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副業における住民税や20万円ルールについて詳しく解説

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副業の収入がある方は、その金額に応じて確定申告もしくは住民税の申告を行います。本記事では、副業と住民税の仕組みや20万円ルール、副業を行う上で気をつけたいポイントなどについて解説します。

住民税とは?

住民税は地方税の1つで、地方自治体が福祉や教育などの公共サービスを提供するために徴収する税金です。都道府県税と市町村税をあわせて住民税と呼びます。

住民税は1月1日の時点で住所のある市区町村に対して納税します。そのため、1年の途中で他の地域に引っ越しをしても、1月1日時点で住民票のあった市区町村に対して納税することとなります。

住民税は所得に応じて課税される制度であり、所得額や本人の生活状況によっては非課税となる場合もあります。

参照:令和4年分 年末調整のしかた|国税庁

20万円ルールとは?

副業をやっている方でも、副業による1年間の所得が20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。

所得とは、収入から副業のために支払った金額を差し引いた金額です。差し引くことのできる経費には、副業のために使う文房具を購入した費用や、打ち合わせ場所に行くまでの交通費などがあります。

例として、動画制作の副業で1年間に30万円の収入を得たとしましょう。基準となる20万円を超えているため、経費として何も支払っていなければ確定申告の必要があります。

しかし、副業のために必要な動画編集ソフトやパソコンを購入し、1年間で経費を15万円支払ったと仮定すれば、所得が20万円以下となるため、確定申告は不要です。

30万円(収入)- 15万円(経費)= 15万円(所得)

関連リンク:副業はいくらから確定申告が必要?税金の計算方法や20万以下の場合も解説

副業の所得が20万円以内でも確定申告をする必要がある?

副業による所得が20万円以内でも、確定申告が必要なケースや、確定申告をしたほうが得なケースがあります。

例えば、本業の勤務先から受け取る1年間の給与が2,000万円を超える人は確定申告の必要があるため、申告の必要性の有無に副業による所得の金額は関係ありません。

また、源泉徴収をされて所得税を払い過ぎている場合や、勤務先の年末調整では対象とならない医療費控除・住宅ローン控除を受ける場合には、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。

参照:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

住民税の支払い方法

住民税を支払う上で必要な手続きや、実際の支払い方法について解説します。

副業の所得を役所に申告する

副業をしている人が確定申告をすると、税務署から自治体に連絡が行き、副業による所得が加味された金額で住民税が徴収されます。

しかし、確定申告をしなければ自治体がその所得の存在を知ることができません。そのため、副業による所得が20万円以下で確定申告をしない場合でも「住民税の申告」と呼ばれる手続きを自治体に対して行い、副業で得た所得を加味した金額の住民税を支払う必要があります。

住民税の申告については、各自治体のホームページなどで詳細を確認できます。

参照:令和5年度住民税の申告について|新宿区

普通徴収

自治体から送られてきた納付書を元に、納税者が自ら住民税を支払う方法を「普通徴収」と言います。納付書をコンビニや公共機関に持参して支払ったり、インターネットバンキングなどを利用して支払ったりと、具体的な方法は納税者が選択できます。

普通徴収は、その年に支払うべき税額を4回に分けて支払います。1回で支払うべき税額が大きくなる点や、払い忘れのリスクがある点に注意が必要です。

特別徴収

勤務先からの給与を受け取っている場合は、本来従業員が納付するべき住民税を会社が給与から差し引いて、従業員の代わりに納税を行います。この方法を「特別徴収」と呼びます。アルバイトやパートでも、源泉徴収を行っている場合は特別徴収の対象となります。

自分の代わりに会社が毎月納めてくれるため、払い忘れる心配がない反面、原則として納付方法が自分で変更できない点には注意が必要です。

住民税を支払う際の注意点

住民税を支払うにあたって押さえておきたい注意点について解説します。

申告・支払期限を把握する

住民税の申告は毎年3月15日までに行う必要があります。手続きには申告書のほか、収入金額のわかるものや控除証明書が必要です。早めに準備して手続きを行いましょう。

また、特別徴収では1年間に支払うべき住民税を以下の4回に分けて納付します。

・第1期:6月末
・第2期:8月末
・第3期:10月末
・第4期:翌年1月末

毎年5月〜6月に届く納付書に基づいて納付を行います。納付書が届いたら大切に保管するようにしましょう。

参照:令和5年度住民税の申告について|新宿区

転職・退職時にも申請が必要

転職をすると、基本的には前の会社から新しい会社に住民税の支払いを引き継ぐため、引き続き特別徴収で住民税を納付することになります。しかし、手続きに2ヶ月程度の期間が必要なため、前の会社で数ヶ月分の住民税をあらかじめ天引きしてもらったり、一時的に普通徴収に切り替えたりといった方法で納付することがあります。

退職をした場合は、退職した時期により以下の方法で納付することが一般的です。

・6月1日~12月31日に退職:以降の住民税を自分で納付する
・1月1日~5月31日:その年の残りの住民税を一括で徴収される

クレジットカードの場合、領収証が発行されない

普通徴収では、オンライン上のサービスを通じてクレジットカードで住民税を納付することができます。時間や場所を問わず納付できる点は便利ですが、領収書が発行されない点には注意が必要です。

住民税を支払ったことを確認するためには、クレジットカードの明細を確認するか、役所で納税証明書を発行してもらう必要があります。

副業をする際の注意点

本業の勤務先で働きながら副業をする上での注意点を2つ紹介します。

関連リンク:副業はいくらから確定申告が必要?税金の計算方法や20万以下の場合も解説

会社に発覚した場合企業によっては処分もありうる

副業禁止の会社で副業がバレた場合、まずはその内容や収入などについて説明を求められることが一般的です。会社によっては、減給や出勤停止などのペナルティが与えられることもあります。副業を始める前に、会社の就業規則をよく確認しておきましょう。

確定申告しない場合無申告加算税や延滞税に繋がる可能性あり

確定申告は、1年間で発生した所得を計算して翌年の2月16日から3月15日までに申告する手続きです。所得税を納付する必要があれば、同じく3月15日までに自分で納める必要があります。

必要な手続きを期限までに行えないと、納付すべき税額に応じて課される無申告加算税や、納付の遅れた日数などに応じて高額になる延滞税が課されることがあります。

参照:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

よくある質問

副業を行う上でよくある質問について、Q&A形式で解説します。

Q.副業で確定申告が必要になる収入額は?

副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下である場合、住民税の申告を行います。

Q.副業でも経費は認められる?

副業の収入を得るために必要な費用であれば経費として認められます。必要経費として認められるものは、収入を得るために直接要した費用、およびその年に生じた販売費・一般管理費です。

・販売費:販売に関連して発生した費用(発送費、広告宣伝費など)
・一般管理費:一般管理業務に必要な経費(家賃、水道光熱費、人件費など)

参照:No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁
関連リンク:雑費と消耗品費の使い分けについて解説!仕分け方法も紹介

Q.会社に在籍しながら副業をする方法は?

住民税を自分で納付する普通徴収にすると、副業によって収入が上がっていることを隠せる可能性があります。また、副業やお金に関することを同僚に話さないようにしましょう。

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副業を行う上では、自分が得た収入や使った経費について記録し、確定申告などでその金額を報告する必要があります。そのような手続きが苦手という方や、本業が忙しくてなかなか経理業務に取り組む暇がないという方もいるのではないでしょうか。

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まとめ

副業で得た所得が20万円以下であれば確定申告を行う必要はありませんが、自治体に対して住民税の申告を行う必要があります。

20万円以下であっても、払い過ぎた税金がある場合や、医療費控除・住宅ローン控除を受ける場合など、確定申告をしたほうがいいケースがあります。その場合は個人の事情に応じて確定申告をするかどうか判断しましょう。

この記事の投稿者:

reg@olta.co.jp

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