「ファイナンス」という言葉は、企業にとってどういった意味を持つのかをご存知でしょうか。資金そのものだけでなく、資金調達や運用などの意味もあります。今回はファイナンスについて財務会計との違いと共に解説しつつ、資金調達の代表的な種類もわかりやすくご紹介します。
目次
ファイナンスとは
まず「ファイナンス」とは何を指す言葉なのか、意味や財務会計との違いと共に解説していきます。
ファイナンスの様々な意味
「ファイナンス(finance)」とは、財政・金融・資金などの意味があります。ファイナンスという言葉をより理解するため、まずはその3つの意味について詳しく解説します。
●財政
財政は、国や地方公共団体が公共サービスを提供するために税金を集めて管理しながら、必要に応じて使う活動のことです。企業や家庭におけるお金の管理を指すこともあります。
●金融
銀行・信用金庫・信用組合などの金融機関を指す言葉です。資金が必要な人にお金を融通する機関という意味があります。
●資金
事業に必要な資金、または資金調達という意味を込めて「ファイナンス」が使われることもあります。
なお、企業経営においてファイナンスは資金の調達・利用や収益の分配という意味で使われる言葉です。企業の成長には事業での収益向上が欠かせませんが、それには人材や設備を充実させる必要があります。人材や設備を揃えるための資金は元々ある自己資本だけで賄えるとは限らないため、多くの企業は外部から資金を調達しています。
詳細は後述しますが、企業が外部から資金を調達する主な方法は4種類あります。
財務会計(アカウンティング)との違い
ファイナンスと同一視されがちな「財務会計(アカウティング)」ですが、この2つは異なる意味を持ちます。
財務会計とは現状の現金や預金の動きと関係なく、これまでの収益や費用を把握するための会計業務です。一方でファイナンスは現状の現金や預金の動きを把握しながら、未来の運営を見据えて資金調達などの意思決定をするプロセスを指します。
企業における資金調達のためのファイナンス
企業における資金調達のためのファイナンスは、主に以下の4種類があります。
・エクイティファイナンス
・デットファイナンス
・メザニンファイナンス
・クラウドファンディング
それぞれどのような特徴やメリット・デメリットがあるのか、以下より詳しく解説します。
1.エクイティファイナンスとは
エクイティファイナンスとは、株式の発行や自己株式の処分などで資金を調達する方法です。調達した資金は「会社の資本」として扱われますが、将来的に株主に対して利益から配当を行います。
エクイティファイナンスのメリット
エクイティファイナンスで調達した資金は自己資本という扱いになるため、金融機関から借入れをした場合とは違い基本的に返済期限がありません。利息も発生しないため、調達後の資金繰りが圧迫される心配がないことは大きなメリットです。
また、株主を増やして自己資本率を高めれば投資家から将来性を評価され、今後の資金調達が有利に進みやすくなります。
エクイティファイナンスのデメリット
エクイティファイナンスに返済期限はありませんが、自社から何のリターンも与えず資金を調達できるという訳ではありません。エクイティファイナンスにおいて出資者は、「投資元本を超える利益を得る」権利があります。
そのため企業は大きな利益が生じた際、出資の対価として自社の株式を渡すことになります。株式には経営権の一部も伴うため、会社の重要事項を決定する際は出資者の同意を得なければなりません。
また、エクイティファイナンスで増資すると、法人税率の軽減や欠損金の繰越控除・繰戻還付など中小企業を対象とした優遇税制を利用できなくなる場合があります。
エクイティファイナンスでの増資方法
エクイティファイナンスによる増資の方法としては、以下の4つが代表的です。
・公募増資:ほぼ時価に近い価格で新株を発行する
・第三者割当増資:特定の第三者に新株を引き受ける権利を与える
・株主割当増資:すべての既存株主に、持分比率に応じた新株を引き受ける権利を与える
・転換社債型新株予約権付社債:発行時は社債だが、事前に決めた株価まで上昇すれば株式に転換できる
2.デットファイナンスとは
デットファイナンスとは金融機関からの借入や社債発行などで外部からお金を借りる手段で、多くの企業が行っている資金調達方法です。
借入の際は銀行や信用金庫などの金融機関と直接契約を交わして資金を借り、期日までに利息と一緒に返済します。社債発行では、事前に発行金額・期日・利息などを決めてから債権を発行し、一般の投資家に売り出して資金を調達します。
デットファイナンスのメリット
デットファイナンスにおけるメリットは、資金を提供してくれた相手に経営権の一部が渡らないことです。株式を利用した資金調達ではないため、資金を増やしながら現状の経営権を維持できます。
また、利息の支払い分を所得から差し引けるため節税にもつながります。会社の法人税率または債務残高が高いほど、得られる節税効果は大きいです。
デットファイナンスのデメリット
デットファイナンスは金融機関や第三者からお金を借りるという手段なので、当然ながら期日付きの返済義務と利息が生じます。万が一期限内に返済できないと、債務不履行として延滞利息の請求や会社・資産などの差し押さえを受ける恐れがあります。そのため、十分に注意して資金計画を立てる必要があります。
また、デットファイナンスで調達した資金は「他人資本」とされるため、自己資本比率の低下につながります。
3.メザニンファイナンスとは
エクイティファイナンスとデットファイナンスの中間に位置する資金調達方法と言えます。
メザニンファイナンスの出資者は、万が一企業が破綻したらデットファイナンスの次に債権を回収できます。そのためリスク回避効果はデットファイナンスより低いですが、エクイティファイナンスよりは高いです。
リターンに関してはデットファイナンスと同じく、元本と金利の回収で得られます。しかし、企業が大きな利益を生み出しても多額の残余資産を回収したり、株価の上昇によるキャピタルゲインを得たりするチャンスはありません。
上記のことから、メザニンファイナンスは出資者のリスク・リターンにおいてエクイティファイナンスとデットファイナンスの中間に位置する存在と言えます。
メザニンファイナンスのメリット
企業にとってのメリットは、資金調達の選択肢が増やせるという点です。メザニンファイナンスは資金調達方法の種類が多いため、自社に合った方法で資金を調達しやすくなります。
また、資本蓄積や財務基盤が盤石ではないスタートアップ企業は、金融機関から融資を受けることが難しいケースが多いです。そこでメザニンファイナンスを通じて資本力を向上させれば、金融機関から融資を受けられるようになるまでの時間短縮につながります。
メザニンファイナンスのデメリット
出資者にとってはデットファイナンスよりも高いリスクが伴うため、全資産担保や誓約条項の設定を求められるケースが一般的です。例えば誓約条項として設備投資の上限金額を設定されるなどの制限が設定され、経営の自由度が低下する恐れがあります。
4.クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人々から少しずつ資金を調達する手段のことです。
企業だけでなく、何らかのビジョンや目的を掲げて実現を目指す人なら誰でも「起案者」として資金を募ることができます。そして、投資家だけでなく一般の人もビジョンや目的に共感すれば誰でも「支援者」として出資できることが特徴です。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングは他の資金調達方法と違い、金融機関やベンチャーキャピタルなどを通さずとも資金を調達したり出資したりできます。企業の規模や法人・個人にかかわらず手軽に活用できることがメリットです。
また、起案者の中には独自のリターンを設定する場合もありますが、基本的に資金の返済義務や条件などが設定されることはありません。
クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングは気軽に活用できる反面、目的やビジョンに賛同を得られなければ必要な金額まで資金調達ができないというデメリットがあります。また、資金が集まるまでの時間が長引けばその間における管理コストがかさむ恐れもあります。
万が一公表していたプロジェクトが中止となれば、支援者へ説明と返金の対応が必要になることも注意が必要です。
ファイナンスの成功のためのポイント
上手に資金調達を行って企業を成長させるには、各手段の特徴やメリット・デメリットをよく理解したうえでどれを利用するか慎重に考えましょう。企業によってはすべて借入や出資で調達した方が良い場合もあれば、借入と出資のどちらも受けるべき場合もあります。
まずは自社の現状と、事業が将来的に生み出すかもしれない利益や資金の収支を見据えて計画を立てます。投資後に発生したお金を別の投資に使うか、配当金に回して投資を完了させるかといった段階まで考えておくと良いでしょう。
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企業におけるファイナンスとは、事業に必要な資金の調達手段という意味があります。財務会計で過去の利益を把握しながら、ファイナンスとして未来を見据えた計画に基づき資金調達などの意思決定をすることが大切です。
ファイナンスで成功を収めるためにも、日頃の正確な入出金管理は欠かせません。オンライン上で手早く、簡単に入出金管理ができるサービスなら「INVOY」がおすすめです。
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まとめ
企業の資金調達方法として、エクイティファイナンス・デットファイナンス・メザニンファイナンス・クラウドファンディングなどがあります。完全な出資または借り入れとなる手段、どちらの要素も兼ね備えた手段など異なる特徴があります。自社にとって適切な資金調達方法を選択し、ファイナンスを成功させましょう。INVOYなどのツールも活用し、自社における入出金状況を上手に管理することも大切です。
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