飲食店の税理士は「儲かる仕組み」づくりから。費用相場と経営を伸ばすパートナーの選び方

あなたがもし「売上は好調なのに、なぜか手元にお金が残らない」と感じているなら、その悩みは解決できます。税理士というパートナーを得ることは、単なる「確定申告の外注」ではありません。

それは、日々の数字のプレッシャーから解放され、あなたが本当にやりたかった「料理」や「おもてなし」という本業に再び集中するための、最も効果的な経営戦略です。

多くの飲食店経営者が、税理士のサポートによって経営の悪化にいち早く気づき、キャッシュフローを改善しています。

専門知識は不要です。「税理士は費用が高い」という不安があるかもしれません。しかし、この記事では、いつ、どんな税理士を、いくらで選ぶべきか、その具体的な判断基準を徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたは「税理士に丸投げする」のではなく、「経営パートナーとして活用する」ための具体的な行動計画を手にしているでしょう。

飲食店経営に税理士は本当に必要か？

「小さい店だし、経理は自分でできる」「月々の費用がもったいない」。そう考える飲食店経営者は少なくありません。確かに、税理士は法律上、必須ではありません。

しかし、多くの経営者が後になって「最初から依頼すればよかった」と口にします。それは、飲食店特有の「お金の流れの罠」と、「見えない損失」が存在するからです。

経営者が陥る「どんぶり勘定」の罠

飲食店経営の経理は「現金主義」が基本です。毎日レジに現金が入り、仕入れ先に現金を支払う。このシンプルな構造が、「お金の管理は簡単だ」という誤解を生みます。

しかし、この「現金主義」の感覚こそが、経営の「見える化」を妨げる最大の罠です。

例えば、月末にレジに 50 万円の現金が残っていたとします。経営者は「今月は 50 万円の利益が出た」と安心するかもしれません。

しかし、その陰には、まだ支払っていない「翌月払いの食材費」や「月末締めのスタッフの給与」、「今月発生した水道光熱費」が隠れています。これらは「費用」としてすでに発生しているため、会計上は利益から差し引かねばなりません。

このように、会計には「現金主義」（現金の出入りで記録する）とは別に、「発生主義」（取引が発生した時点で記録する）という考え方があります。

さらに、 300 万円かけて導入した厨房機器は、購入時に 300 万円の「支出」がありますが、会計上は 5 年や 6 年かけて少しずつ「減価償却費」という費用にしていきます。

目の前の現金（現金主義）と、会計上の本当の利益（発生主義）との間に生まれるこのズレこそが、「どんぶり勘定」の正体です。「売上は立っているのに、なぜか手元にお金が残らない」という悩みの根本原因は、ここにあります。

なぜ飲食店は税務署に「狙われやすい」のか

飲食店経営には、もう一つ特有のリスクがあります。それは、税務調査のリスクです。

飲食店は、現金商売であるがゆえに、「売上をごまかしているのではないかと税務署から疑われやすい傾向がある」と明確に指摘されています。これは経営者が誠実であっても、業態の特性として避けられない宿命です。

レジを通さない売上が発生しやすい、あるいは売上を少なく申告しやすい構造だと見なされているのです。

もし税務調査の対象となった場合、過去数年分の帳簿や領収書、請求書などの提出を求められ、申告内容を細かく精査されます。ここで申告漏れや計算ミス（無申告や過少申告）が見つかれば、本来の税金に加えて、重いペナルティ（延滞税や過少申告加算税など）が課されます。

税理士がいない場合、この税務署との専門的なやり取り、資料の準備、そして精神的なプレッシャーのすべてを、経営者一人が本業の傍らで背負わなければなりません。

税理士がいない場合の3つの「見えない損失」

多くの経営者は、「月額数万円」という「見えるコスト」を惜しんで税理士への依頼をためらいます。しかし、実際には依頼しないことで発生する「見えない損失」の方が、経営に与えるダメージははるかに大きいのです。

損失1 本業に集中できない「時間の損失」

飲食店経営者の時間は有限です。特に開業直後は、仕込み、調理、接客、スタッフ教育、集客、新メニュー開発など、「オーナーにしかできない業務」が山積みです。

この最も貴重な時間を、慣れない領収書の整理、帳簿付け、給与計算、そして年に一度の複雑な確定申告作業に奪われること。それ自体が、本来得られたはずの売上を失う、最大の「損失」です。会計業務を誰かに任せることで、経営者は本業に専念できるのです。

損失2 知らずに損する「機会の損失」

税法や補助金制度は、毎年めまぐるしく変わります。日々の営業に追われる経営者が、そのすべてを正確に把握し続けることは不可能です。

例えば、適切な節税対策（青色申告の活用、共済制度への加入など）を知らないかもしれません。自宅兼店舗の家賃や、まかないの費用を、経費として正しく計上できていないケースもあります。

また、最新の補助金や助成金（例：事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金など）の情報を知らない、または申請が面倒で諦めていることもあるでしょう。

これらの「知らなかった」というだけで、あなたは本来払う必要のない税金を払い続け、もらえるはずだった資金を取り逃がしているかもしれません。

損失3 事業拡大を妨げる「信用の損失」

「確定申告をしない」または「不正確な申告をする」ことの最大の弊害は、「社会的な信用」を失うことです。

確定申告は、税金を納めるためだけのものではありません。それは、あなたの事業の「収入と利益を公的に証明する」ための唯一の手段です。

例えば、2号店を出したい時、厨房機器を入れ替えたい時、あるいはコロナ禍のような不測の事態で運転資金が必要になった時。

このような場面で金融機関から「融資（資金調達）」を受けようとしても、あるいは国からの「給付金」を申請しようとしても、正確な確定申告書がなければ「収入の証明」ができず、審査の土俵にすら立てません。税理士がいないことで、事業拡大のチャンスそのものを失うことになるのです。

飲食店専門の税理士が提供する5つの核心的価値

税理士の仕事は「確定申告を代行してくれるだけ」ではありません。特に「飲食店に強い」税理士は、あなたの経営を多角的にサポートする「経営パートナー」となります。彼らが提供する核心的な価値は、大きく分けて5つあります。

価値1 面倒な経理業務からの解放（記帳代行・確定申告）

経営者が最も時間を取られ、ストレスを感じる「面倒な業務」をすべて代行（丸投げ）できます。

具体的には、日々のレシートや領収書の整理、会計ソフトへの入力といった「記帳代行」が挙げられます。

さらに、アルバイトや正社員の「給与計算」、源泉所得税の納付、年に一度の「年末調整」といった人事労務まわりの計算も任せられます。

そして、年に一度の最も複雑な決算書の作成、および税務署への「確定申告書」の作成・提出もすべて行います。

これらを専門家に任せることで、経営者は「申告期限ギリギリ！」といった事態から解放され、安心して「本業に専念できる」という最大のメリットを得られます。

価値2 手元にお金を残す「節税」対策

税理士は、法律と税制のルールの中で、あなたの「納税負担を最適化する」プロフェッショナルです。単に税金を安くするのではなく、「合法的に、手元に残る現金を最大化する」ための提案を行います。

まず、節税の基本である「青色申告」の活用が挙げられます。最大の節税メリット（ 65 万円または 55 万円の特別控除）を受けるためには、「複式簿記」という専門的な記帳が必要です。税理士に任せることで、この複雑な要件をクリアし、節税効果を最大限に享受できます。

次に、飲食店特有の「経費計上の適正化」を行います。例えば、「まかないは福利厚生費に計上できるか」「自宅兼店舗の家賃はどこまで経費か（家事按分）」「高額な厨房機器の減価償却」など、素人判断では難しい領域を適正化します。

さらに、事業が軌道に乗ってきた際には「法人化（法人成り）」の提案も行います。売上が 1,000 万円を超えるなど、個人事業主のままよりも法人化した方が税率的に有利になるタイミングがあります。税理士は、社会保険料の負担なども考慮した上で、あなたの店にとって最適な法人化のタイミングをシミュレーションし、提案します。

価値3 経営状態の「見える化」とキャッシュフロー改善

税理士の最も重要な役割、それは「日々の帳簿や財務諸表からキャッシュフローや経営の悪化にいち早く気付いてもらう」ことです。

税理士は、毎月の財務報告書（月次決算書）を作成し、「今月はいくら儲かったのか（損したのか）」「何にどのくらい費用がかかっているのか」を客観的な数字で示します。これが「月次報告による経営の見える化」です。

特に重要なのが「FLコストの管理」です。飲食店経営の心臓部であり、最も管理すべきコストは「FLコスト」（F=食材原価とL=人件費の合計費用）です。税理士は、このFLコスト比率が適正か、原価計算は正しく行われているかなど、経営の根幹について専門的なアドバイスを行います。

この「月次報告」こそが、経営者の「どんぶり勘定（現金主義の感覚）」を、「利益重視（発生主義の感覚）」へと変えるトレーニングとなります。手元の現金ではなく「本当の利益」を把握することで、手遅れになる前に対策を打てるようになります。

価値4 事業拡大を支える「資金調達」の強力なサポート

飲食店を開業する際、または多店舗展開や大規模な改装を行う際、自己資金だけですべてを賄うのは困難です。多くの場合、金融機関からの「融資（資金調達）」が必要になります。

金融機関が融資を審査する際に見るのは、経営者の「情熱」ではなく、「決算書」「事業計画書」「資金繰り表」といった客観的な「数字」です。

税理士は、これらの書類を「金融機関が評価する形」で作成するプロです。

特に飲食店に強い税理士は、日本政策金融公庫や地域の信用金庫などと強固なネットワークを持っていることが多く、融資の審査をスムーズに進めるための橋渡し役となります。

「融資を受けやすくなるための記帳作業」や「採択率 100% の融資サポート」を謳う事務所が存在するように、税理士の介在が融資の成功率を大きく左右するのです。

価値5 「補助金・助成金」の最新情報と申請支援

国や自治体は、飲食店の経営を支援するために、返済不要の「補助金」や「助成金」を数多く用意しています。しかし、その情報は非常に複雑で、申請手続きも煩雑です。

「どの補助金が自分の店で使えるのかわからない」「申請書類（事業計画書など）を作る時間がない」「採択された後の実績報告が面倒だ」といった悩みは尽きません。

税理士は、こうした最新の制度に関する情報提供から、申請文書の作成支援、採択後の進行状況の報告まで、包括的にサポートします。これは、本業の傍らでは手が回らない経営者にとって、非常に大きな価値となります。

飲食店の税理士費用、その相場と仕組み

経営者が最も気になるのが「費用」です。税理士に依頼すると、具体的に何にいくらかかるのでしょうか。その内訳と、事業規模別の相場を解説します。

税理士費用の内訳 何にいくらかかるのか？

税理士費用は、主に3つの要素で構成されています。契約内容によって、これらが個別にかかる場合もあれば、「顧問料」として一括りになっている場合もあります。

第一に「月額顧問料」です。これは日々の税務相談、経営アドバイス、そして経営状態を把握するための「月次決算書」の作成などに対する、月々の基本料金です。この料金は、税理士がどれくらいの頻度で訪問・面談するか（毎月、3ヶ月に1回、年1回など）によって大きく変動します。

第二に「決算申告料（または確定申告料）」です。年に一度の「本決算」と、税務署への「確定申告書」の作成・提出に対する費用です。通常、月額顧問料の 4 ヶ月分から 6 ヶ月分程度が目安とされます。

第三に「記帳代行料（オプション）」です。日々の領収書や請求書をそのまま税理士に渡し、会計ソフトへの入力をすべて「丸投げ」する場合にかかる追加費用です。この料金は、飲食店の取引量（仕訳数）によって変動するのが一般的です。もし経営者自身が会計ソフトに入力（自計化）する場合、この費用はかかりません。

その他の費用

上記以外に、税務調査が入った際の立ち会いと交渉のための「税務調査対応費用」や、従業員を雇用している場合の「年末調整費用」などが別途発生する場合があります。

事業規模・契約形態別の費用相場

税理士費用は、「事業規模（売上）」と「依頼するサービス内容」によって大きく異なります。

ここで重要なのは、「価格」と「サービス（価値）」は比例するということです。

例えば、月額 1 万円のプランは、おそらく「価値1 申告代行」が中心で、経営アドバイス（価値3）は含まれていない可能性が高いです。一方で、月額 3 万円から 5 万円のプランは、経営の根幹であるFLコストの管理や資金調達の相談まで含む「経営パートナー」としての役割が期待できます。

以下の表は、記帳代行料や決算申告料をすべて含んだ「年間で支払う総額」の目安です。あなたの店の状況と、税理士に何を求めるかに応じて、適切なプランを選択してください。

事業形態 / 年間売上規模	～1,000万円（個人事業主）	1,000万円～3,000万円（個人・法人）	3,000万円～5,000万円（法人）
A 申告のみ依頼プラン（記帳は自社。相談は年1回）	年間 10 万円～ 20 万円	年間 20 万円～ 35 万円	年間 30 万円～ 45 万円
B 記帳代行＋申告プラン（アドバイス最小限）	年間 20 万円～ 35 万円	年間 30 万円～ 50 万円	年間 40 万円～ 60 万円
C 経営顧問＋記帳＋申告プラン（手厚いサポート。月次面談など）	年間 35 万円～ 50 万円	年間 50 万円～ 80 万円	年間 60 万円～ 100 万円

（※本表は、一般的な相場として作成した目安です。実際の料金は各事務所の規定によります。）

費用対効果の考え方 税理士費用は「経費」であり「投資」である

この費用を見て「やはり高い」と感じるかもしれません。しかし、重要な視点が2つあります。

第一に、税理士に支払う費用は、全額「経費」として計上できます。つまり、その費用分、あなたの店の利益（課税所得）が圧縮され、結果として支払う税金が安くなります。

第二に、税理士費用は「コスト（支出）」ではなく、「リターン（利益）を生むための投資」と考えるべきです。

例えば、年間 40 万円の「プランB」を契約したとします。それによって、税理士が適切な節税対策を行い、納税額が 15 万円安くなったとします。さらに、申請をサポートしてもらった補助金で 50 万円が採択されたとします。

この時点で、あなたは 40 万円の「投資」に対し、65 万円の「リターン」を得ており、差し引き 25 万円のプラスです。

これに加えて、「本業に集中できた時間（売上アップへの貢献）」や「融資の成功」、「税務調査の安心感」といった、金額に換算できない価値が手に入るのです。

失敗しない「飲食店に強い税理士」の選び方

税理士であれば誰でも良い、というわけではありません。製造業に強い税理士、相続に強い税理士がいるように、飲食店の経営を任せるには「飲食店に強い」税理士を選ぶことが絶対条件です。

前提条件 「飲食業の顧問実績」を最優先する

飲食店専門の税理士を選ぶべき理由は、飲食店特有の会計・経営ノウハウが必要だからです。

例えば、現金取引の売上管理、食材原価の計算、複雑な人件費（アルバイト・正社員）の管理、高額な厨房機器や内装の減価償却など、他業種とは異なる「特有の会計処理」が求められます。

飲食店の利益管理の核心である「FLコスト」の分析と改善指導ができる「FLコストへの知見」も必須条件です。

さらに、インボイス制度が飲食店の経理に与える影響や、飲食店が使える最新の補助金など、「業界の最新情報」に精通している必要もあります。

まずは、その税理士事務所が「飲食店の顧問実績が豊富か」を確認してください。

チェックポイント1 経営改善（FL管理）まで提案できるか

税理士には2つのタイプがいます。申告書を正しく作ること（価値1）をゴールとする「申告代行型」と、経営を良くすること（価値3）をゴールとする「経営パートナー型」です。

あなたが選ぶべきは、後者です。それを見極めるためには、無料相談などの面談の際に、「私の店のFLコストについて、どのように管理・アドバイスしてくれますか？」と具体的に質問してみてください。

ここで、明確な分析手法や、他店の事例を交えた改善提案が返ってくる税理士は、あなたの経営パートナーとなる資格があります。逆に、答えが曖昧だったり、「それは経営者の仕事です」といった姿勢だったりする場合は、単なる申告代行者かもしれません。

チェックポイント2 コミュニケーションの相性と頻度

税理士は「人」であり、あなたの店の最もデリケートな「お金」の情報を共有する相手です。数字の報告だけでなく、経営の悩みや将来の夢を率直に相談できる「人柄の良さ」や、あなたとの「相性」は非常に重要です。

レスポンスは速いか、専門用語を使わずわかりやすく説明してくれるか、あなたの店の規模やフェーズに合ったコミュニケーション頻度（訪問、オンライン面談、チャットなど）に対応しているか、といった点を確認しましょう。

どれだけ優秀でも、「相談しにくい」「偉そうだ」と感じる相手では、良好なパートナーシップは築けません。

チェックポイント3 クラウド会計ソフトへの対応

現在、飲食店の経理は、レジ（POSレジなど）と「クラウド会計ソフト」（freeeやマネーフォワードなど）を連携させ、自動で効率化する流れが主流です。

税理士がこれらのITツールに精通しており、むしろ積極的に活用を提案してくれるかどうかは、将来の業務効率を大きく左右します。古いやり方（手書きの帳簿やExcel管理）に固執する事務所は、避けた方が賢明かもしれません。

これらのポイントを確認するためにも、税理士紹介サービスなどを活用し、必ず複数の税理士と面談して、比較検討することが重要です。

経理を「自分でやる」場合と「税理士に依頼」する場合の徹底比較

ここまで読んでも、まだ「自分でやれないか」と迷う方もいるでしょう。最後に、2つの選択肢を客観的に比較します。

自分でやる場合のメリット・デメリット

税理士は必須ではないため、自分で確定申告を行う選択肢ももちろんあります。

メリットは、税理士費用（顧問料）がかからない、という一点に尽きます。また、自分のペースで経理作業を進められます。

一方でデメリットは、これまで述べてきた「3つの見えない損失」をすべて背負うことです。

第一に、膨大な時間と手間が本業を圧迫します。第二に、知識不足による申告ミス、追徴課税、税務調査、そして節税の機会損失のリスクが常に伴います。

第三に、最近の会計ソフトは非常に優秀ですが、あくまで「計算ツール」です。ソフトが「経営のアドバイス」や「資金調達のサポート」までしてくれるわけではありません。

税理士に依頼すべき「3つのタイミング」

では、どのタイミングで税理士に依頼するのが最適なのでしょうか。迷っているなら、以下の3つのタイミングが、経営者が決断を下す「潮目」となります。

タイミング1 開業時（または開業準備中）

「売上がない開業前から依頼するのは早い」と考えるかもしれませんが、実は開業時が最も推奨されるタイミングです。

理由は、開業時にしかできない「創業融資」のサポートを最大限に受けられるからです。金融機関の信頼を得る事業計画書の作成や、開業後に必要な各種の税務手続きをワンストップで任せられるため、経営者は安心して「店の立ち上げ」という最も重要な仕事に集中できます。

タイミング2 年間売上が1,000万円を超えた（超えそうな）時

これは、法的なデッドラインとも言える重要なタイミングです。

理由は、年間売上が 1,000 万円を超えた2年後から、「消費税の課税事業者」となり、消費税の申告・納税義務が発生するからです。

消費税の計算（仕入税額控除など）は、所得税の計算とは比較にならないほど複雑です。さらに、2023年から始まった「インボイス制度」への対応も必須となります。このタイミングで、経理を自分一人で続けるのは現実的ではありません。

タイミング3 法人化（法人成り）を検討した時

売上が順調に伸び、利益が安定して出るようになると、節税のために「法人化（法人成り）」を検討するタイミングが訪れます。

個人事業主の「確定申告」と、法人の「決算申告」は、手続きも税法も全くの別物です。法人化の手続き（登記など）はもちろん、そもそも「個人と法人のどちらが有利か」という税務シミュレーションは、専門家でなければ困難です。この決断を迫られた時が、税理士をパートナーにする絶好の機会です。

まとめ 飲食店の成長は、数字を任せられるパートナー選びから始まる

本記事の要点を再確認します。

飲食店経営において、税理士は単なる「コスト」や「申告の代行者」ではありません。日々の煩雑な経理業務からあなたを解放し、本業である「料理」と「おもてなし」に集中させ、同時に「経営の見える化」によってあなたの店からお金が漏れ出す穴を塞ぐ。それが飲食店専門の税理士という「投資」です。

もちろん、売上が安定しない時期や、自分で経理作業をこなせるうちは、税理士が不要なケースもあるでしょう。

しかし、これから開業し融資を成功させたい時、売上が 1,000 万円を超え消費税の申告が必要になった時、あるいは法人化を考え事業をさらに拡大させたい時。

このような経営のターニングポイントにおいて、税理士はあなたの事業を安定させ、次のステージへ成長させるための不可欠な「経営パートナー」となります。

目先の費用だけで判断せず、あなたの店の未来にどれだけ貢献してくれるかという「飲食業への専門性」と「経営への貢献度」という視点を持ち、最適なパートナーを選んでください。