
「毎月の返済が苦しい」「もっと低い金利に変えられないか」と感じているなら、借り換えという選択肢を検討する価値があります。借り換えとは、現在の借入を別の金融機関の新しいローンに切り替えることで、金利を下げたり返済条件を有利にしたりする手続きです。うまく活用すれば、住宅ローンの総支払額を数百万円削減できるケースもありますし、事業資金の借り換えでは毎月のキャッシュフローを大幅に改善できることもあります。
この記事では、借り換えの基本的な意味からメリット・デメリット、事業者向けの活用法、手続きの流れ、タイミングの見極め方まで、幅広く解説します。「借り換えってそもそも何?」という基礎知識から、「今の自分に借り換えは向いているのか」を判断するための具体的な指標まで、順を追ってご説明します。金利上昇の局面においても、正しい知識を持って借り換えに臨むことで、家計や事業の資金繰りを安定させることができます。ぜひ最後まで読んで、自分に合った選択肢を見つけてください。
目次
借り換えの基本的な意味と仕組み
ローンの条件変更として理解する
借り換えとは、現在返済中のローンを、別の金融機関や別のローン商品に切り替える手続きのことをいいます。正確には、新たな金融機関から融資を受け、その資金で既存のローンを一括返済し、以後は新しい金融機関に返済を続けるという流れになります。「借り替え」「リファイナンス」とも呼ばれることがあります。
借り換えが活用される場面は主に以下の3つです。
1. 住宅ローンの借り換え
2. 事業資金・銀行融資の借り換え
3. カードローン・消費者金融の借り換え
住宅ローンの借り換えでは、より低金利の金融機関に乗り換えることで、毎月の返済額を減らしたり、総返済額を削減したりすることを目的とします。事業資金の借り換えでは、複数の借入を一本化して返済負担を軽減したり、金利条件を改善したりすることが目的です。カードローンや消費者金融の借り換えは、高金利の借入を低金利のローンに切り替えることで、利息負担を減らすことを狙います。
借り換えが「繰り上げ返済」と違う点
借り換えと混同されやすいのが「繰り上げ返済」です。繰り上げ返済とは、毎月の定期返済とは別に、ローンの元本を前払いすることで返済期間を短縮したり、毎月の返済額を減らしたりする手続きです。借り換えと繰り上げ返済の最大の違いは、「金融機関を変えるかどうか」です。繰り上げ返済は同じ金融機関に対して追加で返済をおこなう一方、借り換えは別の金融機関に乗り換えます。
また、繰り上げ返済は手元に余裕資金がある場合に実行できる手段ですが、借り換えは資金がなくても金利条件が改善されれば実行できるという違いもあります。資金状況や目的に応じて、どちらの手段が適切かを判断することが重要です。
借り換えと一本化(おまとめローン)の違い
「おまとめローン」や「一本化」とは、複数の借入を1つのローンにまとめることを指します。これも借り換えの一種といえますが、特に「複数の借入をひとつにまとめる」ことに焦点を当てた手続きです。例えば、A社のカードローン・B社のカードローン・C社の消費者金融という3つの借入を、1社の低金利ローンで一括返済してひとつにまとめる場合が「おまとめローン」です。借り換えはより広い概念であり、一本化もその一形態と考えるとわかりやすいでしょう。
借り換えのメリット
金利を下げて総返済額を削減できる
借り換えの最大のメリットは、より低い金利に乗り換えることで、利息負担を減らし、総返済額を削減できることです。住宅ローンを例に取ると、金利が1%異なるだけで、3,000万円・30年間の場合、総返済額に数百万円の差が生じます。
具体例として計算してみましょう。借入残高2,500万円、残り返済期間25年の住宅ローンが現在金利2.0%であるとします。これを金利0.8%のローンに借り換えた場合、毎月の返済額は約106,000円から約97,000円に約9,000円減少します。25年間の総返済額では、約318万円の利息削減になります(諸費用除く)。
もちろん借り換えには諸費用がかかるため、削減できる利息総額が諸費用を上回るかを確認することが必要です。一般的に、金利差が0.5%以上あり、残りの返済期間が10年以上、残高が1,000万円以上の場合に借り換えが有利になりやすいといわれています。
毎月の返済額を減らして資金繰りを改善できる
借り換えによって月々の返済額を減らすことで、手元に残るキャッシュを増やすことができます。これは事業者にとって特に重要な効果です。月々の返済負担が重い状態では、仕入れや人件費などの運転資金が圧迫され、資金繰りが悪化するリスクがあります。借り換えによって毎月の返済を数万円単位で軽減できれば、キャッシュフローの安定に大きく貢献します。
住宅ローンの場合も同様に、月々の返済が軽くなることで、教育費や老後の積み立て、緊急時の備えに回せる金額が増えるというメリットがあります。
金利タイプを変更してリスクをコントロールできる
借り換えをおこなうタイミングで、変動金利から固定金利に変更したり、固定金利から変動金利に変更したりすることができます。2024年以降、日本では金利上昇の動きが続いており、変動金利のローンを抱えている方にとっては、固定金利への切り替えを検討するきっかけになっています。
固定金利に変更すると、将来の金利上昇リスクをなくし、返済計画を立てやすくなるメリットがあります。一方、変動金利のほうが現時点での金利は低いことが多いため、短期間での返済を見込んでいる場合は変動金利のままが有利な場合もあります。金利タイプの変更は、ライフプランや経営状況に合わせて慎重に判断することが大切です。
団体信用生命保険の保障内容を見直せる
住宅ローンの借り換えでは、新しい金融機関の団体信用生命保険(団信)に加入することになります。最近は、がんや三大疾病に対する保障が付いた充実した団信を提供する金融機関も増えており、借り換えを機に保障内容をアップグレードできるケースもあります。
ただし、健康状態に問題がある場合は団信に加入できないこともあり、その場合は借り換えができない可能性があります。団信の審査も借り換えの審査のひとつとして捉えておく必要があります。
借り換えのデメリットと注意点
諸費用が発生する
借り換えをおこなう際には、新規でローンを組むのと同様にさまざまな諸費用が発生します。主な費用としては以下のものが挙げられます。
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- 事務手数料(金融機関によって異なり、借入額の1〜2%程度が目安)
- 保証料(銀行によっては不要の場合も)
- 抵当権抹消・設定費用(住宅ローンの場合、司法書士報酬含め数万〜十数万円)
- 印紙税(借入金額に応じて数千〜数万円)
- 繰り上げ返済手数料(現在の借入先に支払う)
これらの諸費用を合計すると、住宅ローンでは50万〜100万円以上になることも珍しくありません。したがって、借り換えで削減できる利息総額が諸費用を超えるかどうかを事前にシミュレーションすることが必須です。シミュレーションは各金融機関のウェブサイトや無料の借り換えシミュレーターを利用することで簡単に確認できます。
審査に通過する必要がある
借り換えをするには、新たな金融機関の審査を通過しなければなりません。審査では、収入・雇用形態・勤続年数・信用情報(過去の返済履歴)などが確認されます。たとえば、転職直後で勤続年数が短い場合や、他の借入が多い場合は審査が厳しくなることがあります。また、過去に返済遅延の記録がある場合は審査に通らない可能性が高まります。
事業者の場合は、直近の決算内容や財務状況が重視されます。業績が赤字続きの場合や、自己資本比率が低い場合は審査通過が難しいこともあります。借り換えを希望する場合は、事前に自社の財務状況を把握しておくことが大切です。
返済期間を延ばすと総返済額が増える可能性がある
借り換えと同時に返済期間を延ばした場合、毎月の返済額は減りますが、その分支払う利息の総額が増えることがあります。たとえば、残り15年の住宅ローンを借り換えて返済期間を20年に延ばした場合、月々の負担は軽くなりますが、5年分の利息が余分にかかります。
資金繰り改善のために返済期間を延ばすことには一定の合理性がありますが、最終的な総返済額をしっかり確認した上で判断することが重要です。「毎月の返済が楽になった」という短期的な視点だけでなく、長期的な総コストも必ず比較してください。
住宅ローン控除の適用に注意が必要
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている場合、借り換えをおこなっても引き続き控除を受けることができます。ただし、借り換えによって借入金額が増えたり、用途が変わったりした場合は控除の対象外になる可能性があります。
また、借り換え後のローンが「住宅の取得・増改築」を目的としていることが要件のひとつです。借り換えはあくまで既存の住宅ローンの返済を目的とするものであるため、通常は控除の継続が認められますが、細かい要件については税務署や税理士に確認することを推奨します。
事業者向けの借り換え活用法
銀行融資の借り換えで資金繰りを改善する
中小企業や個人事業主が銀行融資を借り換える主な目的は、毎月の返済負担を減らして資金繰りを安定させることです。事業が軌道に乗ってきた段階で、創業時の高金利融資を低金利の融資に借り換えることで、毎月のキャッシュフローを改善できます。
具体的なケーススタディを見てみましょう。あるIT系の中小企業Aは、創業直後に信用保証協会付きの融資を年利2.5%で3,000万円借り入れ、月々100万円を返済していました。その後、業績が安定してきたため、同じ金額を年利1.5%の別の銀行融資に借り換えたところ、月々の返済が約95万円に減少しました。月5万円の差額は年間60万円となり、3〜4年で手続き諸費用を回収できる計算です。
また、複数の金融機関から別々に融資を受けている場合は、借り換えによってひとつの金融機関にまとめることで、返済管理が簡単になり、財務の見通しが立てやすくなるというメリットもあります。
信用保証協会の借換保証制度を活用する
中小企業向けに、信用保証協会が提供する「借換保証制度」があります。これは、既存の信用保証協会付きの複数の借入を1つにまとめ、返済期間を延長することで毎月の返済負担を軽減するための制度です。業績が一時的に悪化しているものの、事業継続の見通しがある中小企業が利用できる制度として設けられています。
借換保証制度を活用する場合は、金融機関を通じて申し込む必要があります。利用条件として、中小企業基本法で定められた中小企業者であること、直近の業績が一定基準を満たしていることなどが求められます。詳細な条件は各地域の信用保証協会に確認するようにしましょう。
日本政策金融公庫の借換特例制度
日本政策金融公庫には、既存の公庫融資を借り換えられる「借換特例制度」があります。この制度は、業況が悪化している事業者が利用できるもので、返済期間を延長することで月々の返済額を圧縮します。政府系金融機関のため、民間の銀行に比べて審査が比較的柔軟な場合があります。
資金繰りに余裕がなくなる前に、早めに借り換えを検討することが重要です。返済が滞り始めてからでは審査に通るのが難しくなるため、業績が安定しているうちに将来のリスク管理として借り換えを実施することをおすすめします。

借り換えのタイミングと判断基準
借り換えが有利になる3つの条件
借り換えを実行するかどうかを判断するには、以下の3つの条件を確認することが基本です。
1. 金利差が0.5%以上ある
現在の金利と借り換え後の金利の差が0.5%以上あれば、借り換えを検討する価値があります。差が小さい場合は、諸費用を差し引くと実質的なメリットが薄くなることがあります。
2. 残りの返済期間が10年以上ある
残りの返済期間が短い場合は、利息の削減効果が諸費用を下回ることが多いです。返済期間が10年以上残っている場合に、借り換えの効果が出やすいといわれています。
3. 残高が1,000万円以上ある
残高が少ない場合は、金利を下げても節約できる利息の絶対額が小さくなります。残高が1,000万円以上であれば、借り換えによる節約額が諸費用を超えやすくなります。
これらの3つの条件を全て満たす場合は、シミュレーションを実施してより詳細な試算を確認しましょう。
金利動向を踏まえたタイミングの判断
2024年以降、日本では日銀が段階的に政策金利を引き上げており、変動金利のローンを持っている方にとっては今後の金利上昇リスクが高まっています。変動金利のローンを固定金利の低い時期に借り換えることで、将来の金利上昇リスクをヘッジすることができます。
ただし、固定金利での借り換えは現時点での金利が変動金利より高い場合が多いため、短期間での返済を見込んでいる場合は必ずしも有利とはいえません。「いつまでに完済する見込みか」「金利がどれくらい上昇した場合に影響が出るか」を自分のライフプランに当てはめて考えることが大切です。
借り換えを避けたほうがよいタイミング
以下のような状況では、借り換えを慎重に考えることが必要です。
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- 転職直後や収入が不安定な時期:審査で収入が重視されるため、勤続年数が短かったり収入が減少していたりする場合は審査通過が難しくなる
- 健康状態に不安がある場合(住宅ローンの場合):団信に加入できないと借り換えができない金融機関もある
- 返済残高や残期間が少ない場合:節約できる利息の総額が諸費用を下回る可能性がある
- 業績が急激に悪化している時期(事業者の場合):財務状況が悪いと審査が通りにくくなる
タイミングを誤ると、借り換えにかかる諸費用だけが無駄になってしまう可能性があります。事前にシミュレーションを実施し、諸費用を含めたトータルコストで判断することが重要です。
借り換えの手続きの流れ
STEP1: 現在の借入条件を確認する
まず、現在返済しているローンの条件を確認しましょう。確認すべき情報は以下の通りです。
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- 残高(借入残高)
- 金利(固定・変動の別、現在の適用金利)
- 残り返済期間
- 繰り上げ返済手数料の有無と金額
これらの情報は、金融機関から発行される返済予定表や、インターネットバンキングの画面から確認できます。
STEP2: 借り換え先の候補を比較する
次に、借り換え先の金融機関を複数候補にあげて比較します。比較すべきポイントは、金利・諸費用・審査の厳しさ・団信の内容(住宅ローンの場合)などです。各金融機関のウェブサイトや、住宅ローン比較サービスを利用すると、複数の金融機関を一度に比較できます。
借り換えのシミュレーションをおこなう際は、「毎月の返済額がどれくらい変わるか」だけでなく、「諸費用を含めた総返済額がどれくらい変わるか」「何年で諸費用を回収できるか」を計算するようにしましょう。
STEP3: 仮審査(事前審査)を申し込む
借り換え先の候補が絞れたら、仮審査(事前審査)を申し込みます。仮審査は、本審査の前に審査通過の見込みがあるかを簡易的に確認するためのものです。複数の金融機関に同時に仮審査を申し込むことも可能ですが、信用情報に複数の照会履歴が残ることで審査に影響する場合があるため、絞り込んだ上で申し込む方が無難です。
仮審査に通過したら、本審査に進みます。本審査では、収入証明書・登記事項証明書・住民票など多くの書類が必要になります。
STEP4: 借り換えを実行する
本審査に通過したら、いよいよ借り換えの実行です。新しい金融機関との金銭消費貸借契約を締結し、融資を受けます。その資金で現在の借入を一括返済し、以後は新しい金融機関への返済がスタートします。住宅ローンの場合は、抵当権の抹消と新たな抵当権の設定が同時におこなわれます。
手続き全体にかかる期間は、金融機関によって異なりますが、仮審査の申し込みから実行まで1〜2ヶ月程度かかることが一般的です。
借り換えに関するよくある質問
借り換えは何度でも実行できますか?
借り換えは何度でも実行できますが、その都度諸費用がかかります。また、借り換えを繰り返すことで信用情報に複数の照会履歴が残るため、頻繁な借り換えは審査に悪影響を及ぼすことがあります。借り換えは「条件が大きく改善される場合」に実行するものであり、少額の金利差で頻繁に実行することはおすすめできません。
借り換えと借入の追加は何が違いますか?
借入の追加(増額)は、既存の借入はそのままに、さらに資金を借り入れることです。一方、借り換えは既存の借入を完済した上で新しい借入に切り替えることです。追加借入は手続きが比較的簡単な場合が多いですが、借入総額が増えるため返済負担も増します。借り換えの目的は借入総額を増やすことではなく、借入条件を改善することです。
審査に落ちた場合はどうすればよいですか?
借り換えの審査に落ちた場合は、落ちた原因を分析することが重要です。収入不足の場合は収入証明を補完できる資料を用意する、信用情報に問題がある場合は返済遅延を解消する、健康上の問題がある場合は団信の審査基準が異なる金融機関を探すなどの対策が考えられます。また、別の金融機関に申し込む前に、現在の借入先に金利交渉をしてみるという選択肢もあります。
保証人が必要になることはありますか?
借り換えの際に保証人が必要かどうかは、金融機関の審査基準によって異なります。住宅ローンでは、通常は団信への加入が保証人の代わりとなります。事業資金の場合は、信用保証協会の保証を利用する形が一般的です。個人による連帯保証が必要かどうかは、借入額・事業規模・財務状況などによって判断されます。
まとめ
借り換えとは、現在返済中のローンをより有利な条件の別のローンに切り替える手続きです。住宅ローン・事業資金・カードローンなど、さまざまなシーンで活用されています。
この記事で解説した主なポイントは以下の通りです。
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- 借り換えとは、現在の借入を別の金融機関のローンで一括返済して切り替えること
- メリットは金利の削減・毎月の返済額の軽減・金利タイプの変更・団信の見直し
- デメリットは諸費用の発生・審査の必要性・返済期間延長による総返済額増加の可能性
- 事業者は銀行融資の借り換えや信用保証協会の借換保証制度を活用できる
- 借り換えが有利になる目安は「金利差0.5%以上・残期間10年以上・残高1,000万円以上」
- 手続きは「現状確認→候補比較→仮審査→本審査→実行」の流れで進める
借り換えは、正しいタイミングで実行すれば資金繰りの改善や総返済額の削減に大きく貢献します。一方で、諸費用の回収期間やタイミングを誤ると費用だけが発生してしまうリスクもあります。まずはシミュレーションをおこなって、自分にとって本当にメリットがあるかを確認した上で、借り換えの実行を検討しましょう。



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