
領収書を発行する際、なんと書けばいいか迷いがちなのが「但し書き」です。但し書きは購入した品目や利用用途を記入する項目で、円滑な経費精算や税務処理のために適切に書く必要があります。インボイス制度の導入後は、より明確な記載が求められるようになりました。この記事では、領収書の但し書きの必要性や記載する際のポイント、具体的な記載例について紹介。「お品代と書くのはNG?」「自分で書くのはOK?」などよくある疑問について解説します。
目次
領収書の但し書きとは
領収書の但し書きは、支払いの内容を示す項目で、経理処理や税務申告の際に支出の用途を明らかにする役割があります。
会社の経理処理では、担当者が経費として計上するかどうか、またどの種類の経費に分類するかを判断する際に役立ちます。特に小口の現金取引では、但し書きの確認が重要です。
また、領収書には税法上の保存義務があり、税務調査の際に確認されることがあります。正しく記載された但し書きは取引の透明性を保ち、不正防止にもつながります。
領収書の但し書きを記載する際のポイント
領収書の但し書きは、次の3つのポイントに注意して記載します。
- 品名や用途は具体的に
- 品名や用途が複数あれば代表的なものを書く
- 事実と異なる内容はNG
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
品名や用途は具体的に
領収書の但し書きは、「お品代」「商品代」などの曖昧な表現ではなく、品目や用途を具体的に記載しましょう。
「お品代」などの記載では何の支払いかが不明確で、経費として計上しにくくなります。また、場合によっては使途不明金とみなされ、税務調査で不正を疑われるリスクもあります。
支払い内容を明確に正しく記載することで、経費としての適正な処理ができ、税務上のリスクも回避できます。
品名や用途が複数あれば代表的なものを書く
領収書の但し書き欄は小さいことが多く、複数の商品名やサービス名を詳細に記載するのは困難です。そこで、複数の品目がある場合は最も高額なものや主要な品目を代表として記入し、「〇〇他△点」などの形にするのがおすすめです。
また、但し書きだけでは内容が分かりにくくなるため、後から正確な支払い内容を確認できるよう詳細が記載されたレシートを一緒に保管しておくと良いでしょう。
事実と異なる内容はNG
領収書の但し書きを事実と異なる内容で発行・利用すると、私文書偽造の罪に問われる可能性があります。また、但し書きが未記入の領収書を受け取った場合、自分で記入すると同様に違法行為とみなされることがあります。
特に、経費の用途を偽ることは脱税と見なされるリスクもあるため、必ず正しい内容を記載しましょう。
領収書の但し書きの必要性とは?
領収書の但し書きは、発行する側・受け取る側のどちらにとっても正確な記載が求められます。ここでは、なぜ但し書きが必要なのか解説します。
インボイスとして領収書を発行する際は但し書きが必須
インボイス制度では、事業者が消費税の仕入税額控除を受けるために正しく記入された領収書(適格請求書)が必要です。このため、但し書きは「お品代」など曖昧な表記ではなく、具体的な支払い内容の記載が求められます。
不明確な但し書きでは税務調査で経費として認められない可能性があり、修正申告を求められる場合があります。
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経費として認めてもらうため
「お品代」などの曖昧な記載では、具体的に何に支払ったのかが分かりません。このため、但し書きの内容が不明確だと会社で経費精算をおこなう際に却下され、経費と認められずに自腹を切らなくてはならない可能性もあります。
経費精算を円滑に進めるためには、但し書きに具体的な品目や用途を記入した領収書を受け取ることが重要です。また、事業者は従業員に対して領収書のルールを周知し、適切な領収書を取得するようあらかじめ伝えておくことも大切です。
不正利用を防止するため
但し書きが適切に記載されていない領収書は、不正利用のリスクが高まります。「お品代」などの曖昧な但し書きだと支払いの内容が分からず、本来の取引とは異なる用途で経費処理される恐れがあります。
領収書の但し書きはなんと書く?
領収書の但し書きは、以下で紹介するようにできる限り明確に記入します。また、後ろに「として」を付けて書き足せないようにすることも大切です。
<但し書きの記載例>
- 書籍代(タイトル):事業に必要な書籍や雑誌などの購入代金
- PC代:パソコン本体の購入代金(マウスなどの周辺機器は「PC周辺機器代」)
- 文房具代(ノート、ボールペン):業務に使う文房具の購入代金
- 消耗品代(ティッシュペーパー):事業所で使用する消耗品購入代金
- 広告宣伝費(チラシ印刷):チラシ印刷や求人広告掲載費用など
- 宿泊代(〇月〇日~〇日、〇名分):出張時のホテル代
- ギフト代:お中元やお歳暮、手土産などの購入代金
領収書の但し書きQ&A
ここからは、領収書の但し書きに関するよくある質問にお答えします。
「お品代」とは書いてはいけない?
領収書の但し書きは具体的に記入するのが基本ですが、「お品代として」や「商品代として」と書かれているからといって領収書が無効になるわけではありません。但し書きが「お品代」の領収書でも、経費計上は可能です。
ただし、消費税の仕入税額控除への使用には内訳の記載が必要です。また、経費精算の際に社内規定で拒否される可能性もあります。このため、領収書の但し書きは具体的に書くことが重要です。
飲食代はなんと書く?
レストランや喫茶店などでは「飲食費」という但し書きで領収書を発行することが多いですが、利用目的によっては人数の記載も必要です。
会議や打ち合わせで飲食店を利用した場合は、「会議費」として計上できます。会議費として計上できる飲食費の範囲は、社内会議ならは昼食程度、社外の人も参加する場合は1人あたり10,000円以下が目安です。1人あたりの金額がわかるよう、但し書きには「飲食代(〇人分)」と書いてもらい、裏面に会議の参加者や内容を書いておくと良いでしょう。
一方、会議費の金額の範囲を超える場合や取引先との商談・接待のための飲食費は、「接待交際費」に該当します。領収書を受け取ったら、経費として認められるよう、裏面に接待の目的や参加者の氏名・会社名を書いておきましょう。
但し書きは自分で書いてもOK?
領収書の但し書きは、発行するお店や事業者が記入するものです。但し書きなしの領収書に自分で書くのは避けましょう。未記入で受け取った領収書に後から自分で但し書きを記入すると、私文書偽造に該当する可能性があります。
また、但し書きのない領収書は、「仕入税額控除が認められない」「経理処理で問題が発生する」「税務調査で経費と認められない」などの可能性があります。不正利用のリスクもあるため、店側が正しく記入したうえで渡すことが大切です。
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インボイス制度の導入により、領収書の但し書きにはより具体的な記載が求められるようになりました。また、適切に記入されていないと、経費として認められない可能性もあります。
「INVOY(インボイ)」なら、必要な項目を順番に入力するだけで、簡単にインボイス制度に対応した領収書を作成可能です。見積書から発注書、領収書への変換もスムーズにおこなえます。
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まとめ
領収書の但し書きは、適切な経費精算や税務処理に欠かせません。特にインボイス制度の導入により、より具体的な記載が求められるようになりました。
記載する際は、品名や用途を具体的に書き、事実と異なる内容を避けることが重要です。また、複数の品目がある場合は代表的なものを記載するとよいでしょう。
不適切な記入は経費として認められなかったり、不正利用のリスクもあります。スムーズな経費精算のためにも正しく記載することが大切です。
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