請求書の基礎知識

請求書受取・請求書受領サービスおすすめ比較15選 選び方や導入するメリットもご紹介

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毎月のように発生する請求書の受領・受取業務。紙の請求書を経理担当者に届けるための出社、PDFでの受取、システムへの手入力、承認フローの遅延など、多くの企業が請求書受領(受取)に関する課題を抱えています。

請求書受領(受取)サービスとは、こうした請求書の受取からデータ化、仕訳、承認、保管までの一連のプロセスを自動化・効率化するシステムのことです。

これらのサービスを導入することで、手入力のミス削減、ペーパーレス化の推進、リモートワークの実現が可能になるだけでなく、2024年1月から本格化した「電子帳簿保存法」や「インボイス制度」への対応もスムーズに行えます。

この記事では、請求書受領サービスを導入するメリットや、自社に最適なサービスを選ぶための5つのポイント、そしておすすめのサービス15選をタイプ別に徹底比較してご紹介します。

目次

請求書受領の面倒な手作業を自動化する仕組み

請求書受領サービスは、これまで「紙」や「PDF」、「Webシステム」などバラバラな方法で受け取っていた請求書を、一元的に管理・処理するための仕組みを提供します。

多くのサービスでは、AI-OCR(光学的文字認識)技術が中心的な役割を担っています。AI-OCRは、スキャンされた画像やPDFファイルから、取引先名、請求金額、支払期日、インボイス制度の登録番号といった必要な情報を自動で読み取り、データ化します。

このAIによる自動データ化により、経理担当者が行っていた目視での確認やシステムへの転記作業(手入力)といった、時間のかかる面倒な手作業を劇的に削減できるのです。

請求書受領の受け取りからデータ化・保管までを効率化

請求書受領サービスが効率化するのは、データ化作業だけではありません。受け取りから保管までの全プロセスを最適化します。

  1. 受取の自動化
    郵送(紙):サービス事業者が提供する専用の住所(私書箱)に送付してもらうことで、スキャン作業自体を代行(BPO)してくれるタイプ。

    PDF(メール):専用のメールアドレスに送付してもらうか、指定のフォルダにアップロードするだけで、システムが自動で請求書を取り込みます。
  2. データ化の自動化
    AI-OCRが請求書フォーマットの違いを吸収し、高精度でテキストデータに変換します。オペレーターによる目視確認・修正が入るサービスもあります。
  3. 仕訳・承認の効率化
    データ化された内容は、過去の履歴から勘定科目を自動で推測したり、設定した承認フロー(ワークフロー)に基づいて担当者に自動で回覧されたりします。
  4. 保管・検索の効率化
    データ化された請求書は、電子帳簿保存法の要件を満した形でクラウド上に一元保管されます。「取引先名」や「金額」で即座に検索でき、紙のファイルを探す手間がなくなります。

インボイス制度・電子帳簿保存法との関係

請求書受領サービスが急速に普及している背景には、法改正への対応という側面が強くあります。

  • 電子帳簿保存法(電帳法)
    2024年1月より、メール添付のPDFやWebからダウンロードした請求書(電子取引データ)は、紙に出力しての保存が認められず、電子データのまま保存することが義務化されました。請求書受領サービスは、この電子取引データの保存要件(可視性の確保、真実性の確保)に標準で対応しているため、導入するだけで法令遵守が可能になります。
  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)
    仕入税額控除を受けるためには、受け取った請求書が「適格請求書」の要件を満たしているか、特に「適格請求書発行事業者の登録番号」が正しいかを確認する必要があります。サービスを利用すれば、AI-OCRが登録番号を自動で読み取り、国税庁のデータベースと照合して確認する作業を自動化できます。

【関連コラム】

請求書受取・請求書受領でよくある4つの課題

多くの企業が直面している、請求書受領に関する代表的な課題を4つご紹介します。

課題1:紙と電子の請求書が混在し管理が煩雑に

取引先によって、請求書の形式は様々です。「郵送される紙の請求書」「メールに添付されるPDF」「取引先専用のWebポータルからダウンロード」など、受領方法がバラバラで、経理部門に集約されるまでに時間がかかったり、処理が漏れたりするケースが後を絶ちません。

課題2:手入力によるミスや二重支払いリスク

紙やPDFの請求書を見ながら会計システムに手入力する作業は、時間と集中力を要します。金額の打ち間違い、支払期日の誤認、仕訳ミスといったヒューマンエラーが発生しやすく、月次の締め作業が遅延する原因となります。また、管理が煩雑なため、同じ請求書を二重で処理してしまうリスクもあります。

課題3:承認フローの遅延で支払いが滞る・ボトルネックが課題に

受け取った請求書は、担当部署の承認、上長の承認を経て、経理部門で支払い処理が行われます。この承認フローが紙の回覧やメールベースで行われていると、「誰で止まっているのか」が可視化されず、承認遅延が発生しがちです。結果として、取引先への支払いが遅れ、信用問題に発展する可能性もあります。

課題4:経理処理のための出社がなくならずテレワークが推進できない

請求書受領サービスの導入が進んでいないと、郵送される紙の請求書を受け取るため、あるいは押印や紙での承認作業のために、経理担当者や承認者が出社を余儀なくされます。全社的にテレワーク(リモートワーク)を推進しようとしても、請求書業務がボトルネックとなり、柔軟な働き方が実現できません。

請求書受取・請求書受領サービスを導入する4つのメリット

これらの課題は、請求書受領サービスを導入することで大きく改善できます。

メリット1:入力・確認作業から解放され、コア業務に集中できる

AI-OCRによる自動データ化で、最も時間のかかる「手入力」作業がほぼゼロになります。経理担当者は、イレギュラーな処理や確認作業、さらには予算管理や資金繰りの分析といった、より付加価値の高い「コア業務」に時間を使えるようになります。

メリット2:ペーパーレス化でコストを削減し、テレワークを推進する

紙の請求書のスキャン代行や電子データでの一元管理により、社内から「紙」が大幅に削減されます。これにより、印刷代、郵送代、保管スペース(キャビネットや倉庫)といった物理的なコストが削減できます。また、クラウド上で処理が完結するため、場所を選ばずに業務ができ、テレワークの推進にも直結します。

請求書を電子化するメリット・デメリットについて、さらに詳しくは「請求書を電子化するメリット・デメリットとは?」もご覧ください。

メリット3:承認フローの可視化で素早い対応を可能にする

多くのサービスには、デジタルなワークフロー機能が搭載されています。請求書がデータ化されると、あらかじめ設定した承認ルートに自動で回付されます。現在のステータス(誰が確認中か)がシステム上で一覧できるため、遅延が発生してもすぐに特定・催促が可能です。これにより、支払い遅延を防ぎ、ガバナンスも強化されます。

メリット4:電子帳簿保存法・インボイス制度へスムーズに対応できる

前述の通り、請求書受領サービスの多くは、電子帳簿保存法(特にスキャナ保存・電子取引要件)やインボイス制度(登録番号の照合)に標準対応しています。法改正のたびに自社で対応策を講じる必要がなく、システムを利用するだけで自動的に法令遵守が実現できる点は、非常に大きなメリットです。 電子帳簿保存法のスキャナ保存要件については「電子帳簿保存法のスキャナ保存とは?」で詳しく解説しています。

請求書受取・請求書受領サービスを選ぶときの5つのポイント

自社に最適なサービスを選ぶためには、以下の5つのポイントを確認しましょう。

ポイント1:自社の課題を明確にし、導入目的を定める

まずは「なぜ導入するのか」を明確にします。「手入力をゼロにしたい」のか、「紙の受領(スキャン)を丸ごと委託したい」のか、「テレワークを可能にしたい」のかで、選ぶべきサービスのタイプ(後述)が変わります。課題を整理し、優先順位をつけることが重要です。

ポイント2:AI-OCRの精度とデータ化の範囲を確認する

サービスの核となるAI-OCRの「読み取り精度」は非常に重要です。精度が低いと、結局は手作業での修正が多く発生し、効率化につながりません。無料トライアルなどを活用し、自社で実際に受け取っている請求書(特に手書きや複雑なフォーマットのもの)を読み込ませ、精度を必ず確認しましょう。

ポイント3:既存システムとの連携のスムーズさを確認する

受領した請求書データは、最終的に会計システムやERP(基幹システム)に取り込む必要があります。利用中の会計ソフト(freee, マネーフォワード, 弥生会計など)とAPIで自動連携できるか、最低でもCSVファイルでスムーズに出力・連携できるかを確認しましょう。

ポイント4:自社の規模に合う料金体系かを見極める

料金体系はサービスによって様々です。「初期費用+月額固定費」「月額基本料+従量課金(受領枚数ごと)」「完全無料」などがあります。 毎月の請求書受領枚数を把握し、自社のボリュームに合ったプランを選びましょう。

特にスモールスタートを切りたい企業やフリーランスの方は、「INVOY」のように受領機能の基本部分を無料で利用できるサービスから試すのがおすすめです。

ポイント5:サポート体制とセキュリティを確認する

導入時の初期設定サポートや、運用開始後に不明点が出た場合の問い合わせ体制(電話、メール、チャット)が充実しているかを確認します。また、請求書という機密情報を扱うため、ISMS認証(ISO 27001)の取得やデータの暗号化など、セキュリティ対策が万全であるかも必ずチェックしましょう。

【2025年最新】おすすめの請求書受取サービス15選

現在、多くのベンダーから請求書受領サービスが提供されています。ここでは、機能や特徴が異なる主要な15サービスをご紹介します。

  1. INVOY(インボイ)
  2. TOKIUMインボイス
  3. Bill One(ビルワン)
  4. バクラク請求書
  5. sweeep(スイープ)
  6. freee受取請求書
  7. マネーフォワード クラウド請求書受領
  8. invox受取請求書(インボックス)
  9. BtoBプラットフォーム 請求書
  10. Concur Invoice
  11. デンタル E-Bo (電帳法対応 受取請求書システム)
  12. Smart OCR
  13. RICOH 受領請求書サービス
  14. KEIHI(ケイヒ)
  15. オクラス

【タイプ別】請求書受取サービス機能・料金比較一覧表

請求書受領サービスは、主に3つのタイプに分類できます。自社の課題に最も合うタイプを選びましょう。

タイプ分類特徴代表的なサービス料金傾向
① 受取・スキャン代行タイプ郵送される紙の請求書の受領・スキャン・開封作業までを事業者が代行する。TOKIUMインボイス, Bill One, invox受取請求書高め(月額数万円〜)
② AI-OCRタイプ(自社スキャン/アップロード)紙のスキャンやPDFのアップロードは自社で行う。AI-OCRでのデータ化が中心。INVOY, バクラク請求書, sweeep, freee受取請求書無料〜中価格帯
③ 取引先入力タイプ取引先(発行側)にもシステムを利用してもらい、電子請求書を発行・登録してもらう。BtoBプラットフォーム 請求書中〜高価格帯

【受取・スキャン代行タイプ】おすすめサービス6選

「紙の請求書がまだ多く、スキャン作業すらアウトソースしたい」企業におすすめのタイプです。

1. TOKIUMインボイス

特徴:紙やPDFなど、あらゆる形式の請求書を「受領代行」と「オペレーター入力」でデータ化。データ化精度は99.9%以上を保証しており、ほぼ修正が不要な点が強みです。

2. Bill One(ビルワン)

特徴:Sansan株式会社が提供。郵送・メールなどあらゆる請求書をオンラインで受領・一元管理。名刺管理で培ったAI-OCRとオペレーター入力で高い精度を実現します。

3. invox受取請求書(インボックス)

特徴:AI-OCRとオペレーターを組み合わせ、99.9%以上のデータ化精度を保証。スキャン代行のオプションも提供しており、受領業務を丸ごと委託できます。

【AI-OCRタイプ】おすすめサービス6選

「PDFでの受領が多い」「スキャン作業は自社でできるので、データ化と管理を効率化したい」企業に最適です。

1. INVOY(インボイ)

  • 特徴:累計10万を超えるユーザー(※)に支持されるクラウド請求書プラットフォーム。受領機能は、高精度AI-OCRによりアップロードされた請求書を「最短5秒でデータ化」します。
  • 強み:最大の強みは、受領した請求書をそのままクレジットカードで支払いできる独自の機能(業界最安水準の手数料)です。これにより経理の効率化だけでなく、キャッシュフローの改善にも貢献します。請求書発行機能も強力で、受領から発行まで一気通貫で管理可能です。
  • 料金受領機能を含む多くの基本機能が無料で利用開始できます。電子帳簿保存法(JIIMA認証)にも標準対応しており、コストを抑えて法対応と業務効率化を両立したい企業に最適です。
  • おすすめな企業:まずは無料で請求書受領を試したい企業、受領後の支払い(カード払い)まで効率化したいフリーランス・中小企業。

(※2023年時点の累計登録者数)

2. バクラク請求書

特徴:AI-OCRの読み取り精度が非常に高く、仕訳や振込データも自動で生成。会計システムへの連携もスムーズで、経理担当者から高い支持を得ています。

3. sweeep(スイープ)

特徴:AI-OCRが請求書の項目やレイアウトを自動学習するのが特徴。使えば使うほど読み取り精度が向上し、複雑なフォーマットにも対応します。

【取引先入力タイプ】おすすめサービス3選

「取引先にも協力してもらい、業界全体でデジタル化を進めたい」大企業や、特定の業界プラットフォームに適しています。

1. BtoBプラットフォーム 請求書

特徴:国内シェアNo.1の電子請求書プラットフォーム。発行側と受領側の双方がシステムを利用することで、請求書のやり取りがすべてデジタル上で完結します。

2. 楽楽電子保存

特徴:「楽楽明細」の受領機能版。取引先からアップロードしてもらうか、メールで受領した請求書を一元管理。電子帳簿保存法に対応します。

まとめ

請求書受領サービスは、単なる業務効率化ツールを超え、法改正への対応やテレワークの推進、ガバナンス強化を実現するための経営基盤となりつつあります。

自社の課題を解決するためには、

  1. 導入目的(紙のスキャン代行か、データ化か)を明確にする
  2. AI-OCRの精度をトライアルで確認する
  3. 会計ソフトとの連携性を確認する
  4. 料金体系(受領枚数)が自社に見合っているか
  5. サポートとセキュリティは万全か

という5つのポイントを抑えることが重要です。

何から始めて良いかわからない場合は、まずは「INVOY」のように無料で受領機能(AI-OCR)を試せるサービスを利用し、「データ化されるとどれくらい業務が楽になるか」を体感してみることをおすすめします。

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この記事の投稿者:

hasegawa

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