
2024年に郵便料金の大幅な値上げが実施されました。
本記事では、はがき・定形郵便物・定形外郵便・レターパックといった主なサービスの改定前後の料金一覧を詳しく解説します。
また、なぜ料金値上げが行われたのか背景を紐解き、企業への影響や今後の動きについて考察します。
郵便料金改定のポイントを正確かつ詳細に把握し、今後の郵便物コスト管理や業務対応の参考にしてください。
目次
郵便料金値上げの改定日はいつから?
今回の郵便料金改定は、2024年10月1日(火)から実施されました。改定内容ははがきや定形郵便物の基本料金を中心に、大幅な値上げとなっています。
消費税増税に伴う調整以外でこれほど大きな改定が行われるのは約30年ぶりであり、郵便サービスの利用者にとっては非常に注目すべき変更でした。
日本郵便はこの料金改定を総務省への申請・認可を経て正式に発表し、2024年9月下旬までに周知を行いました。では実際にどのサービスがどの程度値上げされたのでしょうか。
以下で主な郵便サービスの改定前後の料金を一覧で確認してみましょう。
改定後の郵便料金一覧(はがき・定形郵便・定形外郵便・レターパック)
今回の値上げでは、はがき(郵便はがき)や定形郵便物、定形外郵便物、レターパックなど幅広いサービスの料金が変更されました。主なサービスについて、旧料金と新料金を比較すると以下の通りです(すべて税込金額)
通常はがき(往復はがき・年賀はがき含む):63円 → 85円(+22円)
個人・企業問わず利用頻度の高い郵便はがきは、旧料金63円から新料金85円へと大きく引き上げられました。
定形郵便物(第一種郵便)
25g以内の封書:84円 → 110円(+26円)
50g以内の封書:94円 → 110円(+16円)
※25g超〜50gの定形郵便物も一律110円に統一され、従来2段階だった重量区分が50gまで一律料金となりました。これにより50g以内の定形郵便物はすべて110円で送れる代わりに、25g以内では大幅値上げとなっています。
定形外郵便物(第二種郵便)
※定形外郵便物には規格内・規格外の区分があります。以下はいずれも規格内サイズ(長辺34cm以内、厚さ3cm以内、重量1kg以内)の料金です。
50gまで:120円 → 140円(+20円)
100gまで:140円 → 180円(+40円)
150gまで:210円 → 270円(+60円)
250gまで:250円 → 320円(+70円)
500gまで:390円 → 510円(+120円)
1kgまで:580円 → 750円(+170円)
規格内最大重量である1kgでは旧料金580円から新料金750円へと170円ものアップとなり、重量が重くなるほど値上げ幅(絶対額)も大きくなっています。
なお、定形外郵便物(規格外)についても同様に値上げされており、たとえば50gまでの規格外は200円→260円、1kgまででは710円→920円、4kgまででは1350円→1750円と引き上げられています。
レターパック(全国一律料金で送付できる封筒型の郵便サービス)
レターパックプラス(対面受取・厚さ制限なし、重量4kgまで):520円 → 600円(+80円)
レターパックライト(郵便受け投函・厚さ3cmまで、重量4kgまで):370円 → 430円(+60円)
また、関連するスマートレター(重量1kg・厚さ2cmまでの小型封筒型郵便)は180円から210円へ値上げされています。
上記のように、主な郵便料金がおおむね20〜30%以上の値上げとなりました。例えば、通常はがきは約35%の値上げ、定形郵便物(25g以内)は約31%の値上げに相当します。
特に定形郵便物は重量区分の統一により25g以下の軽量郵便の値上げ幅が大きく、企業が発送する請求書や案内状などに影響が出ることは避けられません。次章では、こうした郵便料金値上げの背景について詳しく見ていきます。
郵便料金が値上げされる背景・理由
日本郵便が今回これほど大幅な料金改定に踏み切った背景には、郵便事業を取り巻く環境の変化があります。主な理由として、以下の要因が指摘されています。
郵便物取扱量の減少
電子メールやSNSの普及により、手紙やハガキの利用件数は年々減少傾向にあります。実際、郵便物の総取扱数量は2001年度をピークに大きく落ち込んでおり、それ以降も減少が続いています。
かつては郵便物の量が多いことで効率化やコスト削減を図れていましたが、現在は取扱物数の減少で1通あたりの配達コストが上昇し、従来の料金では採算が取りにくい状況になっています。
人件費の高騰と人手不足
少子高齢化による労働力人口の減少や物流業界の人材不足の中で、郵便事業も慢性的な人手不足に直面しています。
全国津々浦々に配達網を維持するには配達員等の人的リソースが不可欠ですが、新規採用には賃金引き上げが避けられず、配達員の人件費負担が増加しています。
郵便の集配業務は人手に頼る部分が大きく、売上に対する人件費の割合も高いため、人件費高騰はサービス維持費用の増加に直結します。
燃料費・資材費などその他コストの上昇
原油価格の高騰や円安の影響により、郵便トラックの燃料費、郵便物を運ぶための物流コストが上がっています。また郵便局の運営に必要な電気代などの光熱費、切手やはがきといった資材調達コストも軒並み上昇しています。
さらに、郵便配達業務を支える協力会社(下請け)のコスト増も発生しており、適正な価格転嫁(支払い)を行う必要性も増しました。こうした社会情勢の変化に伴うコスト増加も、郵便料金に反映せざるを得ない理由の一つです。
以上のように、郵便物の減少と各種コストの増加により、従来料金では郵便サービスの維持が困難になってきたことが料金改定の主な理由です。
日本郵便は「郵便サービスの安定提供を維持するため」にやむを得ず値上げを実施したと説明しています。
今回の値上げは1994年以来の大幅改定であり、サービス持続可能性の確保が目的とされています。
郵便料金値上げが企業に与える影響
郵便料金の引き上げは、郵便を利用して業務を行っている企業にとって無視できないコスト増要因となります。
特に郵便物を多用する業種や業務では、今回の値上げによる影響が顕著に現れるでしょう。企業へ想定される影響をいくつか挙げます。
定期的な郵送業務のコスト増
契約書や通知書、会報などを定期発送している企業では、郵送費用の増加が避けられません。
例えば毎月100通の定形郵便を発送している場合、旧料金84円では月8,400円の郵送料でしたが、新料金110円では月11,000円となり、月あたり2,600円、年間で3万円超のコスト増となります。
大量郵送を行っている企業ほど、トータルの負担増は大きくなります。
ダイレクトメール(DM)施策への影響
顧客向けのDMや広告チラシ郵送をマーケティングに活用している企業では、郵送単価の上昇によりキャンペーン経費が増大します。
1通あたりの費用増はDMのROI(費用対効果)を低下させる可能性があり、今後は発送部数の見直しやターゲティングの精度向上を図らないと、従来と同じ成果を上げるのが難しくなるかもしれません。
請求書・帳票類の郵送コスト増
取引先への請求書や見積書、納品書、領収書などを郵送している企業では、1通ごとの発送コストが上がることで経費負担増となります。特に請求書は毎月決まった通数を送るケースが多く、その分ダイレクトに経費増加につながります。
取引先の数が多い企業ほど「塵も積もれば山」となり、年間の郵送コストが大幅に膨らむでしょう。
郵送費の増加は利益率を圧迫し、場合によっては自社負担を見直して取引先への支払い方法変更や手数料転嫁を検討せざるを得ないケースも出てくる可能性があります。
その他業務への波及
郵便料金の値上げは上記以外にも、例えば社内文書の郵送(支社・支店間のやりとり)や、カタログ・会報誌の配送、顧客への案内状送付など様々な場面でコスト増要因となります。
郵送コスト増は全社的な経費見直し課題となり、中にはこれを機に業務フロー自体をデジタル化しようと検討し始める企業も出てくるでしょう。
このように、郵便料金の値上げは企業活動の隠れたコストを押し上げ、広範な業務分野に影響を及ぼします。特に紙媒体でのやりとりが多い企業ほどその影響は大きく、従来通りの運用を続けるだけでは利益圧迫につながりかねません。
次に、こうした状況を踏まえた今後の郵便サービスの動向や、企業が取るべき対策について見ていきます。
今後の郵便サービスの動向と追加の値上げの可能性
2024年10月の料金改定は一度きりの措置ではなく、今後の郵便サービスの在り方を示唆する転換点とも言えます。
今回の値上げの背景にある状況(郵便物減少やコスト高騰)は一朝一夕に解決するものではなく、今後も郵便事業を取り巻く厳しい環境は続くと予想されます。
そのため、将来的にも追加の料金改定やサービス内容の見直しが検討される可能性があります。
さらなる郵便料金の値上げの可能性
現状ですでに最大30%前後の値上げが行われましたが、今後も人件費や燃料費が上昇し続け、郵便物数が減少する傾向が続けば、再度の料金引き上げもあり得ます。
日本郵便は今回、ゆうパック(宅配便)など荷物分野の料金は据え置きましたが、郵便事業全体の収支バランスによっては将来的に荷物サービスを含めた値上げに踏み切る可能性も指摘されています。
企業側としては「今回で終わり」とは考えず、将来の追加コスト増も視野に入れた長期的な対策を検討する必要があるでしょう。
サービス頻度や提供形態の見直し
日本郵便は近年、土曜日配達の休止や郵便配達日数の緩和(通常郵便の翌日配達見直し)など、サービス水準の見直しにも着手しています。
これは人手不足やコスト増に対応するためであり、将来的には平日の配達頻度の削減やポスト投函サービスの集約など、更なる効率化策が取られる可能性があります。
サービス内容が変われば企業の郵便利用にも影響しますので、郵便局からのアナウンスに注目しておくことが大切です。
デジタルシフトの加速
政府や民間においてペーパーレス化・デジタル化の流れは年々加速しています。
特に2023年に施行されたインボイス制度(適格請求書保存方式)や電子帳簿保存法の改正などを契機に、企業間取引の請求書や帳簿書類の電子化が推進されてきました。
郵便料金値上げは、こうしたデジタル移行を後押しする要因とも言えます。
コスト面から見ても、今後は物理的な郵送より電子メールやオンラインシステムでの書類送付が一層有利になるため、業界全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むでしょう。
郵便事業者自身もオンラインサービスの拡充や、電子郵便的な新サービス検討に乗り出す可能性があります。
総じて、郵便料金値上げを取り巻く今後の動きとしては、「料金面での更なる負担増のリスク」と「コミュニケーション手段のデジタルシフト」がキーワードとなります。
では、こうした状況下で企業は具体的に何をすべきか、次の章で具体策を考えてみます。
企業が今取るべき対応策
郵便料金の改定によってコスト増が避けられない以上、企業側では能動的に対策を講じることが求められます。特に郵便を多用する業務については、従来のやり方を見直す良い機会とも言えるでしょう。
以下に、企業が今取り組むべき主な対応策をまとめます。
郵送コストの現状把握と影響試算
まず自社でどの程度郵便を利用しているか、年間の郵送物通数とコストを洗い出しましょう。今回の値上げによって増加するコスト額を試算し、どの業務にどれだけ影響が及ぶかを把握します。
例えば「請求書郵送費が年間○万円増える」「DM発送費が○%アップする」といった具体的な数値を出すことで、社内で危機意識を共有できます。
郵送物の削減・送付頻度見直し
次に、郵送しているものの中で本当に郵送が必要なものかを精査します。顧客や取引先への案内でメール送付で代替可能なものはないか、社内報や帳票類で配布方法を電子化できるものはないか検討しましょう。
また、どうしても郵送が必要なものについても、送付頻度を減らす(例:月次から四半期毎への変更)や内容物の同梱による回数削減など工夫できる点があります。
郵送物一件一件を見直し、無駄な発送を減らすことがコスト増抑制につながります。
郵送手段の最適化
発送が避けられないものについては、最も効率的で低コストな郵送手段を選択するようにします。
例えば、重量のある資料を送る場合には定形外郵便よりレターパックの方が安価になるケースもあります(全国一律料金で追跡可能なため安心感も向上)。
また、月に100通以上同一内容の郵便物を送る場合、日本郵便の大口割引・特殊取扱の適用を検討する価値があります。同一宛先地域にまとめて差し出すなど条件はありますが、まとまった差出がある企業は郵便局に相談してみましょう。
自社の送付物のサイズ・重量・通数に応じてベストな送り方を選ぶことで、値上げ後もコスト増を最小限にできます。
デジタル化(電子化)の推進
そして最も有効な根本策が、郵送が必要な業務自体をデジタル化することです。請求書や発注書、契約書類など、紙で郵送していたものを電子データでのやり取りに移行できれば、郵送料はゼロになります。
現在では取引先も電子データでの受領に対応できるケースが増えており、法律面でも電子帳簿保存法の緩和など追い風があります。社内決裁書類もペーパーレス化すれば社内郵送が減り、印刷費や保管スペースの削減にもつながります。
郵便料金の値上げを契機に、業務プロセスのDXを加速させることが重要です。
社内外への周知と協力要請
最後に、郵便料金改定の影響と今後の方針について社内および関係者への周知を行いましょう。社内向けにはコスト意識を共有し、省コストの取り組みに協力を仰ぎます。
取引先や顧客に対しては、請求書の電子化など新しい送付方法への理解と協力をお願いする場面も出てくるでしょう。その際には「郵便料金改定に伴うコスト増加と環境配慮」を理由に挙げることで、相手も協力しやすくなります。
ステークホルダーと連携してコスト管理に取り組む姿勢が大切です。
以上の対応策を講じることで、郵便料金値上げによる影響を緩和し、むしろ業務効率化のチャンスとすることも可能です。
特に請求書などの電子化は、多くの企業にとってすぐに取り組めて効果の大きい施策です。次章では、そうした請求業務の電子化を支援し郵送コスト削減に貢献するサービス「INVOY」についてご紹介します。
INVOYによる請求書電子化で郵送コストを削減
郵便料金の値上げ対策として有効な請求書の電子化を進めるにあたり、役立つのがクラウド請求書プラットフォームの「INVOY(インボイ)」です。
INVOYは、請求書の作成から送付、管理までをすべてオンライン上で完結できるサービスで、郵送や紙のコストをかけずに請求業務を行えるようになります。以下にINVOYの特徴とメリットを簡単にまとめます。
請求書の作成・発行が簡単
必要項目を入力するだけでフォーマットに沿った請求書が自動作成され、ワンクリックで発行できます。紙のように印刷や封入封緘の手間がなく、担当者の負担を大幅に軽減します。
電子送付で郵送コストゼロ
発行した請求書はPDF等の電子ファイルとして取引先にメール送信や共有ができます。切手代や封筒代などの郵送コストは一切不要で、送付のリードタイムも短縮されます。
郵便料金値上げの影響を受けず、何通送っても追加コストゼロなのは大きな魅力です。
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応
2023年施行のインボイス制度にも対応した請求書様式で発行でき、適格請求書の要件を満たす帳票管理が可能です。また電子データで保存・管理できるため、税務上の電子帳簿保存法にも準拠できます。
紙の請求書保管に伴う手間やリスクも解消され、コンプライアンスの面でも安心です。
帳票類の一元管理と業務効率化
請求書だけでなく、見積書・納品書・領収書などビジネス文書をクラウド上で一元管理できます。取引先ごとに過去の請求履歴をすぐ参照できるなど、経理・営業部門の業務効率化にもつながります。
郵送遅延や紛失の心配もなくなり、取引先とのやり取りもスムーズになります。
以上のように、INVOYを活用することで郵送費用の削減はもちろん、請求業務全体の効率アップとペーパーレス化を実現できます。
特に今回の郵便料金値上げで郵送コストが増えてしまう企業にとって、INVOYへの切り替えは長期的なコストメリットが大きいでしょう。
請求書の電子化に踏み切る絶好のタイミングと言えますので、この機会にぜひINVOYへの登録を検討してみてください。
まとめ
2024年10月からの郵便料金値上げにより、はがき・手紙・レターパックの料金が大幅に引き上げられました。
今回の改定は郵便物量の減少や人件費・燃料費の高騰といった背景から実施されたもので、企業にとっては郵送関連コストの負担増となります。
今後も追加の値上げやサービス見直しがあり得る中、従来通り紙の郵送に頼った業務を続けることはリスクと言えるでしょう。
しかし視点を変えれば、郵便料金改定は業務のデジタル化を進めるチャンスでもあります。
郵送物の削減や送付方法の最適化を図るとともに、請求書の電子化など抜本的なDX施策に取り組めば、郵送費削減だけでなく業務効率やセキュリティ向上といった副次的なメリットも得られます。
特にINVOYのようなクラウドサービスを活用すれば、スムーズに電子化へ移行しコスト増を相殺できるでしょう。
郵便料金の値上げ時期や新料金、背景や対策を正しく理解した上で、自社の経費管理や業務フローを今一度見直してみてください。
郵便料金値上げを単なるコスト増で終わらせず、ビジネスを改善・改革する契機と捉えて前向きに対応することが、これからの時代に求められています。
ぜひ本記事の内容を参考に、将来を見据えた賢い対応策を講じていただければ幸いです。
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