
交際費をどこまで損金にできるか把握しておけば、決算前に税務上の負担を見積もれます。接待飲食費の管理方法や申告方針も、早めに決められます。資本金1億円以下の中小法人は、交際費等について年800万円までの定額控除限度額方式と、接待飲食費の50%方式から有利な方法を選択できます。また、社外関係者との1人あたり1万円以下の飲食費は、必要な書類を保存すれば交際費等から除外できます。
この記事では、自社の資本金区分に応じた損金算入額、1万円基準、800万円方式と50%方式の選び方、別表十五へのつなげ方を確認します。経理担当者は、領収書と経費精算書をひも付け、参加者や目的を記録すれば、日々の経費精算に反映できます。制度は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度に適用されます。なお、制度は法人税のルールです。
目次
結論:交際費の損金算入額を資本金別に早見表で確認

資本金別・費目別の損金算入早見表
交際費等の扱いは、期末の資本金の額または出資金の額によって大きく変わります。そのうえで、1人あたり1万円以下の飲食費か、1万円を超える接待飲食費か、飲食費以外の交際費かを確認します。国税庁の計算方法をもとに整理すると、次のとおりです。国税庁 No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
| 期末の資本金の額または出資金の額 | 1人あたり1万円以下の飲食費 | 1万円超の接待飲食費 | 飲食費以外の交際費 |
| 1億円以下(中小法人) | 保存要件を満たせば交際費等から除外 | 年800万円方式または接待飲食費の50%方式 | 800万円方式なら限度額の範囲で損金算入。50%方式を選ぶと全額損金不算入 |
| 1億円超100億円以下 | 保存要件を満たせば交際費等から除外 | 接待飲食費の50%相当額を損金算入 | 全額損金不算入 |
| 100億円超 | 保存要件を満たせば交際費等から除外 | 全額損金不算入 | 全額損金不算入 |
表にある1人あたり1万円以下の基準は、飲食等の総額を参加人数で割って判定します。資本金区分は、原則として事業年度終了時の資本金の額または出資金の額で確認します。ただし、資本金1億円以下でも、資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等との完全支配関係にある法人などは、中小法人の特例を使えない場合があります。通算法人を含め、グループ関係に関する例外は申告前に税理士へ確認してください。
損金算入とは、法人税の計算で所得から差し引けるという意味です。会計帳簿で費用に計上していても、限度額を超えた部分は申告で加算調整します。1万円基準の飲食費は、限度額を計算する前に交際費等から除外します。
この特例が使えるのはいつまでか
交際費等の損金不算入制度、接待飲食費の50%特例、中小法人の定額控除限度額特例は、時限措置として適用されています。適用期限は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度です。決算日がその日までという意味ではありません。事業年度の開始日で判定する点に注意してください。制度の延長と1万円基準の改正は、国税庁「令和6年度 法人税関係法令の改正の概要」でも確認できます。
2026年9月時点では、令和8年度税制改正による交際費等の損金不算入制度の変更は確認されておらず、上記の現行制度を前提に説明します。申告時には、法令、国税庁資料、申告書様式の最新版を確認してください。特例を使う場合は、事業年度の開始日と各支出日を管理しておくと安全です。
交際費の損金不算入とは?措置法61条の4の基本
なぜ交際費等は原則として損金にならないのか
交際費等とは、法人が得意先、仕入先その他の事業関係者に対して行う接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用です。代表例には、取引先との会食、手土産、お中元やお歳暮、接待ゴルフ、取引先の慶弔に伴う祝儀や香典があります。根拠となる制度は、租税特別措置法61条の4です。
法人税では、交際費等が企業の事業活動に必要な支出であっても、内容によっては冗費や濫費につながりやすいと考えられるため、原則として全額を損金に算入できません。ただし、すべての支出が一律に対象となるわけではありません。資本金の額、接待飲食費に当たるかどうか、1人あたりの金額、保存書類の有無によって、損金にできる額が変わります。
会計上の費用計上と法人税の損金算入は別に考える
経費にできるかという質問では、会計上の費用計上と法人税の損金算入を分けて考えます。たとえば、取引先との飲食代5万円を支払った場合、会計上は交際費として費用に計上できます。しかし、その法人の損金算入限度額を超えていれば、超過部分は法人税申告で所得に加算します。
1人あたり1万円以下の飲食費を保存要件付きで除外できる場合、その金額は交際費等の集計対象から外します。損金不算入額は支出日ごとの判定を積み上げ、事業年度単位で計算します。確認するのは勘定科目だけではありません。支出目的と証拠書類も確認します。
交際費等に該当する費用の範囲
接待飲食費・贈答品・ゴルフ・慶弔費の具体例
交際費等に当たるかどうかは、誰に、何の目的で、どのような行為のために支出したかで判断します。得意先や仕入先との会食が代表例です。料理代に加え、テーブルチャージ料、サービス料、会場費、取引先への弁当代なども接待飲食費になることがあります。
| 支出の例 | 判定の基本 | 実務で残す情報 |
| 取引先との会食 | 接待飲食費 | 相手先、参加人数、目的、店名、金額 |
| お中元・お歳暮・手土産 | 飲食費以外の交際費 | 贈答先、贈答日、品名、金額 |
| 接待ゴルフ・旅行 | 原則として交際費 | 参加者、行程、接待目的、費用内訳 |
| 取引先の祝儀・香典 | 原則として交際費 | 相手先、関係、支出理由、金額 |
表は勘定科目を決める際の出発点です。ゴルフや旅行などの催事に伴う飲食費は、催事と一体不可分であれば飲食費に当たらず、接待飲食費の50%計算には入りません。この整理は国税庁「接待飲食費に関するFAQ」で示されています。
取引先へ贈るお中元、お歳暮、商品券、ギフト券、高額な手土産は、相手先と贈答目的を記録し、交際費として管理します。不特定多数に配る社名入りの販促物は、広告宣伝費になる場合があります。費目の線引きも確認したい場合は、経費にできる支出の見直し方も参考になります。
1人あたり1万円以下の飲食費は交際費等から除外できる
5,000円から1万円に変わったのはいつからか
令和6年(2024年)4月1日以後に支出する飲食費から、交際費等から除外できる1人あたりの基準額は、従来の5,000円以下から1万円以下へ引き上げられました。現行基準は1人あたり1万円以下です。5,000円を現行基準として処理してはいけません。ただし、令和6年3月31日以前に支出した飲食費は、改正前の5,000円以下で判定します。改正内容は、国税庁の令和6年度改正資料で確認できます。
判定額は、飲食費の総額を参加人数で割って求めます。社外の参加者を含む5人で5万円なら、5万円÷5人=1万円です。条件を満たせば除外できます。4人で5万円なら12,500円となるため、1万円基準は使えません。人数は参加者全員で確認します。
この特例は、社外関係者との飲食を前提としています。自社の役員、従業員、その親族だけの飲食費は、1万円以下でも除外できません。取引先などが参加したかを記録します。
保存が必要な書類と記載すべき5項目
1万円基準を適用する際は、飲食店から受け取った領収書だけでは情報が足りないことがあります。帳簿、領収書、経費精算書、会計システムの記録などを組み合わせ、飲食費であることと、誰との支出かが分かる状態で保存します。国税庁が示す保存書類の記載事項を実務用に整理すると、次の5項目です。国税庁 No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
| No. | 保存・記載項目 |
| 1 | 飲食等を行った年月日 |
| 2 | 参加した得意先等の氏名または名称と事業上の関係 |
| 3 | 飲食等に参加した人数 |
| 4 | 金額、飲食店等の名称および所在地 |
| 5 | その他、飲食費であることを明らかにするために必要な事項 |
表の5項目を、1枚の領収書にすべて書き込む必要があるという意味ではありません。領収書番号と経費精算書をひも付け、精算書や会計システムに参加者、関係、人数、目的を補足します。参加者の氏名または名称を確認して記録し、事業上の関係も残します。
領収書の但し書きだけでは不足する場合があるため、領収書の但し書きと保存要件も確認してください。飲食代とだけ記載されている場合は、精算申請の備考欄に参加者や目的を入力します。
決算期が3月以外の法人が注意すべき期中の基準混在
1万円基準への切り替えは、事業年度の開始日ではなく、飲食費を支出した日で判定します。たとえば4月決算法人の事業年度が令和5年5月1日から令和6年4月30日までであれば、同じ事業年度に令和6年3月31日以前の支出と、令和6年4月1日以後の支出が混在する可能性があります。令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下、令和6年4月1日以後の支出は1万円以下で判定します。
経費精算では、申請日や領収書の受領日ではなく、飲食を行った日を入力します。月次集計でも2024年4月1日を境にルールを切り替え、旧基準と現行基準の除外額を分けます。
社内飲食費は1万円基準の対象外
自社の役員、従業員、その親族だけで行う懇親会や食事会は、1人あたり1万円以下でも、この特例の対象になりません。もっとも、社内行事として全従業員を対象にし、通常要する範囲の費用であれば、実態に応じて福利厚生費になる可能性があります。役員だけ、特定の部署だけなど対象者が限定される場合は、福利厚生費として認められるかを慎重に確認します。
資本金1億円以下の中小法人の特例
定額控除限度額は年800万円
期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の中小法人は、定額控除限度額までを損金にできます。12か月なら限度額は800万円です。12か月未満の場合は、800万円に事業年度の月数を乗じて12で除した金額で計算します。1か月未満の端数は1か月として扱います。
たとえば交際費等が1,000万円なら、800万円を損金算入し、200万円を損金不算入とします。600万円なら全額を損金にできます。集計の前に、1万円以下の飲食費を除外します。
接待飲食費50%方式との選択適用
中小法人は、定額控除限度額方式に代えて、接待飲食費の50%相当額を損金にできます。接待飲食費とは、社外の得意先や仕入先などとの飲食に要する費用で、帳簿書類から飲食費であることが分かるものです。自社だけの飲食費は含めません。
この50%特例は、中小法人以外にも資本金1億円超100億円以下の法人に適用されます。100億円超の法人は50%特例を使えず、交際費等の全額が損金不算入です。中小法人は交際費等全体を確認したうえで方式を選びます。制度の概要は、中小企業庁の交際費課税の特例にも掲載されています。
800万円方式と50%方式はどちらが有利か
接待飲食費だけを比べると、800万円方式の損金算入限度額は800万円、50%方式は接待飲食費の50%です。両者が同額になる接待飲食費は、800万円÷50%=1,600万円です。年間の接待飲食費が1,600万円未満なら800万円方式、1,600万円を超えるなら50%方式が有利です。1,600万円ちょうどなら、どちらを選んでも損金算入額は800万円です。
| 年間の接待飲食費 | 800万円方式の損金算入額 | 50%方式の損金算入額 | 有利な方式 |
| 1,000万円 | 800万円 | 500万円 | 800万円方式 |
| 1,600万円 | 800万円 | 800万円 | 分岐点(同額) |
| 2,400万円 | 800万円 | 1,200万円 | 50%方式 |
表は接待飲食費だけを前提にした基本判定です。接待飲食費が1,000万円なら800万円方式の損金算入額が300万円多く、2,400万円なら50%方式の損金算入額が400万円多くなります。飲食費以外の交際費があるときは、交際費等全体で試算します。
資本金1億円超の法人の取り扱い
資本金1億円超100億円以下の場合
資本金1億円超100億円以下の法人は、年800万円の定額控除限度額方式を選択できません。保存要件を満たす接待飲食費は50%相当額まで損金にできます。一方、飲食費以外の交際費は全額損金不算入です。1人あたり1万円以下の飲食費は、必要書類を保存すれば交際費等から除外できます。
たとえば、接待飲食費が1,000万円、飲食費以外の交際費が200万円なら、接待飲食費の50%である500万円を損金算入します。残りの500万円とその他200万円を合わせ、損金不算入額は700万円です。
資本金100億円超の場合
資本金100億円超の法人は、交際費等の全額が損金不算入です。接待飲食費の50%特例と年800万円の定額控除限度額も使えません。ただし、社外関係者との1人あたり1万円以下の飲食費は、保存要件を満たせば、そもそも交際費等に含めません。
この区分では、1万円基準で除外できるかどうかが損金算入額を左右します。参加人数、支出日、相手先、店の情報を確認します。
損金不算入額の計算方法をケース別に解説
中小法人の計算例、800万円方式
資本金3,000万円の中小法人が、接待飲食費500万円、贈答品150万円、ゴルフ接待80万円、慶弔費20万円を支出したとします。合計は750万円です。このうち、飲食費として計上した500万円には、1人あたり1万円以下で交際費等から除外できる飲食費100万円が含まれています。
| 計算項目 | 金額 |
| 交際費等に該当する支出の合計(除外前) | 750万円 |
| 1人あたり1万円以下の飲食費 | 100万円 |
| 交際費等の集計額 | 650万円(750万円-100万円) |
| 定額控除限度額 | 800万円 |
| 損金算入額 | 650万円 |
| 損金不算入額 | 0円 |
このケースでは、1万円以下の飲食費を除外した後の交際費等は650万円です。限度額800万円の範囲内なので、損金不算入額は0円です。対象外となる飲食費を先に差し引きます。
1万円以下の飲食費を除外した後の交際費等が1,000万円なら、損金算入額は800万円、損金不算入額は200万円です。事業年度が6か月なら、限度額は800万円×6か月÷12=400万円となり、損金不算入額は600万円です。
中小法人の計算例、50%方式
年間の接待飲食費が2,400万円で、ほかの交際費がない場合、50%方式による損金算入額は2,400万円×50%=1,200万円です。800万円方式では損金算入額が800万円なので、50%方式のほうが400万円多く損金に算入できます。接待飲食費が1,000万円なら、50%方式は500万円にとどまり、800万円方式が有利です。
接待飲食費が1,600万円の場合は、両方式とも800万円です。分岐点は800万円÷50%=1,600万円で決まります。飲食費以外の交際費がある場合は、交際費等全体で両方式を試算します。
資本金1億円超の法人の計算例
資本金10億円の法人が、接待飲食費1,000万円、飲食費以外の交際費200万円を支出したとします。50%相当額は500万円なので、損金算入額は500万円、損金不算入額は700万円です。
資本金100億円超の法人が、1人あたり1万円以下の飲食費100万円を含む交際費等1,000万円を支出した場合は、100万円を除外します。残る900万円が全額損金不算入です。
課税事業者か免税事業者か、税抜経理か税込経理かによって、1万円基準の判定額が変わる場合があります。自社の経理方式と控除対象外消費税の扱いを確認します。計算方法は、国税庁の交際費等の計算案内にもとづいて確認してください。
交際費と会議費・福利厚生費・広告宣伝費の違い
勘定科目ではなく支出の実態で判定する
交際費かどうかは、帳簿の勘定科目だけでは決まりません。接待目的の有無、参加者、金額、支出先、事業との関連性、証拠書類を組み合わせて判断します。交際費として処理した支出を会議費へ付け替えるだけでは、税務上の問題は解決しません。
| 勘定科目 | 主な判定軸 | 具体例 |
| 会議費 | 会議に通常必要な飲食か | 会議室での弁当、茶菓、コーヒー |
| 福利厚生費 | 従業員を広く対象にした慰安か | 全従業員向けの忘年会、社員旅行 |
| 広告宣伝費 | 不特定多数への宣伝・販売促進か | 展示会のノベルティ、社名入り販促物 |
| 交際費 | 特定の取引先への接待・贈答か | 取引先との会食、高額な手土産 |
会議費は、日時、場所、参加者、議題、飲食物を記録します。福利厚生費では対象者の範囲と目的を確認します。社内だけの飲食費は、1万円基準では除外できません。宿泊を伴う会議や旅費との線引きは、会議費・福利厚生費・旅費の勘定科目の考え方も確認します。
仕訳と別表十五への記載方法
交際費の仕訳例と申告時の加算調整
得意先との飲食で5万円を支払い、会社の現金預金から決済した場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 交際費 | 5万円 | 現金預金 | 5万円 |
会計上は交際費5万円を費用に計上します。申告では交際費等全体を集計し、限度額を超える額を加算調整します。1万円以下の飲食費を除外する場合は、5項目の保存要件を確認します。
会議に伴う3,000円の弁当代は、会議の実態と記録があれば会議費で処理します。
借方:会議費 3,000円
貸方:現金預金 3,000円
1人あたり1万円以下の飲食費について、社内管理上、接待飲食費などの補助科目を使うこともできます。ただし、科目名を変えただけで交際費等から外れるわけではありません。参加者、相手先、目的、金額、支出日を帳簿や精算書に残します。
消費税の経理方式によって、交際費等の金額や1人あたりの判定額が変わる場合があります。税込経理または税抜経理を選択し、控除対象外消費税の扱いも自社の会計方針に合わせます。課税事業者の場合は、仕入税額控除の処理と混同しないようにします。
別表十五の記載手順と数値入りの記入例
別表十五「交際費等の損金算入に関する明細書」は、交際費等の支出額、接待飲食費の額、損金算入限度額、損金不算入額を申告上明らかにするための明細書です。実際の様式では、法人区分や選択方式に応じた欄へ転記します。ここでは、数字を使って記入の考え方を確認します。
前提は、資本金1億円以下の中小法人、12か月事業年度、交際費等1,000万円、うち接待飲食費600万円、1人あたり1万円以下として交際費等から除外する飲食費は集計済み、800万円方式を選択したケースです。
| 別表十五で確認する項目 | 記入・計算する金額 | 数値の意味 |
| 支出交際費等の額 | 1,000万円 | 事業年度に支出した交際費等 |
| 接待飲食費の額 | 600万円 | 50%方式の比較に使う接待飲食費 |
| 定額控除限度額 | 800万円 | 800万円×12か月÷12 |
| 損金算入額 | 800万円 | 1,000万円と限度額のいずれか少ない額 |
| 損金不算入額 | 200万円 | 1,000万円-800万円 |
この例では、別表十五に支出交際費等1,000万円、接待飲食費600万円、定額控除限度額800万円を反映し、損金不算入額200万円へつなげます。同じ前提で50%方式を選ぶと、接待飲食費600万円×50%=300万円が損金算入限度額です。交際費等1,000万円に対する損金不算入額は700万円となるため、この例では800万円方式が有利です。
実務では、1万円基準で除外した飲食費、接待飲食費、飲食費以外の交際費を月次で分けておくと、別表十五へ転記しやすくなります。税制改正や様式変更時は、当年度の申告書と記載要領を使ってください。
税務調査で否認されやすいケース
保存要件不足・私的支出・参加者不明に注意
税務調査では、交際費として計上すべき費用を会議費や福利厚生費に移していないか、1万円基準を使うための書類がそろっているか、会社業務との関連性を説明できるかが確認されます。領収書があっても、参加者、相手先、人数、目的が分からなければ、1万円基準や接待飲食費50%方式の適用根拠を示しにくくなります。
特に注意したいのは、社内だけの飲食を1万円基準で除外する処理、個人的な飲食を会社の交際費にする処理、接待相手を取引先一同とだけ記載する処理です。精算時には、領収書、参加者、関係、目的、人数、金額、支出日を確認します。
法人カードに私的な支出が混ざると、交際費全体の信頼性にも影響します。カードの個人利用や立替精算の管理方法も含め、証拠書類と実態が一致する状態を保ってください。
交際費の損金不算入に関するよくある質問
個人事業主に交際費の上限はありますか?
交際費等の損金不算入制度は法人税の制度であり、個人事業主には適用されません。法人のような年800万円の上限はありませんが、事業に必要で合理的な支出だと説明できる必要があります。相手先、参加者、目的、金額を記録します。
1人あたり1万円以下の飲食費は、勘定科目を会議費にしないといけませんか?
会議費へ変更することは要件ではありません。社外関係者との飲食で1人あたり1万円以下であり、必要書類を保存しているなどの条件を満たせば、交際費等から除外できる場合があります。会議の実態があれば会議費、接待の実態があれば交際費等として判定します。
決算期が3月以外の場合、5,000円基準と1万円基準はどう使い分けますか?
令和6年3月31日以前は5,000円以下、令和6年4月1日以後は1万円以下で判定します。事業年度ではなく支出日単位で切り替えるため、4月決算や9月決算では、同じ事業年度に基準が混在することがあります。
商品券・ギフト券を贈った場合は交際費になりますか?
商品券やギフト券は、贈答目的、相手先、事業上の関係などをもとに判定します。取引先への贈答は交際費等、従業員への支給は福利厚生費や給与になる可能性があります。誰に、何の目的で、いくら渡したかを記録します。
消費税の経理方式で1万円基準の判定は変わりますか?
1万円基準と交際費等の額は、税抜経理方式または税込経理方式に応じて判定します。課税事業者、免税事業者、控除対象外消費税の有無によって計算額が異なる場合があるため、会計方針と申告計算をそろえます。
この特例の適用期限はいつまでですか?
交際費等の損金不算入制度と各特例は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度に適用されます。基準となるのは決算日ではなく、事業年度の開始日です。申告時は最新の国税庁資料と様式を確認してください。
交際費の管理を効率化する方法
領収書・経費精算書を一元管理する
交際費は領収書だけで管理せず、参加者、相手先、人数、支出目的、支出日を1件の経費データにひも付けます。経費精算フォームにこれらの項目を設ければ、1万円基準の対象か、接待飲食費50%方式の対象か、飲食費以外の交際費かを申請時に分類できます。支出日が2024年4月1日の前後どちらに当たるかを確認できる項目も用意すると、決算時の手戻りを減らせます。
月次では、交際費等と接待飲食費の累計を確認します。接待飲食費が年1,600万円を超える見込みなら、800万円方式との比較を早めに行います。領収書と精算書の電子整理には、領収書ファイル管理による証憑整理が役立ちます。支払い方法の見直しには、請求書カード払いで支払いを管理する方法も確認できます。
まとめ
交際費の損金算入ルールを再確認
交際費等は法人税では原則として損金不算入ですが、資本金区分によって扱いが変わります。資本金1億円以下の中小法人は800万円方式または接待飲食費50%方式、1億円超100億円以下は接待飲食費の50%方式、100億円超は全額損金不算入です。1人あたり1万円以下の社外関係者との飲食費は、必要な5項目を保存すれば交際費等から除外できます。
中小法人の有利判定では、接待飲食費が年1,600万円のときが分岐点です。1,600万円未満なら800万円方式、1,600万円を超えるなら50%方式、1,600万円なら両方式が同額です。適用期限は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度です。日々の経費精算で参加者や目的を記録し、別表十五へ転記できる形で集計しておくと、決算時の確認がスムーズになります。
請求書や領収書などの証拠書類の管理も一元化したい場合は、INVOYの無料登録と請求書管理を確認してください。



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