クレジットカードの基礎知識

請求書のカード払いは個人事業主でも使える?仕訳・確定申告・サービス比較まで徹底ガイド

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個人事業主として活動していると、「売上の入金は来月なのに、今月末の支払いが先にくる」という場面は珍しくありません。法人のように銀行から大口の融資を受けることも難しく、手元資金のやりくりに苦心している方も多いのではないでしょうか。

そんなときに注目されているのが、請求書のカード払いサービスです。届いた請求書の支払いをクレジットカードで行うことで、実際のキャッシュアウトを最大60日先に延ばせる仕組みで、個人事業主でも利用できるサービスが増えています。

この記事では、個人事業主が請求書カード払いを活用するための情報を網羅的にまとめました。サービスの仕組みから利用できるサービスの比較、手数料の実質コストを下げる方法、仕訳の具体例、確定申告での処理、インボイス制度への対応まで、実務に必要な知識をひとつずつ解説していきます。

読み終えるころには、自分の事業に合ったサービスを選び、正しく経理処理を行いながら資金繰りを改善する方法が明確になっているはずです。

請求書カード払いの仕組みと個人事業主が使える条件

サービスの基本的な仕組み

請求書カード払いサービスとは、受け取った請求書の支払いをクレジットカードで行える仕組みです。利用者がサービスの管理画面に請求書の金額や振込先を入力してカード決済すると、サービス提供会社が取引先の口座へ銀行振込を代行します。

この仕組みはBPSP(Business Payment Solution Provider)と呼ばれ、VisaやMastercardなどの国際カードブランドが認めた正規の決済方式です。取引先にはこれまでどおり銀行振込として入金されるため、カード払いの事実が伝わることは基本的にありません。

利用者にとっての最大のポイントは、支払い日がカードの引き落とし日まで先送りになることです。カードの締め日と引き落とし日の関係によっては、最大60日ほど支払いを延長できます。たとえば月末締め・翌月27日払いのカードで月初にカード決済した場合、実際の引き落としは約57日後です。

個人事業主の利用条件と必要な準備

個人事業主が請求書カード払いサービスを利用するには、基本的にクレジットカードがあれば始められます。法人カードは必須ではなく、個人名義のカードで利用できるサービスも多くあります。

必要なものは以下のとおりです。

    • クレジットカード(Visa、Mastercardが対応サービスが多い)
    • メールアドレス
    • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)

開業届の提出有無や事業の規模を問われないサービスがほとんどで、副業レベルの活動でも利用可能です。ただし、サービスによっては「法人のみ」「法人カード必須」というものもあるため、申し込み前に個人事業主の利用可否を確認してください。

審査については、カード払いサービス自体の審査は不要、または簡易な本人確認のみで済むケースが大半です。クレジットカードの発行時にカード会社が審査を済ませているため、追加の信用審査は原則として行われません。

個人事業主が請求書カード払いを使う4つのメリット

支払いサイトの延長でキャッシュフローを改善できる

個人事業主にとって最大のメリットは、支払いを最大60日延長できることによるキャッシュフローの改善です。

具体的なケースで考えてみましょう。Webライターとして活動しているAさんの例です。4月に納品した記事の報酬30万円は、クライアントとの契約で翌々月末、つまり6月30日に入金されます。しかし、取材に使った交通費や資料購入費、外注したイラスト制作費など合計8万円の請求書が5月末に届いています。

手元資金に余裕がない場合、この8万円の支払いが負担になります。カード払いにすれば、実際の引き落としは7月下旬。6月30日に報酬が入金されたあとの引き落としになるため、資金ショートを防げます。

個人事業主は法人と比べて取引先からの支払いサイトが長くなりがちです。「月末締め・翌々月払い」といった条件も珍しくなく、この入金と支払いのタイムラグを埋める手段として、カード払いは有効に機能します。

審査なしで即日利用できる

個人事業主にとって、銀行融資のハードルは決して低くありません。事業実績が浅い、安定収入の証明が難しい、担保となる資産がないなど、審査に通りにくい要因が重なりがちです。

請求書カード払いであれば、クレジットカードをもっていればその日のうちに利用を開始できます。Webからアカウント登録して、請求書の情報を入力し、カード決済するだけ。最短30分で初回の支払いを完了できるサービスもあります。

急な支払いが発生したとき、融資の審査を待つ余裕がないとき、ファクタリングの審査に1〜3日かかるのが惜しいとき。こうした場面で「即日使える」というスピード感は、個人事業主にとって大きな安心材料です。

手数料を経費として計上できる

カード払いの手数料は「支払手数料」として経費に計上できます。個人事業主にとって、経費として認められることは実質的なコスト軽減につながります。

青色申告で課税所得が400万円の場合、所得税率は20%(速算控除あり)、住民税は10%、事業税は業種によって3〜5%(多くの業種で5%)で、合計30〜35%程度の税負担です。手数料が年間12万円であれば、経費計上によって約42,000円の節税効果が得られます。

手数料3%で年間400万円をカード払いにした場合の計算例です。手数料は年間12万円、経費計上による節税効果が約42,000円、実質負担は約78,000円となります。月あたりに換算すると約6,500円で、資金繰りの安定を得られると考えれば、許容範囲と感じる方も多いのではないでしょうか。

カードのポイント還元を事業に活用できる

カード払いにすることで、カード会社のポイントやマイルが貯まります。銀行振込ではポイントはつきませんから、同じ金額を支払うならカード払いのほうがお得です。

月20万円の請求書をカード払いにした場合、還元率1%のカードなら月2,000円、年間24,000円分のポイントが貯まります。このポイントを消耗品の購入やクラウドサービスの支払いに充てれば、事業コストの削減に直結します。

手数料率3%で還元率1%のカードを使えば、実質手数料率は2%です。さらに経費計上の節税効果を加味すれば、実質的なコスト負担はさらに軽くなります。

仕訳の具体例と勘定科目の使い方

基本的な仕訳パターン

請求書カード払いを利用した場合、仕訳は「カード決済時」と「カード引き落とし時」の2段階で行います。銀行振込であれば1回の仕訳で完結しますが、カード払いでは2回の仕訳が必要になる点に注意してください。

外注費10万円の請求書をカード払いした場合(手数料3%)の仕訳例です。

カード決済日(5月15日):

    • 借方:外注費 100,000円 / 貸方:未払金 100,000円
    • 借方:支払手数料 3,000円 / 貸方:未払金 3,000円

カード引き落とし日(6月27日):

    • 借方:未払金 103,000円 / 貸方:普通預金 103,000円

「未払金」はクレジットカードの利用残高を管理するための勘定科目です。カード決済時に未払金として計上し、引き落とし時に消し込みます。

仕入れや経費の種類別の仕訳

請求書の内容によって、借方の勘定科目は変わります。代表的なパターンをいくつか紹介します。

仕入れ代金5万円をカード払いした場合:

    • 借方:仕入高 50,000円 / 貸方:未払金 50,000円
    • 借方:支払手数料 1,500円 / 貸方:未払金 1,500円

広告宣伝費20万円をカード払いした場合:

    • 借方:広告宣伝費 200,000円 / 貸方:未払金 200,000円
    • 借方:支払手数料 6,000円 / 貸方:未払金 6,000円

事務所の家賃15万円をカード払いした場合:

    • 借方:地代家賃 150,000円 / 貸方:未払金 150,000円
    • 借方:支払手数料 4,500円 / 貸方:未払金 4,500円

いずれの場合も、手数料は「支払手数料」で統一して計上します。消費税区分は「課税仕入れ」です。帳簿には摘要欄に「請求書カード払いサービス手数料」と記載しておくと、あとから確認しやすくなります。

会計ソフトでの効率的な処理方法

freeeやマネーフォワード、弥生会計といったクラウド会計ソフトを使っている場合、カード明細の自動取得機能を活用すると仕訳の手間を大幅に減らせます。

クレジットカードを会計ソフトに連携させておくと、カードの利用明細が自動的に取り込まれ、仕訳候補が作成されます。初回は勘定科目の手動設定が必要ですが、2回目以降は学習機能により自動で振り分けてくれます。

注意点として、自動取得されるのはカード引き落とし時の情報であることが多く、カード決済時の仕訳を手動で入力する必要があるケースもあります。サービスによってはCSVエクスポート機能があるため、会計ソフトにインポートして処理する方法も検討してみてください。

月の処理件数が10件を超える場合は、会計ソフトとの連携環境を整えておくことを強くおすすめします。手動入力ではミスが発生しやすく、確定申告時の修正対応に時間がかかります。

確定申告とインボイス制度への対応

青色申告と白色申告での処理の違い

請求書カード払いの手数料を経費計上する方法は、青色申告と白色申告で若干異なります。

青色申告の場合は、複式簿記での記帳が前提です。前述の仕訳例のとおり、カード決済時と引き落とし時の2段階で正確に記帳します。65万円の青色申告特別控除を受けるためには、発生主義での記帳に加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が必要です(2020年分以降)から、カード決済日に費用を計上するのが正しい処理です。

白色申告の場合は、簡易な帳簿への記帳で済みます。収支内訳書の「経費」欄に「支払手数料」として年間の合計額を記載します。帳簿には日付、内容、金額を記録しておけば問題ありません。

どちらの場合も、カード払いサービスから発行される利用明細や領収書は保存しておく必要があります。税務調査の際に、手数料の内訳を説明できるよう準備しておきましょう。

インボイス制度での注意点

インボイス制度のもとで仕入税額控除を受けるには、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。請求書カード払いを利用する場合、保存すべきインボイスは2種類あります。

1つ目は、取引先から届いた請求書そのものです。これが本来の取引に対するインボイスとなり、従来どおり保存します。

2つ目は、カード払いサービスの手数料に対するインボイスです。手数料3,000円の消費税約273円の仕入税額控除を受けるためには、サービス提供会社が適格請求書発行事業者であり、インボイスを発行していることが条件です。

年間の手数料が12万円の場合、消費税額は約10,909円です。この金額の仕入税額控除を受けられるかどうかは、事業規模によっては無視できない差になります。

免税事業者の方はそもそも仕入税額控除の対象外ですが、売上が1,000万円を超えて課税事業者になる可能性がある場合は、インボイスを保存しておくことをおすすめします。

請求書のカード払いは個人事業主でも使える?仕訳・確定申告・サービス比較まで徹底ガイド

ファクタリングとの比較と使い分け

仕組みとコストの違い

個人事業主の資金繰り改善策として、請求書カード払いとファクタリングはよく比較されます。どちらもキャッシュフローを改善する手段ですが、仕組みもコストも大きく異なります。

請求書カード払いは「受け取った請求書の支払いを先延ばしにする」サービスです。手数料は支払い金額の2〜4%で、審査は不要、即日で利用開始できます。

ファクタリングは「自分が発行した請求書(売掛金)を売却して早期に現金化する」サービスです。手数料は2社間で10〜20%、3社間で1〜9%が相場で、審査に1〜3営業日かかります。

個人事業主の場合、ファクタリングの審査が法人より厳しくなる傾向があります。売掛先の信用力だけでなく、個人事業主自身の事業実績や信用情報も審査対象となるため、開業して間もない方は利用できないケースもあります。

コスト面では、カード払いの手数料3%に対して、2社間ファクタリングの手数料は10%以上が一般的です。100万円の取引であれば、カード払いの手数料が3万円、ファクタリングは10万円以上と、3倍以上の差があります。

どちらを選ぶべきかの判断基準

選び方の目安を整理すると、以下のようになります。

請求書カード払いが向いているケースは、支払いのタイミングを遅らせたい場合、手数料をできるだけ低く抑えたい場合、審査なしですぐに利用したい場合、定期的に発生する支払いに対応したい場合です。

ファクタリングが向いているケースは、売掛金を早期に現金化したい場合、カードの限度額を超える大きな金額を扱う場合、入金までの期間が長く待てない場合です。

両方の課題がある場合は、カード払いとファクタリングを併用することもできます。支払いの先延ばしにはカード払いを使い、売掛金の早期回収にはファクタリングを使うという組み合わせです。

まずはコストの低いカード払いから試して、それだけでは資金が回らない場合にファクタリングを検討するという順番が、費用対効果の面で合理的です。

手数料を抑えるための実践的なコツ

ポイント還元率の高いカードを選ぶ

手数料の実質負担を下げるもっとも効果的な方法は、ポイント還元率の高いカードを利用することです。

還元率ごとの実質手数料率を比較してみましょう(手数料率3%の場合)。

    • 還元率0.5%のカード:実質手数料率2.5%
    • 還元率1.0%のカード:実質手数料率2.0%
    • 還元率1.5%のカード:実質手数料率1.5%

月30万円をカード払いにしている場合、還元率が0.5%から1.5%に上がると年間のポイント差額は36,000円です。高還元率カードの年会費が1万円でも十分にもとが取れます。

カード選びのポイントは、還元率だけでなくポイントの使いやすさも重視することです。事業経費に使えるポイントであれば、実質的な経費削減になります。

支払いの優先度をつけて使い分ける

すべての請求書をカード払いにする必要はありません。資金繰りへの影響が大きい支払いだけをカード払いにすることで、手数料の総額を抑えられます。

優先度の判断基準は以下のとおりです。

    • 入金前に支払い期日がくる請求書は、カード払いの優先度が高い
    • 入金後に支払い期日がくる請求書は、銀行振込で十分
    • 金額が大きい支払いほど手数料のインパクトが大きいため、費用対効果を計算する

たとえば月の支払い総額が50万円で、入金前に期日がくるのが20万円分であれば、20万円だけカード払いにすれば手数料は6,000円(3%の場合)です。50万円すべてをカード払いにした場合の15,000円と比べて、9,000円の節約になります。

経費計上の節税効果も含めて、月間の実質負担を計算してみると、意思決定がしやすくなります。

よくある質問

開業届を出していなくても利用できますか

クレジットカードがあれば、開業届の提出有無を問わず利用できるサービスが多いです。ただし、確定申告で手数料を経費計上する場合は、事業として活動していることが前提となります。副業であっても、事業所得または雑所得として申告する予定であれば、関連する手数料を経費として処理できます。

個人事業主用のカードと個人カード、どちらを使うべきですか

事業用の支出と個人の支出を明確に分けるためには、事業専用のカードを使うのが理想的です。ビジネスカードを1枚もっておくと、会計ソフトとの連携もスムーズになり、確定申告時の作業が大幅に楽になります。ただし、個人名義のカードでも利用は可能です。その場合は、事業用の支出と個人の支出を帳簿上で明確に区分してください。

手数料以外に費用はかかりますか

サービスによって異なりますが、初期費用・月額固定費が無料で手数料のみのサービスもあります。別途振込手数料がかかるケースもあるため、トータルコストで比較しましょう。INVOYのカード払いでは、初期費用・月額固定費ともに無料で、手数料率3%のみで利用できます。個人事業主の方も1件から利用可能です。

限度額が足りないときの対処法はありますか

カード会社に一時増枠を依頼する方法が最も手軽です。利用実績が良好であれば、一時的な増枠に応じてもらえることがあります。また、複数枚のカードを登録できるサービスを選べば、カードごとの限度額を合算して利用できます。それでも足りない場合は、優先度の高い支払いだけをカード払いにして、残りは銀行振込で対応するのが現実的です。

まとめ

請求書のカード払いは、個人事業主でも利用できるサービスが増えており、資金繰りの改善に有効な手段です。支払いを最大60日延長できること、審査不要で即日利用できること、手数料を経費として計上できること、カードのポイント還元を受けられることが主なメリットです。

仕訳はカード決済時と引き落とし時の2段階で行い、手数料は「支払手数料」として経費計上します。青色申告の場合は発生主義で記帳し、白色申告の場合は収支内訳書に合計額を記載します。会計ソフトとの連携を活用すれば、処理の手間は大幅に軽減できます。

インボイス制度への対応としては、取引先からの請求書に加えて、カード払いサービスの手数料に関するインボイスの保存も忘れないようにしましょう。

ファクタリングと比べると手数料が低く審査も不要なため、まずはカード払いから始めるのが費用対効果の面で合理的です。ポイント還元率の高いカードを使い、必要な支払いだけをカード払いにすることで、手数料の実質負担をさらに抑えられます。

資金繰りに課題を感じている個人事業主の方は、まず少額の支払いから試してみてください。INVOYのカード払いなら初期費用なし、手数料3%、1件から利用可能です。

この記事の投稿者:

hasegawa

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