領収書の基礎知識

領収書の上様の意味は?経費申請時に会社名を書くべき理由と正しい宛名の書き方

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上様

「上様」と宛名に書かれた領収書がすでに準備されていた場合、経費で落とせるのか不安になるでしょう。ここでは、「上様」と書かれた領収書が経費として認められるかどうかのポイントや注意点、正しい宛名の書きかたをご紹介します。

領収書の「上様」(うえさま)の意味とは?

そもそも、なぜ「上様」が当たり前のように使用されているのか、その理由をご紹介します。有力とされる説は2つあり、1つめは「上得意様」や「上客様」といった言葉が省略されたという説。そして、もう1つが、古代中国の帝に対する「上様」という言葉が伝わって天皇や将軍に使われはじめ、お客を敬う気持ちを示すために領収書にも使われるようになったという説です。いずれにしても、目上の人に対して使う言葉で、相手の名前を直接呼ぶことを避けたいという気持ちが表れていると考えられています。

関連リンク:領収書の上様の意味は?経費申請時の注意と正しい宛名の書き方

宛名が上様でも経費として落とせるケース

宛名が上様でも経費として落とせるケース

会社の事業のため支出だと証明できる場合

領収書の宛名は、その支出を誰が行ったのかを明らかにするために必要な情報となります。ここでいう、「誰が」はすなわち「会社が」という意味を持つはずなのですが、宛名が上様になっていると支出が会社の事業のために用いられたのかどうかが曖昧になり、不十分と考えられるケースもあるのです。

しかし、宛名が上様だったとしても、税法では「認めない」と決められているわけではないため、他の資料等を準備することで会社の事業のための支出であることを証明することは可能です。資料は、会議に出席してもらったものや、どこでいつ、何を打ち合わせたのかが記載されているメモなどで補完することができます。

特定の事業の領収書の場合

タクシーの運賃の領収書や、鉄道会社、航空会社などの旅客運送業をはじめ、旅行関連の会社や飲食業、小売業、駐車場業が領収書を発行する場合は、「上様」の宛名で領収書を発行しても問題ないとされています。したがって、法律上は経費として認められる場合が多いです。

社内ルールの確認が必要

「上様」の宛名が認められる業種の商品やサービスでも、会社のルールによっては認められない場合があります。なぜなら、個人的な消費を会社の経費で支払っているのか、本当に会社の事業のために必要な支出だったのかが分からないからです。近年は、飲食店でもきちんと宛名を聞いてくれたり、応じてくれたりするケースが多いため、できる限り「上様」は避けるよう意識しましょう。

領収書を経費で落としてもらう場合のルールは、会社によって違う部分もあります。心配な場合は事前に確認しておくと安心です。

宛名が個人名の場合は?

宛名が会社名でも上様でもなく、個人名だったときは、会社によって経費として認められるケースとそうでないケースとがあります。個人事業主や従業員が少ない会社であれば、その理由と証拠を示して照らし合わせることも難しくはありませんが、従業員が多ければそうもいかなくなります。このような理由で、個人名宛の領収書は経費として認めない会社もあることを覚えておきましょう。

社員数が多い会社の場合

上様や個人名の宛名が書かれた領収書を認めるかどうかは、会社の規模によっても変わる傾向にあります。社員数の多い会社の場合はほぼ認められないと言っても過言ではありませんが、中小企業では柔軟に対応してくれるケースもあるようです。

社員数の多い会社では、毎日たくさんの領収書が経理に届きます。1つひとつ慎重になる時間はありません。仕事の効率化のために、社内ルールで厳しく取り決めていても不思議はないでしょう。

会社名が宛名の領収書がベスト

会社名が宛名の領収書がベスト

ここまでのご紹介で分かるように、会社の経費として認められやすいのは「上様」や個人名の宛名ではなく会社名の宛名です。近年は、小規模のお店に至るまで領収書の宛名を会社名で書くように指導されている場合が多いですが、念のため領収書を依頼するときは宛名をこちらから指定するように心がけましょう。

領収書の宛名の正しい書き方

会社で経費精算してもらうためには、正しい内容で会社名が記載されていることが肝心です。略称・通称は避けて、正式な名称を書いてもらいましょう。個人事業主や自営業の場合は、屋号か個人の名前で問題ありません。

宛名を聞かれて、口頭で答えようとしても、うまく伝わらないという失敗はよくあります。できるだけ、メモ紙に書いて伝えたり、名刺を渡したりして行うとスムーズで親切です。

関連リンク:正しい領収書の宛名の書き方は?ポイントや『上様』の意味について解説

領収書を訂正したい場合

領収書の内容に間違いがあったり、記入もれがあったりして訂正が必要な場合、自分で訂正してもよいだろうと思われるかもしれません。しかし、これは危険です。領収書を訂正できるのは発行者のみです。もし、宛名の文字が間違っている場合は、メモを書いて領収書に添えましょう。勝手に自分で訂正してしまうと、税務調査で疑われる要因になります。

領収書を発行する側が訂正する場合は、訂正部分に二重線を引いて上部に正しい文字等を書きます。そして、二重線には訂正印を押します。

領収書が必要な理由

領収書が必要な理由

社会人になると、「領収書をちゃんともらうこと」がもはや常識になりますが、そもそもなぜ必要になるのか、今一度考えてみましょう。

領収書は、支出があった内容の証明になります。そして、それが本当に経費として正しい使い道なのか確認するためのものでもあります。社員は、経費として認められるべき支出であることを会社に示す重要な情報となるのです。

領収書で確認が必要な項目

領収書で経費を認めてもらう際、必ず確認しておきたいポイントは、宛名以外にもあります。

・支払い日
・支払い先
・支払い内容
・支払い金額

これらが不明だと、経費として認められません。つまり、経費で落とせるかはこの4点で確認されているということです。

レシートでも経費で落とせる?

レシートには、先ほどご紹介した4つのポイントがすべて記載されていることがほとんどです。税法上、必ず領収書でなければならないというルールはなく、レシートでも経費を落とすことは十分に可能です。

レシートで経費精算する場合の注意点

古いレジを使用しているお店の中には、レシートに金額のみ記載されているなど、4つのポイントが満たせていない場合があります。これでは、経費精算の証拠としては不十分で、認められないこともあります。レシートをもらって安心せずに、その内容をよく確認する癖をつけておくことをおすすめします。もし、不十分な内容のレシートであれば、領収書を依頼するのを忘れないようにしましょう。

宛名のない領収書でも大丈夫?

宛名のない領収書を受け取った時、どのような問題が発生するのでしょうか。ケース別に紹介します。

個人・法人の経費計上の場合

宛名のない領収書であっても、それが業務にとって必要な支出であると判断できれば経費として認められます。そのため、経費精算だけであれば問題ないケースも多いでしょう。しかし、経費について「領収書には必ず宛名を記載してもらうこと」と厳密にルールを定めている法人であれば、経費として認められない可能性もあります。

税務調査上

税務調査が入れば、宛名のない領収書を調査官に指摘されることもあります。特に、高額な取引を行った際の領収書が大量にあったり、具体的な取引内容を説明できなかったりする場合には、経費として認められず、追加で税金を支払うなどのペナルティが生じることもあるでしょう。

宛名のない領収書のデメリット

個人または法人が経費を計上するために宛名のない領収書を利用することは、さほど問題にならないかもしれません。しかし、税務調査が入る規模の事業者である場合には、指摘の対象となるリスクがあります。

さらに、宛名がない領収書を紛失すると、第三者が経費としてその領収書を計上するといった不正が行われることもあるかもしれません。これらの点を考慮すると、領収書には毎回宛名を書いてもらうことが望ましいと言えるでしょう。

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まとめ

領収書は、会社の事業のための支出であることを示すための重要な証拠となります。経費で落とせるかどうかを左右するものでもあり、必要な情報がもれなく正しく記載されていることが肝心です。「上様」という宛名は、場合によっては認められるケースもありますが、できるだけ避けた方が無難です。領収書の発行を依頼する際は、ぜひ意識しておく習慣をつけましょう。

この記事の投稿者:

nakashima

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