
「請求書の支払期日が迫っているのに、手元に十分な資金がない」「銀行融資は審査に時間がかかるし、間に合わない」。中小企業の経営者やフリーランスの方なら、こうした資金繰りの悩みを一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
そんなときに活用できるのが、請求書のカード払いサービスです。届いた請求書の支払いをクレジットカードで行えるサービスで、支払いサイトを最大60日間延長できます。手数料は2.5%から4%程度かかりますが、カードのポイント還元率を差し引くと実質コストはさらに下がります。銀行融資とは異なり、審査なしで即日利用できるサービスも多いため、急な資金需要にもすぐに対応できるのが大きな強みです。
この記事では、主要な請求書カード払いサービスの手数料や特徴を比較し、自社に最適なサービスの選び方をわかりやすく解説します。読み終えたら、どのサービスが自分の事業に合っているかが明確になり、すぐに利用を始められる状態になっているはずです。
目次
請求書カード払いサービスとは?仕組みと基本を理解する
BPSPサービスの基本的な仕組み
請求書カード払いは、BPSP(Business Payment Solution Provider)と呼ばれる仕組みを利用したサービスです。具体的な流れは以下のとおりです。
利用者がサービスに請求書の情報(振込先、金額、支払期日など)を登録します。サービス提供会社が、利用者に代わって請求書の振込先に銀行振込で支払いを行います。利用者は、手数料を含めた金額がクレジットカードの利用代金として請求され、カードの引き落とし日に支払います。
この仕組みのポイントは、請求書の受取先(取引先)はカード決済に対応する必要がないことです。取引先にはサービス提供会社から通常の銀行振込で支払いが行われるため、取引先に知られることなくカード払いを利用できます。
たとえば、月末に100万円の仕入れ代金を支払う必要がある場合、サービスを利用すると、月末にサービス提供会社が取引先に100万円を振り込みます。利用者は手数料(3%なら103万円)をカードの引き落とし日(翌月末から翌々月末)に支払います。これにより、実質的に支払いが30日から60日延長される計算です。
対象となる支払いの種類
請求書カード払いサービスで支払える請求書の種類は、サービスによって多少異なりますが、一般的には以下のような支払いに対応しています。
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- 仕入先への商品代金
- 外注先への業務委託費
- オフィスの家賃・管理費
- 光熱費・通信費
- 税金(法人税、消費税、住民税など)
- 社会保険料
- リース料
基本的に、銀行振込で支払うものであれば幅広く対応しています。ただし、個人への送金や海外送金には対応していないサービスが多いため、事前に確認が必要です。
また、支払い1件あたりの利用上限額が設定されているサービスもあります。少額の支払いから数百万円規模の支払いまで、自社の取引規模に合ったサービスを選ぶことが重要です。
おすすめの請求書カード払いサービス比較
INVOY(インボイ)カード払い
INVOYカード払いは、請求書管理サービス「INVOY」が提供するカード払い機能です。INVOYのアカウントを持っていれば、請求書の情報を入力するだけでカード払いを利用できます。
手数料は一律3%で、業界内でも競争力のある水準です。初期費用や月額固定費はかからず、利用した分だけ手数料が発生するシンプルな料金体系です。
利用できるカードブランドはVisa、Mastercardで、法人カードだけでなく個人カードでも利用可能です。支払い先の口座情報と金額を入力するだけで手続きが完了するため、操作も非常にシンプルです。
INVOYは請求書の作成・管理サービスとしても利用されているため、普段から請求書の発行にINVOYを使っている方であれば、同じプラットフォーム上でカード払いも完結できるメリットがあります。受け取った請求書の管理とカード払いを一元化できるのは、経理業務の効率化にもつながります。
審査は不要で、アカウント登録後すぐに利用を開始できます。急な支払いが発生した場合でも、即日で対応できる点が中小企業やフリーランスに支持されています。
支払い.com
支払い.comは、クレディセゾンとUPSIDERが共同で運営する請求書カード払いサービスです。セゾンカードやUPSIDERカードの利用者に特に人気があります。
手数料は一律4%です。INVOYと比較すると1%高くなりますが、利用上限額が高めに設定されている点や、セゾンカードとの連携による追加特典がある点がメリットです。
対応カードブランドはVisa、Mastercardに加えて、セゾンカード発行のJCBやAmerican Expressにも対応しています。カードブランドの選択肢が広いため、手持ちのカードで利用しやすい点が特徴です。
支払いの実行までのスピードが早く、最短で翌営業日に振込が完了します。振込名義を自社名に変更できるオプションもあるため、取引先に知られずにサービスを利用したいというニーズにも対応しています。
審査不要で利用できるため、創業間もない企業や個人事業主でもすぐに始められます。
ラボル カード払い
ラボルは、フリーランスや個人事業主向けの金融サービスを提供する企業で、カード払いサービスも展開しています。
手数料は3%から3.5%で、利用額や頻度に応じて変動するプランが用意されています。少額の支払いが多い個人事業主やフリーランスにとって、使いやすい料金体系です。
対応カードブランドはVisa、Mastercardです。特徴的なのは、ファクタリングサービスも並行して提供している点です。請求書の前払い(ファクタリング)とカード払いの両方のサービスを比較して、自社の状況に合ったほうを選択できます。
即日振込にも対応しており、急ぎの支払いにも柔軟に対応できます。フリーランスの資金繰り支援に特化したサービスのため、個人事業主向けのサポートが手厚い点もメリットです。
手数料・即日対応・審査の有無で比較する
手数料の比較と実質コスト計算
各サービスの手数料を一覧で比較してみましょう。
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- INVOY カード払い: 3%
- 支払い.com: 4%
- ラボル カード払い: 3%から3.5%
手数料だけを見るとINVOYが最も有利ですが、実際のコストを判断するには、クレジットカードのポイント還元率を考慮する必要があります。
具体的な計算例で見てみましょう。100万円の請求書をカード払いした場合を考えます。
手数料3%のサービスを利用した場合、手数料は30,000円です。ここで、還元率1.0%のカードを使えば10,000円分のポイントが貯まるため、実質コストは20,000円(実質手数料率2.0%)になります。還元率1.5%のカードなら実質コストは15,000円(実質手数料率1.5%)まで下がります。
手数料4%のサービスの場合、手数料は40,000円で、還元率1.0%のカードなら実質コストは30,000円(実質手数料率3.0%)です。
このように、利用するカードの還元率によって実質コストに大きな差が出ます。マイルやポイントの活用を前提にすると、手数料率の差は見た目ほど大きくないケースもあります。
ただし、ポイント還元はあくまで「後から戻ってくる」ものであり、手数料は先に支出として発生する点は忘れないようにしましょう。キャッシュフローの観点では、手数料率が低いサービスのほうが有利です。
即日対応の有無と振込スピード
請求書カード払いサービスを資金繰り対策として利用する場合、振込の実行スピードは重要な比較ポイントです。支払期日が明日に迫っているような緊急時には、即日振込に対応しているかどうかが決め手になります。
INVOYカード払いは、平日の所定時刻までに申し込めば最短で翌営業日に振込が実行されます。急な支払いにも対応しやすい体制です。
支払い.comも最短で翌営業日の振込に対応しています。大型連休や年末年始の前には早めに手続きを行うことが推奨されています。
ラボルカード払いは即日振込にも対応しているケースがあり、緊急の資金需要に強い特徴があります。
いずれのサービスも、銀行の営業時間外や休日は振込が翌営業日以降にずれ込むため、支払期日に余裕を持って手続きすることが大切です。特に月末や五十日(ごとおび)は銀行の処理が混み合うため、余裕を持ったスケジュールで利用しましょう。
審査の有無と利用開始までの流れ
請求書カード払いサービスの大きなメリットの1つが、銀行融資のような厳格な審査がないことです。クレジットカードを持っていれば、基本的には誰でも利用を開始できます。
INVOYカード払いは、無料のアカウント登録後すぐに利用可能です。決算書や確定申告書の提出は不要で、個人事業主でも法人でも同じように利用できます。
支払い.comも登録手続きが簡単で、最短で当日から利用を開始できます。利用にあたって与信審査はなく、クレジットカードの利用可能枠の範囲内で自由に利用できます。
ラボルカード払いも、基本的に審査不要で利用できます。ファクタリングサービスとは異なり、カード払いサービスは利用者のクレジットカードの与信枠を使うため、サービス提供会社側での与信審査が不要なのです。
つまり、請求書カード払いサービスの利用可否は、手持ちのクレジットカードの利用可能枠によって決まります。カードの限度額を超える支払いはできないため、高額な支払いが多い場合は、事前にカード会社に限度額の引き上げを申請しておくとよいでしょう。

ファクタリング・ビジネスローンとの比較
銀行融資との違い
請求書カード払いと銀行融資は、どちらも資金繰りを改善する手段ですが、性質が大きく異なります。
銀行融資は金利が年1%から3%程度と低コストですが、審査に1週間から1か月かかり、決算書や事業計画書の提出が必要です。融資額や返済条件もカード会社が決定するため、必ずしも希望どおりの条件にはなりません。
一方、請求書カード払いは手数料が3%から4%(支払い延長期間あたり)とコストは高めですが、審査不要で即日から利用できる手軽さがあります。必要なときに必要な分だけ利用できる柔軟性も大きなメリットです。
年間を通じて安定した資金需要がある場合は銀行融資のほうがコストパフォーマンスに優れます。一方、季節的な資金需要のピークや、突発的な支払いへの対応には請求書カード払いのほうが適しています。両者は排他的な関係ではなく、組み合わせて使うのが理想的です。銀行融資をベースラインの資金確保に使い、カード払いをピーク時のバッファーとして活用するイメージです。
ファクタリングとの違い
ファクタリングは、自社が保有する売掛金を早期に現金化するサービスです。請求書カード払いとは「お金の流れ」が逆方向になります。
ファクタリングは「受け取る側」の資金繰り改善手段です。取引先に発行した請求書(売掛金)をファクタリング会社に売却し、手数料を引いた金額を先に受け取ります。手数料は2社間ファクタリングで10%から20%、3社間ファクタリングで1%から9%が相場です。
請求書カード払いは「支払う側」の資金繰り改善手段です。届いた請求書の支払いをカードで行い、実質的な支払い期日を延長します。手数料は3%から4%です。
コスト面では、請求書カード払いのほうが圧倒的に低コストです。ファクタリングの手数料(2社間で10%以上)と比較すると、カード払いの3%は3分の1以下の水準です。
ただし、両者は解決する課題が異なります。「入金を早めたい」ときはファクタリング、「支払いを延ばしたい」ときは請求書カード払いを選ぶのが基本的な判断基準です。両方を組み合わせれば、入金を早めつつ支払いを延ばすことで、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)を大幅に短縮できます。
サービスを選ぶときの3つのポイント
自社の利用頻度と金額に合ったサービスを選ぶ
請求書カード払いサービスの選び方は、自社の利用パターンによって最適解が変わります。
月に1回から2回、数十万円規模の利用であれば、手数料率の低さを最優先に選ぶのが合理的です。INVOYカード払い(手数料3%)が最もコストを抑えられます。
月に複数回、100万円以上の利用が見込まれる場合は、手数料率に加えて対応カードブランドの幅広さや、振込名義の変更オプションなども重要になります。取引先が多く、振込名義を自社名にしたい場合は、そのオプションがあるサービスを選びましょう。
利用頻度が不定期で、緊急時のみ利用する場合は、月額固定費がかからないサービスを選ぶことが大前提です。本記事で紹介した3サービスはいずれも月額固定費が無料であるため、使わない月はコストがゼロです。
ポイント還元率の高いカードと組み合わせる
請求書カード払いの実質コストを下げるために、ポイント還元率の高いクレジットカードを利用することは非常に効果的な戦略です。
還元率1.0%のカードを使った場合、手数料3%のサービスなら実質2.0%になります。還元率1.5%のカードなら実質1.5%まで下がります。
さらに、マイルに交換する場合は実質コストがさらに低くなる可能性があります。たとえば、還元率1.0%でマイルが貯まるカードを使い、そのマイルを国際線ビジネスクラスの特典航空券に交換すると、1マイルの価値は5円から10円に跳ね上がります。この場合、手数料3%に対して実質5%から10%の還元が得られる計算で、手数料を払ってもプラスになるというケースもありえます。
もちろん、マイルの価値は使い方次第で変動するため、確実にプラスになるとは限りません。しかし、ポイントやマイルの活用を前提に考えると、請求書カード払いの手数料は「支払いの延長コスト」だけでなく「ポイント獲得の機会」としても捉えることができます。
月に100万円の請求書をカード払いすると、年間で12万ポイント(還元率1.0%の場合)が貯まります。このポイントを経費に充当したり、出張の航空券に交換したりすれば、手数料の一部を実質的に回収できるのです。
セキュリティと信頼性を確認する
請求書カード払いサービスでは、クレジットカード情報や取引先の口座情報という機密性の高い情報を取り扱います。そのため、サービスのセキュリティ対策と運営企業の信頼性を確認することが重要です。
チェックすべきポイントは、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠状況です。PCI DSSは、カード情報を取り扱う事業者に求められる国際的なセキュリティ基準で、準拠しているサービスであればカード情報の漏えいリスクが低いと判断できます。
運営企業の資本金や設立年数、決済代行業としての登録状況も確認しましょう。Visa・Mastercardのネットワークを利用するBPSPサービスであれば、国際ブランドの審査を通過しているため、一定の信頼性が担保されています。
また、カスタマーサポートの対応品質も重要な選定基準です。振込に関するトラブルが発生した場合、迅速に対応してもらえるかどうかは、事業の信用に関わる問題です。利用前に問い合わせをしてみて、対応のスピードと質を確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
サービスを利用すると取引先にバレますか?
基本的に、取引先に知られることはありません。取引先への支払いは、サービス提供会社から通常の銀行振込で行われます。振込名義を自社名に設定できるサービスを選べば、取引先から見ると通常の銀行振込と区別がつきません。ただし、サービスによっては振込名義がサービス提供会社の名前になるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
個人事業主やフリーランスでも利用できますか?
はい、個人事業主やフリーランスでも利用可能です。多くの請求書カード払いサービスは、法人だけでなく個人事業主にも対応しています。必要なのはクレジットカードと、支払いたい請求書の情報だけです。確定申告書や開業届の提出は不要なサービスがほとんどです。個人カードでも法人カードでも利用できるため、事業用のカードをまだ持っていない方でも問題ありません。
手数料は経費として計上できますか?
請求書カード払いサービスの手数料は、「支払手数料」として全額経費に計上できます。消費税の区分について、決済代行に係る手数料は実態(資金移動・送金代行に該当するか、課税役務に該当するか)によって課税仕入れか非課税仕入れかの判定が異なります。仕入税額控除の可否はサービス事業者発行の請求書に記載された消費税区分とインボイス(適格請求書)の保存状況により判定されるため、サービスごとに発行書類で確認してください。経理処理上は、手数料の請求書やカード明細を証憑として保管しておきましょう。
カードの利用限度額を超える支払いはできますか?
カードの利用可能枠を超える支払いはできません。請求書カード払いサービスは、利用者のクレジットカードの与信枠を使って決済を行うため、カードの利用可能残額が上限となります。高額な支払いを予定している場合は、事前にカード会社に一時的な利用枠の増枠を申請することをおすすめします。また、複数のカードに対応しているサービスであれば、支払いを複数回に分けて異なるカードで決済するという方法も検討できます。
まとめ
請求書カード払いサービスは、手持ちのクレジットカードを使って請求書の支払いを延長できる、中小企業やフリーランスにとって心強い資金繰りツールです。
手数料は3%から4%が相場で、INVOYカード払い(3%)が最も低コストで利用できます。支払い.com(4%)はカードブランドの対応幅が広く、ラボル(3%から3.5%)はフリーランス向けのサポートが充実しています。
実質コストを下げるには、ポイント還元率の高いカードとの組み合わせが効果的です。還元率1.0%のカードなら手数料3%のサービスでも実質2.0%で利用でき、マイルに交換すればさらにお得になる可能性があります。
銀行融資やファクタリングとは異なり、審査不要で即日から利用できる手軽さが最大の強みです。月額固定費がかからないサービスを選べば、必要なときだけ利用するスポット的な使い方も可能です。
自社の支払い頻度や金額に合ったサービスを選び、資金繰りの安定化にぜひ活用してみてください。



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