請求書の基礎知識

請求書の未払い催促テンプレート|角を立てずに最短で回収する全手法

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せっかくの成果報酬が支払われないという状況は、経営の根幹を揺るがす深刻な事態です。適切な手順で催促を行えば、相手との信頼関係を維持したまま、滞っている入金を驚くほどスムーズに完了させることができます。

お金の督促は決して「嫌な仕事」ではありません。テンプレートを使いこなし、仕組みとして機械的に処理することで、誰でも確実に自分の権利を守れるようになります。

未払いの催促に潜む心理的ストレスを克服する考え方

請求書の未払いが発生したとき、多くの人が「相手を怒らせてしまうのではないか」という不安に襲われます。しかし、ビジネスにおいて約束の期限を守ることは、双方にとっての最低限のルールです。まずは、この作業を「個人的な対立」ではなく、単なる「事務的な確認」として捉えることから始めてください。

未払いが発生する原因は、悪意があるケースよりも、単なる確認漏れや事務的なミスである場合が大半です。相手も、あなたからの連絡を受けて初めてミスに気づき、申し訳ないと感じることが多いのです。そのため、最初から強い言葉で責め立てるのではなく、まずは「お忘れではありませんか」というリマインドのスタンスを貫きます。この姿勢こそが、相手のプライドを傷つけず、迅速な入金を促す最大のコツとなります。

催促を始めるタイミングは、支払期限の翌日がベストです。数日待ってから連絡しようとすると、逆に「この会社は管理が甘い」と判断され、支払いの優先順位を下げられてしまう恐れがあります。期限が過ぎた瞬間に連絡を入れることで、自社の経理管理が徹底されているという健全なプロフェッショナル意識を相手に示せます。

準備として、手元には必ず請求書の控えと、これまでのやり取りの履歴を揃えておきます。いつ、どのような内容で、いくら請求したのか。これを即座に答えられる状態にしておくことで、相手の曖昧な言い訳を封じることができます。また、振込先の口座情報に間違いがないかも、改めて自分で確認してください。こちらの不備で入金できない可能性を完全に排除することが、堂々と催促するための大前提です。

入金が確認できないことへの焦りから、感情的な言葉を使ってはいけません。怒りに任せたメールは、相手の反発を招き、最悪の場合は支払い拒否の口実を与えてしまいます。常に冷静に、事実に基づいた「確認」を繰り返すことが、結果として最も早くお金を手にする近道となります。

相手が支払わない心理的な背景を理解する

相手が支払いを遅らせているとき、そこにはいくつかのパターンがあります。一つは「経理処理の単純なミス」です。担当者が請求書を見落としていたり、承認フローが止まっていたりする場合です。この場合は、丁寧な一報を入れるだけで解決します。

もう一つは「資金繰りの悪化」です。これはより深刻ですが、早く連絡した者から順に支払われる傾向があります。催促を後回しにすると、他の取引先への支払いで相手の資金が底を突いてしまうかもしれません。だからこそ、スピード感が何よりも重要になるのです。

最後に「納品物に不満がある」というケースも稀にあります。これを理由に支払いを止めるのは本来許されませんが、相手の心理としては「納得していないから払いたくない」という感情が働いています。この場合も、催促を通じて相手の不満を聞き出し、解決へ導くコミュニケーションが必要です。

【完全版】状況別・段階別の催促メールテンプレート

状況に応じて使い分けられる詳細なテンプレートを解説します。メールは証拠として残るため、一字一句を丁寧に選び、失礼のないように構成することが不可欠です。

【1回目】期限直後の丁寧なリマインドメール(期限から1~3日後)

1回目の連絡は、相手のミスを前提とした極めて柔らかい表現を選びます。

件名:【ご確認】●月分のご請求に関する入金確認のお願い

株式会社〇〇 ●●様

いつも大変お世話になっております。 (自社名)の(自分の名前)でございます。

先日は(案件名)の件で、多大なるご協力をいただき誠にありがとうございました。 おかげさまで、無事にプロジェクトを完了することができました。

さて、●月●日付で発行し、●月●日を期限とさせていただきました請求書(No.●●)につきまして、本日時点で入金の確認ができておりません。 お忙しいところ恐縮ですが、お手元の振込状況について今一度ご確認いただけますでしょうか。

もし、本メールと行き違いで既に丁寧にお手続きいただいている場合は、何卒ご容赦ください。 念のため、お振込先情報を以下に再掲いたします。

(振込先情報) 銀行名: 支店名: 口座種別: 口座番号: 口座名義:

ご不明な点や、請求書の再送が必要な場合は、すぐに対応いたしますのでお気軽にお申し付けください。 引き続きよろしくお願い申し上げます。

【2回目】返信がない場合の再催促メール(1回目の連絡から1週間後)

1回目のメールに反応がない場合は、少し語気を強めつつも、あくまで事務的なトーンを維持して理由を尋ねます。

件名:【再送】●月分ご請求に関する未入金のご確認

株式会社〇〇 ●●様

いつもお世話になっております。 (自社名)の(自分の名前)でございます。

●月●日付でお願いしておりました下記ご請求につきまして、前回(●月●日)のご連絡以降も入金が確認されておりません。 また、前回のメールへのご返信もいただけていない状況でございますが、何か不都合がございましたでしょうか。

(請求内容と金額) (支払期限)

弊社といたしましても、経理処理の関係上、早急に状況を把握する必要がございます。 お手数ですが、現在の状況と今後の入金予定日について、明日中にご返信をいただけますと幸いです。

万が一、請求書の紛失や内容の相違などがございましたら、至急対応いたしますので本メールへの返信にてお知らせください。 お忙しい中とは存じますが、円滑な業務遂行のため、何卒ご協力をお願い申し上げます。

【3回目】支払い遅延への懸念と再確認(期限から2週間以上)

この段階では、相手側の「不誠実さ」を暗に指摘し、早急な回答を強く求めます。

件名:【重要】お振込状況の至急ご確認とご回答のお願い

株式会社〇〇 ●●様

(自社名)の(自分の名前)でございます。

度重なるご連絡となり恐縮ですが、●月●日期限のご請求について、未だ入金の確認が取れておりません。 当初の期限より既に2週間が経過しており、弊社としても非常に困惑しております。

つきましては、本日中に状況のご説明、またはお振込みの予定日についてお電話かメールにてご連絡をいただけますでしょうか。 もし何らかのご事情でお支払いが遅れる場合は、その旨をご相談いただければ幸いです。

ご連絡がない状態が続きますと、弊社の管理上、さらなる対応を検討せざるを得ない状況となります。 本件、最優先でのご確認を強くお願い申し上げます。

【最終】法的措置を視野に入れた最終督促メール

これまでの連絡をすべて無視されている場合、強い姿勢を示す必要があります。ここからは「お願い」ではなく「通告」です。

件名:【至急】お振込のお願い(最終通知)

株式会社〇〇 代表取締役 ●●様

(自社名)の(自分の名前)でございます。

これまで数回にわたり、●月●日付の請求書(金額:¥●●,●●●)に関するお支払いの催促を差し上げてまいりましたが、残念ながら本日までに入金もご連絡もいただいておりません。

誠に遺憾ながら、本メール送付後、●月●日(●)までにお振込みが確認できない場合、弊社は債権回収のため、弁護士を通じた法的措置、および支払督促の手続きを開始させていただきます。 その際、あわせて遅延損害金についても請求させていただきますので、あらかじめご承知おきください。

(請求内容詳細) (振込先)

本件につきまして、本状をもちまして最終のご案内とさせていただきます。 不本意な形での解決を避けるためにも、期限内の速やかなご対応を強くお願い申し上げます。

反応がない相手を動かす電話交渉術とトークスクリプト

メールでの催促に反応がないときは、速やかに電話連絡に切り替えます。メールは読まずに埋もれてしまうことがありますが、電話は直接相手の時間を拘束し、その場で回答を引き出せる強力な手段です。

電話をかける際は、決して怒鳴ったり威圧したりしてはいけません。まずは「メールをお送りしましたが、届いておりますでしょうか」と、確認を装って切り出します。相手が「忘れていた」と言えば、その場ですかさず「では、本日中にお手続きいただけますか」と、具体的なアクションを求めます。

相手が「今忙しいので後でかけ直す」と言った場合は、そのまま引き下がってはいけません。「確認だけで済みますので、今1分だけよろしいですか。入金予定日を教えていただければ、こちらで処理を止められます」と、粘り強く交渉します。このとき、必ず「具体的に何月何日の何時頃にお振込みいただけますか」という確定した日時を言わせることが重要です。

もし相手が資金繰りの悪化などを理由に「今は払えない」と言ってきた場合は、まずは相手の言い分を最後まで聞きます。その上で、「一度に全額が難しいのであれば、分割払いや、今月はこれだけ、といった形でのご相談に乗ることも可能です。まずは誠意を見せていただけませんか」と提案します。全く支払われないよりは、一部でも回収する方がリスクを大幅に抑えられます。

電話でのやり取りが終わったら、必ず「先ほどお電話でお約束いただいた通り、●月●日までに入金をお待ちしております」という内容のメールを即座に送ります。これが言った言わないのトラブルを防ぐ強力な証拠になります。

電話でのトークスクリプト例

自分:「いつもお世話になっております、〇〇株式会社の△△です。●●様はいらっしゃいますか?」
相手:「はい、代わりました」
自分:「お忙しいところ恐縮です。●月●日にお送りした請求書の件で、入金の確認ができておらずお電話いたしました。メールも何通かお送りしているのですが、ご確認いただけましたでしょうか?」
相手:「あ、すみません、確認漏れていました。すぐに確認します」 自分:「ありがとうございます。経理上、本日中に報告が必要なのですが、お振込みの予定はいつ頃になりそうでしょうか?」 相手:「ええと、来週までには……」
自分:「来週の何曜日とお伝えすればよろしいですか? 具体的なお日にちをいただけますと助かります」
相手:「火曜日までには必ず」 自分:「承知いたしました。では、来週の火曜日中に入金を確認させていただきます。念のため、お電話の内容をメールでもお送りしておきますね」

このように、主導権を握りつつ、相手を逃がさない工夫が必要です。

書面による最終勧告と内容証明郵便の戦略的活用

メールや電話でも解決しない場合は、郵送による正式な文書の送付へステップアップします。まず送るのは、社印を捺印した「督促状」です。これをPDFではなく、あえて「紙」で郵送することで、事態の深刻さを相手に伝えます。

それでも反応がない場合の最終手段が、内容証明郵便です。内容証明郵便とは、郵便局が「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を公的に証明してくれるサービスです。これ自体に強制執行のような法的効力はありませんが、裁判になった際に「確かに催促をした」という動かぬ証拠になります。

また、内容証明郵便が届くということは、相手にとって心理的なプレッシャーになります。「このままでは裁判になる」という危機感を抱かせることで、重い腰を上げさせる効果があります。内容証明を送る際は、タイトルを「通知書」や「督促状」とし、これまでの経緯と、指定期限までに入金がない場合は法的措置に移行することを明記します。

最も効果が高いのは、弁護士名義で内容証明を送ることです。弁護士の職印が入った文書が届くと、ほとんどの相手は「もう逃げられない」と判断し、慌てて連絡をしてきます。費用は数万円ほどかかりますが、自社で何度も連絡する手間や精神的苦痛を考えれば、極めてコストパフォーマンスの良い投資と言えます。

文書の作成には細かいルールがあります。一行の文字数や、一枚の行数が決まっているため、郵便局のサイトで確認するか、電子内容証明サービスを利用するのが便利です。

督促状に記載すべき必須項目

  1. 発行日
  2. 相手方の氏名・名称・住所
  3. 差出人の氏名・名称・住所・連絡先
  4. 請求の根拠となる事実(契約日や請求書番号)
  5. 未払いの金額(元本、および遅延損害金がある場合はその金額)
  6. 振込先口座
  7. 最終支払期限
  8. 期限内に支払いがない場合の対応方針(法的措置の明言)

これらを漏れなく記載することで、文書の説得力が増し、相手に逃げ場を与えません。

法的手段の選択肢と「費用対効果」のシビアな判断基準

あらゆる督促を無視された場合、いよいよ法的手続きを検討します。しかし、ここで最も重要なのは「費用対効果」です。1万円の未回収のために10万円の弁護士費用をかけるのは賢明ではありません。請求金額に応じて、最適な手段を選び分ける必要があります。

支払督促(手続きが簡単で迅速)

支払督促は、裁判所に行かずに書類審査のみで行える手続きです。相手から異議が出なければ、裁判所が支払いを命じ、最終的には差し押さえが可能になります。手数料が安く、請求金額に関係なく利用できるのが大きなメリットです。ただし、相手が「異議あり」と申し立てた場合、通常の裁判に移行してしまうため、相手に争う意思がない(ただ単にお金がない、無視している)場合に有効です。

少額訴訟(60万円以下の請求に最適)

60万円以下の金銭トラブルであれば、少額訴訟が利用できます。これは、原則として1回だけの審理で判決が出る非常にスピーディーな制度です。弁護士を立てずに自分で行う人も多く、裁判官が和解を勧めてくれることも多いため、着地点を見つけやすいという特徴があります。

通常訴訟(金額が大きい、または争点がある場合)

請求金額が大きく、相手が「納品物に欠陥がある」などと反論してきている場合は、通常訴訟になります。これには時間と費用がかかるため、弁護士との密な相談が不可欠です。勝訴すれば強力な強制力の元になりますが、敗訴のリスクや、勝っても相手に資産がないリスクも考慮しなければなりません。

強制執行(差し押さえの実行)

判決や支払督促が確定しても相手が払わない場合、相手の銀行口座や売掛金、不動産などを差し押さえる「強制執行」を申し立てます。特に銀行口座の差し押さえは、相手の信用を著しく低下させるため、非常に強力です。ただし、差し押さえ対象を特定するのは自分(債権者)の役割であるため、相手がどの銀行に口座を持っているかなどを事前に把握しておく必要があります。

これらの手続きを検討する際は、必ず「回収できる見込み」を冷静に分析してください。相手が倒産寸前で資産がゼロであれば、法的に勝っても1円も戻ってきません。深追いせず、税務上の「貸倒損失」として処理して節税に繋げる方が、トータルで得をする場合もあります。

未払いを二度と起こさないための鉄壁の契約とシステム管理

催促に費やすエネルギーは、本来クリエイティブな仕事に向けるべきものです。未払いを「起きてから対処する」のではなく「起きない仕組みを作る」ことに注力しましょう。

契約書と見積書の整備

トラブルの種は、常に契約段階にあります。契約書には必ず、支払い遅延時のルールを明記してください。具体的には「支払期限を1日でも過ぎた場合、年●%の遅延損害金を加算する」という条項です。これがあるだけで、相手は「この会社は厳しい」と認識し、支払いの優先度を上げます。また、着手金(前受金)を受け取る仕組みを導入することも、リスクヘッジとして非常に有効です。

与信管理の徹底

新規の取引先と契約する際は、相手の信用度を必ずチェックしてください。インターネットでの評判検索はもちろん、法人であれば登記情報を取得して、本店の移転が頻繁でないか、代表者が変わっていないかを確認します。少しでも不安を感じる場合は、支払い条件を「前払い」に限定するか、クレジットカード決済を導入してプラットフォームに回収を代行させるのも一つの手です。

請求管理システムの導入

手動での請求書発行や入金確認は、ミスの温床です。クラウド型の請求管理システムを導入すれば、入金が遅れている案件をアラートで知らせてくれます。また、自動でリマインドメールを送信する機能を活用すれば、心理的な負担なく催促を自動化できます。デジタル化は、単なる効率化だけでなく、あなたの精神を守るための盾になります。

良好な人間関係と「リマインドの習慣化」

最もシンプルで強力な対策は、日頃のコミュニケーションです。納品の直後に「今回の件、請求書を本日お送りしました。ご確認いただけますでしょうか」と一言添えるだけで、未払いの確率は激減します。また、支払期限の3日前に「期限が近づいておりますが、ご不明点はございませんか」とフォローを入れるのも効果的です。これは催促ではなく「サポート」として受け取られるため、関係性を深めつつ回収率を高められます。

お金の話をタブー視せず、ビジネスの一部として堂々と、かつ丁寧に扱う。その姿勢こそが、未払いトラブルをゼロにする最強のソリューションとなります。

まとめ

  • 催促は「個人的な感情」を切り離し、期限翌日に「事務的」に行う。
  • 1回目はリマインド、2回目は状況確認、3回目は最終通告と、段階的にトーンを上げる。
  • テンプレートを活用して、毎回文面を考える精神的コストを削減する。
  • メールで反応がない場合は、即座に電話で「具体的な入金日」を約束させる。
  • 内容証明郵便は「本気度」を伝える強力なツールであり、弁護士名義が最も効く。
  • 法的手段(支払督促・少額訴訟)は、請求額と費用のバランスを考えて選ぶ。
  • 契約条項の整備とシステムの自動化で、未払いが起きない仕組みを構築する。

未払いの催促は、あなたの仕事への正当な対価を求める、プロとして誇るべき行動です。この記事のテンプレートと手順を武器にして、自信を持って健全な事業運営を続けてください。

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