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個別注記表とは?必要な理由や記載項目を分かりやすく解説

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個別注記表

個別注記表とは、決算に関連して作成する書類であり、貸借対照表や損益計算書を補足する役割があります。本記事では、個別注記表の記載項目などについてわかりやすく解説します。

個別注記表とは

個別注記表とは、決算書に関する補足についてまとめた書類です。

そもそも決算書とは、貸借対照表や損益計算書といった決算に関わる複数の書類の総称であり、それらを元に経営陣が今後の経営戦略を考えます。また、社内だけではなく取引先や投資家といった外部の関係者が閲覧し、会社の経営状況をチェックすることもあります。

以前は決算書に補足すべき情報がある場合、それぞれの決算書に直接記載されていました。しかし、現在はそれらの補足を個別注記表として独立した書類に作成する決まりになっています。個別注記表は後述する19項目の事項が存在し、会社の規模などによっても記載する事項は異なります。

決算書については、以下の記事でも詳しく解説しています。

関連リンク:決算書とは?役割や種類、関連用語、作成の流れを解説!

個別注記表を作成する理由

個別注記表を作成

個別注記表は、貸借対照表や損益計算書といった決算書だけでは表せない情報をまとめるために作成します。

株式会社は、会社の所有者(株主)と経営者が分離されているため、会社は株主に対して経営状況を報告しなければなりません。報告には貸借対照表や損益計算書が用いられますが、それらの書類だけで経営状況を十分に伝えるのは難しいでしょう。

そこで、会社の状況をより具体的に報告するために作成するのが個別注記表です。株主などの関係者が個別注記表を閲覧することで経営状況を詳しく把握でき、投資や取引に関する判断に役立てられるでしょう。

個別注記表の記載項目

個別注記表の記載項目

個別注記表には「重要な会計方針に係る事項に関する注記」や「貸借対照表等に関する注記」など19の項目があります。個別注記表に記載する項目やその条件について詳しく見ていきましょう。

記載項目は公開会社か非公開会社かによって変わる

個別注記表の記載項目は、公開会社であるか非公開会社であるかどうかによって異なります。公開会社は全部または一部の株に譲渡制限がない会社を、非公開会社は全ての株式に譲渡制限が設けられている会社を指します。

個別注記表に記載が必要な項目

個別注記表に記載する項目は以下の通りです。記載しなくてはいけない項目を「◯」として紹介しています。

項目名公開会社非公開会社内容
1.継続企業の前提に関する注記株式会社が事業を継続する上での前提に、重大な疑義を生じさせる事象(売上の大幅な減少など)があった場合の理由や対応策
2.重要な会計方針に係る事項に関する注記重要な会計方針について
・資産の評価基準や評価方法
・固定資産の減価償却の方法
・引当金の計上基準・収益および費用の計上基準 
など
3.会計方針の変更に関する注記会計方針を変更した際の変更内容や理由など
4.表示方法の変更に関する注記会計計算規則を改正したことによって表示方法を変更した際の変更内容や理由など
5.会計上の見積りの変更に関する注記会計上の見積りの変更をした際の変更内容や、変更が計算書類に与える影響額など
6.誤謬の訂正に関する注記過去の決算書に誤りがあった場合の内容や、純資産額に対する影響額
7.貸借対照表等に関する注記貸借対照表に関する以下の事項
・担保に供している資産および担保に係る債務
・資産から直接控除した引当金
・資産から直接控除した減価償却累計額
・減損損失累計額・保証債務等 など
8.損益計算書に関する注記関係会社との取引額の総額について、営業取引とそうでないものに区分して記載する
9.株主資本等変動計算書に関する注記株主資本等変動計算書に関して、事業年度末日における以下の事項
・発行済株式の数
・自己株式の数
・事業年度中に行った剰余金の配当
・株式引受権に係る株式の数
・発行している新株予約権
10.税効果会計に関する注記以下が発生した場合の原因
・繰延税金資産
・繰延税金負債
11.リースにより使用する固定資産に関する注記ファイナンス・リース取引の借主が通常の売買取引にかかる方法に準じて会計処理を行っていない場合の、リース物件に関する事項
・取得価額相当額
・減価償却累計額相当額 など
12.金融商品に関する注記金融商品の状況や時価など
13.賃貸等不動産に関する注記賃貸等不動産の状況や時価など
14.持分法損益等に関する注記関連会社がある場合
・関連会社への投資金額
・持分法を適用した場合の投資の金額
・投資利益(損失)の金額

開示対象特別目的会がある場合
・開示対象特別目的会の概要
・開示対象特別目的会との取引の内容や金額 など
15.関連当事者との取引に関する注記親会社や子会社・主要株主など、関連当事者との間に取引が生じた場合事項
・相手の名称
・相手との関係性
・取引の内容
16.一株当たり情報に関する注記・一株当たりの純資産額
・当期純利益金額(または当期純損失金額)
17.重要な後発事象に関する注記決算日以降、翌事業年度以降の財産や損益に重要な影響を及ぼす事象が起こった場合、その内容
18.連結配当規制適用会社に関する注記当事業年度の末日が最終の事業年度の末日となり、かつその後に連結配当規制適用会社となる場合、その旨
18-2.収益認識に関する注記収益の分解情報や、収益を理解するための情報など
19.その他の注記これまでの区分に該当しないものの、貸借対照表・損益計算書などによって会社の財産や損益を正確に判断するために必要な事項がある場合、その旨

なお「◯」と記載されている項目でも、その事由が生じていない場合には記載しなくて構いません。また、会計監査人設置会社は原則としてすべての項目の記載が必要です。

参照:会社計算規則(第九十八条)

規模や企業形態にかかわらず記載が必要な項目

2.重要な会計方針に係る事項に関する注記

3.会計方針の変更に関する注記

4.表示方法の変更に関する注記

6.誤謬の訂正に関する注記

18-2.収益認識に関する注記

19.その他の注記

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まとめ

個別注記表は貸借対照表や損益計算書といった決算書を補足するために作成する書類です。決算書だけでは伝わりにくい細かな情報も、個別注記表によって株主や取引先などの関係者に共有できます。

個別注記表は会社の属性や状況によって記載すべき項目が異なります。また、株式会社の決算に対応した会計ソフトでは、ソフト上で情報を入力することで個別注記表を作成できるものもあります。

この記事の投稿者:

hasegawa

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