ファクタリングの基礎知識

ファクタリングは刑事告訴できるか 悪質業者に問える罪と告訴手続きを解説

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ファクタリング 刑事告訴

資金調達の手段として広がったファクタリングだが、その仕組みを装って高額な手数料を徴収したり、強引な取り立てを行う悪質な業者も存在する。「ファクタリング 刑事告訴」という言葉で検索してこのページに来た人の多くは、業者との間で金銭トラブルに巻き込まれ、相手を刑事告訴できるのか、そもそも警察に相談すべき事案なのかを知りたいはずだ。本記事では、偽装ファクタリングや給与ファクタリングがどのような場合に刑事責任を問われるのか、詐欺罪・恐喝罪・貸金業法違反・出資法違反といった具体的な罪名、告訴の手続きの流れ、民事の返還請求との違い、弁護士に相談するメリットを、最高裁決定や金融庁の注意喚起などの一次情報に基づいて整理する。

ファクタリングは原則合法、しかし刑事告訴の対象になるケースがある

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(請求書)を専門業者に売却し、期日前に資金化する取引である。債権の売買(債権譲渡)であって金銭の貸し借りではないため、貸金業法の規制を受けず、金利のような制限もない。この仕組み自体は民法上の債権譲渡(民法466条以下)に基づく適法な資金調達手法であり、多くの2社間・3社間ファクタリング会社は正規の契約に基づいて運営されている。

しかし、この「貸金業ではない」という性質を悪用し、実質的には金銭の貸し付けでありながらファクタリングの名を借りて高額な手数料(実質的な高金利)を取ったり、悪質な取り立てを行ったりする業者が存在する。金融庁はこうした業者を「偽装ファクタリング」と呼び、注意喚起を行っている。このような業者に対しては、民事上の請求だけでなく、詐欺罪・恐喝罪・貸金業法違反・出資法違反などの刑事責任を問える可能性がある。

偽装ファクタリング・給与ファクタリングが違法となる法的根拠

貸金業法・出資法における「貸付け」の考え方

貸金業法2条1項は、金銭の貸付けを行う場合には内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないと定めている(貸金業法3条)。登録を受けずに貸金業を営むと無登録営業として貸金業法違反に問われ、10年以下の拘禁刑もしくは3000万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)、またはこれらの併科という重い罰則が科される。

また出資法5条は、業として金銭の貸付けを行う者が年20パーセントを超える利息を受け取ることを禁止しており、違反した場合は5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科の対象となる。ここで問題になるのは、「ファクタリング」と称する取引が形式上は債権譲渡であっても、実質的に見て金銭の貸付けと同じ機能を持つ場合には、貸金業法・出資法の「貸付け」にあたると判断される点である。

最高裁令和5年2月20日決定の意義

この点について重要な判断を示したのが、最高裁判所第三小法廷が令和5年(2023年)2月20日に下した決定である。この事件では、給料ファクタリングと称する取引を業として行っていた被告人が、登録を受けずに969回にわたり合計504名の顧客に対して貸付名目額合計2790万9500円を融通したとして、貸金業法違反・出資法違反に問われた。

最高裁は、給料は労働者に直接支払わなければならないという原則があるため、給与債権を譲り受けた業者は雇用主に対して直接支払いを求めることができず、結局利用者本人が自分の資金で債権を買い戻す、つまり実質的に返済することを前提とした取引になっていると指摘した。そのうえで、「給料ファクタリング」と称する取引は利用者からの返済を予定した貸付けにあたると判断し、貸金業法・出資法違反を認めた。この決定により、給与債権の譲渡を名目にした事業者が貸金業の登録なしに営業している場合、利息・手数料の額にかかわらず違法であることが最高裁のレベルで確定した。

偽装ファクタリングに共通する手口

金融庁が注意喚起している偽装ファクタリングには、共通した特徴がある。

  • 高額な手数料を差し引いた買取代金しか支払わない一方で、譲渡した債権の回収を利用者自身に委託している
  • 利用者が回収できなかった場合は、利用者が債権を買い戻すか、自己資金で業者に支払うことを義務づけている
  • 実質的に見ると、業者はリスクを取らずに利用者の返済のみに依存しており、経済的な機能は貸付けと変わらない
  • 給与債権を対象にした給与ファクタリングも同様の構造で、労働者個人が繰り返し利用し多重債務化するケースが目立つ

悪質なファクタリング業者に問える可能性がある罪

詐欺罪(刑法246条)

刑法246条の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立し、10年以下の拘禁刑が科される。ファクタリングの文脈では、実際には貸金業の登録を受けていないにもかかわらず合法な債権譲渡であると偽って契約を結ばせ、実質的に貸付けと同じ取引を行わせた場合や、架空の債権を作出させて資金を騙し取った場合、二重譲渡を仕組んで利用者や第三者から金銭を交付させた場合などに詐欺罪が問題となり得る。ただし、詐欺罪の成立には欺罔行為、錯誤、財物の交付、損害という構成要件を具体的な事実で示す必要があり、単に契約条件が不利だった、想定より手数料が高かったというだけでは詐欺罪の成立は認められにくい。

恐喝罪(刑法249条)

刑法249条の恐喝罪は、人を恐怖させて財物を交付させた場合に成立し、10年以下の拘禁刑が科される。悪質なファクタリング業者の中には、返済(債権の買戻し)が遅れた利用者に対して、深夜や早朝の執拗な電話、勤務先や自宅への押しかけ、親族や関係者への取り立ての予告といった強引な取り立てを行うケースがある。こうした行為が相手に恐怖心を与え、それによって金銭を交付させたと評価できる場合には恐喝罪が成立し得る。取り立ての態様によっては、恐喝罪に至らなくても刑法222条の脅迫罪や、貸金業法21条が規定する取立行為の規制、つまり人を威迫する行為の禁止に違反する可能性もある。

貸金業法違反・出資法違反

前述のとおり、偽装ファクタリングや給与ファクタリングが実質的に金銭の貸付けと判断される場合、無登録での貸金業の営業として貸金業法違反(10年以下の拘禁刑もしくは3000万円以下の罰金、またはこれらの併科)、高額な手数料が実質的に年20パーセントを超える利息にあたる場合は出資法違反(5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科)に問われる可能性がある。これらは無登録の金融業者、いわゆる闇金融の処罰根拠として用いられる条文であり、偽装ファクタリング業者もこの枠組みで摘発された例がある。

刑事告訴と民事の返還請求はどう違うのか

刑事告訴とは何か

刑事告訴とは、犯罪の被害者などが捜査機関である警察や検察に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を行う手続きである(刑事訴訟法230条)。告訴が受理されると捜査が開始され、検察官が起訴・不起訴を判断し、起訴された場合は刑事裁判で有罪・無罪や刑罰が決まる。刑事告訴の目的は加害者を処罰することにあり、被害者に金銭が直接戻るわけではない点に注意が必要である。

民事の返還請求(不当利得返還請求・過払い金請求)

一方、支払った手数料や金銭を取り戻したい場合は、民事上の請求が必要になる。ファクタリング契約が実質的に貸金業法・利息制限法の規制対象となる貸付けと判断されれば、利息制限法の上限を超えて支払った分については不当利得返還請求(民法703条・704条)や過払い金請求の対象となり得る。また、契約自体が公序良俗に反して無効と判断されれば、支払った手数料の全額または一部の返還を求められる場合もある。単に約束どおりに支払えなくなったという債務不履行の場面は、原則として民事上の問題であり、刑事事件にはならない。

どちらを選ぶべきか

悪質業者による被害を受けた場合、刑事告訴と民事の返還請求は矛盾するものではなく、並行して進めることができる。処罰を求めたい場合や、他の被害者の発生を防ぎたい場合は刑事告訴を検討し、支払った金銭を回収したい場合は民事の返還請求を検討する。どちらを選ぶか、あるいは両方を行うかは、証拠の内容や業者の実態、被害の規模によって異なるため、早い段階で弁護士に相談し方針を整理することが望ましい。

ファクタリング 刑事告訴

刑事告訴の手続きの流れ

ステップ1 警察相談専用電話や弁護士への相談

刑事告訴を検討する前に、まずは事案が本当に犯罪にあたるのかを整理する必要がある。警察庁が設置している警察相談専用電話「#9110」では、緊急性のない相談についてアドバイスを受けられる。また弁護士に相談すれば、契約書や取引の実態から詐欺罪・恐喝罪・貸金業法違反などの成立可能性を法的に評価してもらえる。

ステップ2 証拠の収集

告訴状が受理されるかどうかは、証拠の充実度に大きく左右される。捜査員は犯罪の構成要件、例えば詐欺罪であれば欺罔行為・錯誤・財物の交付・損害という一連の流れを、証拠に基づいて具体的に確認できるかを判断基準にしている。集めておくべき証拠には次のようなものがある。

  • 契約書・申込書・利用規約など取引条件を示す書面
  • 業者とのメール・SMS・LINEなどのやり取り一式
  • 取り立ての電話の録音、着信履歴、督促状などの記録
  • 振込明細・入出金記録など金銭の流れを示す書類
  • 業者の会社名・代表者名・貸金業登録の有無が確認できる資料

ステップ3 告訴状の作成・提出

証拠が整ったら、告訴状を作成して警察署または検察庁に提出する。告訴状には、作成日、提出先(警察署長または検察官)、告訴人の氏名・年齢、被告訴人の氏名や会社名、具体的な告訴事実、処罰を求める意思表示を記載する。証拠資料には甲第1号証、甲第2号証のように番号を振り、本文中で該当する証拠を引用しながら事実を説明すると、捜査員が事実と証拠の対応関係を把握しやすくなる。提出前に管轄の警察署に事前相談のアポイントを取り、担当者から補強すべき点についてフィードバックを受けておくと受理される可能性が高まる。

ステップ4 受理後の捜査と処分

告訴状が受理されると、警察が捜査を開始し、必要に応じて業者や関係者への取り調べ、証拠の収集などが行われる。捜査の結果は検察官に送致され、検察官が起訴するか不起訴とするかを判断する。告訴事実の記載が不明確であったり、証拠が不十分であったり、告訴期間を過ぎていたり、単なる民事上の紛争と判断されたりすると、告訴状が受理されない、または受理後に不起訴となる場合もある。受理されない場合は、記載内容を見直したうえで再度提出するほか、警察本部の監察官室や公安委員会への申し立て、検察庁への直接提出といった対応も選択肢になる。

弁護士に依頼するメリット

悪質なファクタリング業者とのトラブルは、契約書の実態が複雑で、法的な評価が専門的な判断を要することが多い。弁護士に依頼することには次のようなメリットがある。

  • 契約内容や取引の実態を精査し、貸金業法・出資法・利息制限法の適用可能性や、詐欺罪・恐喝罪の成立可能性を法的に整理できる
  • 業者との交渉を弁護士名で行うことで、悪質な取り立てを止めやすくなる
  • 告訴状の作成や証拠の整理を専門的な観点から支援してもらえるため、受理される可能性が高まる
  • 刑事告訴と並行して、不当利得返還請求や過払い金請求といった民事手続きも同時に検討できる
  • 弁護士が代理人として窓口になることで、被害者本人が直接業者とやり取りする心理的な負担を減らせる

相談先一覧

一人で対応に困った場合は、以下の窓口へ早めに相談することを検討したい。

  • 警察相談専用電話「#9110」(緊急性がない相談の窓口。事件性が高い場合は最寄りの警察署または110番)
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室(平日10時から17時。偽装ファクタリングなど金融業者に関する相談窓口)
  • 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(貸金業者との金銭トラブルに関する相談窓口)
  • 消費者ホットライン「188」(消費生活全般に関するトラブル相談窓口)
  • 各地の弁護士会が実施する法律相談窓口、または日本司法支援センター(法テラス)

自社が正規の請求書発行・資金管理サービスを利用して資金繰りの見通しを整えておくことも、悪質業者に頼らざるを得ない状況を避ける一助になる。例えばOLTA株式会社は、クラウドファクタリングをはじめとした資金調達サービスを提供しており、請求書発行サービスINVOYでも取引状況を可視化し、資金繰りの計画を立てやすくする機能を提供している。

よくある質問

ファクタリング業者を刑事告訴すれば支払った手数料は返ってきますか

刑事告訴はあくまで業者の処罰を求める手続きであり、支払った手数料や代金が自動的に返還されるわけではない。手数料を取り戻したい場合は、不当利得返還請求や過払い金請求といった民事上の手続きを別途行う必要がある。刑事告訴と民事の請求は並行して進めることができるため、両方を検討したい場合は早めに弁護士へ相談するとよい。

給与ファクタリングを利用しただけで利用者側が罪に問われますか

給与ファクタリングを利用した労働者本人は、基本的に犯罪の被害者という立場になる。無登録で貸金業を営んでいた業者側が貸金業法違反・出資法違反に問われるのであり、利用者が処罰対象になるものではない。ただし、架空の債権を業者に持ち込んだり、複数の業者から同時に借り入れる目的で虚偽の情報を提供したりした場合は、別途詐欺罪などの問題が生じる可能性がある。

告訴状を出せば必ず捜査してもらえますか

告訴状を提出しても、犯罪事実の記載が具体的でない、証拠が不十分である、告訴期間を過ぎている、単なる民事上の紛争と判断されるなどの理由で受理されない場合がある。受理されるためには、詐欺罪や恐喝罪などの構成要件に対応した具体的な事実と証拠を整理して提示することが重要であり、事前に警察へ相談のアポイントを取ったり、弁護士に告訴状の作成を依頼したりすることで受理される可能性を高められる。

業者とのトラブルが刑事事件になるかの見分け方はありますか

契約どおりに支払えなくなったという事情だけであれば、通常は民事上の債務不履行にとどまり刑事事件にはならない。一方で、業者側が最初から虚偽の説明をして契約させていた場合、無登録で実質的な貸付けを行っていた場合、執拗な取り立てで恐怖を与えて支払わせていた場合などは、詐欺罪・貸金業法違反・恐喝罪といった刑事責任が問題となる可能性がある。自分のケースがどちらにあたるかを見分けるのは専門的な判断が必要なため、警察相談専用電話や弁護士への相談を通じて事案を整理することが望ましい。

まとめ

ファクタリング自体は債権譲渡に基づく合法な資金調達手法であり、正規の業者との取引で刑事責任が問題になることは基本的にない。しかし、偽装ファクタリングや給与ファクタリングのように、実質的に金銭の貸付けと同じ機能を持つ取引を装う悪質な業者に対しては、貸金業法違反・出資法違反に加え、契約の経緯や取り立ての態様によっては詐欺罪(刑法246条)や恐喝罪(刑法249条)といった刑事責任を問える可能性がある。最高裁令和5年2月20日決定は、給料ファクタリングが実質的な貸付けにあたると明確に判断し、こうした業者の違法性を最高裁のレベルで確定させた重要な判例である。

刑事告訴と民事の返還請求は目的が異なり、処罰を求めるなら刑事告訴、金銭を取り戻したいなら不当利得返還請求や過払い金請求といった民事手続きが必要になる。告訴状の受理には具体的な事実と証拠の整理が欠かせないため、警察相談専用電話「#9110」や金融庁の相談窓口、弁護士会の法律相談などを早めに活用し、必要であれば弁護士に依頼して手続きを進めることが、被害の拡大を防ぎ、適切な解決につなげる近道になる。

この記事の投稿者:

hasegawa

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