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個人事業主にかかる所得税はいくら?計算方法や節税のための確定申告のポイントを解説

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個人事業主が納める税金の中で、所得税は年間の収入に対して課税されるものです。この記事では、確定申告に向けて把握しておきたい所得税の基本ルール、算出方法、節税対策などを分かりやすく解説します。

個人事業主にかかる所得税の決まり方

個人事業主が納付する所得税がどのように決まるか見ていきましょう。

所得税額が決まる時期

所得税は、個人が一年を通じて得た収入に対して課される税金です。売上から経費や控除などを差し引いた課税対象の所得に対して税金がかかります。所得税は累進課税が採用されているため、所得の額が高ければ高いほど、税率が上がります。また、2013〜2037年までは、所得税と一緒に、復興特別所得税を申告・納付することが必要です。

所得税は、所得を得ている人すべてに納税義務がありますが、給与所得者と個人事業主では、納税のしくみが違います。個人事業主の場合、事業年度は通常1月1日から12月31日までです。そして、翌年の2月16日〜3月15日までの期間に前の事業年度の確定申告を行います。これは、個人事業主の場合、所得税の計算が暦での区切りによって行うことが税法で定められているからです。したがって、納付すべき所得税の金額が確定するのは、確定申告書の作成・提出時です。

所得税率の決まり方

所得税額を計算する際は、まず課税所得金額に所得税率を乗じます。そして、その金額から税額控除を引いて計算します。所得税制度には累進課税が採用されており、単純累進課税、超過累進課税の2種類があることを覚えておきましょう。

・単純累進課税
単純累進課税では、課税所得が一定額を超えた場合、その所得全体に対して同じ税率が適用されます。例えば、課税所得が300万円で税率が10%の場合、「300万円×10%=30万円」というように、全所得に同じ税率を適用して税額を計算します。

・超過累進課税
超過累進課税では、所得が一定額を超えた場合に、超過した金額に対してのみ最も高い税率が適用される課税方式です。

日本の課税制度には超過累進課税が採用されており、課税額の範囲を複数に区分し、それぞれの範囲に対して適切な税率を適用していくことで、所得税額を計算しています。超過累進課税では、最低税率の5%から最大税率の45%まで7段階に区分されます。

課税対象となる所得の種類

所得税額を計算する際には、すべての所得が課税対象にはなりません。課税対象になる所得は、以下のとおりです。

【課税対象の所得】

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

個人事業主が事業で得た所得は「事業所得」に分類されます。また、投資による配当や不動産所得も所得税の対象となるため、確定申告が必要です。配当については、もし「確定申告不要制度」を選択しているケースであれば確定申告は不要です。確定申告不要制度とは、証券会社が顧客に代わって売却益から源泉徴収するため、確定申告を不要とする制度です。

課税対象でも非課税になる所得

所得税は、基本的に納税義務者のすべての所得に対して課税されますが、社会政策やその他の観点から、一部の所得には所得税が課されない場合があります。この課税対象外の所得を「非課税所得」と呼びます。

非課税所得の主なものは、利子・配当にかかるもの、給与・年金にかかるもの、資産の譲渡にかかるものなどがあります。

利子・配当所得関係では、障害者等の少額預金の利子、勤労者財産形成年金貯蓄等の利子等です。給与所得・公的年金関係では、傷病者や遺族などの受け取る年金などが挙げられます。資産の譲渡とは、動産の譲渡による所得、国などに財産を寄附した際の譲渡所得等などです。

その他、詳細については、以下の国税庁のサイトで確認してください。

参照:No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁

所得税額の速算表

所得税額は、以下の「所得税の速算表」を使うと簡単に求められます。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
参照:No.2260 所得税の税率|国税庁

例えば、課税所得が800万円の場合、所得税額は以下のとおり計算できます。

8,000,000円×23%(税率)-636,000円(控除額)=1,204,000円

実際には令和19年まで、所得税とともに復興特別所得税(原則、所得税額の2.1%、100円未満は切捨)も申告納付することとなるため、1,229,200円です。

1,204,000円(所得税)×2.1%(税率)=25,200円※(復興特別所得税)
※100円未満は切捨
1,204,000円(所得税)+25,200円※(復興特別所得税)=1,229,200円

個人事業主の所得税額の算出方法

個人事業主の所得税額の計算方法を4STEPで解説します。

STEP1. 1年間の収入を計算する

年間収入額を求めます。例えば、2024年の確定申告時には、2023年1月1日から12月31日までの収入を合計します。なお、個人事業主の稼いだお金は「収入」であり、1年間の収入は「総収入金額」です。例えば、飲食店の1年間の売上総額がこの「総収入金額」に該当します。「収入」と「所得」は異なる点に留意してください。「所得」は、次のステップで求めます。

STEP2. 収入額から必要経費を差し引く

STEP1で求めた収入金額から必要経費を差し引いて、所得金額を算出します。収入から必要経費を差し引いた金額が所得です。必要経費とは、仕事にかかった費用のことを指します。例えば、仕入費用、家賃、水道光熱費、会議費、交際費などがこれに該当します。事業に関係のない費用は必要経費として計上できません。必要経費に該当するかどうか分からない場合は、税理士に相談してください。

STEP3. 次に所得控除を差し引く

STEP2で求めた所得金額から、さらに所得控除を差し引きます。所得控除には、医療費控除や社会保険料控除など15種類があります。これらに該当する所得控除をすべて差し引いた後の金額が「課税所得金額」と呼ばれるものです。適用される所得控除の種類と金額が多ければ多いほど、税金を軽減することができます。

STEP4. 課税所得額から税額を算出する

STEP3で計算した課税所得額に所得税率を乗じることで、所得税額を算出します。所得税率は、課税所得が増えるにつれて高くなる累進課税方式を採用しています。具体的な税率や計算例は、前述の「所得税額の速算表」を参照してください。

所得控除として差し引ける項目

以下の項目が所得控除として差し引くことができます。

項目控除を受けられる条件
雑損控除 自然災害、盗難、横領などにより、住宅や家財、事業用固定資産が損害を受けた場合に適用
医療費控除  高額な医療費を支払いする納税者をサポート。医療費の支払額の一部を控除
セルフメディケーション税制健康維持と疾病予防のために取り組んでいる方は、自分自身または生計を共にする配偶者や他の親族のために、年間で12,000円を超える対象医薬品を購入した場合に利用可能。医療費控除との併用は不可
社会保険料控除健康保険料や年金などの支払いがある場合
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済法による共済契約に基づき、納税者が掛金を支払った場合、支払額に対して所得控除が受けられる
生命保険料控除生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合
平成23年12月31日以前は旧制度、平成24年1月1日以降は新制度とされ、控除額などがそれぞれ異なる
地震保険料控除地震保険料、旧長期損害保険料の支払いがある場合
寄附金控除国や地方公共団体への寄附金やふるさと納税、または特定の政治献金がある場合
寡婦控除寡婦の場合
勤労学生控除勤労学生の場合
障害者控除本人、同一生計配偶者、または扶養親族が一定の障害者の場合
配偶者控除本人の合計所得金額が1,000万円以下で、控除対象配偶者の合計所得金額が48万円以下で一定の場合
配偶者特別控除    合計所得金額1,000万円以下の人で配偶者の合計所得金額が48万円超133万円未満の場合
扶養控除控除対象扶養親族となる人がいる場合
基礎控除合計所得金額に応じて受けられる
・2,400万円以下の場合、控除額は48万円
・2,400万円超2,450万円以下の場青、控除額は32万円
・2,450万円超2,500万円以下の場合、控除額は16万円
・ 2,500万円超の場合、控除はなし
ひとり親控除   ひとり親である場合

関連リンク:所得控除とは?給与所得控除との違いや種類、計算方法をわかりやすく解説

個人事業主におすすめする所得税の節税対策

個人事業主におすすめの節税対策を5つご紹介します。

青色申告を選択する

節税効果が高いのは、青色申告を選択することです。青色申告では、青色申告特別控除が受けられます。確定申告時に貸借対照表と損益計算書を申告書とともに提出すると、最大65万円の特別控除が適用されます。所得税は、個人の所得に応じて課税される税金です。そのため、所得額から10万円または65万円(55万円)が差し引かれることになり、税金負担が軽減されるという大きなメリットがあります。

この特別控除額には、10万円と65万円(55万円)の2つの種類が存在し、単式簿記で記帳する場合は10万円の控除が可能です。一方、複式簿記を用いて記帳し、損益計算書と貸借対照表を作成して添付すると、最大65万円の控除が適用されます。ただし、e-Taxで申告しない場合や電子帳簿を保存しない場合、控除額が最大55万円に制限されることに注意してください。

関連リンク:
【2022】青色申告って何?白色との違いや節税メリット、申請方法をわかりやすく解説!
白色申告とは?青色申告との違いやメリット・デメリットを解説

家事按分を利用する

自宅を仕事場として活用している個人事業主で、プライベートの車や携帯電話を事業にも利用している場合、経費として「家事按分」が適用されます。家事按分では、家賃や光熱費、通信費などのうち、事業目的で使用した割合分を経費として申告できます。

例えば、自家用車を事業にも使用している場合、ガソリン代や駐車場代などに事業利用の割合をかけて経費として計上することが可能です。また、自宅の家賃を按分する場合は、自宅全体の面積のうち事業に使用している割合がどれくらいかを出す必要があります。しかし、仕事と生活用のスペースが明確に分かれているとは限りません。このような場合は、家賃の5割程度を目安とする方法もあります。

ただし、すべての経費が家事按分の対象となるわけではありません。また、自家用車を仕事で利用した場合は、客観的な資料として出向いた客先などの記録を残しておく必要があります。そうすることで事業目的に使用したことを証明できます。

関連リンク:個人事業主が確定申告で経費計上できる項目・できない項目、判断基準を紹介!

生命保険・個人年金の控除を行う

生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている場合、生命保険料控除が適用になります。各保険料には制限があり、旧生命保険料と旧個人年金保険料の場合は5万円が限度額であり、新生命保険料と介護医療保険料、新個人年金保険料の場合は4万円が限度額となります。したがって、最大で12万円の生命保険料控除を受けることが可能です。

具体的な例を挙げると、年間18万円の保険料を支払う場合を考えてみましょう。この場合、生命保険料だけに18万円を支払う場合と、生命保険、介護医療保険、個人年金保険それぞれの保険料に6万円ずつ支払う場合では、生命保険料控除の金額が異なります。前者の場合、4万円の控除が適用されますが、後者の場合は3種類の保険に加入しているので12万円の控除を受けることが可能です。

このように、3種類の保険加入のバランスを考えることで、最大で12万円が控除され、節税効果が得られます。介護医療保険や個人年金保険に加入していない場合は、節税のメリットを考慮して検討してみると良いでしょう。

セルフメディケーション税制を活用する

セルフメディケーション税制とは、対象の医薬品を12,000円購入した場合、控除が適用できる制度です。ただし、医療費控除の特例ですので、医療費控除との併用はできません。どちらか有利なほうを選択するとよいでしょう。

年間10万円以上の医療費があると医療費控除が受けられますが、その恩恵に預かるのは容易ではないでしょう。大病を患った人、通院回数の多い高齢者などが主な対象者というイメージです。

セルフメディケーション税制は、年間の薬品の購入金額が世帯合計で12,000円を超えた場合、超えた部分を所得から控除できるものです。適用する際には、セルフメディケーション税制の明細書を添付します。

この制度を利用するための条件は、以下のとおりです。

  1. セルフメディケーション対象の医薬品を購入した
  2. 購入時のレシートを保持している
  3. 世帯合計で年間12,000円以上の購入額がある
  4. 健康のために一定の取組を行った(予防接種や健康診断受診など)
  5. 医療費控除を受けていない

なお、対象になる薬はコンビニやドラッグストアなどで販売されている「スイッチOTC医薬品」のみです。スイッチOTC医薬品とは、医療用医薬品として従来用いられていたものを、一般用医薬品として販売するために転用された医薬品を指します。

対象商品はたくさんありますが、以下のマークがパッケージにあり 、判別しやすくなっています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する

個人型確定拠出年金「iDeCo」は、自由に加入できる制度です。小規模企業共済等掛金控除の対象となることがメリットの一つです。掛金が全額所得控除対象となるため、掛金が増えるほど税金の負担が軽減されます。ただし、iDeCoは老後の資金を築くための投資であり、基本的に60歳までは資金を引き出すことはできません。この点には注意しておきましょう。

関連リンク:iDeCo(個人型確定拠出年金)加入者は確定申告が必要?対象ややり方を解説

経理業務を楽にするならINVOY

個人事業主は、会社員とは異なり、自ら確定申告を行い、税金を自己申告し納付する必要があります。このような場合、経理業務や確定申告手続きが増え、面倒に感じることがあるでしょう。確定申告をスムーズに進めるためには、日常的に経理業務を整理しておくことが重要です。INVOYはクラウド上で請求書を作成し管理ができるプラットフォームです。INVOYには、経理業務を楽にするさまざまな機能が提供されています。さらに、基本的な機能は無料で利用できるのもポイントです。ぜひこの機会にINVOYに登録してみてください。

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まとめ

個人事業主が支払う所得税額は、確定申告書を提出する際に決まります。日本の課税制度では超過累進課税が採用されており、課税対象の所得に応じて5%から45%までの税率が適用され、所得税額が計算されます。ただし、すべての所得が課税対象になるわけではないため、課税対象の所得と非課税対象の所得を確認することが重要です。

個人事業主の所得税額は、1年間の収入から必要経費と所得控除を差し引いて課税所得額を求め、それに所定の所得税率を掛けることで算出されます。そのため、必要経費と所得控除をしっかりと確定しておくことが大切です。また、税金の負担を軽減するためには、日常的な節税対策も重要です。利用できる節税対策についても検討しましょう。

この記事の投稿者:

reg@olta.co.jp

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