請求書の基礎知識

請求書 処理 効率化を実現する完全ガイド|手作業からの脱却と自動化の進め方

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毎月の請求書処理に追われ、月末月初になると確認や入力、承認の対応で残業が増えてしまう。そんな悩みを抱える経理担当者は少なくありません。

この記事を読み終えるころには、請求書処理のどこに無駄が潜んでいるのかを工程ごとに把握でき、自社に合った効率化の打ち手を順序立てて選べるようになります。AI-OCRや承認ワークフロー、会計システム連携といった手段の違いを理解し、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応まで一度に整理できる構成にしました。

実際に多くの企業が、紙の請求書を中心とした処理から脱却することで、月末の負担を大きく減らしています。今は手作業が多くて不安を感じている方でも、小さな工程から段階的に改善できる方法をお伝えしますので、自分の職場でも再現できるイメージを持ちながら読み進めてください。請求書の処理効率化は、特別なスキルがなくても、正しい順序で取り組めば着実に成果につながります。

請求書処理の全体像と効率化が必要な理由

請求書処理の効率化を考える前に、まずは処理がどのような工程で成り立っているのかを把握することが大切です。全体像が見えていないと、どこに時間がかかり、どこでミスが起きているのかが分からないまま、表面的な対策に終わってしまいます。

請求書処理を構成する6つの工程

請求書処理は、大きく分けて受領、内容確認、社内承認、仕訳の記帳、支払処理、保管という6つの工程で成り立っています。取引先から請求書を受け取る受領に始まり、金額や支払期日、取引先名に誤りがないかを確認し、上長や責任者の承認を経て、会計システムへ仕訳として記帳します。その後、支払処理で振込を行い、最後に法令に沿って保管します。この一連の流れは、どれか一つでも滞ると後工程すべてが遅れてしまう性質を持っています。とくに受領から保管までが分断されている職場ほど、転記や二重入力が増え、処理時間が膨らみます

なぜ手作業の請求書処理は時間がかかるのか

手作業中心の請求書処理では、紙やPDF、Webポータルなど受領方法がばらばらになりがちです。Sansanの調査によると、請求書1枚を受け取ってから保管するまでにかかる平均処理時間は約53分とされています。さらに、1カ月の平均受領枚数は96.1枚、処理時間は月約84時間という結果も示されています。1枚あたりの作業は小さく見えても、枚数が積み重なることで膨大な工数になることが分かります。手入力による転記ミスや、確認漏れによる差し戻しが発生すると、再確認や修正のためにさらに時間を取られてしまいます。

紙とテレワークの両立が難しい現状

請求書処理は出社を前提とした業務になりやすく、テレワークの妨げになる代表的な業務です。同じ調査では、受け取る請求書の半数以上が紙だと回答した割合は90.2%にのぼり、請求書関連業務のために出社が必要と答えた人は全体で83.7%、非経理部門でも82.5%に達しています。紙の請求書は受け取りや押印、保管のために物理的な出社を求めるため、働き方の柔軟性を大きく損ないます。この現状こそが、請求書処理を効率化すべき大きな理由の一つです。

請求書処理で起きやすい課題を工程別に整理

効率化を成功させるには、自社のどの工程に課題があるのかを具体的に特定することが欠かせません。同じ「処理が遅い」という症状でも、原因が受領にあるのか承認にあるのかで、選ぶべき打ち手はまったく変わります。

受領方法の分散による見落としと二重登録

請求書の受け取り方が、郵送の紙、メール添付のPDF、取引先のWebポータルなどに分散していると、担当者は複数の場所を巡回して請求書を集めなければなりません。受領のタイミングや保管場所がばらばらになるため、見落としや二重登録が起こりやすくなります。とくにWebポータルからのダウンロードは、担当者が定期的に確認しないと放置されがちで、支払漏れの温床になります。受領の入り口を一本化することが、効率化の最初の重要なポイントです。

入力ミス・確認漏れが生む手戻り

金額や支払期日、取引先名、振込先口座などを手入力する工程は、ミスが最も発生しやすい場所です。一度の入力ミスが、誤った金額での支払いや支払先の取り違えにつながると、修正には大きな手間がかかります。確認漏れによる差し戻しが発生すれば、承認者と担当者の間で何度もやり取りが生じ、処理全体が滞ります。手作業が多い工程ほど、ミスの発生率と手戻りの工数が比例して増えていきます

承認遅延とボトルネックの発生

紙の請求書を回覧し、押印によって承認を進める方式では、承認者が不在のときに処理が止まってしまいます。承認ルートが属人的で、誰がどこまで確認したのかが見えにくいことも、遅延の原因になります。月末月初に請求書が集中する時期は、このボトルネックが一気に表面化し、支払期日に間に合わないリスクが高まります。承認の状況を可視化し、代理承認を設定できる仕組みが求められます。

法対応による処理負荷の増加

電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は、効率化と同時に進めなければならない課題です。LayerXの試算では、インボイス制度への対応により請求書の支払処理が1件あたり15分増加するとされています。日本全体では、インボイス対応の負担が月約1.4億時間、人件費に換算すると月約3,413億円にのぼるとも試算されています。適格請求書かどうかの確認や、登録番号の照合、税率ごとの計算といった作業が新たに加わるため、従来のやり方のままでは負荷が膨らむ一方です。

請求書 処理 効率化を実現する主要な手段

課題を整理できたら、次はそれを解決するための具体的な手段を理解します。効率化の手段は一つではなく、複数を組み合わせることで効果が高まります。

AI-OCRによるデータ化と入力の自動化

AI-OCRは、紙やPDFの請求書を読み取り、金額や取引先名、日付などを構造化されたデータに変換する技術です。従来のOCRが定型のレイアウトしか読み取れなかったのに対し、AI-OCRはレイアウトが異なる請求書でも高い精度で項目を抽出できる点が特徴です。これにより、手入力の工数を大幅に削減でき、転記ミスも減らせます。読み取り精度が高いツールを選べば、人による確認は最終チェックだけで済むようになり、入力作業そのものをほぼなくすことも可能です。

承認ワークフローによる回覧と押印の電子化

承認ワークフローを導入すると、紙の回覧や押印をシステム上の電子承認に置き換えられます。請求書がどの段階にあるのか、誰の承認待ちなのかが一目で分かるようになり、承認状況の可視化が進みます。承認者が外出していてもスマートフォンやパソコンから承認でき、代理承認の設定も可能なため、月末月初のボトルネックが解消されます。承認の履歴が自動で残るため、後から経緯をたどれる点も内部統制の面で有効です。

会計システム・ERPとの連携による仕訳の自動化

読み取った請求書データを会計ソフトやERPと連携させると、仕訳の自動作成が可能になります。勘定科目を推論して仕訳案を提示する機能を備えたツールもあり、経理担当者は内容を確認して承認するだけで記帳を完了できます。APIやCSVによる連携を活用すれば、同じ情報を会計システムに再入力する手間がなくなります。受領からデータ化、仕訳、支払までを一気通貫でつなぐことが、効率化の効果を最大化する鍵です

請求書受領システムによる一元管理

請求書受領システムは、紙、PDF、Webポータルなど分散していた受領方法を一つの窓口に集約する仕組みです。専用のメールアドレスや、取引先が直接アップロードできる窓口を用意することで、受領の入り口を一本化できます。受け取った請求書はクラウド上で一元管理され、どこからでも確認できるため、出社の必要性も下がります。受領から保管までを同じプラットフォームで完結させることで、工程の分断による無駄を取り除けます。

請求書 処理 効率化を実現する完全ガイド|手作業からの脱却と自動化の進め方

電子帳簿保存法とインボイス制度への対応

効率化を進めるうえで、法令への対応は避けて通れません。むしろ、適切なシステムを選ぶことで、効率化と法対応を同時に達成できます。

電子帳簿保存法が求める保存要件

電子帳簿保存法では、電子取引でやり取りした請求書などのデータを、一定の要件に沿って保存することが求められます。具体的には、日付や金額、取引先で検索できる検索要件や、改ざんを防ぐための真実性の確保などが要件として定められています。国税庁は、法人の帳簿や取引関係書類を原則7年間、一定の場合は10年間保存するよう説明しています。長期にわたる保存を紙で行うと保管スペースや検索の手間が増えるため、電子保存に対応したシステムの活用が現実的です。

インボイス制度で増える確認作業への対応

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかを確認する必要があります。登録番号の有無や、税率ごとに区分された記載があるかといったチェックが新たに加わり、これが処理負荷を押し上げています。AI-OCRや請求書受領システムの中には、登録番号を自動で照合したり、適格請求書かどうかを判定したりする機能を備えたものもあります。こうした機能を使えば、確認作業の負担を抑えながら、正確な処理を維持できます。

電子化を希望する声と今後の方向性

請求ABCの調査では、受領する請求書の電子化を希望すると回答した割合は54.9%にのぼります。半数を超える担当者が電子化を望んでいる一方で、実際には紙の請求書が多く残っているのが現状です。今後は、Peppolという国際規格に基づいたデジタルインボイスの普及も見込まれ、請求書のやり取りそのものがデータ中心へと移行していくと考えられます。早い段階から電子化に対応しておくことが、将来の負担軽減につながります。

自社に合った効率化の進め方とツール選びのポイント

効率化の手段を理解したら、最後は自社の状況に合わせて具体的にどう進めるかを決めます。やみくもにツールを導入するのではなく、優先順位を見極めることが成功の分かれ目です。

スモールスタートで始める段階的な改善

いきなり全工程をシステム化しようとすると、現場が混乱し、定着しないことがあります。まずは最も負担が大きい工程から手をつけるのが現実的です。たとえば、受領方法を専用メールに一本化する、入力作業をAI-OCRに置き換えるといった一点突破から始め、効果を確かめながら範囲を広げていきます。小さく始めて成功体験を積むことが、全社的な定着への近道です

Excelでの管理とシステム導入の判断基準

導入コストを抑えたい場合、まずはExcelで請求書の受領状況や支払予定を管理する方法もあります。ただし、Excelは入力ミスや属人化が起きやすく、検索要件などの法対応にも限界があります。請求書の枚数が月に数十枚を超え、複数人で管理する段階になったら、専用システムへの移行を検討する目安といえます。受け取る請求書のうち、通信費や水道光熱費といった定期的なものが全体の約34%を占めるという指摘もあり、定型の請求書ほど自動化の効果が出やすい点も判断材料になります。

BPOとシステム導入のどちらを選ぶか

人手不足が深刻な場合、請求書処理を外部に委託するBPOという選択肢もあります。BPOは社内の工数を一気に減らせる一方、情報漏えいのリスクや、ノウハウが社内に残らないという懸念があります。システム導入は初期の設定に手間がかかるものの、運用が定着すれば長期的なコストを抑えやすく、社内に知見も蓄積されます。自社が重視するのがコスト削減なのか、内製ノウハウの維持なのかを整理したうえで選ぶことが大切です。

ツール選定で確認すべきチェック項目

請求書管理システムを選ぶ際は、いくつかの観点を事前に確認しておくと失敗を防げます。受領方法を一元化できるか、AI-OCRの読み取り精度は十分か、使っている会計ソフトと連携できるか、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しているかといった点は必ずチェックしましょう。導入後のサポート体制や、料金が請求書の枚数に見合っているかも重要です。複数のツールを比較し、自社の課題に最も合うものを選ぶことが、効率化の成果を左右します。

請求書処理の効率化に関するよくある質問

請求書処理の効率化を検討する際に、多くの担当者が抱く疑問をまとめました。導入前の不安を解消する参考にしてください。

効率化の効果が出るまでどのくらいかかりますか

効果が表れるまでの期間は、改善する工程の範囲によって異なります。受領の一本化や入力の自動化など、一つの工程に絞って改善する場合は、運用が定着すれば1〜2カ月ほどで処理時間の短縮を実感できることが多いです。一方、受領から支払、保管まで全工程を見直す場合は、設定や社内ルールの整備に時間がかかるため、数カ月単位で考えておくとよいでしょう。

小規模な会社でも導入する意味はありますか

請求書の枚数が少ない小規模な会社でも、効率化の意味は十分にあります。月末月初に処理が集中して残業が発生している、担当者が一人に集中して属人化しているといった課題は、規模を問わず起こります。低コストのクラウドサービスやAI-OCRから始めれば、初期投資を抑えつつ負担を減らせます。むしろ人員に余裕がない小規模な組織こそ、自動化による工数削減の恩恵を受けやすいといえます。

AI-OCRの読み取り精度は信頼できますか

近年のAI-OCRは、さまざまなレイアウトの請求書に対応できるほど精度が向上しています。ただし、手書きの文字や、印字が薄い請求書では読み取りミスが起こることもあります。そのため、読み取った結果を人が最終確認する運用を組み合わせるのが現実的です。確認の工数を含めても、すべてを手入力する場合と比べれば、作業時間は大きく短縮できます。

まとめ

請求書処理の効率化は、受領、確認、承認、仕訳、支払、保管という一連の工程のどこに無駄が潜んでいるのかを把握することから始まります。

Sansanの調査では請求書1枚あたり約53分、月約84時間もの処理時間がかかるとされ、紙中心の運用が出社の必要性を高めている現状が浮き彫りになっています。AI-OCRによるデータ化、承認ワークフローによる電子承認、会計システム連携による仕訳の自動化、請求書受領システムによる一元管理を組み合わせることで、これらの負担を大きく減らせます。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も、適切なシステムを選べば効率化と同時に達成できます。

まずは負担の大きい工程からスモールスタートで取り組み、効果を確かめながら範囲を広げていくことが、確実な成果への近道です。自社の課題に合った手段を選び、無理のない順序で請求書処理の効率化を進めていきましょう。

この記事の投稿者:

hasegawa

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