなくてはいけないというわけではありませんが、取引先から求められた際には作成して提出しましょう。
また、見積書の提出を求められた際は競合との相見積りが行われている可能性もあります。できるだけ発注に繋げられるよう、よく検討して見積書を作成することをおすすめします。
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