クレジットカードの基礎知識

請求書のカード払いとは?仕組み、メリット、デメリット、流れを紹介

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近年「請求書カード払い」というサービスが普及しつつあります。本記事では、カード払いの仕組み、対象者、手数料、支払いの猶予期間、そしてメリットとデメリットについてわかりやすく説明します。また、他の決済方法との違い、カード払い決済の流れについても紹介していますので、参考にしてください。

請求書のカード払いの仕組みとは

請求書のカード払いとは、取引先から請求書を受け取った後、請求書カード払いを利用して、振込先口座や振込金額などを指定し、国際ブランド付帯のクレジットカードやプリペイドカードで決済する手続きです。つまり、支払代行サービス会社が利用者の名義で取引先に対して銀行振込を行う方法です。後日、利用者の口座から請求金額と手数料が引き落とされて支払いが完了します。VISA、MasterCard、JCB(プリペイドカード除く)などの国際ブランド付帯のカードを持っていれば、法人カードでも使えるため、中小企業を中心に広く利用されています。

請求書のカード払いの対象者

請求書カード払いサービスの利用は、法人や個人事業主が対象です。ただし、中には法人のみを対象とする事業者もあります。このサービスは、銀行融資などとは異なり、審査や担保は不要です。つまり、国際ブランド付帯のカードを持っている事業者であれば利用できます。

請求書のカード払いの手数料

請求書カード払いを利用する際には、サービス会社ごとに設定された手数料率に基づき手数料が発生します。手数料率の一般的な相場は支払い額の3%~4%であり、負担が少ないサービスと言えます。

以下は、代表的なサービスの手数料率です。

手数料 
請求書支払い代行サービス<三井住友カード>3%
INVOYカード払い<FINUX>3%
支払い.com<UPSIDER>4%
DGFT請求書カード払い<デジタルガレージ>3%
1click後払い<ROBOT PAYMENT>3.8%
※2024年3月時点

支払いが猶予される期間

支払い猶予の期間はサービス会社によって異なりますが、通常、1か月、40日、50日、60日などで、1〜2か月の先延ばしが可能です。120日の長期にわたり支払いが猶予できるサービスも見られますが、この場合は分割払いになり、途中での一部支払いが必要です。

請求書のカード払いと、請求書払いの違い

請求書払いは、企業間で広く利用され、「掛け払い」とも呼ばれます。取引期間をまとめた請求書を作成・発行し、支払い側は指定日に後払いで銀行振込を行います。支払い日は通常、「月末締めの翌月末払い」などが定められ、延期はできません。
対照的に、請求書カード払いは時間制約がなく、柔軟な決済が可能で、支払い期限も延長できます。ただし、請求書カード払いはサービス事業者への手数料が発生し、請求書払いでは銀行振込手数料が必要です。全体的に見ると、請求書払いの方がコスト面で低い傾向があります。

請求書のカード払いと、BtoBカード決済の違い

企業同士のBtoBカード決済は、請求者がカード会社と契約し、手数料はその請求者が負担します。請求書は自社で発行せず、代わりに支払側に対してカード決済を依頼する必要があります。支払う側は決済が24時間利用でき、さらに手数料がかからないのが利点です。一方で、請求書カード払いは、支払側が利用するサービスのため、請求側はこれまで通り支払側に請求書を送付するだけで、カード決済への対応は必要ありません。

請求書のカード払いと、ファクタリングの違い

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権(主として売掛金)をファクタリング会社に売却し、資金を調達する手法です。これはアセットファイナンスの一種で、資産を売却して資金を得る仕組みです。これにより、資金調達が迅速に行え、企業は事業の運転資金や経営の安定を図ることができます。請求書のカード払いとは異なり、資金調達の手法としては別のカテゴリーに分類されます。

請求書カード払いは支払期日を延ばして資金繰りを改善する手法で、一時的に負債が増えますが、ファクタリングは売掛金を債権譲渡することで負債が増加しません。どちらもメリットとデメリットがあり、適切な選択をするにはそれぞれの特性を理解することが重要です。

比較表

請求書カード払いとファクタリングの主な違いを表にまとめましたので確認してください。

請求書カード払いファクタリング
特徴支払いを先延ばしにできる売掛債権を売却して早期に資金を調達する
資金繰り改善日数の目安最長60日最長120日
手数料支払い金額の3%~4%2社間:5%~20%
3社間:1%~10%
審査なしあり

【支払側】請求書のカード払いのメリット

中小企業向けには、請求書カード払いが非常に便利です。請求側には直接的な利点が少ないですが、支払い側にとってはさまざまな恩恵があります。以下に、その7つのメリットについて詳しく説明します。

メリット1.支払いを先延ばしできる

支払いが急に集中して資金調達に課題が生じた場合、請求書カード払いを使えば、一部の取引の支払いを後回しにできます。最大60日まで支払いを延期できるサービスが提供されている場合もあります。ただし、長期的な資金不足の状況では支払いを先延ばしにすることで負担が増え、資金調達の改善が見込めません。そのような状況では、売上の増加や利益率の向上など、経営改善策を模索したり、融資を検討したりする必要があります。

メリット2. 審査不要で手続きが簡単

銀行融資の場合、手続きが複雑で審査に時間がかかり、融資までに約1か月かかります。一方、請求書カード払いでは、手続きが簡単なため、手軽に利用できる点もメリットです。運営会社が大手カード会社や系列企業であるため、信頼性もあります。取引先へ振り込まれるまでの日数は、サービス会社によって異なり、即日対応可能なところもありますが、通常、目安は5営業日以内です。

メリット3. 手数料が少ない

請求書カード払いには手数料が発生しますが、他の資金調達方法と比較しても、手数料が相対的に低いという利点があります。通常、銀行融資の金利は15%未満であり、一方で請求書カード払いの手数料は支払額の3%〜4%と抑えられています。資金繰りが改善されても、手数料などのコストが上昇すれば、利益が減少する可能性があるでしょう。この観点からみても、請求書カード払いはコスト面で有利です。

メリット4.取引先がカード決済非対応でも利用可

請求書を送付し、支払い方法に銀行振り込みを依頼する企業の場合、BtoBのカード決済に未対応である可能性が高いです。取引先がそうした企業でも、基本的に請求書カード払いは利用できます。請求書カード払いは、取引先の意向に左右されず、支払い側がカード決済を選択できる仕組みです。支払いを代行するサービス会社との協力により、取引先に依存せず、カード決済を柔軟に利用できます。

メリット5.支払いを一元管理できる

決済手段をカードに統一できるため、支払い管理が楽になります。経費などの支払いで既にカードを使用している場合に特にメリットがあるでしょう。小規模な事業者は、支払いをカードにひとまとめにすることで業務の効率向上につながります。ただし、このためには十分なカード限度額が確保されていることが必要です。スマホ決済の普及に伴い、カードとの連携も一般的になっており、今後も支払いの一元管理が進展すると思われます。

メリット6.ポイントが貯まる

カード会社が設定するポイントを受け取れることもメリットです。支払いをカードに統一すると、ポイントの貯まりも効率的になります。また、還元率が1%~1.25%のような高還元率のカードであれば、より多くのポイントが獲得できるでしょう。ポイントを使ってカード払いの手数料の一部を相殺することも可能です。支払い金額やシーンが増えるほど、ポイントの活用範囲も広がるでしょう。

メリット7. 請求書カード払いを取引先に知られない

請求書カード払いの利用を取引先相手に知られたくない場合もあるでしょうが、その点では心配いりません。請求書カード払いを利用しても、銀行振込時には指定した自社名義で振り込まれます。請求側には通常の支払い時と同様に、利用者の名前や事務所名、会社名が表示されます。言い換えれば、請求書カード払いを利用していることは取引先にはわからないため、支払い方法の変更に関して心配する必要はありません。

【支払側】請求書のカード払いのデメリット

支払側にとってメリットが多い請求書カード払いですが、注意すべき点もあります。以下のデメリットも確認しておきましょう。

・カード利用限度額を超えた決済は不可
・支払い延長期間が最大60日程度までで、長期間の先延ばしはできない
・個人事業主が利用できないこともある

【請求側】請求書のカード払いのメリット

請求書カード払いは、支払う側が比較的容易に採用できるサービスで、請求する側が請求方法を変更する必要がありません。支払う側の料金をサービス事業者が一時的に代わりに支払うため、請求する側は代金を確実に回収できるメリットがあります。個人事業主が支払いに窮した場合でも、サービス事業者からは既に代金を受け取っているため、未回収の心配はありません。

【請求側】請求書のカード払いのデメリット

請求書のカード払いは支払側のみで完結するサービスであるため、請求側には特にデメリットとなる要素はありません。

請求書のカード払いの決済の具体的な流れ

請求書カード払いはサービス事業者との取引形態です。まず、サービス事業者が支払者に代わり、取引先口座に請求金額を振り込みます。支払った代金と手数料は後日、支払者のカードから引き落とされます。具体的な流れは以下のとおりです。

流れ1.サービスの利用登録

サービス事業者の公式サイトで利用登録を行います。アカウントの作成は通常、メールアドレスがあれば可能です。登録時には、カード情報、取引先の登録、振込名義などを設定する必要がありますが、サービスによって項目は異なります。なお、一般的にサービスの登録には費用がかかりません。登録が完了したら、請求書への支払いを申請すると決済が行われます。

流れ2. 請求書カード払いの申請

サービスの利用登録が完了したら、請求書カード払いの申請を行います。まず、支払い先の銀行口座や振込金額などの情報を入力します。これは、ECサイトでカード決済する場合と同様です。カード決済日は通常当日または翌日であり、基本的には決済日の指定はできません。サービスによって決済時の入力・選択項目が違うため、使い勝手の良いサービスを選ぶことをおすすめします。

流れ3. 請求書カード払い会社が振込を実施

請求書カード払い会社が取引先の銀行口座へ振り込みを行います。支払人名義は自社(個人)に設定することができ、サービス事業者が支払いを代行していることは取引先にはわかりません。なお、振込日は申し込みの当日や翌日、5営業日以内など、サービスによりさまざまです。平日の中から選べるサービスもあり、ビジネスの取引上振込日を決める必要がある場合に非常に便利です。

流れ4. 支払い金額と手数料の引落し

サービス事業者は、立て替えた代金と手数料を、支払者が契約したカード会社に請求します。その後、支払い側が所有するカードで決済が行われ、銀行口座から引き落とされます。支払い可能な金額の上限はカード会社の利用限度額に依存するため、支払いの際には自身のカードにおける利用条件を確認しておくことが大切です。

請求書のカード払いならINVOY

INVOYは、カードでの支払いにも柔軟に対応しています。取引先から送付された請求書の画像やPDFをINVOYにアップロードいただくことで、支払情報を自動で読み取り、データ化できます。アップロードされた請求書は、銀行振り込み以外にもカードでの決済が可能です。カード払いのお申込みが完了すると、3営業日以内に指定の振込口座に振り込まれます。この仕組みを利用することで、期限が迫った請求書も迅速に支払い可能で、お客様は支払いをカードの支払日まで延ばすことができます。ぜひ、この機会にINVOYカード払いをご検討ください。

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まとめ

請求書カード払いは、請求書の支払いを代行するサービスで、通常の銀行振込を求める請求書もカードでスムーズに決済できます。このサービスのメリットは、支払いを一時的に延ばせることと、手続きが簡便で手数料が低い点です。ただし、デメリットとしては、決済金額にはカードの利用限度額までの上限があること、支払いの延長は最大60日まで一時的な資金繰り改善であることが挙げられます。資金調達の手段はさまざまな選択肢を考えておくことが重要です。将来の不測の事態に備え、請求書カード払いを検討してみることをおすすめします。

この記事の投稿者:

hasegawa

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