取引において値引きをする際は、見積書や請求書に反映させます。本記事では、見積書などの書類に値引きを反映する際の書き方・ルール・注意点について紹介します。
目次
見積書・請求書における値引きの書き方
見積書や請求書に値引きを反映する際は、金額に「▲」や「-」をつけて対応します。例えば、1万円の値引きをするのであれば「▲10,000円」や「-10,000円」といったように記載します。
これらの書類では、どの商品にどれくらいの金額がかかっているのか示すために金額の内訳を記載する必要がありますが、それと同様に値引きの金額も忘れず記載します。単に合計金額から金額を差し引いただけだと、なぜその金額になっているのかがわからず混乱を招く可能性があるため、値引きの金額もできるだけ記載するようにしましょう。
関連リンク:見積書の書き方・作り方を無料のテンプレートを用いてわかりやすく解説!ポイントや注意点も!
値引きが発生するケース
値引きが発生するケースを4つ紹介します。
大量に購入した場合
大量の注文があった際は割引を行うことがあり、これはボリュームディスカウント・リベートなどと呼ばれています。また、会計上の処理を行う時は「売上割戻」と呼びます。
この場合は、各商品の本来の金額を記載した上で、別の欄に「▲10万円」や「-10万円」と記載します。商品名の欄には「まとめ買い値引き」など割引の理由を記載します。
相殺する場合
過去の注文で返品があったり、何らかの理由で返金が生じた場合には、次の取引の金額からその分の金額を差し引く「相殺」を行うことがあります。
相殺を行う際は「相殺金額」とした上で、金額欄に「▲10万円」や「-10万円」と記載します。「○月分と相殺」など、相殺する理由についても記載しましょう。
出精値引きをする場合
企業の努力によって、本来の見積もり金額よりも値下げすることを「出精(しゅっせい)値引き」と言います。出精とは、精を出して物に取り組むことを意味する言葉です。「御社のために努力して値下げをした」といったアピールになるほか、「これ以上値下げすることは難しい」ということを示す意味合いがあります。
見積書には「出精値引き」とした上で、その金額を記載します。「出精値引き(10%割引)」など、具体的な割合を記載しても構いません。
クレームに対応する場合
商品やサービスの品質に問題がありクレームが寄せられた時は、お詫びの気持ちを示すために、次回以降の取引で特別に値引きをすることがあります。
この場合は「クレームがあったため」などとは記載せず、ただ単に「値引き」とした上で金額を記載するといいでしょう。
見積書・請求書に値引きを記載する際の5つの注意点
見積書や請求書に値引きを反映する際の注意点について紹介します。
値引きの金額を明確に記載する
書類には、商品を記載する欄を使って値引きの内容を明確に記載します。
品目 | 単価 | 数量 |
商品A | 10,000 | 10 |
商品B | 20,000 | 10 |
○○のため値引き | -5,000 | 1 |
単に値引き後の金額を記載すると、なぜその見積金額・請求金額になっているのかわからないことがあります。取引の内容を相手に分かりやすく伝えるために、行を分けて値引き金額を記載するといいでしょう。
金額に「▲」や「-」をつける
一般的な書類では金額に「▲」や「-」をつけることでマイナスであることを示します。その他の記号を使うこともありますが、特別な理由がない限り、これらの記号を使うことが望ましいでしょう。また、マイナスであることが一目見てわかるように、数字を赤い色にして書類を発行することもあります。
値引きの理由も記載する
品目の欄や備考欄に値引きの理由を記載します。「○○月キャンペーンによって値引き」「大量購入のため値引き」など具体的に理由を記載することで、なぜその金額になったのか理由を相手に伝えることができます。また、日頃からお世話になっている相手であれば「○○様特別値引き」と記載することで、より相手との関係性が強まるかもしれません。
作成した書類は承認や監査などのために、現場の担当者以外が見ることもあります。そのため、誰が見ても分かりやすいように書類を作成することをおすすめします。
法律を確認した上で作成する
取引先から値下げを要求され、通常よりも著しく低い価格を不当に定めると、場合によっては相手が下請法や独占禁止法といった法律に触れることになります。
例えばこのようなケースでは、発注者が法律違反とみなされる可能性があります。
- 発注者の事情のみで価格の引き下げを要請する
- 不況時や為替変動を理由に大幅な価格低減を要求する
- 安価な海外製品を引き合いにして、取引価格を引き下げる
商品の価格を設定する上では、このような法律の存在について把握しておくといいでしょう。
参照:合理的な理由なく、価格低減を要請していませんか?|中小企業庁・公正取引委員会からのお知らせ
インボイス制度における値引きの方法を把握する
インボイス制度に登録した事業者が値引きする際は、制度に沿うような形で値引き金額を適格請求書に反映することになります。具体的には、以下のいずれかの記載方法を採用します。
- 値引き後の「税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」を記載する方法
- 値引き前の「税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」と税率ごとの値
引額を記載する方法
値下げの金額をどのように書類に反映するか、社内の規定などを確認した上で作成しましょう。なお、請求書がインボイスに対応しているものであれば、見積書は適格請求書として作成しなくても構いません。
見積書・請求書に値引きを記載する際の基本的なルール
見積書・請求書に値引きを記載する際に知っておきたいルールを2つ紹介します。
見積書に値引きを記載する場合
見積書を作成する際、特定のルールに基づいて値引きを記載しなくてはいけないというわけではありません。見た人にとってわかりやすく、取引の内容を正しく伝えるものであれば構わないでしょう。
見積書を作成する際は、インターネット上のテンプレートを利用したり、書類の作成システムを使ったりすることも可能です。
値引きの金額を書く場合
書類に「▲」や「-」をつけてマイナスであることを示すと紹介しましたが、中にはこれ以外の記号を使う会社もあります。しかし、一般的な方法であることから、特別な取り決めがない限り「▲」もしくは「-」を使うことが望ましいでしょう。
出精値引きとは何か
出精値引きとは、企業努力によって本来の見積もり金額よりも値下げすることです。値下げの方法はさまざまですが、主に以下のような方法が考えられます。
- まとまった金額を値引きする(1万円割引など)
- 値引率に応じて値引きする(1割引など)
- 端数を切り捨てる(10万5,000円を10万円にするなど)
記載方法
これまで紹介してきたように、出精値引きに関しても「▲」や「-」をつけて値引きを行うことを示します。
品目の欄には「出精値引き」と具体的な理由を記載して構いません。値下げの理由を具体的に記載した方が、取引先や後任者、税務調査の調査官にも伝わりやすいでしょう。
使用するタイミング
出精値引きは取引先への感謝の気持ちや誠意を伝えるために行うものです。関係性を深めたり、維持したりしたい場合には、出精値引きを行うことがあります。
また「もうすでに値下げをしているため、これ以上は値下げすることができない」といったことをアピールするために用いられることもあります。
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まとめ
見積書で値引きをする際に特定の決まりがあるわけではありませんが、見積もり金額の根拠を示すために、値引きの理由や金額を具体的に記載することが一般的です。取引先の担当者はもちろん、後で自分や自社の社員などが見た時にも情報が伝わることを意識して作成するといいでしょう。
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