
ビジネスシーンにおいて、はがき郵便は意外なほど頻繁に利用されています。
企業から顧客へのダイレクトメール(DM)、取引先への季節の挨拶状、イベントやセミナーの案内状など、はがきは様々なビジネス用途で活躍するツールです。
特に最近では郵便料金の改定が相次いでおり、「ハガキ 切手」に関する最新情報を把握しておくことが重要になっています。
本記事では、ビジネスでのはがき郵便の使い方と注意点、切手の貼り方や料金不足を防ぐコツ、最新のはがき郵便料金とその変遷、郵便料金の値上げに対する企業の対応策、そして日本郵便が提供する法人向けのサービスや割引制度まで、包括的に解説します。
郵便に関する正しい知識を身につけ、無駄なコストやトラブルを避け、ビジネスにおけるコミュニケーションをより円滑に行いましょう。
目次
ビジネスシーンではがき郵便を活用する場面と注意点
企業がはがきを送るシーンとしては、顧客へのDM(ダイレクトメール)が代表的です。
新商品やキャンペーンのお知らせ、店舗のオープン案内など、はがきは受取人が封筒を開封せずとも内容を目にできるため、宣伝効果の高い手段といえます。
また、年賀状や暑中見舞いといった季節の挨拶状を取引先や顧客に送るケースも多く、ビジネス関係を円滑にするツールとして重宝されています。
そのほか、セミナーや展示会への招待状、アンケートのお願い、顧客からの返信を受け取るための往復はがきなど、用途は多岐にわたります。
はがきをビジネスで利用する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。まず、はがきは封書と違い内容が誰の目にも触れるため、記載する情報には配慮が必要です。
顧客の個人情報や機密性の高い内容(例えば詳細な契約情報や請求金額など)ははがきには適しません。このような場合は封筒に入れて送付するか、電子メールなど他の手段を検討すべきです。
逆に、広く告知したい情報(セールの案内やイベント告知など)はがきで送ることで手軽に周知できますが、内容が一目で分かる分、誤字脱字があればそのまま相手に伝わってしまいます。
ビジネス用のはがきを作成する際は、文面や宛名にミスがないよう十分に校正しましょう。
宛名書きにもマナーと注意が求められます。はがきの宛名面には、会社名や担当者名を正確に記載し、敬称(「様」「御中」など)を適切に使い分けます。
特にビジネスでは、担当者個人宛ての場合は「〇〇様」、部署名のみなら「〇〇御中」のように使いますが、部署名と担当者名の両方を書く場合は「〇〇部 △△様」のように肩書と氏名を併記し、「御中」は付けません。
敬称を誤ると相手に失礼となるため注意が必要です。また、役職名は氏名の前に付ける、連名で出す場合はそれぞれに「様」をつけるなど、封書の場合と同様のビジネスマナーを守ります。
はがきには差出人の情報も明記しましょう。会社名・住所・担当者名をはがきの裏面(通信面)か宛名面の差出人欄に記載しておくことで、万一宛先不明などで返送される場合にもスムーズに自社に戻ってきます。
差出人を印刷しておくと大量発送の際にも便利です。
特にDMなど一度に多数のはがきを送る際には、宛名や差出人の印字をシステム化したり外部のサービスに委託したりすることで、手書きによる誤記入や抜け漏れを防ぎ、作業効率を向上させることができます。
さらに、はがきを送る際には郵便枠(切手を貼る位置や郵便番号を記入する枠)のレイアウトにも注意します。
市販の官製はがき(日本郵便発行の郵便はがき)には切手の印刷や郵便番号欄が既に印刷されていますが、自社でオリジナルデザインの私製はがきを作る場合は、日本郵便が定めるレイアウトに従いましょう。
郵便番号の枠は所定の位置に朱色で印刷し、切手貼付欄も上部に空けておく必要があります。不明な場合は郵便局のガイドラインを参照するか、試しに一枚郵送して問題なく届くか確認すると安心です。
最後に、はがきのデザインや切手の選択にも気配りが求められます。ビジネス用途であまりに派手すぎるイラストやカジュアルすぎる文面は避け、企業のイメージに合った落ち着いたデザインにするのが一般的です。
特に喪中はがき(訃報や年賀欠礼の挨拶状)の場合、華美な模様は控え、切手も弔事用の静かなデザインのものを選ぶといった配慮が必要です。受け取った相手に安心感と信頼感を与えられるような郵便物になるよう心掛けましょう。
はがきに差額の切手を貼る際の注意事項
郵便料金が改定されると、手元にある古い料金の官製はがきを使う際に「差額切手」を貼って不足分を補う必要が生じます。
例えば、以前の料金である63円のはがきを持っていて、現在の料金が85円に上がっている場合、そのままでは22円分料金が足りません。差額である22円分の切手を追加で貼れば、そのはがきを引き続き利用できます。
ただし、差額切手を貼る際にはいくつかの注意点を守らないと、郵便局で無効と判断されたり、配達が遅れたりする可能性があります。
まず、切手を貼る位置と範囲についてです。はがき(縦長にした場合)の左上部分には、縦7cm×横3.5cm以内の範囲に切手を貼ることと定められています。
これは郵便物を機械で仕分けし、消印(郵便局のスタンプ)を正しく押すための決まりです。官製はがきの場合、既に左上に印刷された切手(料金表示)があるため、追加の切手はその下にずらして貼るようにします。
この決められた範囲内に収まるように切手を貼れば、郵便局の機械が問題なく認識し消印処理を行ってくれます。
複数枚の切手を貼る場合にも注意が必要です。差額が大きい場合、小額の切手を何枚も貼ると7cm×3.5cmのエリアに収まりきらないことがあります。
範囲からはみ出した切手がある場合でも、その郵便物が即無効になるわけではありませんが、機械では消印できないため郵便局員が手作業で処理することになります。
人手を煩わせることにもなりますので、可能であれば追加の切手はできるだけ少ない枚数で済むよう、高額面の切手を用意する工夫も大切です。
一方で、貼りきれないからといって切手を重ね貼りする行為は絶対に避けてください。切手を一部でも重ねてしまうと下になった切手の額面が読み取れず、無効とみなされる恐れがあります。
重ね貼りされたはがきは差出人に返送されたり、運良く配達されても受取人に不足料金の支払いを求められるリスクがあります。こうした事態を招かないよう、切手は必ず見えるように並べて貼るようにしましょう。
往復はがきを使用する場合にも差額貼付の注意があります。往復はがき(返信用はがき付きのはがき)は、往信用・返信用の双方に所定の料金が必要です。
旧料金で発行された往復はがきを現在も利用する場合、往信面・返信面の両方に不足分の切手を貼らなくてはなりません。特に返信用はがき側への貼り忘れが起こりやすいので気を付けましょう。
もし自社で私製の往復はがきを作成している場合も、同様に現行料金分の切手を往信・返信それぞれに貼付する必要があります。差額切手を貼る際には、切手のデザインにも配慮すると良いでしょう。
追加で貼られた切手はどうしても目につきやすくなります。
ビジネスの案内状などでは特に、季節感のある切手や送る相手の土地・嗜好にちなんだ切手を選ぶことで、細かな気遣いとして相手に伝わることがあります。
ただし前述の通り、弔事用の郵便には華美なデザインは避けるなど、場面に応じた選択をします。
切手の種類によって郵便料金の扱いが変わることはありませんが、受取手の印象にも関わるポイントとして押さえておきましょう。
最後に、料金不足や過剰の場合の扱いについても知っておく必要があります。万一、差額の貼り忘れなどではがきの料金が不足していると、郵便局で二通りの対応がとられます。
差出人の管轄にある郵便局(集配担当の郵便局)で不足が判明した場合は、そのはがきは差出人に返送されてきます。
一方、配達過程で他の郵便局まで運ばれてから不足が見つかった場合は、「料金不足のお知らせ」が添えられて受取人に配達されます。
受取人は不足分の料金を支払ってはがきを受け取るか、支払いを拒否して受取自体を拒否することもできます。受取拒否となったはがきは、最終的に差出人に返送されることになります。
いずれにしても相手方に迷惑をかけたり、自社の信用を損ねたりしかねませんので、料金不足は絶対に避けるよう注意しましょう。
逆に、はがきに貼った切手が必要額より多い場合(過剰に切手を貼っている場合)はどうなるでしょうか。この場合、基本的には問題なくそのまま配達されます。郵便物は所定額以上の料金が支払われていれば不足扱いにはなりません。
ただし当然ながら超過分の払い戻しはされませんので、企業として大量の郵便を扱う際は無駄のない料金設定にしたいところです。
例えば、はがきのサイズや重量が規定ギリギリで、定形郵便になるか定形外郵便になるか微妙な場合には、念のため多めの切手を貼って不足を防ぐ方法もあります(サイズ超過や重量超過で本来より高い料金区分に該当する場合、差額の請求なしに届けてもらえることがあります)。
しかし常に過剰な料金で出すのはコスト増につながりますから、郵送物のサイズ・重量を把握して適切な料金分の切手を貼付することが重要です。
はがきの郵便料金
ビジネスで郵便を利用する上で、最新の郵便料金を正確に把握しておくことは基本です。2024年10月1日、郵便料金の大幅な改定が行われ、通常はがきの送料がこれまでの63円から85円へ引き上げられました。
往復はがきについても従来の126円(往信用・返信用各63円)から170円(各85円)に変更されています。これは消費税率の変動を除けば約30年ぶりの大幅な値上げとなり、企業や個人に与える影響も小さくありません。
まず、現行のはがき料金を整理すると、国内で出す通常はがきは1通85円です。往復はがき(返信はがき付きのもの)は往信・返信各85円分で合計170円となります。これらは日本全国どこへ送っても一律の料金です。
特殊な用途として、選挙の際に候補者が有権者に送る「選挙運動用通常はがき」というものがありますが、これは通常郵便とは異なる特殊な割引料金や枚数制限等が適用されます(一般のビジネス利用とは異なるため詳細は割愛します)。
また、海外宛ての国際郵便はがきの場合、料金は国内とは別体系で設定されています。
航空便の通常はがき料金は宛先にかかわらず一定金額(例えば70円程度)で設定されていましたが、最近は地域区分に応じた料金体系への移行が進んでいます。
国際郵便の料金は為替や輸送コストによって変更されることもあるため、海外にはがきを送る際は事前に日本郵便の国際郵便料金表を確認すると良いでしょう。
はがきの郵便料金の変遷を振り返ってみると、その時代ごとの経済状況や消費税改定などに伴い何度か改訂されてきました。1989年に消費税導入ではがきは41円となり、1994年の税率引き上げ時には50円に変更されています。
長らく50円で据え置かれた後、2014年4月の消費税8%化に伴い52円へと改定されました。
2017年6月には、人口減やメール普及による郵便事業環境の変化を受け、大幅なベースアップが実施されはがきは62円になりました(ただし同年末の年賀はがきについては一時的に52円の特例が適用されました)。
2019年10月、消費税が10%に上がると同時に、はがき料金も63円へ改訂されています。
そして冒頭で述べた通り2024年10月に63円から85円への値上げが行われました。郵便物の減少や人件費・輸送費の上昇を背景とした抜本的な値上げであり、今後も状況によってはさらなる改定が検討される可能性があります。
なお、日本郵便が発行する「郵便はがき」(いわゆる官製はがき)には最初から切手相当額が印刷されています。
郵便局やコンビニエンスストアで販売されている通常はがき(胡蝶蘭の切手印刷があるものなど)を使用する場合、改めて切手を購入して貼る必要はありません。
一方、文具店や印刷会社で購入・作成した私製はがきを使う場合は、そのはがきが規定サイズ・重量内であれば自分で切手を貼って送ることができます(はがきとして出せるサイズには前述の通り制限がありますので注意してください)。
官製はがきは切手代込みのため1枚あたり85円で販売されていますが、私製はがきはデザインの自由度が高い反面、送料分の切手を別途用意する手間がかかります。
ビジネスでは、自社ロゴや製品写真入りのオリジナルはがきを印刷してDMに用いるケースも多く見られますが、その際は切手代を含めたコスト計算を事前に行いましょう。
はがきを大量に発送する企業の場合、今回の料金改定によるコスト増は見過ごせないものがあります。
仮に毎月1,000通のはがきを顧客向けに発送しているケースでは、63円時代は月63,000円の送料だったものが、85円では月85,000円となり月々22,000円の負担増となります。年間では約26万円もの増加です。
発送枚数が多ければ多いほど負担増は大きくなり、郵便をマーケティングや通知手段の中心に据えている企業ほど対策が急務となります。
ここで、はがきとして送付できるサイズ・重量の上限についても押さえておきましょう。通常はがきとして定義される郵便物は、サイズが縦14cm×横9cm以上、縦15.4cm×横10.7cm以下、重量は2g以上6g以下と規定されています。
これらの重さやサイズを超えた場合は、形状や重さによって「定形郵便物」または「定形外郵便物」として扱われ、はがきの料金では送れなくなります。
例えば、厚みのある紙を使ったはがきやシール・磁石などを貼り付けて装飾した結果重量が6gを超えてしまった場合、その郵便物は定形郵便(封書扱い)となり、所定の84円(改定前)/110円(改定後)などの料金が必要になります。
サイズが大きすぎる場合も同様です。ビジネスでDMはがきを作成する際に、つい情報を詰め込みすぎて大型化したり重くなりすぎたりすると、せっかくのはがきが割高な郵送費になってしまうことがあります。
企画段階で郵便規格内に収まるよう設計し、無駄なコストを発生させないようにすることも大切です。
郵便料金値上げに対する事業者の対応策
郵便料金の値上げは、郵便物を多く利用する事業者にとって無視できないコスト増要因です。
はがきの料金アップだけでなく、定形郵便(封書)も2024年10月から従来の84円(25g以内)が110円(50g以内に一本化)に引き上げられています。
定形外郵便物や速達料金なども軒並み上がっており、郵送関連費用全般が増大する中、各社とも様々な工夫で対応を図っています。ここでは、郵送コストの上昇に対抗するための有効な方法をいくつか紹介します。
電子メールや電子文書の活用
これまで郵送で行っていた取引を電子化することで、郵送コストを削減できます。例えば、毎月の請求書や納品書、契約書類などを紙の郵送ではなくPDFなど電子データに変更し、メールに添付して送信すれば郵送費を抑えられます。
請求書等の書類を電子化することで、印刷コストの削減もできるでしょう。メールなら送信ボタン一つで即座に多数の顧客に届けられ、送信コストはほとんどかかりません。
SMS(ショートメッセージサービス)も文字数によって数円~数十円で送信でき、はがきよりも早くて低コストです。
郵便物として形に残るメリットは失われますが、即時性や費用面で優れるデジタル手段を併用・活用することは、現代のビジネスにおいて欠かせない検討事項でしょう。
発送タイミングや方法の工夫
郵送が必要な場合でも、その送り方を工夫できます。複数の資料や案内を同じ取引先に送る際には、内容をまとめて1通の封書に同封し、発送回数を減らすことでトータルの郵送費を抑えられます。
例えば、月に2回新商品案内を送っていたのを1回にまとめて同封すれば、郵便料金は約半減します。また、発送の頻度を見直し、「毎月送付」から「隔月送付」や「必要時のみ送付」に切り替えるのも有効です。
郵便料金の値上げを機に、どの郵便物が本当に郵送が必要か、あるいは頻度を減らせないか検討する企業も増えています。
大量発送時の割引制度の利用
日本郵便には、郵便物を大量に差し出す場合に料金が割引になる各種制度があります。
例えば、ダイレクトメールのように同じ内容の郵便物を一度に何百通も発送する場合、「広告郵便物割引」という制度が適用でき、差出通数に応じて郵便料金が8%から最大で40%以上割引されます。
割引率は発送数や郵便物の種別(はがきか封書か)によって細かく設定されています。
また、事前に郵便物にバーコードを印刷して機械読取を容易にすると「バーコード割引」、自分であて先別に区分(仕分け)をして郵便局に持ち込むと「区分郵便物割引」といった制度もあります。
さらに、配達日数に余裕を持たせることを条件に割引が加算されるケースもあります(通常より配達が数日遅れてもよい郵便物を対象にした割引制度)。
例えば、「郵便区内特別郵便物」という制度では、同一郵便局の管内宛ての郵便物を100通以上まとめて差し出すと料金が割安になり、1,000通以上でさらに安くなる優遇があります。
同じ地域の顧客にDMを送る場合などに利用すると効果的です。
これらの制度を活用するには事前申請や郵便局との調整が必要ですが、大量郵送を行う事業者であれば検討する価値が高いでしょう。
日本郵便以外のサービス検討
郵便にこだわらず、民間の宅配業者や専門サービスを利用するのも一つの手です。
ヤマト運輸の「クロネコDM便」や佐川急便の「飛脚メール便」(いずれも信書は送れませんが、カタログやチラシの配布に適しています)、あるいは地域限定でポスティング(住所あてではなく特定エリア内の全戸配布)を請け負うサービスも存在します。
郵送物の内容や目的によって、どの手段が最も費用対効果に優れるかを比較検討しましょう。
特にDMに関しては、宛名のないチラシ配布が広告効果を発揮する場合もありますので、自社の商品やサービスに応じて適切な手段を選ぶことが重要です。
郵送物の形状・重量の見直し
郵便料金はサイズと重さで決まりますから、発送する物自体を見直すことも有効な対策です。
例えば、毎回封書で送っていた案内を、折り加工を施した圧着はがき(一枚のはがきを二つ折り・三つ折りに圧着して中面に情報を印刷できるもの)に切り替えれば、封筒代も封入の手間も省け、送料もはがき代で済むためコストダウンが可能です。
逆に資料が多くて封筒が厚く重くなりがちな場合は、いっそレターパックやゆうパック(小包)でまとめて送付し、中で個々の資料を仕分けるなどにすれば、一件あたりの送料は上がっても発送回数自体を減らせる場合もあります。
また、前述のように郵便物を軽量化する努力も有効です。
紙質を見直して軽いものに変更したり、カタログを物理発送せずはがきや定形郵便物にQRコードを印刷し「詳細はウェブで閲覧」という形式にすることで、大判のカタログ送付を省略する方法もあります。
デジタルコンテンツで補完すれば、閲覧者の反応データを収集できるというメリットも得られます。
宛先リストのメンテナンス
意外に見落とされがちですが、宛名データベースの管理もコスト対策の一環です。住所不明や転居先不明で戻ってくる郵便物が多いと、それだけ送料と印刷の無駄遣いになります。
定期的に顧客リストや会員情報を更新し、不要な送付先や誤った住所を整理しましょう。
最近では顧客管理システム(CRM)の導入によって住所データを最新に保つ企業も増えています。
メールなど他の連絡手段と組み合わせ、はがき発送対象を絞り込むことも有効です。「とりあえず全員に送る」のではなく、送付先をきちんと選別することで郵送コストの肥大化を抑制できます。
作業効率化によるコスト削減
郵送物の準備には、人手や時間もかかります。料金自体の削減策ではありませんが、業務効率を上げて人件費などの間接コストを減らすこともトータルな対策として重要です。
宛名印字や封入といったルーティーン作業には自動化システムを導入することで、人件費のコスト削減ができます。作業のスピードアップや品質の向上も実現できるでしょう。
DM発送の代行会社に一連の作業を任せるという方法もあります。費用を比較検討し、よりコストのかからない方法を見極めるとよいでしょう。
日本郵便の法人向けサービスと割引制度
日本郵便では、法人や事業者向けに郵送を支援する様々なサービスや契約プランを提供しています。大量の郵便物を差し出す企業にとって、これらの制度を活用することでコスト削減や業務効率化が期待できます。
ここでは主なビジネス向け郵便サービスと割引制度を紹介します。
料金別納郵便
大量の郵便物に一通ずつ切手を貼るのは手間がかかります。料金別納郵便は、あらかじめ郵便局から承認を得て所定の「料金別納」表示を封筒やはがきに印刷しておくことで、切手を貼らずにまとめて差し出せる仕組みです。
同時に10通以上(国内郵便物の場合)の郵便物を出すことが条件で、差し出しの際にまとめて郵便料金を支払います。割引自体はありませんが、切手貼付の手間が省け、発送作業を大幅に効率化できます。
DM発送や請求書の一斉送付などで多用される方法です。
料金後納郵便
後納はさらに大口の法人向けサービスで、一定期間(通常1ヶ月)に発送した郵便物の料金を後払い(まとめて一括請求)できる制度です。毎月の郵便物差出通数が一定以上ある企業が郵便局と契約を結ぶことで利用できます。
後納郵便を利用すると、一件一件の差出時に料金支払いをする必要がなくなり、月締めの請求書払いとなります。切手代の都度精算が不要になるため、経理処理も簡略化されます。
料金別納と同じく切手貼付の手間もありません。大量のDMや定期的な会報発送などを行う企業は、この後納契約を結ぶことで郵送業務が大いに効率化されるでしょう。
広告郵便物割引
広告(セール案内や商品紹介など営利目的の案内)を目的とした同一内容の郵便物を大量に発送する場合、日本郵便の「広告郵便物割引」が適用できます。
最低差出通数ははがきの場合2,000通など条件がありますが、発送数に応じて段階的に割引率が高まり、大量に出すほど1通あたりの送料が安くなります。
事前に郵便局へ差出物の内容見本を提出し承認を受ける必要がありますが、一度にまとめてDMを発送する際には非常に有効なコスト削減策となります。
例えば、5,000通のダイレクトメールはがきを広告郵便物割引で差し出した場合、通常85円×5,000通(425,000円)のところ、割引適用後には数万円規模で費用を圧縮できる可能性があります。
マーケティング施策でDMを活用する企業はぜひ検討したい制度です。
ゆうメール・特約ゆうメール
ゆうメールは、日本郵便が提供する冊子や小型物品向けの低料金配送サービスです。重量制限内であればカタログや書籍、CD/DVDなどを安価に送れます(※信書は送れず、検閲できるよう封筒は開封可能にする等の条件があります)。
通常のゆうメールは150gまで180円など重量に応じた料金体系ですが、チラシ1枚程度の軽い郵便物は対象外でした。
そこで法人向けには「特約ゆうメール」という契約サービスがあり、定められた一定の条件を満たし、日本郵便と直接契約することで利用できます。
冊子や商品カタログなど、定期的に郵便物を大量発送している事業者に適したサービスです。
軽量なDMやパンフレット類も対象になり、ゆうメールよりもリーズナブルな料金で発送できるのが特約ゆうメールの特徴です。
例えば、毎月数千部の商品カタログを顧客に郵送しているような場合、特約ゆうメール契約によって大幅な送料削減が期待できます。
その他の割引制度
ビジネスで郵便を利用する際に知っておきたい制度は他にもあります。前述のバーコード割引・区分割引も法人の大量差出で利用される代表例です。
また、配達日数に余裕を持たせる「送達日数調整による特別割引(特割)」などを組み合わせればさらに割引率が上乗せされます。
一方、割引ではありませんが「配達日指定郵便」など特殊取扱サービス(追加料金で特定の日に配達してもらう)や「料金受取人払制度」(あらかじめ許可を得ておき、返信はがき等の料金を受取人である企業側が負担する仕組み)もビジネスではよく利用されます。
料金受取人払の返信はがきは、アンケートや資料請求の返信用として顧客に負担をかけずに返送してもらえるメリットがありますが、利用には郵便局の許可申請が必要で、返送されてきた分の郵送料金を後日まとめて支払う形になります。
こうした制度を駆使することで、顧客対応の質を落とさずに郵送関係の利便性や効率を高めることができます。
法人向けオンラインサービス
日本郵便では法人向けにオンラインで郵便関連手続きを行えるサービスも整備しています。
大量の切手を貼らなくても、インターネット上で郵便料金を支払い発送ラベルを印刷できる「クリックポスト」や、ゆうパック等の送り状を一括管理できる法人専用サイト、郵便料金の計算や集荷依頼ができるウェブツールなど、ITを活用した支援も提供されています。
特に近年では、郵便利用額に応じてポイント還元を受けられたり、一定量以上の利用でキャッシュバックを受けられたりするキャンペーンが行われることもあります。
常に最新の情報を日本郵便の公式サイトでチェックし、自社に適したサービスがあれば積極的に取り入れると良いでしょう。
まとめ
はがき郵便と切手に関するビジネス向けの知識とノウハウについて、郵便料金の基礎から最新の改定情報、そしてコスト増に対応する術や各種サービスまで幅広く解説してきました。
郵便は古くから企業活動を支える重要なコミュニケーション手段であり、デジタル化が進む現代でも、DMや挨拶状、物理的な書類の送付が必要な場面は少なくありません。
だからこそ、正しい郵送マナーや最新の料金制度を理解し、無駄のない形で活用することが求められます。
郵便料金の値上げは企業経営における避け難いコスト増要因ではありますが、その影響を緩和する手段も多数存在します。
郵便局の提供する割引制度や法人サービスを利用したり、発送方法自体を見直したりすることで、必要な郵送は維持しつつ経費を抑えることが可能です。
また、デジタル技術との併用によって紙の郵送頻度を減らし、環境負荷軽減や業務効率化にも繋げることができるでしょう。
大切なのは、郵便のプロである日本郵便の情報を定期的にチェックし、変更点に対応する姿勢と柔軟な発想です。ビジネスに役立つはがき郵便の知識を味方につけて、顧客とのコミュニケーションやマーケティング活動をより効果的かつ経済的に展開していきましょう。
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