請求書の支払期限は「月末締め、翌月末払い」といった経理上のスケジュールに基づいて設定することが一般的です。本記事では、請求書の支払期限の決め方や、支払いがない場合の対処方法について紹介します。
目次
支払期限とは
一般的な請求書では、支払期限を記載して商品やサービスの代金をいつまでに振り込んでもらう必要があるのか明記します。支払期限を指定する際は、基本的に取引先の支払いサイト(締め日から実際に支払いを行うまでの期間)にあわせます。
支払期限でよくある2つのパターン
請求書の支払期限および支払サイトは、多くの会社で以下のいずれかのパターンが採用されています。
- 月末締め、翌月末払い
- 月末締め、翌々月末払い
取引の頻度が少なければ、商品を購入するたびに請求書を発行して振り込んでもらうこともできるでしょう。しかし、月に何回も取引が発生する場合には、請求書の発行や振込を何度も行うことが手間であるため、上記のようなスケジュールで1ヶ月分の請求をまとめることが一般的です。
支払期限はどのように決まるのか
支払期限は当事者同士で協議することで自由に決められます。先ほど紹介したスケジュール以外の期間で設定してもよく、例えば「20日締め」や「10日払い」といった月の途中に設定することも可能です。
ただし、法人とフリーランス、大企業と下請けの会社といったようにお互いの立場が異なる場合、立場が弱い側が一方的に不利な条件を押し付けられないように注意して設定する必要があるでしょう。
<h3>下請代金支払遅延等防止法とは
下請代金支払遅延等防止法とは、下請事業者に対する支払いが遅れることを防止することで、下請事業者の利益を保護することなどを目的として定められた法律です。この法律では、対象となる取引を行う際の支払期限を以下のように定めています。
<引用>(下請代金の支払期日)第二条の二 下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
したがって、下請事業者やフリーランスに対する支払いは、商品やサービスが提供されてから60日以内にできる限り早く支払う必要があります。
請求書における支払期限の記載方法
支払期限の書き方が明確に決まっているわけではありませんが、多くの請求書では振込先の口座情報や、請求日などの近くに支払期日が記載されています。
支払期日は以下のように指定します。
・お支払い期限:20○○年○月○日
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請求書に支払期限が書いていなかった場合の対処方法
受け取った請求書に支払期限が書いていないこともあります。そのような場合は、取引を始める際に交わした契約書を見て「月末締め、翌月末日払い」などの記載がないか確認し、そのスケジュール通りに振り込みます。
それでも支払期限がわからない場合は、取引先にいつまでに支払えばいいのか確認しましょう。
なお、前述した下請代金支払遅延等防止法の対象となる取引である場合は、納品されてから60日以内に支払う必要があります。また、2023年5月12日に公布された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」でも、同様に60日以内と定められています。
それぞれの法律が適用される対象は、業種や資本金の金額、従業員の使用の有無などによって異なるため、自分の事業が該当するかどうかホームページを参考にして確認しましょう。
参照:
支払期限が過ぎても支払いがない場合の対処方法
支払期限を過ぎても支払いが確認できなかった場合、以下のような流れで対応します。
①送付した請求書を確認する
②取引先に連絡する
③内容証明郵便を使う
④支払督促を申し立てる
次項からそれぞれの内容について詳しく紹介します。
送付した請求書を確認する
まずは過去に送付した請求書を確認し、請求書の内容や送付の方法にミスがなかったかを見直します。「請求書を送ったはずが送れていなかった」など思わぬミスが見つかるかもしれません。
こちら側のミスであるにもかかわらず取引先に振り込みがないことを伝えてしまうと、取引先に悪い印象を与える可能性もあるので注意して確認しましょう。
取引先に連絡する
請求書の送付に問題がなかったと確認できた後は、取引先にメールなどで連絡して現在の状況を確認します。担当者がうっかり振り込みを忘れてしまっていただけで、すぐに対応してくれたというケースも少なくないでしょう。
担当者から返信がない場合は直接電話しても構いません。「○日の○時までに振り込む」など、期限を明確にしてもらいましょう。
内容証明郵便を使う
内容証明とは、郵便の内容や宛先、日付などを郵便局が証明してくれるサービスです。裁判で証拠として利用できることから、損害賠償の請求や契約の解除といったさまざまな場面で用いられています。
請求書の代金の未払いについても、内容証明郵便を使って支払催告を行うことが可能です。支払いの期限を改めて設定し、期限までに請求に応じない場合には法的な措置を取ることを記載します。
内容証明郵便を送付したからといって必ずしも相手が応じてくれるとは限りません。しかし、法的な措置を取る意志があると伝えることで相手にプレッシャーを与え、支払い応じてくれる可能性があるでしょう。
支払督促を申し立てる
内容証明郵便でも支払いが確認できなければ、裁判に移行します。商品の代金が支払われない時によく利用されるのが「支払督促」と呼ばれる制度です。
支払督促は「売掛金が回収できない」「会社から給与が支払われない」といった場面で利用される制度で、相手の住所地を管轄する簡易裁判所に書類を提出することで行います。
訴訟や調停とは異なり、書類審査のみで行うため、時間や費用の面で負担が少ないメリットがあります。支払督促を行っても相手が支払わない場合、最終的に強制執行によって対象のお金が回収できることもあります。
参照:
お金を払ってもらえない」とお困りの方へ 簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか? | 政府広報オンライン
請求書の期限
請求書の有効期限は、支払期日の翌日から5年です。以前は2年と定められていましたが、2020年4月1日に民法が改正され、有効期限が変更されました。
したがって、契約を締結した日によって以下のように請求書の期限が異なります。
- 2020年4月1日以降:5年(新民法)
- 2020年3月31日以前:2年(旧民法)
「請求書を送り続けることで期限が更新されるので、時効にならない」と思われることもありますが、それは誤りで、支払督促などをしないと時効が成立してしまいます。
時効が成立してしまうと回収ができないため、貸倒損失(取引先の倒産や経営状況の悪化といった理由で、売掛金などが回収できないこと)などとして経理処理します。
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まとめ
請求書は事前に取引先と合意した日を期限として設定します。期限は任意で設定できますが、下請代金支払遅延等防止法などの法律が適用される取引であれば、60日以内に設定する必要があります。また、期限をいつにしていいかわからなければ契約書に「月末締め、翌月末日払い」などと書かれていないか見直してみましょう。
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