ファクタリングの基礎知識

「領収書ファクタリング」とは?請求書ファクタリングとの違いと注意点を解説

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領収書 ファクタリング

「領収書 ファクタリング」と検索してこのページにたどり着いた方の多くは、実は次のどちらかを知りたいのではないでしょうか。一つは、領収書を使って今すぐ現金化できるサービスが本当に存在するのかという疑問です。もう一つは、事業資金の調達でよく使われる「請求書ファクタリング」と何が違うのかという疑問です。結論から言うと、「領収書ファクタリング」という名称のサービス自体は実在しますが、その多くは法律上「貸金業」に該当するおそれがある、個人(主に会社員)向けの資金調達サービスであり、事業者が売掛金を早期に資金化する一般的な「ファクタリング(請求書ファクタリング)」とはまったく別物です。本記事では、領収書ファクタリングの実態とリスク、領収書と請求書(売掛金)の法的な違い、そして事業者が本来活用すべき請求書ファクタリングの仕組みを整理して解説します。

目次

領収書ファクタリングとは何か

領収書ファクタリングとは、出張旅費や交際費、備品購入費など会社員が一時的に立て替えた経費の領収書を、ファクタリング会社に買い取ってもらうことで、会社からの経費精算を待たずに現金を受け取る仕組みを指します。「経費ファクタリング」と呼ばれることもあり、対象は事業者ではなく個人(労働者)である点が本来のファクタリングと大きく異なります。仕組みだけを見ると「債権を売って現金化する」サービスのように見えますが、法律上は次に説明するとおり大きな違いがあります。

領収書ファクタリングの一般的な流れ

利用者はまず立て替えた経費の領収書をスマートフォンで撮影し、ファクタリング会社に画像を送付します。会社側は領収書に記載された金額から20%から50%程度という高額な手数料を差し引いた金額を、利用者の口座に振り込みます。その後、利用者は会社から経費精算を受け取った時点で、その金額をファクタリング会社に返済(買い戻し)します。この「一時的に現金を受け取り、後日精算金で返済する」という流れが、後述する法的リスクの根拠になっています。

なぜ「ファクタリング」なのに実態は貸付けに近いのか

ファクタリングとは本来、譲渡可能な金銭債権を売買する取引です。ところが領収書は、すでに支払いが完了した事実を証明する書類にすぎず、将来誰かに対して支払いを請求できる権利(債権)を表すものではありません。譲渡すべき債権がそもそも存在しないため、領収書ファクタリングは法的には「債権譲渡」ではなく、経費精算金を担保にした「金銭の貸付け」に近い性質を持つと指摘されています。この構造は、賃金債権を対象にした「給与ファクタリング」と酷似しています。最高裁判所第三小法廷は令和5年2月20日、給与ファクタリングについて「貸金業法第2条第1項および出資法第5条第3項にいう貸付けに当たる」との判断を示しました。領収書ファクタリングについても、同様の理屈で貸金業に該当する可能性が高いと考えられています。

領収書と請求書(売掛金)の違い

「領収書」と「請求書」は似た書類に見えますが、法的な性質はまったく異なります。この違いを理解することが、なぜ領収書ファクタリングという言葉に違和感があるのかを理解する鍵になります。

領収書は「支払い済み」を証明する書類

領収書は、代金の支払いがすでに完了したことを証明するための書類です。会計上は支払いの事実を裏付ける証憑として扱われ、経費精算や税務申告の根拠資料として保管されます。領収書自体は将来のキャッシュフローを生み出す資産ではなく、誰かに対して金銭の支払いを求める権利を含んでいません。

請求書は「未回収の売掛金」を表す債権

一方、請求書は取引先に対してまだ支払われていない代金の支払いを求めるための書類であり、会計上は「売掛金」という資産(債権)として貸借対照表に計上されます。この売掛金は将来入金される確定的な権利であるため、第三者に譲渡(売却)することが法的に可能です。ファクタリングという金融取引が成立するのは、この「譲渡できる債権」が存在するからにほかなりません。

ファクタリングの対象になるかどうかを分ける最大のポイント

整理すると、ファクタリングの対象になり得るのは将来の入金を約束する売掛債権であり、領収書のようにすでに支払いが完了した証憑は本来の意味でのファクタリングの対象にはなりません。「領収書 ファクタリング」というキーワードで検索する方の中には、事業で発生した売掛金を早期に資金化したいと考えているケースも多く、その場合に本当に必要なサービスは次章で説明する請求書ファクタリングです。

紛らわしい類似サービスとの違い

「領収書 ファクタリング」を調べていると、名前や仕組みが似た複数のサービスに行き当たることがあります。ここでは代表的な2つのサービスと領収書ファクタリングとの違いを整理しておきます。

給与ファクタリングとの違い

給与ファクタリングは、給料日前に会社員が持つ賃金債権(給料を受け取る権利)を買い取ってもらい、給料日にその金額をファクタリング会社に返済する仕組みです。領収書ファクタリングと同様に個人を対象としており、「一時的に現金を受け取り、後日精算金や給料で返済する」という構造も共通しています。両者の違いは対象となる書類が賃金債権か経費の領収書かという点のみで、法的な問題点はほぼ共通しています。前述のとおり最高裁判所は給与ファクタリングを貸付けと判断しており、この判断の考え方は領収書ファクタリングにもそのまま当てはまると考えられています。

領収書買取アプリとの違い

スマートフォンで領収書を撮影して送ると謝礼が支払われる「領収書買取アプリ」も存在しますが、こちらは資金調達サービスではなく、購買データの収集を目的としたマーケティングリサーチ型のサービスです。謝礼は領収書1枚あたり1円から10円程度と少額で、経費精算前の資金繰りを目的として利用するものではありません。名称に「買取」と付いていても、金融取引である領収書ファクタリングとは目的も金額の水準もまったく異なるため、混同しないよう注意が必要です。

金融庁と裁判所が示す領収書ファクタリングのリスク

金融庁はファクタリングの利用に関する注意喚起の中で、「ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります」と明言しています。また、債権の買取代金が債権額に比べて著しく低額である場合は、偽装ファクタリング(実質的な貸付け)の疑いがある典型的なサインとして挙げられています。給与ファクタリングについても金融庁は「業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します」と明記しており、同じ構造を持つ領収書ファクタリングにも同様の考え方が適用される可能性が高いといえます。領収書ファクタリングで確認されている主なリスクは次のとおりです。

  • 手数料が20%から50%程度と高額で、年利に換算すると240%を超えるケースがあり、出資法が定める上限金利(年20%)を大きく超える水準になりやすい。
  • 貸金業登録を行っていない業者が運営しているケースが多く、貸金業法違反(無登録営業)や出資法違反として刑事罰の対象になり得る。
  • 会社への経費精算が前提の取引であるため、精算が遅れたり金額が想定と異なったりした場合に、利用者が想定外の負担を負うリスクがある。
  • 契約書や取引条件が不透明な業者が多く、トラブルが生じても法的な保護を受けにくい。

これらの理由から、領収書ファクタリング(経費ファクタリング)の利用は推奨されません。一時的な資金繰りに困っている場合は、勤務先への早期精算の相談や、公的な生活支援制度、登録済みの貸金業者による正規のカードローンなど、法的に問題のない選択肢を優先して検討することが重要です。

領収書 ファクタリング

本来のファクタリング(請求書ファクタリング)の仕組みと活用法

事業者が資金繰りを改善する目的で広く使われているのが、請求書(売掛金)を対象にした本来の意味でのファクタリングです。取引先に商品やサービスを納品し、請求書を発行した後、入金予定日より前にその売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、早期に資金化することができます。銀行融資のように審査に数週間かかることは少なく、最短で申込みの当日から翌営業日程度で入金される事業者向けサービスも増えており、急な資金需要への対応策として利用が広がっています。

請求書ファクタリングの取引形態と手数料相場

請求書ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の2社だけで契約する「2社間ファクタリング」と、取引先を含めた3社で契約する「3社間ファクタリング」があります。2社間ファクタリングは取引先に知られずに資金化できる一方、手数料相場は8%から18%程度とやや高めです。3社間ファクタリングは取引先の承諾が必要になるものの、手数料相場は2%から9%程度に抑えられる傾向があります。いずれも売掛金という譲渡可能な債権を対象にした適法な金融取引であり、貸金業には該当しません。

請求書ファクタリングが向いている場面

  • 取引先の支払いサイトが長く、入金までのつなぎ資金が必要な場合
  • 急な受注増加で先行して仕入れや外注費の支払いが発生する場合
  • 金融機関からの借入枠を使わずに、決算書に負債を計上せず資金調達したい場合
  • 赤字決算や税金滞納などの理由で銀行融資の審査が通りにくい場合

請求書発行から資金化までを一体で管理する

請求書ファクタリングを活用する前提として、そもそも請求書を正確かつ迅速に発行し、売掛金の状況を可視化しておくことが欠かせません。OLTA株式会社が提供するクラウドサービスでは、請求書発行からカード払い、資金調達まで一連の業務をオンラインで完結できる環境を整えています。詳しくは公式サイトをご確認ください。

「領収書 ファクタリング」で検索した方への状況別アドバイス

検索の背景によって、取るべき行動は異なります。ご自身の状況に近いものを確認してください。

個人で経費の立て替えに困っている場合

会社員として経費を立て替え、精算までの資金繰りに困っている場合は、領収書ファクタリングの利用は避けるべきです。まずは経理担当者に仮払い制度や精算サイクルの短縮を相談することをおすすめします。それでも資金が足りない場合は、社会福祉協議会が窓口となる公的な貸付制度や、貸金業登録済みの銀行カードローンなど、法律に基づいた選択肢を検討してください。

事業者で売掛金を早期に資金化したい場合

個人事業主や法人として取引先への請求書(売掛金)を保有しており、入金前に資金化したい場合は、本記事で説明した請求書ファクタリングが適切な選択肢です。手数料相場や必要書類はファクタリング会社によって異なるため、複数社から見積もりを取り、手数料と入金スピードのバランスを比較したうえで契約することが重要です。あわせて、日頃から請求書を正確なフォーマットで発行し、売掛金の入金状況をリアルタイムで把握できる体制を整えておくと、ファクタリングを利用する際の審査もスムーズに進みやすくなります。

よくある質問

領収書ファクタリングは違法ですか

領収書ファクタリングそのものを直接取り締まる法律はありませんが、実態が経費精算金を担保にした金銭の貸付けと判断されれば、貸金業登録を受けていない事業者による取引は貸金業法違反に該当します。また手数料を年利に換算した水準が出資法の上限(年20%)を超える場合は出資法違反となり、いずれも刑事罰の対象になり得ます。

領収書ファクタリングと請求書ファクタリングはどちらも同じ「ファクタリング」ですか

名称は似ていますが法的な性質は異なります。請求書ファクタリングは事業者間の売掛債権(将来の入金を約束する権利)を対象にした適法な債権譲渡取引です。一方、領収書ファクタリングは支払い済みの証憑である領収書を対象にしており、譲渡すべき債権が存在しないため、実態は貸付けに近いと考えられています。

会社の経費精算が遅れて困っている場合はどうすればよいですか

まずは経理部門に精算サイクルの前倒しや仮払い制度の利用を相談してください。社内制度で対応できない場合は、社会福祉協議会の公的貸付制度や、貸金業登録済みの金融機関が提供するカードローンなど、法律に基づいた資金調達手段を検討することをおすすめします。

事業者が請求書ファクタリングを利用する際の注意点は何ですか

手数料相場から大きく外れた高額な手数料を提示する業者や、契約書を交付しない業者は避けるべきです。2社間ファクタリングで手数料が20%を超えるような場合や、債権額に対して買取代金が著しく低い場合は、偽装ファクタリング(実質的な貸付け)の可能性があるため、複数社を比較し、金融庁の注意喚起も参考にしながら慎重に選ぶことが大切です。契約前には、対象となる売掛金の請求書や取引先との基本契約書など、必要書類を事前に確認しておくと審査がスムーズに進みます。

請求書ファクタリングを利用すると取引先に知られてしまいますか

2社間ファクタリングであれば、取引先に通知することなく資金化できるため、取引関係に影響を与えずに利用できます。一方、3社間ファクタリングは取引先の承諾と債権譲渡の通知が必要になりますが、その分手数料は低く抑えられる傾向にあります。取引先との関係や急ぎの度合いに応じて、どちらの形態が適しているかを検討するとよいでしょう。

領収書買取アプリを使えば経費のつなぎ資金を作れますか

領収書買取アプリの謝礼は1枚あたり1円から10円程度と少額であり、経費の立て替え負担を解消できるほどの資金にはなりません。あくまで購買データ提供に対する謝礼という位置づけであるため、経費精算までのつなぎ資金が必要な場合は、勤務先への相談や公的な貸付制度など別の手段を検討する必要があります。

まとめ

「領収書 ファクタリング」というキーワードの背景には、領収書を使った資金化サービスの実態を知りたいというニーズと、事業で使う請求書ファクタリングと混同しているケースの両方が存在します。領収書ファクタリング(経費ファクタリング)は、法的には貸金業に該当するおそれが高く、手数料も年利換算で240%を超えることがあるなど、個人にとって大きなリスクを伴うサービスです。名称や仕組みが似た給与ファクタリングについても最高裁が貸付けに当たると判断しており、領収書という証憑を担保にした取引も同様の目で見られる可能性が高いことを理解しておく必要があります。一方、事業者が売掛金(請求書)を早期に資金化したい場合は、2社間で8%から18%、3社間で2%から9%程度の手数料相場が一般的な、適法な請求書ファクタリングを利用するのが本来の選択肢です。まずは自分の状況が個人の経費精算なのか、事業者の売掛金なのかを整理したうえで、法律に基づいた安全な資金調達方法を選んでください。

この記事の投稿者:

hasegawa

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