請求書の基礎知識

手書き請求書の書き方|記載項目・テンプレート・インボイス対応まで解説

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「手書きの請求書でも問題ないのか」「どの項目を記載すればよいかわからない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。結論として、手書きの請求書は法的に有効です。パソコンで作成した請求書と同様に、必要な項目が記載されていれば問題ありません。

この記事では、手書き請求書の書き方、記載すべき項目、インボイス制度への対応方法、よくある間違いと対策を解説します。読み終えると、正確な手書き請求書をスムーズに作成できるようになります。

個人事業主やフリーランスの方、小規模事業者の方に向けた内容です。

手書き請求書は法的に有効か

手書きの請求書は法的に有効である。法律上、請求書の作成方法に制限はなく、手書き、パソコン、クラウドサービスのいずれで作成しても効力は同じである。税務上も、必要な記載事項がそろっていれば手書きの請求書で問題ない。消費税法やインボイス制度においても、適格請求書の記載事項をみたしていれば、手書きでも適格請求書として認められる。

ただし、手書きの場合は記入ミスや判読しにくい文字によるトラブルが起きやすい。金額の書き間違いは取引先とのトラブルにつながるため、丁寧に記入し、記入後にかならず確認することが大切である。

手書き請求書の記載項目

必須記載事項

手書きの請求書に記載すべき必須項目は以下のとおりである。請求書の発行日(取引日または請求日)、請求書番号(管理のための通し番号)、請求先の名称(宛名)、発行者の名称・住所・連絡先、取引内容(品目名や作業内容)、数量と単価、合計金額、消費税額、支払期日、振込先口座の情報である。これらの項目をもれなく記載することで、法的に有効な請求書になる。

インボイス制度に対応する記載事項

2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応するためには、上記の項目にくわえて、適格請求書発行事業者の登録番号(T+13けたの数字)、適用税率(8%または10%)、税率ごとに区分した対価の合計額、税率ごとの消費税額を記載する必要がある。手書きの場合でも、これらの項目をすべて記載すれば適格請求書として認められる。

手書き請求書の書き方の手順

用紙の選び方

手書き請求書を作成する場合は、文房具店やオフィス用品店で販売されている市販の請求書用紙を使うのがもっとも簡単である。市販の用紙には記入欄があらかじめ印刷されているため、必要な項目を順に記入するだけでよい。複写式(カーボン紙つき)のものを選べば、控えを同時に作成できる。自社で用紙を用意する場合は、A4サイズの白紙に罫線を引いてフォーマットを作成するか、パソコンでテンプレートを印刷して手書きで記入する方法もある。

記入の順序とポイント

手書き請求書の記入は、上から順におこなうのが基本である。まず用紙の上部に「請求書」とタイトルを書く。つぎに請求先の名称を「株式会社〇〇 御中」のように記入する。日付は「2026年3月27日」のように年月日をすべて書く。発行者の情報(氏名または会社名、住所、電話番号)を記入する。インボイス対応の場合は登録番号も書く。

取引内容の欄には、品名や作業内容を1行ずつ記入し、数量、単価、金額をそれぞれの欄に書く。複数の取引がある場合は行をわけて記入する。小計、消費税額、合計金額を計算して記入する。金額はアラビア数字で書き、改ざん防止のため金額の先頭に「¥」をつけるか「金〇〇円也」と記載するのが望ましい。支払期日と振込先口座の情報を記入し、最後に発行者の印鑑を押す。

手書き請求書の金額の書き方

金額は手書き請求書でもっともまちがいが起きやすい項目である。数字は1文字ずつ丁寧に書き、「0」と「6」、「1」と「7」など読み間違えやすい数字はとくに注意する。桁区切りにカンマ(,)を入れると、桁を読み間違えるリスクがへる。たとえば「100000」ではなく「100,000」と書く。

消費税額の計算は、税率ごとにわけておこなう。8%の品目と10%の品目がまざっている場合は、それぞれの小計と消費税額を別に計算し、最後に合計する。計算ミスを防ぐために、電卓で2回計算して確認するのがよい。端数の処理(切り捨て・切り上げ・四捨五入)は取引先との取り決めにしたがう。

手書き請求書でよくある間違いと対策

記載項目の漏れ

もっとも多い間違いは、記載項目の漏れである。とくに、インボイス制度で追加された登録番号や税率ごとの消費税額を書き忘れるケースが多い。市販の請求書用紙のなかには、インボイス対応の項目が印刷されていない古いタイプのものもあるため、購入するさいはインボイス対応と明記されたものを選ぶ。チェックリストを用意しておき、記入後にすべての項目がそろっているか確認する習慣をつけるとよい。

金額の書き間違い

金額を1桁まちがえると、取引先との信頼関係に影響する。書き間違いを防ぐために、まず下書きとして別の紙に金額を書き出し、確認してから清書する方法がある。金額を訂正する場合は、まちがった箇所に二重線を引き、訂正印を押してから正しい金額を書く。修正液や修正テープは使わない。大きな金額のまちがいがある場合は、訂正せずにあたらしい用紙に書き直すほうが確実である。

押印の忘れ

手書き請求書には発行者の印鑑を押すのが慣行となっている。法律上は印鑑がなくても請求書として有効だが、取引先によっては印鑑がないと受理しないケースがある。記入が完了したら、最後に印鑑を押すことをルーティンにしておくとよい。個人事業主であれば認め印でも問題ないが、法人であれば角印(社印)を使用する。

訂正方法

手書き請求書を訂正するさいは、まちがった箇所に二重線を引き、訂正印を押して、正しい内容を近くに記入する。修正液や修正テープの使用は改ざんと区別がつかなくなるため、みとめられていない。訂正箇所が多い場合は、あたらしい用紙に書き直すほうがよい。金額の訂正については、訂正ではなく書き直しを強くおすすめする。

訂正した請求書を取引先に送付する場合は、「一部訂正してお送りします」と一言添えると丁寧である。すでに送付した請求書にまちがいが見つかった場合は、訂正した請求書とともに、旧請求書の破棄をお願いする文書を同封する。

手書き請求書の控えの作り方

手書き請求書を発行したら、かならず控えを保管する。控えの作り方は3つある。ひとつめは、複写式の請求書用紙を使う方法である。カーボン紙で自動的に控えが作成されるため、もっとも手軽である。ふたつめは、請求書をコピー機でコピーする方法である。原本を送付する前にコピーをとっておく。みっつめは、スマートフォンで撮影して電子データとして保管する方法である。電子帳簿保存法の要件をみたせば、紙の控えは不要になる。

控えの保管期間は、法人は7年間(欠損金がある場合は10年間)、個人事業主は5年間(消費税課税事業者は7年間)である。控えがないと、あとから取引先とのトラブルが発生したときに請求内容を確認できなくなるため、かならず保管しておく。

手書き請求書とパソコン作成の使い分け

手書き請求書とパソコンで作成する請求書には、それぞれメリットとデメリットがある。手書きのメリットは、パソコンやプリンターがなくても作成できること、少量の発行であれば手軽であること、取引先によっては手書きのほうが温かみを感じてもらえることである。デメリットは、記入ミスが起きやすいこと、大量の発行には時間がかかること、控えの管理に手間がかかることである。

パソコン作成のメリットは、テンプレートを使えば正確に作成できること、大量発行に向いていること、電子データとして保管しやすいことである。デメリットは、パソコンとプリンターが必要であること、初回のテンプレート作成に時間がかかることである。

月に数枚しか請求書を発行しない個人事業主やフリーランスであれば、手書きでも十分である。月に10枚以上を発行する場合は、パソコンやクラウドサービスの利用を検討するとよい。無料で使える請求書作成サービスも多く、手書きからの移行はそれほどむずかしくない。

手書き請求書 書き方

電子帳簿保存法への対応

2022年1月から電子帳簿保存法(電帳法)が改正され、電子取引のデータ保存が義務化された。手書き請求書との関係でいえば、以下の点を理解しておく必要がある。

手書きで作成した請求書を紙で相手方に送付する場合、その控えを「紙」で保管することは従来どおり認められている。ただし、スキャンして電子データとして保管する「スキャナ保存」を選択することもできる。スキャナ保存を選択した場合は、電帳法の要件をみたす必要がある。

スキャナ保存の主な要件は以下のとおりである。解像度は200dpi以上で読み取ること、カラーか階調グレーで読み取ること(一定の書類を除く)、タイムスタンプを付与するか訂正・削除の事実を確認できるシステムを使用すること、検索機能(取引年月日・金額・取引先)を確保することである。

実務的には、スマートフォンのカメラで撮影してPDF化したものをクラウドストレージに保存する方法が普及している。ただし、タイムスタンプの付与やシステム要件については、利用するサービスが電帳法に対応しているか確認が必要である。

紙の請求書を電子データで管理したい場合は、クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードクラウドなど)の書類スキャン機能を活用するとよい。これらのサービスは電帳法の要件をみたした形でのデータ保管が可能であり、確定申告などの際にも役立つ。

手書き請求書の消費税計算の実務

手書き請求書を作成するさいに、消費税の計算でまちがいが起きやすい。正確に計算するためのポイントを確認する。

まず、課税対象かどうかを確認する。消費税がかかる取引(課税取引)と、消費税がかからない取引(非課税取引・免税取引)を区別する。一般的な商品販売やサービス提供は課税取引であるが、土地の売買・貸付、有価証券の譲渡、保険料、医療費の一部などは非課税取引である。

つぎに、適用税率を確認する。2019年10月以降、消費税率は標準税率10%と軽減税率8%の2種類がある。軽減税率が適用されるのは、飲食料品(酒類・外食を除く)と定期購読の新聞である。手書き請求書では、課税区分(10%か8%か)を明記したうえで、それぞれの合計金額と消費税額を計算する。

端数処理については、取引先との合意にしたがう。消費税額の計算で1円未満の端数が生じた場合、切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれかで処理するが、インボイス制度では、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回のみ端数処理を行うルールとなっている。

計算例として、税率10%の商品が10,000円、8%の商品が5,000円の場合の計算を示す。10%対象:10,000円(税抜)、消費税1,000円。8%対象:5,000円(税抜)、消費税400円。合計:15,000円(税抜)、消費税1,400円、請求合計16,400円。これをそれぞれ手書きで記入する。

手書き請求書の送付状の書き方

手書き請求書を郵送するさいは、送付状(カバーレター)を同封するのがビジネスマナーである。送付状の基本的な構成は以下のとおりである。

日付(発行日)、宛先(会社名・部署名・担当者名)、自社名・氏名、件名(「請求書送付のご案内」など)、本文(挨拶文と送付物の説明)、同封書類のリスト(請求書1通など)、以上である。

本文の例としては、「拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。さて、このたびは弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。下記のとおり請求書をご送付申し上げますので、何卒よろしくお願い申し上げます。敬具」のような形が一般的である。

送付状に記載する同封書類は、請求書1通のほか、作業報告書や納品書があれば一緒に記載する。封筒の大きさに合わせて書類を折りたたみ、折り目のないクリアファイルに入れると相手に届いたときに見栄えがよい。

請求書に不備があった場合の再発行手順

手書き請求書を送付したあとに誤りが発見された場合は、正確な手順で再発行する必要がある。

まず、相手方に連絡して誤りを報告し、旧請求書の破棄を依頼する。この連絡は電話でもよいが、のちのトラブルを防ぐためにメールや書面でも記録しておく。

つぎに、正しい内容で新しい請求書を作成する。請求書番号は新しい番号を割り振るか、旧請求書の番号に「(修正版)」「(再発行)」と付記する方法がある。請求書の日付は、再発行した日付を記載する。

再発行した請求書には、「〇〇年〇月〇日付請求書(番号:〇〇〇)の修正版です」と注記しておくと、相手方が新旧を区別しやすい。修正版の送付後、旧請求書が確実に破棄されたことを確認する。

なお、インボイス制度において適格請求書の記載事項に誤りがあった場合は、修正した適格請求書を交付し直す必要がある。買い手(取引先)が誤った請求書にもとづいて仕入税額控除をとっていた場合は、修正版の受領後に再計算が必要になる。

手書き請求書の管理台帳の作り方

手書き請求書を複数発行する場合は、管理台帳を作成して一元管理することを推奨する。

管理台帳には、請求書番号、発行日、請求先、請求内容の概要、請求金額(税込)、消費税額、支払期日、入金確認日(入金後に記入)、備考(再発行の場合はその旨)を記載する。

管理台帳はノートや紙のファイルでも管理できるが、表計算ソフト(ExcelやGoogleスプレッドシート)で管理すると検索や集計がしやすい。毎月の売上を集計する際にも役立つ。

請求書番号は通し番号(001、002…)とするか、「年月-番号」の形式(例:2026-03-001)とするかを決めて、一貫したルールで管理する。番号が重複すると、あとから請求書を追跡するときに混乱するため、新しい番号を割り振る前に台帳を確認する習慣をつけるとよい。

手書き請求書の作成にあたって知っておくべき注意点として、インボイス制度への対応がある。2023年10月にスタートしたインボイス制度では、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者のみが適格請求書を発行できる。適格請求書を受け取った買い手側は、仕入税額控除ができるため、取引先から適格請求書の発行を求められるケースが増えている。

免税事業者(課税売上高1,000万円以下の事業者)は適格請求書の発行義務がないが、取引先の要望によっては課税事業者への転換とインボイス登録を検討する必要がある。手書き請求書であっても、登録番号(T+13桁)を記載することで適格請求書として機能する。インボイス登録番号は、国税庁の「インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できる。

よくある質問

Q. 手書き請求書にボールペン以外のペンを使ってもよいか

請求書の記入にはボールペンを使うのが一般的である。鉛筆やシャープペンシルは消しゴムで消せるため、改ざんのおそれがあり、使用は避けるべきである。フリクションペン(消えるボールペン)も熱で消えるため不適切である。黒または青のボールペンで記入するのが無難である。

Q. 手書き請求書に収入印紙は必要か

請求書には原則として収入印紙は不要である。収入印紙が必要なのは領収書や契約書など、印紙税法で定められた課税文書にかぎられる。請求書は課税文書に該当しないため、金額にかかわらず収入印紙を貼る必要はない。ただし、請求書と領収書を兼ねる場合は、5万円以上の受取金額に対して収入印紙が必要になる。

Q. 手書き請求書を郵送するさいの注意点はあるか

手書き請求書を郵送する場合は、長形3号の封筒に三つ折りにして入れるのが一般的である。封筒の表面に「請求書在中」と朱書きすると、相手が事務処理しやすくなる。送付状(カバーレター)を同封するのがビジネスマナーである。簡易書留で送ると、配達記録が残るため安心である。

Q. 手書き請求書はメールで送れるか

スマートフォンやスキャナーで手書き請求書を読み取り、PDFとしてメールで送ることは可能である。ただし、取引先が原本の郵送を求めている場合は、電子データだけでは不十分なことがある。事前に取引先と送付方法を確認しておくとよい。インボイス制度では、電子データで交付した適格請求書も有効であるため、PDFでの送付も認められる。

Q. 手書きとパソコン作成を混在させてもよいか

問題ない。取引先によって手書きとパソコン作成を使い分けることは実務上よくある。ただし、請求書番号の管理は一元化しておくことが大切である。手書き分とパソコン作成分で番号が重複しないよう、通し番号の管理台帳を作成しておくとよい。

まとめ

手書き請求書は法的に有効であり、必要な記載事項がそろっていれば問題ない。インボイス制度に対応するためには、登録番号、適用税率、税率ごとの消費税額を記載する。金額の書き間違いを防ぐために、記入後のダブルチェックを徹底する。控えはかならず保管し、保管期間を守る。月に数枚の発行であれば手書きで十分だが、発行枚数がふえてきたらパソコンやクラウドサービスへの移行も検討するとよい。

この記事の投稿者:

hasegawa

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