請求書の基礎知識

請求書発行システム導入方法とは?法改正(インボイス・電帳法)対応から業務効率化まで解説

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請求書発行システム

毎月末の請求書作成、印刷、封入、郵送。こうした定型作業から解放され、売上向上など、より創造的な業務に時間を使う未来を想像してみてください。

この記事を最後まで読めば、あなたは自社の課題を解決する「請求書発行システム」の機能と、法改正(インボイス制度・電子帳簿保存法)への具体的な対応策を深く理解できます。

システムの導入は難しくありません。多くの企業が直面する失敗パターンとその回避策、さらには無料プランの活用法まで解説します。この記事が、あなたの会社のバックオフィス業務を根本から変える確実な一歩となります。

目次

なぜ今、請求書発行システムが「必須」なのか 手作業が引き起こす経営リスクとDXの壁

請求書発行システムは、もはや単なる「業務効率化ツール」ではありません。それは、現代の経営環境において不可欠な「防御的投資」であり、企業の成長を支える基盤です。

多くの企業では、請求書発行業務が依然として手作業やExcel(エクセル)に依存しています。しかし、その手作業が、単なる時間の浪費にとどまらず、具体的な経営リスクや、企業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のボトルネックとなっている事実に、気づかなくてはなりません。

請求業務に潜む「見えないコスト」の実態

請求業務には、目に見えるコストと、目に見えない深刻なコストが存在します。

まず、直接的コストです。紙の請求書を発行するたびに、印刷費、封筒代、そして郵送費(切手代)が発生します。1件あたりの金額はわずかでも、月間、年間で累計すると、無視できない金額が固定費としてのしかかります。

しかし、より深刻なのは間接的コスト、すなわち「人件費」です。請求書データを入力し、印刷し、三つ折りにし、封筒に入れ、投函する。さらに、発行後には、入金があったかどうかを銀行口座と目視で照合する。

これらの単純作業に、経理担当者の貴重な時間が奪われています。その時間は、本来、資金繰りの分析や業務プロセスの改善といった、より付加価値の高い業務に使うべき時間です。

ヒューマンエラーが招く信用の失墜と機会損失

人間が手作業で行う以上、ミスは避けられません。特に請求業務では、ヒューマンエラーが致命的な結果を招く可能性があります。

請求書の照合作業では、単価や個数の入力ミス、消費税の計算間違い(特にインボイス制度下での複数税率)といったミスが非常に発生しやすいです。

請求金額の過大請求や過小請求、あるいは確認漏れによる送付遅延は、単なる事務ミスでは済みません。それは直接、取引先とのトラブルを引き起こし、長期的に築き上げてきた「信用」を失うリスクとなります。

請求書の金額が頻繁に間違っている会社と、安心して取引を継続できるでしょうか。請求書のミスは、企業のレピテーション(評判)に関わる重大な経営リスクなのです。

さらに、「属人化」の問題もあります。バックオフィス業務の典型的な課題として、特定の担当者しか請求業務の全貌を理解していない状況があります。もし、その担当者が急に休んだり、退職したりすれば、請求業務全体が停止するリスクさえ抱えることになります。

バックオフィスDXを阻む「紙と手作業」という課題

多くの企業がDXの推進を掲げていますが、その多くがバックオフィス領域の「アナログ業務の残存」によって進んでいません。

その最大の原因が、請求書発行業務です。

例えば、企業全体でリモートワークを推進しようとしても、「請求書を発行して郵送する」という物理的な作業のためだけに、経理担当者が出社を余儀なくされているケースは少なくありません。クラウド型のシステムを導入していなければ、自宅での業務が不可能なのです。

また、多くの企業で、販売管理システムと会計システムが分断されており、連携が不十分です。売上データを販売管理システムから抽出し、それを手作業で会計ソフトに再入力する「二重入力」が発生しています。

請求業務の「紙と手作業」は、経理部門のリモートワークを阻害し、バックオフィス全体のデータ連携を妨げる、まさにDX推進における最大の「ボトルネック」です。

この業務をデジタル化することは、DXの「最初の一歩」であると同時に、避けては通れない「必須の前提条件」なのです。

請求書発行システムの全貌 機能から導入メリットまで徹底解剖

請求書発行システムの全貌 機能から導入メリットまで徹底解剖

では、請求書発行システムは、具体的に何をしてくれるのでしょうか。システムが持つ「機能(What)」と、それによって得られる「メリット(Why)」を整理し、前述した課題をいかに解決できるかを解説します。

請求書発行システムの4大機能

請求書発行システムは、請求書の作成から送付、その後の管理まで、一連の業務を自動化し、一元管理する機能を提供します。

作成機能

見積書、納品書、請求書などの帳票を、あらかじめ用意されたテンプレートを基に簡単に作成できます。取引先や品目(商品・サービス)をマスタデータとして登録しておけば、都度入力する必要はありません。金額や消費税(インボイス制度の複数税率にも対応)は自動で計算されるため、計算ミスが起こりません。

送付機能

作成した請求書は、ボタン一つで電子的に送付できます。メールにPDFを添付するだけでなく、セキュリティが確保された専用URLを発行して送付する方法もあります。

さらに重要なのが「郵送代行」機能です。取引先の中には、依然として紙の請求書を希望する企業もあります。

郵送代行機能を使えば、システム上で操作するだけで、印刷、封入、郵送のすべてをシステム運用会社が代行してくれます。これにより、経理担当者は完全に出社不要となります。

保管機能

発行した請求書データは、システム内に電子データとして自動で一元管理・保管されます。後述する「電子帳簿保存法」の保存要件(検索性の確保など)に準拠した形で保管されるため、法務・税務上のコンプライアンス(法令遵守)も自動的にクリアできます。

入金管理・連携機能

発行した請求書が、期日までに支払われたかを管理する機能です。入金が確認できない取引先に対して、自動で「催促のリマインドメール」を送信する機能を持つシステムもあります。

そして、最も重要なのが「システム連携機能」です。多くのシステムは、自社で利用中の会計システムや販売管理システムとデータ連携が可能です。

導入がもたらす確実な成果

これらの機能を活用することで、企業は以下の具体的な成果を得ることができます。

圧倒的な業務効率化

請求書の作成から送付、保管までが自動化・一元化されます。従来、多くの時間を費やしていた印刷、封入、郵送といった物理的な手作業が不要になります。

コストの直接的削減

印刷代、インク代、紙代、封筒代、そして郵送費(切手代)といった、請求書発行にかかる物理的な経費を大幅に削減できます。

人的ミスの撲滅

手動での入力作業や、目視による確認作業がシステムによって自動化されます。これにより、金額の計算ミス、送付先の間違い、送付漏れといったヒューマンエラーを根本から防止できます。

リアルタイムな経営状況の可視化

請求データ(売上データ)がシステムにリアルタイムで蓄積されます。これにより、月末の締め作業を待たずとも、売上状況を即時に把握できるようになります。入金管理機能と合わせることで、キャッシュフローの予測精度も向上します。

これは、経理担当者の役割が、単なる「作業者(オペレーター)」から、データに基づいた「管理者(マネージャー)」へとシフトすることを意味します。

法改正への自動対応

後述するインボイス制度や電子帳簿保存法といった、複雑な法改正への対応は、企業の自助努力だけでは限界があります。請求書発行システムは、こうした法改正に合わせて、システム側が自動でアップデートを行ってくれるため、利用企業は常に法令に準拠した状態を保つことができます。

ここで注目すべきは、システムの真の価値が「データ連携」にある点です。

請求書発行システムは、「販売管理(売上が確定する場所)」と「会計(仕訳・入金管理が行われる場所)」の中間に位置します。

多くの企業で課題となっている「システム間の分断」に対し、請求書発行システムは、販売管理システムのデータを直接取り込み、そのデータを基に請求書を発行し、さらにその発行データを会計システムに自動で連携させます。

この「連携ハブ」としての機能こそが、二重入力をなくし、人的ミスを根本から解決する中核的な価値なのです。

回避不能な二大法改正 インボイス制度と電子帳簿保存法への完全対応ガイド

近年、中小企業や個人事業主が請求書発行システムの導入を急ぐ最大の動機。それが、「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」という二つの回避不能な法改正への対応です。

これらの法律は、従来の請求書業務のあり方を根本から変えるものです。なぜシステムの導入が「推奨」ではなく「ほぼ必須」なのか、各制度の要点を解説します。

2024年1月義務化「電子帳簿保存法」への対応

最も対応が急がれるのが、電子帳簿保存法です。特に影響が大きいのが「電子取引データの保存義務化」です。

電子取引データの「電子保存義務化」とは

2024年(令和6年)1月1日より、電子データで受け取った(または発行した)請求書や領収書は、紙に印刷して保存することが原則として認められなくなりました。

「電子データ」とは、メール添付のPDF、Webサイトからダウンロードした請求書、クラウドサービス経由で授受したデータなどを指します。これらはすべて、「電子取引データ」として、電子データのまま保存しなければなりません。このルールは、個人事業主を含む、ほぼすべての事業者が対象です。

求められる「真実性の確保」と「可視性の確保」

電子データのまま保存するには、国税庁が定める2つの要件を満たす必要があります。

真実性の確保

データが改ざんされていないことを証明する措置です。以下のいずれかの対応が必要です。

  • タイムスタンプを付与する。
  • 訂正や削除の履歴が残るシステム、または訂正・削除ができないシステムを利用する。
  • 「改ざん防止のための事務処理規程」を社内で定め、それに沿って運用する。

可視性の確保

保存したデータを、税務調査などの際に速やかに検索・表示できるようにする措置です。特に重要なのが「検索機能の確保」です。

具体的には、「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目でデータを検索できる状態にしなくてはなりません。

システム非導入時の対応(手動)

専用のシステムを導入しない場合、この「検索機能の確保」を手作業で行う必要があります。国税庁は、簡易的な方法として以下の2つを例示しています。

一つは、規則的なファイル名を付す方法です。保存するPDFなどのファイル名を、「20241031_(株)ABC商事_110000.pdf」のように、「日付・取引先・金額」を含む規則的な名前に変更して保存します。

もう一つは、Excel(エクセル)等で索引簿を作成する方法です。ファイル名はそのままで、別途Excelなどで索引簿(一覧表)を作成し、「日付・取引先・金額」とファイル名の紐付けを管理します。

インボイス制度は請求書の「フォーマット」の変更ですが、電子帳簿保存法は、請求書の「保存プロセス全体」の変更をすべての事業者に強制します。

毎月、何十、何百と受け取る電子請求書に対し、手作業でファイル名を変更したり、Excelの索引簿を更新し続けたりするのは、非常に手間がかかり、ミスも発生しやすい非現実的な対応です。

多くの企業がシステム導入に踏み切る最大の理由は、この煩雑でリスクの高い電帳法対応(保存・検索)から解放されるためなのです。

「インボイス制度(適格請求書)」が請求業務を変えた理由

もう一つの大きな変更が、インボイス制度(適格請求書等保存方式)です。

適格請求書(インボイス)とは

インボイスとは、買い手側(取引先)が消費税の「仕入税額控除」(支払った消費税を差し引くこと)を受けるために必要となる、特定の記載要件を満たした請求書や領収書のことです。

自社が買い手(支払い側)であればインボイスを「受領・保存」する必要があり、自社が売り手(発行側)であれば、取引先から求められた場合にインボイスを「発行」する義務があります。

適格請求書に必須の記載項目

インボイスとして認められるためには、従来の請求書項目に加えて、以下の6項目を正確に記載する必要があります。

  • 発行事業者の氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等(1インボイスにつき、税率ごとに1回ずつの端数処理)
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

システムの優位性

特に重要な変更点は「登録番号」の記載と、「税率ごとの消費税額計算」です。10%と8%の軽減税率が混在する場合、それぞれを正確に区分し、消費税額を算出しなければなりません。

これらを手作業や従来のExcelテンプレートで管理・計算するのは非常に複雑であり、ミスの温床となります。インボイス制度に対応した請求書発行システムであれば、これらの項目を自動で記載・計算してくれます。

また、発行したインボイス(またはその写し)は、7年間の保存義務がありますが、これもシステムが電子的に自動保存してくれます。

「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」は、それぞれ「発行」と「保存」の側面から、企業にデジタル化を強制する「挟み撃ち」のような関係にあります。

企業は、「複雑な要件の請求書(インボイス)」を、「厳格なルールで電子保存(電帳法)」しなければなりません。この両面からのコンプライアンス圧力を、手作業だけで継続的に、かつミスなく対応し続けることは、もはや現実的ではありません。

導入で失敗しないための選定ポイントと実践的導入ステップ

導入で失敗しないための選定ポイントと実践的導入ステップ

法改正への対応と業務効率化の必要性を理解し、いざシステムを導入しようとしても、「何を選べばよいか」「どう進めればよいか」が次の課題となります。

システムの導入は、その選定と準備の段階で成否の8割が決まります。導入の失敗パターンを回避し、確実に成果を出すための「選び方」と「進め方」を解説します。

システム選定で比較すべき重要ポイント

自社に最適なシステムを選ぶために、機能や価格だけでなく、以下のポイントを必ず比較検討してください。

提供形態 クラウド型(SaaS)とオンプレミス型

システムの提供形態には、大きく分けて2種類あります。

クラウド型(SaaS)は、インターネット経由でサービスを利用する形態です。初期費用が安価(または無料)で、契約後すぐに利用を開始できます。法改正への対応もシステム側で自動的に行われます。中小企業や個人事業主の場合、現在はこちらが主流です。

オンプレミス型は、自社のサーバーにシステムを構築する形態です。自社の業務に合わせて自由にカスタマイズできる反面、初期費用が高額になり、運用にも専門知識が必要となります。

法改正への完全対応(インボイス・電帳法)

導入を検討しているシステムが、インボイス制度(適格請求書の発行)と電子帳簿保存法(特に電子取引データの保存要件)の両方に、確実に対応しているかを確認します。「対応予定」ではなく、「完全対応済み」のシステムを選ぶことが重要です。

連携性 既存システムとの連携(最重要)

これが、導入失敗の最大の原因です。

請求書発行システムの導入で最も避けたい失敗は、既存の会計ソフトや販売管理システムと連携できず、データをCSVで出力して、手作業で加工して、また別のシステムにインポートする、といった「二重入力」が発生し、逆に業務負担が増えてしまうケースです。

選定時には、以下の点を確認します。

  • 現在使用している会計ソフト(freee, マネーフォワード, 弥生会計など)とAPI連携(データ自動連携)が可能か。
  • API連携が無理な場合、CSV連携(手動でのデータ入出力)の仕様はどうか。
  • 得意先コードや税区分、日付形式など、システム間のデータ項目の違いをどう調整するか。

自社のシステムとの連携実績が豊富にあるかを、事前に必ず確認してください。

取引先の受容性 郵送代行オプションの有無

自社が請求書の電子化を推進しても、取引先から「従来通り、紙の請求書で郵送してほしい」と要望されるケースは、まだ多く存在します。

この要望に応えるために、経理担当者が出社し、手作業で郵送対応をしていては、システム導入の効果が半減します。

この問題を解決するのが「郵送代行オプション」です。システム上で電子送付か郵送かを選ぶだけで、郵送作業を代行してくれる機能があるかは、実務上、非常に重要なポイントです。

セキュリティとサポート体制

請求書は、企業の取引情報を扱う機密データです。データを預けるクラウドサービスのセキュリティレベルは必ず確認します。

  • データセンターの監視体制(24時間365日か)
  • 通信の暗号化
  • データ保護(バックアップ)の体制

また、導入初期や法改正のタイミングで不明点が出た際に、電話やチャットで迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかも確認しましょう。

導入プロジェクトを成功させる準備

優れたシステムを選んでも、社内の準備が不十分では導入は失敗します。技術的な問題と同時に、「人」に関わる問題が導入の壁となるためです。以下のステップで、導入準備を進めます。

目的の明確化と課題の可視化

導入で失敗する典型例が、「とりあえず電子化したい」といった曖昧な目的で進めてしまうことです。

まず、現状の業務フローを可視化します。「誰が」「いつ」「何を」行っているか、どの工程に時間がかかっているかを洗い出します。

次に、課題を明確にします。「発行ミスが多い」「月末の承認に時間がかかる」など、具体的な課題を整理します。

最後に、導入目的を具体化します。「請求処理にかかる時間を3割削減する」「郵送コストをゼロにする」といった、測定可能な目標(KPI)を設定することが、導入の軸を揃えるために不可欠です。

新業務フローの設計と社内周知

システムを導入すると、請求書の発行、承認、送付の業務フローが必ず変わります。新しいシステムを導入しても、現場の担当者が操作方法や新しいルールを理解できなければ、システムは使われず、定着しません。

経理担当者だけでなく、請求情報に関わる営業担当者なども含め、社内全体への周知徹底が必要です。

導入前に操作説明会や簡易マニュアルを用意し、試用期間を設ける。また、導入初期の問い合わせ窓口を一元化するなどの対策が、早期定着の鍵となります。

トライアルとスモールスタート

多くのクラウド型システムには、無料トライアル期間が設けられています。候補を2、3に絞り込んだら、必ず無料トライアルを実施し、実際の操作感を試します。

特に「既存システムとの連携」は、いきなり全データで実行してはいけません。まずは一部のデータや部署でテスト(スモールスタート)し、データの連携に問題がないか、想定外の不具合が起きないかを検証します。

そこで見つかった問題を修正してから、全部署での本番移行に進むのが安全な手順です。

中小企業・個人事業主向け主要請求書発行システム比較

最後に、中小企業や個人事業主のペルソナ(読者像)にとって、導入の選択肢となる代表的なクラウド型請求書発行システムを紹介します。

選定のポイントは、「自社の取引量で無料プランが十分か」「将来的に有料の会計ソフトと連携させるか」です。各社の「無料プラン」の設計思想(ビジネスモデル)には大きな違いがあり、それが機能制限に表れています。

INVOY(無料でも高機能)

無料プランで利用できる機能が非常に充実しているのが最大の特徴です。無料プランと、高機能なStandardプラン(有料)があります。

無料プランでは、請求書の作成・発行、自動作成予約、メール共有、クラウド管理(電帳法対応)など、請求書発行の基本機能が無料で利用できます。請求書発行枚数やクライアント登録数は無制限です。

有料プランとの主な違いは、「口座自動連携」や「資金繰り表の作成」といった、高度な入金管理・分析機能の有無です。

freee請求書(会計ソフトとのシームレスな連携)

「freee会計」とのシームレスな連携が最大の強みです。会計ソフトのシェアが高く、freee会計のユーザーであれば、請求書発行から記帳、入金管理までが自動化されます。

スタンダードプランは月額1,980円(税抜・年払い)からです。

無料プランでも請求書・見積書の作成・発行が可能です。インボイス制度・電帳法にも対応しています。利用人数は1〜3人まで。

会計ソフトと連携しない場合、入金管理は手動で行う必要があります。freeeの無料プランは、将来的に有料の「freee会計」に契約してもらうための「エコシステムへの入り口」として設計されています。

マネーフォワード クラウド請求書(バックオフィス全体のDX)

freeeと同様に、「マネーフォワード クラウド」というバックオフィス業務全体(会計、経費精算、給与など)をカバーするSaaS群との連携が強力です。

個人事業主向けの最安プラン「パーソナルミニ」は、年払いで月額900円(税抜)です。

マネーフォワード クラウド請求書には、個人事業主向けに「無料」で継続利用できるプランは明示されておらず、有料の「パーソナルミニ」プランが実質的なスタートプランとなります(1ヶ月の無料トライアルはあります)。

パーソナルミニプランの制限として、取引先の登録数が15件までという制限があります。郵送代行は全プラン共通で210円/通(税抜)です。

弥生 Misoca(シンプルさとコストパフォーマンス)

「弥生会計」との連携が可能で、請求書作成業務に特化したシンプルな操作性が特徴です。

有料の「プラン15」は年額8,800円(税抜、月733円相当)で、月15通までの請求書作成が可能です。初年度は無料でお試しができます。

無料プランには、月間請求書作成数が10通までという明確な制限があります。ただし、見積書、納品書、領収書の作成は無制限で、郵送代行(210円/通)も利用可能です。

典型的な「フリーミアム」モデルであり、取引が少ない個人事業主や副業の方には無料プランで十分ですが、取引量が月10通を超える場合は有料プランへの移行が必要になります。

主要システムの無料(または最安)プラン機能比較表

機能INVOYfreee請求書マネーフォワード クラウド請求書弥生 Misoca
プラン名Freeプラン無料プランパーソナルミニプラン無料プラン
月額料金(税抜)0円0円900円(年払い時)0円
請求書作成枚数無制限制限なし(※)無制限10通/月 まで
取引先登録数無制限制限なし(※)15件 まで制限なし(※)
郵送代行(税抜)165円/通150円/通210円/通210円/通
インボイス制度対応
電子帳簿保存法対応
会計ソフト連携freee, MF, 弥生(CSV)freee会計(自動)MFクラウド(自動)弥生会計(CSV/仕訳連携)

※制限「なし」は、明確な上限記載がなかった項目。freeeは利用人数1〜3人の制限あり。

この比較から、自社にとっての最適解が見えてきます。

すでに「freee会計」や「マネーフォワード クラウド会計」を有料で利用している場合、迷わず同社の請求書発行システム(有料プラン含む)を選ぶべきです。データ連携こそが最大のメリットです。

「弥生会計」ユーザーであれば、「Misoca」が連携面で最適です。

現在、会計ソフトを使っていない(Excelなどで管理している)個人事業主や中小企業の場合、コストメリットが最も大きいのは「INVOY」です。発行枚数や取引先数の制限なく、法改正に対応できます。

まとめ 請求書発行システムは未来の経営基盤への投資である

本記事では、請求書発行システムの必要性から、機能、法改正への対応、そして具体的な選定方法までを網羅的に解説しました。

最後に、重要な点を再確認します。

請求書発行システムは、もはや単なる「業務効率化ツール」ではありません。

「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」という二大法改正により、システムの導入は「コンプライアンス(法令遵守)」のために必須の経営判断となりました。

システム導入は、手作業によるミス、印刷・郵送コスト、業務の属人化といった従来の経営課題を根本から解決します。

さらに、リモートワークの推進や、リアルタイムな売上・入金管理を可能にし、データに基づいた経営判断を支援する「経営基盤」そのものへの投資です。

導入を成功させる鍵は、自社の目的を明確にし、現在使用している会計ソフトなど「既存システムとの連携性」を最優先に考慮して、自社に最適なシステムを選定することです。

まずは無料プランやトライアルを活用し、バックオフィス業務の変革に向けた第一歩を踏みだしてください。

この記事の投稿者:

hasegawa

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