請求書の基礎知識

医療費請求書が必要になる場面とは?書き方・テンプレートについても解説

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医療費 請求書 テンプレート

個人事業主の方、会社員の方、医療機関の経理担当者の方まで、それぞれの立場で役立つ医療費請求書の書き方やエクセルテンプレートの活用方法を詳しく解説します。

具体的には、医療費請求書が必要になる主な場面から、エクセルで作成するメリット、基本的な項目、具体的な書き方ステップ、注意点やよくあるミスなどについて解説させていただきます。

まずは医療費請求書がどんな時に必要となるのかを確認し、次にエクセルテンプレートの利点や構成要素を押さえましょう。その上で実際の書き方や管理のコツ、デザイン改善策も紹介します。

目次

医療費請求書が必要になる主な場面

まず、医療費請求書が必要とされる代表的なケースを押さえておきましょう。医療費の請求書(診療費請求書とも呼びます)が活躍する場面は、主に以下のような状況です。

保険会社への提出

民間の医療保険や生命保険で給付金を請求する際、医療機関の発行した医療費請求書(または領収書や診断書)が必要になることがあります。

例えば入院給付金や手術給付金を保険会社に請求する場合、治療内容と費用がわかる書類として請求書の提出を求められるケースがあります。

保険金請求では医療機関発行の請求書診療明細書のコピーを送付し、支払った医療費を証明することが求められます。

確定申告(医療費控除)

一年間に支払った医療費が一定額を超える場合、確定申告で医療費控除を受けることができます。2017年分以降の確定申告では、領収書の提出に代えて「医療費控除の明細書」(医療費の集計フォーム)を提出する必要があります。

この明細書は各医療機関ごと・人ごとに医療費をまとめる形式で、エクセルで入力・印刷することも可能です。

医療費請求書そのものを提出するわけではありませんが、確定申告用の医療費集計テンプレートとして請求書形式の一覧を自作し、領収書を管理する方もいます。

医療費控除の申告時にはすべての医療費を一覧化した表が必要になるため、エクセルテンプレートを活用するとスムーズです。

会社への提出(医療費補助・経費精算)

会社員の方で、会社の福利厚生として医療費補助を受けられる場合や、出張中のケガの治療費を会社に経費請求する場合などに、医療費の請求書を会社へ提出することがあります。

例えば会社独自の健康サポート制度で家族の医療費の一部を補助してもらう際、「○○会社 御中」宛ての医療費請求書を作成し、領収書とともに総務や人事に提出するケースがあります。

また、業務中の負傷で病院にかかった場合、経費精算として治療費を請求するときにも、医療費請求書が必要になることがあります。

医療機関から患者・保険者への請求

医療機関の経理担当者の方の場合、患者さんや保険者に対して未収の医療費を請求する場面があります。たとえば治療費が未払いの患者に郵送で請求書を送ったり、自由診療(保険適用外診療)の費用を後日請求したりする場合です。

また、労災や自賠責保険などで治療費を保険者に請求する際にも、所定の様式の請求書を作成します。こうした場面では正式な医療費請求書を発行し、支払いを促す必要があります。

以上のように、保険金請求税務申告会社への申請医療機関での請求業務など、医療費請求書が必要となるケースは多岐にわたります。

それぞれで様式や提出先の要件が異なることもあるため、状況に応じて適切なフォーマットで作成することが大切です。

エクセルテンプレートの利点(カスタマイズ性・関数活用・印刷適性)

医療費請求書を作成するにあたり、Excel(エクセル)テンプレートを活用することには多くのメリットがあります。手書きやWordよりもエクセルを使う利点を整理してみましょう。

自由なカスタマイズが可能

エクセルなら項目の追加・削除やレイアウト変更が簡単です。請求先の指定や患者情報の欄を追加したり、必要に応じて列幅や項目名を書き換えたりと、自分の用途に合わせて柔軟にカスタマイズできます。

たとえば会社提出用には会社名・部署名欄を設ける、保険会社提出用には保険証番号欄を加える、といった調整が可能です。

計算を自動化できる(関数の活用)

エクセル最大の強みは関数による自動計算です。医療費請求書では複数の費用項目の合計金額を計算する場面が多いですが、SUM関数を使えば手計算の必要がありません。

また、IF関数で特定の条件時に注意メッセージを表示したり、VLOOKUP関数でコードから治療内容名や料金を自動入力したりすることもできます。

関数を活用すれば入力ミスや計算ミスを防ぎ、正確な請求書を効率良く作成できるでしょう。

印刷レイアウトを整えやすい

エクセルは印刷設定や書式設定も柔軟です。A4縦・横のレイアウト調整やフォントサイズの変更、セルの結合による見出し作成、罫線(枠線)の挿入なども思いのままです。

これにより、見やすく印刷適性の高い請求書を作ることができます。

プリントアウトしてそのまま提出できる書式に整えたり、PDF化してメール送付する際もレイアウト崩れの心配が少なくなります。

テンプレートを使い回せる

一度作ったエクセルテンプレートは、保存しておけば翌月以降や別の案件でも使い回すことができます。

新しいシートにコピーして別の患者の請求書を作成したり、年間で使った医療費を同じ書式で月別にまとめたりと、繰り返し活用できるのはエクセルテンプレートならではです。

蓄積したデータを元に年間医療費の総計を計算したり、家族ごとの費用比較をするといった応用も容易になります。

データ管理が容易

入力した数値データはそのままエクセル上で管理できます。フィルタ機能で特定の期間や人のデータを抽出したり、ソート機能で日付順に並べ替えたりと、データ管理面でも便利です。

紙の様式だと後から修正や再集計が大変ですが、エクセルなら修正も自動反映されます。バックアップもファイルコピーで簡単にできるため、紛失のリスクも低減できます。

このように、エクセルの医療費請求書テンプレートはカスタマイズ性・効率性・正確性・再利用性に優れています。特に複数の費用項目を扱う請求書では、合計や消費税計算などで関数が重宝します。

次章では、医療費請求書の基本構成として具体的にどんな項目を盛り込むべきか確認しましょう。

医療費請求書の基本構成と主な項目

医療費請求書の基本構成と主な項目

医療費請求書には、一般的な請求書の要素に加えて医療に特化した情報を含める必要があります。ここでは医療費請求書の基本構成と、記載すべき主な項目について解説します。

以下の項目例を参考に、漏れのないよう項目を設定しましょう。

タイトル(書類名)

書類の最上部には「請求書」または「医療費請求書」といったタイトルを明記します。一目で請求書だと分かるよう、大きめの文字や太字にすると良いでしょう。

発行日

請求書を作成した日付(発行日)を記載します。西暦○年○月○日形式か和暦(令和○年○月○日)形式で統一します。発行日がないと書類の有効性が不明確になるため、必ず記入しましょう。

請求書番号

社内管理用や照合用に、任意の請求書番号(通し番号)を付与することがあります。とくに医療機関側で複数の請求書を発行する場合、管理番号があると便利です。

個人で作成する場合は省略も可能ですが、後日の問い合わせに備えて番号を振っておくと安心です。

請求先(宛名)

誰に対して請求するのかを明記します。保険会社に提出する場合はその保険会社名、担当部署名を、「○○保険株式会社 御中」などと記載します。会社へ提出するなら会社名や担当部署名、あるいは担当者名宛てにします。

患者自身に請求する場合は患者氏名「○○ ○○様」とします。宛名の正式名称を誤りなく記載しましょう(会社の場合「御中」、個人名には「様」を付けるのが一般的です)。

発行者情報(請求元情報)

請求書を発行する側の情報です。医療機関の経理担当が発行するなら病院名やクリニック名、住所、電話番号、担当者名などを記載します。個人で作成する場合でも、自分(発行者)の氏名・住所・連絡先を明記しましょう。

医療機関コードや保険医療機関番号などがあれば併記する場合もあります。また、発行者の押印欄を設けておき、印鑑(または署名)を添えるケースもあります。

患者情報

誰の医療費に関する請求かを明確にするため、患者の氏名を記載します。場合によっては生年月日や住所、患者番号なども含めます。

家族の医療費をまとめる場合は、個別の請求書には通常一人分ずつ作成しますが、「医療を受けた人」の名前を明示することが大切です。

保険会社提出時などは被保険者との関係(本人・配偶者・子ども等)を書く欄があることもあります。

診療日・期間

医療費が発生した受診日や期間を記載します。単一の受診であれば「2025年4月10日」のように日付を、入院や複数日にわたる場合は「2025年4月10日~4月15日」のように期間で示します。

複数の明細行を設ける場合は行ごとに日付欄を設け、その都度入力します。

診療内容/費用内訳

何に対する費用なのか、その内訳(明細)を記載します。具体的には以下のような項目が考えられます。

  • 初診料・再診料
  • 診察料(外来診療費)
  • 検査料(血液検査、レントゲン等)
  • 手術費用
  • 処置料(処置・施術費)
  • 入院費(ベッド代、食事代など入院関連費用)
  • 医薬品代(金薬代や処方薬の費用)
  • その他費用(文書料、おむつ代等、必要に応じて)

請求書では、上記のような費用項目の名称とそれぞれの金額を行ごとに記載します。必要に応じて「数量×単価」の形式で明示することもあります(例:薬剤 3日分 × 500円 など)。

公的医療保険が適用され自己負担が一部の場合でも、請求書には実際に支払った自己負担額を記載するのが通常です(保険者に全額請求する場合は総医療費を書くこともありますが、その場合は保険適用分と自己負担分を区別して明示すると親切です)。

金額欄(各明細行の金額)

上記の診療内容それぞれに対応する金額を記載します。エクセルでは金額欄を数値セルに設定し、円マーク(¥)やカンマ区切りを設定すると見やすくなります。

なお、保険適用の場合は1点=10円換算の点数ではなく、実際の支払金額をそのまま書きます。

合計金額

全ての費用内訳を合算した総計を明記します。エクセルでSUM関数を用いて自動計算させると確実です。

消費税については、公的医療保険適用の治療費は非課税(消費税0円)ですが、保険外の自由診療や美容医療などには消費税が課される場合があります。

課税対象の費用を請求する場合は、「税抜金額」「消費税額」「税込合計」のように内訳を示すか、適格請求書の要件に従って記載してください(多くの通常医療費は非課税なので、一般的には合計金額のみで問題ありません)。

備考欄

任意で備考や特記事項を記載する欄です。例として「診断書料は含まれておりません」「○月分健診費用です」「◯◯保険組合提出用」などのコメントを入れることができます。

保険会社提出用であれば保険証番号や契約番号、請求事由(例:入院給付金請求のため)などを書き添えることもあります。

振込口座

医療機関が患者や保険会社に直接請求し、振込で支払いを受ける形の場合は、請求書に振込先口座情報を載せます。

銀行名、支店名、口座種別(普通/当座)、口座番号、口座名義を記載し、「お支払いは○月○日までにお願いいたします」といった支払期日・支払方法の案内を書くのが一般的です。

ただし、会社や保険金請求で領収書代わりに提出する場合は、支払側は自分自身ですので口座情報は不要です(医療費控除用の明細書にも不要です)。

収入印紙欄

請求金額が一定額以上(通常5万円超)になる請求書は、収入印紙の貼付が法律上必要となる場合があります。

ただし、医療費に関する請求書の場合は非課税取引かつ営業に関しない受取書に該当するケースが多く、医療機関が発行するものは収入印紙が不要とされています(医療法人発行の領収証は公益性の観点から非課税文書となるため印紙不要です)。

個人事業主の医師が自由診療費を請求する場合などは金額によっては印紙が必要になることもあります。テンプレート上は余白に「印紙欄」を設けておき、必要なときだけ貼付・消印する形にすると良いでしょう。

以上が基本的な構成要素です。まとめると、宛名・患者情報・明細内訳・合計・発行日/発行者情報など必要事項を網羅することが重要です。これらをエクセルテンプレート上に配置し、漏れのない請求書フォーマットを用意しましょう。

医療費請求書の書き方ステップ解説(実例つき)

では、実際に医療費請求書を作成する手順をステップごとに解説します。ここではエクセルのテンプレートを利用し、具体的な例を挙げながら書き方を説明します。初めて請求書を作る方でも分かるよう、順を追って確認していきましょう。

ステップ1:テンプレートを準備する

まずは医療費請求書のひな形となるエクセルテンプレートを準備します。インターネットで公開されている無料テンプレートをダウンロードしても良いですし、自分で一からレイアウトを組んでも構いません。

後述するテンプレート例を参考に、項目設定済みのエクセルファイルを用意しましょう。作り慣れていない場合は、既存のテンプレートを使うとスムーズです。

ステップ2:ヘッダー部分の入力 

テンプレート上部のヘッダー部分から埋めていきます。タイトル「医療費請求書」を確認(必要に応じて追記)し、発行日を入力します。請求書番号を採番している場合は番号も記入します。また請求先(宛名)を正式名称で入力します。

保険会社なら「○○生命保険株式会社 ○○支社 御中」、会社宛なら「○○株式会社(部署名) 御中」、個人なら「○○ ○○ 様」といった形式です。

宛名の誤字脱字がないよう注意しましょう。次に自分(発行者)の情報として、名前・住所・連絡先などをヘッダーに記載します(テンプレートによってはフッターに発行者情報欄がある場合もあります)。

医療機関であれば病院名や所在地・電話番号、担当部署名などを入れます。必要に応じて院長名や担当者名も記載します。これでヘッダー部分(誰から誰への請求書か)が明確になりました。

ステップ3:患者情報の入力

続いて、今回の医療費に対応する患者さんの情報を入力します。患者氏名はフルネームで記載し、カッコ書きで続柄等を書く場合は「(○○本人)」「(○○長男)」などと添えます。

テンプレートに患者IDや保険証番号欄があれば併せて入力しましょう。

確定申告用に自分や家族の医療費一覧を作る場合は、この欄は「医療を受けた人」の氏名になります。患者情報欄がなければ、明細表の備考などに患者名を入れても構いませんが、誰の医療費かは必ず明示してください。

ステップ4:診療内容・費用内訳の入力

医療費請求書のメイン部分である診療内容と費用の明細を入力していきます。あらかじめテンプレートで明細用の表が設けられているはずなので、行ごとに日付・内容・金額を埋めましょう。具体例を挙げます。

例えば、山田太郎さんが2025年4月10日に病院を受診し、初診料3,000円と血液検査料2,000円、処方薬代1,500円を支払ったケースでは、明細欄は以下のようになります。

  • 2025年4月10日 – 初診料 – ¥3,000
  • 2025年4月10日 – 検査料 – ¥2,000
  • 2025年4月10日 – 薬代 – ¥1,500

このように受診日ごとに行を分け、その日に発生した費用項目と金額を記載します。同じ日に複数の項目がある場合、日付をまとめずに行を分けて書くと丁寧です。テンプレートによっては「数量」「単価」欄がある場合もあります。

その場合、例えば薬代1,500円を「数量1、単価1,500円」としたり、あるいは薬1種類1,500円という意味で数量は空欄でも構いません。重要な点は、各費用の内容が分かりやすく記述されていることです。

「診療代一式」など曖昧な書き方は避け、できるだけ具体的に書きましょう(保険会社によっては明細の詳細を求める場合があります)。

ステップ5:合計金額の確認

明細行の入力が終わったら、合計金額が正しく算出されているか確認します。エクセルテンプレートでは多くの場合、合計欄にSUM関数が設定されており、自動で合計が計算されるようになっています。

先ほどの例であれば、3,000 + 2,000 + 1,500 = 6,500となるはずです。合計欄が自動計算でない場合は、自分で SUM 関数(例:=SUM(C5:C7) など)を入力して合算しましょう。税込/税抜の扱いについても確認します。

医療費が非課税であれば単に合計=支払額となりますが、課税対象費用がある場合は税額計算が必要です。テンプレートによっては税込金額と税額欄が分かれていることもありますので、フォーマットに従って記入してください。

最後に合計金額を円単位で記載し、「請求金額◯◯円(税込)」などと明示します。

ステップ6:備考や注記の追記

明細と金額の入力が完了したら、備考欄に必要な情報を追記します。例えば「上記金額は令和○年○月分の自己負担医療費です。」「保険会社提出用:契約番号123456」「○○株式会社健康保険組合提出書類」など、提出先に合わせた注記を加えると親切です。

ただし書きすぎると見づらくなるため、一言二言で要点のみ記載すると良いでしょう。また、振込口座を記載する場合もこの段階で入力します。口座情報は正確に写し、特に口座名義(カナ)を間違えないよう注意してください。

ステップ7:内容の最終チェック

完成した請求書を提出する前に、内容の最終チェックを行いましょう。以下の点に留意して確認します。

  1. 宛名・患者氏名・日付・金額などに入力漏れや誤りがないか
    (名前の漢字ミス、日付の西暦ミス、桁の入力ミスなど)。
  2. 計算が正しいか(合計金額、税計算の誤りがないか)。
  3. レイアウトは見やすいか
    (印刷プレビューで1ページに収まっているか、文字が小さすぎないか)。
  4. 提出要件を満たしているか
    (保険会社指定のフォーマットに概ね沿っているか)
  5. 押印が必要な場合は忘れずに押す
    (病院の公印や担当者印が求められるケースもあります)。

ステップ8:印刷またはPDF化して提出

エクセル上で問題がなければ、提出用に印刷またはPDF化します。紙で提出する場合はA4用紙に横縦の向きや余白を調整して印刷し、折り曲げずに提出できるクリアファイル等に入れると良いでしょう。

PDFで提出する場合(メール送付やオンライン請求等)は、エクセルからPDFに変換し、ファイル名を「医療費請求書_山田太郎_20250410.pdf」のように分かりやすく付けます。

電子提出の場合でも、自署や電子サインが必要ならPDF上で追記します。

以上が基本的な作成ステップです。実例を挙げながら説明しましたが、実際の状況に合わせて微調整してください。初めはテンプレート通りに埋めていけば難しくありません。ポイントは正確さ読みやすさです。

次に、請求書を作成する際に陥りやすいミスや注意点を見ていきましょう。

医療費請求書を作成する際の注意点とよくあるミス

医療費請求書を作成する際の注意点とよくあるミス

医療費請求書を作る際に気をつけたいポイントや、ありがちなミスをまとめます。せっかく書類を作成しても、誤りがあると再提出になったり、支払が遅れたりすることもあります。以下の点に注意して、正確な請求書を作成しましょう。

氏名や日付の入力ミス

患者氏名や宛名、日付といった基本情報の誤りは非常に多いミスです。特に宛名は提出先の正式名称(株式会社○○ なのか ○○株式会社 なのか等)を間違えやすい部分です。

患者氏名の漢字やフリガナも正確に転記しましょう。日付は和暦と西暦の取り違えや、年の誤り(2024年を誤って2023年と書く等)に注意が必要です。記入後には必ずダブルチェックして、ミスを潰してください。

金額の計算ミス

手作業で合計を計算する場合、桁の数え間違いや足し忘れが起こりがちです。ExcelでSUM関数を使っていても、範囲指定が間違っていると正しく合計されません(例えば最後の行が計算に含まれていない等)。

明細を追加・削除した際は計算式の範囲を更新するのを忘れないようにしましょう。また税込・税抜の金額を扱う場合は、税率の設定ミスや端数処理にも注意が必要です。

書式の乱れ・見づらさ

適切な書式設定がされておらず見づらい請求書は、読む側にストレスを与えます。

例えば桁揃えができておらず数字の位がバラバラ、罫線が抜けていて表として認識しづらい、フォントサイズが小さすぎる/大きすぎる、といったケースです。

プレビューで全体の体裁を確認し、読み手の立場で見やすいかどうかチェックしましょう。特に印刷時にページからはみ出していないか、項目名や金額が途中で切れていないかは要確認です。

必要項目の欠落

請求書に記載すべき情報が抜け落ちているミスも見られます。例えば、宛名を書き忘れた、発行日を入れていなかった、患者名の記載がない、合計金額の円単位を書いていない(¥マークや円を省略してしまった)等です。

提出先から「○○の情報が記載されていません」と指摘されると二度手間になります。テンプレートを使う場合でも、自身でチェックリストを作って、「宛名良し、日付良し、金額良し…」と確認する習慣をつけましょう。

提出形式の不備

印刷物で提出すべきなのにエクセルファイルのまま送ってしまった、逆にPDF提出指定なのに紙で郵送してしまった、といった形式の取り違えも注意です。保険会社や会社の指示に従い、適切な形式で提出します。

紙提出の場合は押印漏れ(求められているのに押していない)にも気を配ります。また、複数ページにわたる請求書を印刷する場合はページ番号やホチキス留めも忘れずに。

領収書等との整合性

保険金請求や医療費控除では、請求書や明細書の内容と実際の領収書の情報が一致している必要があります。例えば領収書の日付・金額と請求書のそれが違っていないか、記載漏れの領収書がないか、といった点です。

必ず手元の領収書類と照らし合わせて整合性を確認しましょう。医療費控除用の明細書では領収書の保存義務(5年間)がありますので、請求書にまとめた後も領収書は保管してください。

ファイル保存のミス

エクセルで作った請求書は後で訂正や使い回しができるよう保存しておくことが重要ですが、保存場所やファイル名の管理ミスにも注意です。

どの請求書が誰向けのものか分からなくならないよう、わかりやすいファイル名(例:「医療費請求書_20250410_山田太郎.xlsx」)を付け、整理されたフォルダに保存しましょう。

うっかり上書きして以前の内容を消してしまわないよう、ひな形はマスターファイルとして残し、案件ごとにコピーを作成する運用がおすすめです。

以上の点を念頭に置き、正確で見やすい請求書作成を心がけてください。次に、エクセルならではの便利機能である「関数」について、医療費請求書作成でよく使われるものを紹介します。

よく使われるエクセル関数の紹介(SUM、IF、VLOOKUPなど)

エクセルで医療費請求書テンプレートを扱う際に、知っておくと便利な関数をいくつか紹介します。複雑なマクロやVBAを使わなくても、基本的な関数を活用するだけで請求書作成がぐっと効率化します。

特に以下の関数はぜひ押さえておきましょう。

SUM(合計)関数

指定した範囲内の数値を合計する関数です。請求書では主に明細行の金額を集計して合計金額を算出するのに使います。

例えば、明細の金額がC列の5行目から9行目に入力されている場合、合計欄のセルに =SUM(C5:C9) と入力すれば自動で合計を計算してくれます。

手動計算ミスを防ぎ、明細を追加しても範囲を調整すれば即座に合計が更新されるので便利です。

IF(条件分岐)関数

指定の条件を満たすかどうかで、表示内容や計算を分ける関数です。請求書作成では、例えば「税込金額を表示するかどうか」を切り替えたり、「未払い時に『未収金あり』と表示する」ようなケースで使えます。

簡単な例として、セルA1に金額が入力されていなければ「※金額未入力」と表示し、入力されていればその金額を表示する、という式は =IF(A1=\”\”, \”※金額未入力\”, A1) のように書けます。

IF関数を活用することで、入力漏れのチェック条件付きの注意書き表示が可能になります。

VLOOKUP(検索)関数

表を検索して一致する値を取り出す関数です。医療費請求書では、別シートに用意したマスターデータから値を参照するのに役立ちます。

例えば、診療コードや施術コードを入力すると、その名称や料金を自動で引っぱってくる、といった使い方ができます。

また、患者IDから患者氏名・住所を参照して請求書に自動入力することも可能です。

書式は =VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, [検索方法]) の形で、例えばコード「1001」に対応するマスターテーブルから3列目の値(料金)を取ってくるなら =VLOOKUP(1001, マスター!A:D, 3, FALSE) のように設定します。

これにより入力作業を省力化し、打ち間違いも防ぐことができます。

SUMIF/SUMIFS(条件付き合計)関数

特定の条件に合致する数値だけを合計できる関数です。

例えば家族ごとの医療費総額を計算したいとき、「名前が山田花子の行だけ合計する」には SUMIF 関数が使えます(例: =SUMIF(A:A, \”山田花子\”, C:C) で、A列に名前、C列に金額が入っていると仮定)。

SUMIFS を使えば複数条件(例えば「2025年かつ山田花子」など)でも集計可能です。医療費控除用に人別・病院別の集計をするときなどに便利です。

TEXT関数・DATE関数など

書式を整えるTEXT関数や日付データを扱うDATE関数も場合によっては有用です。

例えば和暦表示が必要な場合はTEXT関数でエクセルの日付を和暦に変換することもできますし(=TEXT(A1, \”ggge年m月d日\”)など)、日付の差から入院日数を計算するDATEDIF関数等も考えられます。

ただ、医療費請求書テンプレートでは必須ではありませんので、必要に応じて活用してください。

以上、代表的な関数を挙げました。エクセルに不慣れな方でも、SUM関数さえ使えれば最低限の自動計算は可能です。IFやVLOOKUPは余裕があればチャレンジしてみましょう。

テンプレートによっては初めからこれらの関数が組み込まれているものもありますので、仕組みを理解しつつカスタマイズすると良いでしょう。

テンプレートを使った医療費管理のコツ

エクセルの医療費請求書テンプレートは、単に一枚の請求書を作るだけでなく、継続的な医療費管理にも役立ちます。ここではテンプレートを活用して医療費を効率よく管理するコツを紹介します。

家族の医療費を一括管理

一家の医療費をまとめて管理したい場合、エクセルテンプレートを家族用台帳のように使うのがおすすめです。方法の一つは、家族それぞれの医療費請求書を一つのブック(ファイル)内にシート分けして作成することです。

例えば「父」「母」「子1」「子2」というシートを用意し、それぞれに個人別の請求書フォーマットで年間医療費を入力します。こうしておけば年末に医療費控除用の合計を出す際も各シートの合計をSUMで集計するだけです。

また、別の方法としては、一枚のシートに家族全員のデータを入力し、「医療を受けた人」列を追加して名前を記入、後でフィルタ機能ピボットテーブルで人別に集計する方法もあります。

自分の使いやすい形で、家族分を一元管理できるよう工夫してみましょう。

月ごと・年度ごとにシートを分ける

医療費の発生が多い場合、長い一覧になると管理が大変になります。そこで、期間ごとにシートを分割する方法があります。例えば1ヶ月ごとにシートを作り「2023年1月」「2023年2月」…と月別に請求書(明細)をまとめます。

こうすると各月の医療費合計が把握しやすくなり、月ごとの変動や上限超過のチェック(高額療養費の有無など)もしやすくなります。最終的に年間集計が必要なときは12ヶ月分の合計を計算すればよいだけです。

また年度ごとにファイルを分けてアーカイブするのも良いでしょう(例:2023年分ファイル、2024年分ファイル)。期間区切りで管理すると過去データの参照もしやすく、ファイルが重くなりすぎないメリットもあります。

入力専用シート+請求書シートに分ける

エクセルに馴れてきたら、データ入力用のシートと請求書のフォーマットシートを分けて、入力内容を請求書に自動反映させる仕組みを作ることも検討してみましょう。

例えば「全履歴」シートに日付・患者名・病院名・金額・内容など一覧で入力し、そのデータから特定の期間や人の分だけを抽出して請求書様式に表示させる、といった運用です。

具体的にはVLOOKUP関数やFILTER関数(Excelの新機能関数)を使う方法や、ピボットテーブルで集計して請求書フォーマットにコピペする方法があります。

このようにデータベース+フォームの形にしておくと、一度データを入力するだけで請求書形式の書類を複数作れたり、分析に転用できたりします。ただし高度なスキルが必要なので、最初はシンプルな運用で問題ありません。

テンプレートの定期見直し

運用しているエクセルテンプレートは、状況の変化に応じてアップデートしましょう。

例えば適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まったことで、事業者として発行する請求書には適格請求書番号や税率の記載が必要になりました(もっとも医療費は非課税なので個人患者向けには対象外ですが、自由診療で課税売上がある場合など状況に応じて)。

こうした制度変更や、自分が使ってみて「ここを直したい」と思った点はその都度テンプレートに反映させます。

特に法令に関わる部分(様式の変更や保存要件など)は最新情報をチェックして、テンプレートが古いままになっていないか注意してください。

バックアップを取る

エクセルファイルはPCトラブルで消失するリスクもあります。重要なデータである医療費の記録は定期的にバックアップを取っておきましょう。

USBメモリやクラウドストレージ(DropboxやGoogle Drive等)にコピーを保存しておくと安心です。

特に年間通して入力し続けるファイルは、一年の終わりに「確定申告用最終データ」として別名保存してロックしておく(誤編集防止)といった工夫も有効です。

以上のコツを活かしながら、エクセルテンプレートを単発の請求書作成だけでなく、継続的な医療費管理にも役立ててください。エクセルなら自分好みに管理簿をアレンジできますので、試行錯誤しつつ最適な形を見つけましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「診療明細書」と「医療費請求書」は何が違うのですか?

A: 「診療明細書」は、患者が受けた診療の内容と点数・金額の詳細を記載した書類です。医療機関が発行し、各治療や検査ごとの費用を細かく明示した明細票で、公的医療保険のルールに基づき発行されます。

一方、「医療費請求書」は、支払いや請求のために金額を請求する書類であり、相手(患者や保険会社など)に金額を請求・通知する目的のものです。

簡単に言えば、診療明細書は治療内容の内訳説明、医療費請求書はお金を請求するための請求書類という違いがあります。

診療明細書は患者への情報提供や保険請求の際のエビデンスとして使われ、通常は患者が負担した金額と保険負担分が分かる形になっています。

一方で請求書は、例えば「○○円を請求します」という合計額主体のフォーマットで、内訳は簡略化されることもあります。

ただし用途によっては両者の内容が似通うこともあり、保険会社によっては診療明細書そのものの提出を求めたり、また医療費請求書に明細的な記載を求める場合もあります。

まとめると、診療明細書=治療内容の明細記録、医療費請求書=料金請求のためのビジネス文書という位置づけです。領収書とも異なりますので混同しないよう注意しましょう。

Q2. 医療費の請求書は手書きでも大丈夫でしょうか? 

A: 手書きの請求書でも形式上は有効ですし、法律上「手書きでないとダメ」という決まりはありません。ただし、手書きだと読みづらくなったり計算ミスが起きやすかったりします。

実務的にはエクセルなどで作成したパソコン印字の請求書のほうが望ましいでしょう。

特に保険会社や企業に提出する書類は、相手も多数の書類を処理しますので、判読しやすさ正確さの面でパソコン作成が推奨されます。

また、医療機関側で大量に請求書を発行する場合、手書きでは非効率です。エクセルテンプレートを使えば一度作ってしまったフォーマットに数字を入れるだけなので、手書きより早くてミスも減ります。

どうしても手書きで作成する場合は、定規を使ってまっすぐ書く、消せるボールペンは使わず黒インクでハッキリ書く、漢数字(壱、弐 etc.)を使って改ざん防止する(大金の場合)など配慮しましょう。

ただ近年は、パソコン作成+押印という形式が一般的になっていますので、可能であればエクセル等での作成をおすすめします。

Q3. 医療費の請求書に領収書(原本)は必要ですか?

A: 医療費請求書自体には領収書原本を貼り付けたり添付する欄は通常ありません。ただし、提出先によっては領収書の原本またはコピーを併せて提出する必要があります。

例えば保険金請求では、請求書とは別に医療機関発行の領収書や診断書の提出が求められますし、会社の医療費補助でも領収書原本提出が条件の場合があります。

確定申告の医療費控除では現在領収書の提出は不要ですが、税務署から問い合わせがあれば提示できるよう5年間保管義務があります。従って、請求書を作ったとしても領収書そのものが不要になるわけではない点に注意してください。

請求書はあくまで金額や内訳をまとめた書類であり、実際に支払った証拠としての領収書は別途重要です。提出時にどこまで要求されているかを確認し、必要なら領収書(または診療明細書等)をセットで提出しましょう。

以上、医療費請求書テンプレートに関する深堀りガイドでした。保険会社への請求、確定申告、会社への申請など、それぞれの場面で本記事の内容を参考に役立ててください。

医療費の書類整理がスムーズに進み、皆様の時間節約と負担軽減につながれば幸いです。

この記事の投稿者:

hasegawa

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