ファクタリングの基礎知識

銀行のファクタリングとは?仕組み・独立系との違い・メリットと利用の流れを解説

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銀行 ファクタリング

取引先への請求は済んでいるのに、入金まで30日から60日も待たなければならない。その間に仕入れや人件費、外注費の支払いが先に来てしまう。こうした資金繰りのギャップを埋める手段として注目されているのがファクタリングです。なかでも「銀行のファクタリング」、すなわち銀行や銀行系列の会社が提供するファクタリングは、手数料の低さと信頼性の高さから、ある程度の規模の事業者に選ばれています。

一方で「銀行でファクタリングはできるのか」「いわゆる独立系のファクタリング会社と何が違うのか」という疑問を持つ方も多いはずです。結論から言えば、銀行が窓口となるファクタリングは存在しますが、その中身は一般にイメージされる買取型のファクタリングとは仕組みも条件も大きく異なります。この記事では、銀行系ファクタリングの仕組み、でんさいネットを活用した一括ファクタリング、独立系やノンバンク系との違い、メリットとデメリット、そして実際の利用の流れまで、2026年時点の情報をもとにわかりやすく整理して解説します。

銀行のファクタリングとは何か

銀行のファクタリングとは、メガバンクや地方銀行、あるいは銀行が出資・運営する関連会社が提供するファクタリングサービスの総称です。一般に「銀行系ファクタリング」と呼ばれ、独立系ファクタリングやノンバンク系ファクタリングと対比されます。

ファクタリングそのものは、入金前の売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売却し、入金予定日より前に現金を受け取る資金調達の方法です。お金を借りる融資とは異なり、債権を売却する取引であるため、原則として負債は増えません。銀行のファクタリングも基本的な考え方は同じですが、提供主体が銀行であるという点で、審査基準や契約形態、手数料水準に独自の特徴が生まれます。

銀行が提供するファクタリングは大きく二種類

銀行のファクタリングは、実務上おおむね次の二つに整理できます。それぞれ目的も仕組みも異なるため、自社がどちらを求めているのかを最初に明確にしておくことが重要です。

  • 買取型ファクタリング:売掛債権を銀行や銀行系列の会社が買い取り、資金化する。資金調達を目的とした利用者主体のサービス。
  • 一括ファクタリング(でんさい一括ファクタリングを含む):支払企業が手形に代えて債務を一括して管理・決済する仕組み。支払企業が主体となって導入し、受け取る側の納入企業が早期資金化に利用できる。

検索で「銀行 ファクタリング」と調べる事業者の多くは前者の買取型を想定していますが、銀行の窓口で実際に案内されることが多いのは後者の一括ファクタリングです。両者は混同されがちなので、以下で順に整理します。

銀行系の買取型ファクタリングの仕組みと特徴

買取型の銀行系ファクタリングは、利用者が保有する売掛債権を銀行系列の会社に売却し、現金を受け取る取引です。最大の特徴は、契約形態が原則として「3社間ファクタリング」に限られることです。

3社間ファクタリングのみという制約

ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の二者だけで完結する2社間ファクタリングと、そこに売掛先(取引先)が加わる3社間ファクタリングがあります。独立系やノンバンク系は2社間に強みを持ちますが、銀行系の買取型ファクタリングは3社間ファクタリングのみの取り扱いとなっているのが一般的です。

3社間ファクタリングでは、売掛先に対して債権を譲渡した事実を通知し、承諾を得る手続きが必要になります。つまり、ファクタリングを利用したことが取引先に知られる前提となります。資金繰りに不安があると取引先に受け取られるリスクを避けたい事業者にとっては、この点が大きなハードルになります。一方で、売掛先が直接ファクタリング会社へ支払う構造になるため、回収リスクが下がり、後述するように手数料は低く抑えられます。

審査では自社の経営状況も見られる

独立系やノンバンク系のファクタリングでは、回収の確実性を左右する売掛先の信用力が審査の中心になります。これに対して銀行系の審査では、売掛先の信用力に加えて、利用者である自社の経営状況や決算内容まで確認される傾向があります。銀行融資の審査に近い水準のチェックが入るため、創業間もない企業や赤字決算の企業では通過が難しくなることがあります。

でんさいネットを使った一括ファクタリング

銀行の窓口でファクタリングとして案内される代表例が、でんさいネットを活用した一括ファクタリングです。でんさいネットとは、全国銀行協会が設立した電子債権記録機関である株式会社全銀電子債権ネットワークの通称で、手形や売掛債権を電子化してオンライン上で発生・譲渡・決済できる仕組みです。

でんさい一括ファクタリングの流れ

でんさい一括ファクタリングは、電子記録債権(でんさい)の仕組みに一括ファクタリングを組み合わせた決済サービスです。基本的な流れは、支払企業が支払データを作成して専用サイトにアップロードし、ファクター会社(多くは銀行系列の会社)が代行してでんさいを発生させ、納入企業のでんさいをファクター会社が受領するというものです。納入企業は、支払期日を待たずにファクター会社へでんさいを譲渡することで、手形割引と同じように期日前の早期資金化ができます。

でんさいは一度ネットへ登録しておけば、売掛先がでんさいを利用している限り、次回以降は個別の契約手続きが不要になります。利用のたびに契約を交わす必要がある通常のファクタリングと比べ、継続取引における事務負担が軽いのが特徴です。三井住友銀行のでんさいファクタリング支払サービスや、りそな銀行のでんさい活用型ファクタリング、十六銀行のでんさい一括ファクタリングサービスなど、各行が商品として提供しています。

ただし、この仕組みは支払企業(買い手側)が主体となって導入するものであり、納入企業(売り手側)が単独で申し込めるものではない点に注意が必要です。なお、でんさい一括ファクタリングは商品の見直しが進んでおり、たとえば三菱UFJ銀行のでんさい一括ファクタリング(でん括)は新規取り扱いを停止しています(2026年2月時点)。利用を検討する際は、取引銀行で現在も提供されているか最新の状況を確認してください。

銀行系と独立系・ノンバンク系の違い

ファクタリング会社は、運営母体によって大きく銀行系、ノンバンク系、独立系の三つに分けられます。手数料、審査、スピード、契約形態のそれぞれで明確な違いがあるため、自社の優先順位に合わせて選ぶことが大切です。

手数料の水準

手数料は、独立系よりノンバンク系、ノンバンク系より銀行系のほうが低く設定される傾向があります。銀行系の3社間ファクタリングでは売掛金の1パーセント前後にとどまることも多いのに対し、独立系やノンバンク系では売掛金の2パーセントから20パーセント程度と幅があります。たとえば額面1,000万円の売掛債権を資金化する場合、手数料1パーセントなら約10万円、手数料15パーセントなら150万円と、受け取れる金額に140万円もの差が生じる計算になります。資金化のコストを抑えたい事業者にとって、銀行系の手数料の低さは大きな魅力です。

審査の厳しさとスピード

手数料が低い分、銀行系は審査が厳しく、資金化までの時間も長くなります。独立系のなかには申し込みから最短即日で資金化できる会社もありますが、銀行系では申し込みから現金化まで、早くても2週間、長い場合は1か月程度かかることがあります。急な支払いに今日明日で対応したいという緊急のニーズには、銀行系は向きません。逆に、入金まで一定の余裕があり、コストと信頼性を重視するなら銀行系が適しています。

契約形態と取引先への影響

独立系・ノンバンク系は2社間・3社間の両方に対応する会社が多く、取引先に知られずに資金化できる2社間を選べます。一方、銀行系は3社間ファクタリングのみのため、取引先への通知と承諾が前提です。取引先との関係性や、ファクタリング利用を知られることの影響をどう評価するかが、銀行系を選ぶかどうかの分かれ目になります。

  • 銀行系:手数料が低い(1パーセント前後の例も)/信頼性が高い/高額債権に強い。一方で審査が厳しく、資金化に2週間から1か月かかり、原則3社間のみ。
  • ノンバンク系:手数料は中程度(おおむね数パーセントから10数パーセント)。スピードと信頼性のバランスがよく、2社間にも対応。
  • 独立系:審査が柔軟で最短即日の資金化も可能。手数料は高めになりやすく、業者の見極めが特に重要。

銀行のファクタリングを利用するメリット

銀行系ファクタリングには、コスト面と安心感の両方で明確なメリットがあります。

  • 手数料が低い:3社間が基本で回収リスクが小さいため、手数料が売掛金の1パーセント前後に収まる例もあり、調達コストを大きく抑えられる。
  • 信頼性が高い:銀行や銀行系列が運営しているため、悪質な業者に当たる不安がほとんどなく、契約条件も明朗で安心して利用できる。
  • 高額債権に対応しやすい:資金力のある銀行系は、数千万円規模の高額な売掛債権の買取にも対応できることが多い。
  • 負債が増えない:債権の売買であるため、原則として貸借対照表上の負債が増えず、融資枠を温存したまま資金を確保できる。
銀行 ファクタリング

銀行のファクタリングのデメリット・注意点

一方で、銀行系には独立系にはない使いにくさもあります。利用前に必ず把握しておきましょう。

  • 審査が厳しい:売掛先の信用力だけでなく、自社の決算内容や経営状況まで確認されるため、創業直後や業績が不安定な事業者は通過しにくい。
  • 資金化までに時間がかかる:申し込みから入金まで2週間から1か月かかることがあり、即日の資金需要には対応できない。
  • 取引先の同意が必要:3社間のみのため、債権譲渡を取引先へ通知し承諾を得る必要があり、ファクタリング利用が取引先に知られる。
  • 単独では申し込めない仕組みもある:でんさい一括ファクタリングは支払企業が導入する仕組みのため、納入企業が自社の都合だけで使えるわけではない。

銀行のファクタリングの利用の流れ

買取型の銀行系ファクタリング(3社間)を利用する場合の一般的な流れは次のとおりです。取引先の関与が入るため、独立系の2社間に比べて手順が多く、時間にも余裕を持って進める必要があります。

  • 1. 相談・申し込み:取引銀行や銀行系列の会社に相談し、資金化したい売掛債権の内容を伝えて申し込む。
  • 2. 必要書類の提出:売掛債権を証明する請求書や契約書、自社の決算書、入出金のわかる通帳の写しなどを提出する。
  • 3. 審査:売掛先の信用力に加え、自社の経営状況も含めて審査が行われる。ここで一定の時間を要する。
  • 4. 売掛先への通知・承諾取得:債権を譲渡する旨を売掛先へ通知し、承諾を得る。3社間の前提となる重要な工程。
  • 5. 契約締結・入金:条件に合意して契約を結ぶと、手数料を差し引いた金額が入金される。
  • 6. 売掛先からの支払い:支払期日に売掛先が直接ファクタリング会社へ支払い、取引が完了する。

利用前に知っておきたい法律上のポイント

ファクタリングを安心して利用するには、その法的な位置づけを理解しておくことが欠かせません。売掛債権を対象とする通常のファクタリングは、民法上の売買契約および債権譲渡に該当する合法的な取引です。原則として「償還請求権なし(ノンリコース)」、つまり万一売掛先が支払えなくても利用者が買い戻す義務を負わない形が一般的です。

ただし、金融庁は、契約書に債権譲渡契約(売買契約)と書かれていても、経済的に貸付けと同様の機能を持つ取引は貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています。とくに、給与(賃金)を対象とするいわゆる給与ファクタリングについては、最高裁判所が令和5年(2023年)の決定で貸金業法上の「貸付け」にあたると判断しており、無登録での営業は違法です。事業者向けの売掛債権ファクタリングとは性質がまったく異なるため、混同しないよう注意が必要です。銀行系であればこの点の心配はほぼありませんが、独立系を併用する際は契約内容をよく確認しましょう。

よくある質問

そもそも銀行でファクタリングはできますか

できます。ただし、銀行の窓口で案内される中心は、でんさいネットを活用した一括ファクタリングや、銀行系列の会社による3社間の買取型ファクタリングです。独立系のような2社間・即日の買取を銀行本体が直接行うことは基本的にありません。

銀行系ファクタリングの手数料はどのくらいですか

3社間が基本で回収リスクが小さいため、売掛金の1パーセント前後にとどまる例もあります。独立系やノンバンク系の2パーセントから20パーセント程度と比べると、調達コストを大きく抑えられるのが銀行系の強みです。実際の料率は債権の額や売掛先の信用力によって変わります。

取引先に知られずに利用できますか

銀行系は3社間ファクタリングのみのため、取引先への通知と承諾が必要で、利用の事実は取引先に知られます。取引先に知られたくない場合は、2社間に対応する独立系・ノンバンク系を検討することになりますが、その分手数料は高くなる傾向があります。

資金化までどのくらいの日数がかかりますか

申し込みから入金まで、早くても2週間、長い場合は1か月程度かかることがあります。即日の資金需要には向かないため、銀行系を使うなら入金まで時間に余裕のある計画的な利用が前提になります。

まとめ

銀行のファクタリングは、でんさいネットを活用した一括ファクタリングや銀行系列による3社間の買取型が中心で、手数料が売掛金の1パーセント前後に収まる例もあるなど低コストかつ高い信頼性が魅力です。一方で、審査では自社の経営状況まで見られて厳しく、資金化に2週間から1か月かかり、3社間ゆえに取引先の同意が前提になるという制約があります。コストと安心を重視し、入金まで時間に余裕がある事業者には適していますが、急ぎの資金需要や取引先に知られたくない場合は、独立系・ノンバンク系の2社間ファクタリングが選択肢になります。

自社の状況に合った資金調達の方法を選ぶには、ファクタリングだけでなく融資やその他の手段も含めて比較検討することが大切です。クラウドファクタリングをはじめとする資金調達サービスについてはOLTAが参考になります。また、請求書の作成や発行、入金管理といった日々のバックオフィス業務を効率化したい場合はINVOYもあわせて確認してみてください。資金繰りの全体像を整えることが、ファクタリングを上手に活用する第一歩になります。

この記事の投稿者:

hasegawa

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