資金繰りの基礎知識

短期借入金とは?長期借入金との違い・仕訳・活用のポイントを徹底解説

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事業を運営していると、仕入れ代金の支払いや人件費の確保など、手元資金が一時的に不足する場面は珍しくありません。そのような局面で力強い味方となるのが、短期借入金です。短期借入金を正しく理解して活用できれば、資金繰りを安定させながらビジネスを前進させることができます。

この記事を読むと、短期借入金の基本的な定義から会計処理、長期借入金との違い、仕訳の具体例、メリット・デメリット、そして資金繰りへの影響まで、経営者や経理担当者が知っておくべき情報を網羅的に習得できます。「短期借入金とは何か」から「どう活用すればよいか」まで、実務に直結する知識として身につけることを目指しています。

難しそうに聞こえる会計用語も、具体的な数字の例や仕訳例を交えながら丁寧に解説しますので、簿記の知識が少ない方でも安心して読み進めてください。

短期借入金とは何か

短期借入金の定義と会計上の位置づけ

短期借入金とは、決算日の翌日を起算日として1年以内に返済期限が到来する借入金のことです。会計上では「流動負債」に分類され、貸借対照表の負債の部に記載されます。

借入金には大きく分けて短期と長期の2種類があります。どちらも金融機関や取引先から借り入れた資金ですが、返済期限の長さによって分類が異なります。短期借入金は1年以内に返済するもの、長期借入金は返済まで1年を超えるものです。

主な借入先としては、銀行や信用金庫・信用組合などの金融機関が挙げられます。また、関連会社や役員個人から資金を借り入れた場合も短期借入金に計上します。この場合、「役員借入金」や「短期借入金」として処理しますが、返済期限が1年を超える場合は固定負債(長期借入金や役員借入金)に計上することもあります。

短期借入金の主な目的は、運転資金の確保です。仕入れ代金の支払い、従業員への給与支払い、季節的な需要変動への対応など、日々の事業活動を円滑に進めるための一時的な資金不足を補うために活用されます。

ワンイヤールールとは

会計において、負債や資産を流動・固定に分類する基準として「ワンイヤールール(1年基準)」があります。決算日の翌日を起算点として、1年以内に決済・回収・返済されるものを流動、1年を超えるものを固定として区分するルールです。

短期借入金と長期借入金の区分も、このワンイヤールールに基づいています。たとえば、もともと3年返済の長期借入金であっても、決算日時点で残りの返済期間が1年以内になれば、その部分は「1年以内返済長期借入金」として流動負債に振り替える処理が必要です。

この振替処理は決算時の重要な会計処理のひとつです。流動負債と固定負債の区分を正確に行うことで、財務諸表の読み手(銀行・投資家など)が会社の短期的な支払い能力を正しく評価できるようになります。決算書を正確に作成するためにも、ワンイヤールールを意識した処理を徹底することが大切です。

短期借入金が発生する主な場面

短期借入金が発生するのは、主に以下のような場面です。

運転資金の一時的な不足が生じた場合、売掛金の回収タイミングと買掛金の支払いタイミングにズレがある場合、季節要因などで売上が一時的に落ち込む場合、受注が集中して原材料費や外注費が先行投資として必要な場合です。

中小企業では、利益が出ていても資金繰りが苦しくなるいわゆる「黒字倒産」のリスクがあります。売掛金の回収前に買掛金の支払いが集中すると、帳簿上は黒字でも手元現金が不足します。このような場面で短期借入金を活用することで、資金ショートを防ぐことができます。

また、建設業や農業など売上の季節変動が大きい業種では、繁忙期に向けた仕入れや準備のために資金が必要なことがあります。短期借入金はこういった一時的・季節的な資金需要に対応するための有効な手段です。

短期借入金の種類

手形貸付

手形貸付とは、借り入れる側が銀行に対して約束手形を振り出し、その手形金額に相当する資金を受け取る融資方法です。借用証書の代わりに手形を使うため、銀行側の事務手続きが簡素化され、比較的スピーディーに資金調達ができます。

手形貸付の返済期限は通常90日〜1年以内と短く、短期借入金の代表的な手段です。金利は銀行所定のレートが適用されますが、証書貸付と比べてやや高めに設定されることがあります。

約束手形の利用は徐々に減少傾向にあり、全国銀行協会は2027年3月末(2026年度末)の手形交換所における紙の手形・小切手の交換廃止を表明しており、それまでに電子的な決済手段への移行が求められています。今後は電子記録債権(でんさい)などデジタル手段へのシフトが進むと考えられます。

証書貸付(短期)

証書貸付とは、金銭消費貸借契約書(ローン契約書)を締結して融資を受ける方法です。契約書には貸付金額・返済期日・金利・担保・保証人などの条件が明記されます。融資方法の中で最も一般的な形式であり、事業性融資の大部分を占めています。

返済期限が1年以内のものは短期の証書貸付として短期借入金に計上し、1年を超えるものは長期借入金に計上します。金額が大きい融資や、担保・保証人が必要な場合には証書貸付が選ばれることが多いです。

証書貸付は契約内容が詳細に定められており、途中での条件変更は難しいため、借り入れる前に返済スケジュールや金利をしっかり確認することが重要です。

当座貸越

当座貸越とは、銀行との間であらかじめ当座貸越契約(極度額の設定)を締結しておくことで、預金残高を超えた引き出しや支払いが可能になる仕組みです。必要なときに必要な分だけ利用できる柔軟性が最大の特長です。

実際に利用した金額に対してのみ利息が発生するため、常に一定額を借りておく必要がなく、利息コストを抑えやすいというメリットがあります。資金繰りの調整弁として活用できる点で、日々の現金管理に役立ちます。

ただし、当座貸越契約の審査は他の融資方法に比べて厳しく、財務状態が良好な企業でなければ契約が難しい場合もあります。また、利用頻度が高い状態が続くと、銀行から業況悪化のシグナルと判断されるリスクもあるため、計画的な活用が必要です。

1年以内返済長期借入金との違い

「1年以内返済長期借入金」とは、もともとは長期借入金として借り入れた資金のうち、決算日から1年以内に返済期限が到来する部分を指します。この科目は、ワンイヤールールに基づいて固定負債から流動負債へ振り替えた際に使われます。

短期借入金と1年以内返済長期借入金は、どちらも「1年以内に返済する負債」として流動負債に計上されますが、その性格が異なります。短期借入金は最初から短期の資金調達を目的として借り入れたものです。一方、1年以内返済長期借入金は設備投資などの長期目的で借り入れたものが、時間の経過によって流動負債に移行したものです。

財務分析をする際、この2つを混同しないことが大切です。1年以内返済長期借入金は翌年以降の返済負担が減少していくのに対し、短期借入金はロールオーバー(借り換え)によって継続的な負債として残り続ける可能性があります。

短期借入金と長期借入金の違い

返済期間・目的・金利の違い

短期借入金と長期借入金は、返済期間・借り入れの目的・金利水準の3点で大きく異なります。

返済期間については、短期借入金は1年以内、長期借入金は1年超が基準です。長期では3年・5年・10年など多様な期間設定があります。

借り入れの目的も異なります。短期借入金は日々の事業活動に必要な運転資金(仕入れ代金・人件費・経費など)を賄うために利用されます。一方、長期借入金は機械設備の購入・工場建設・店舗改装など、中長期にわたって価値を生む固定資産への投資のために活用されることが一般的です。

金利水準については、一般に短期借入金の方が低金利です。返済期間が短いほど金融機関にとって貸し倒れリスクが小さく、リスクプレミアムが低くなるためです。ただし、当座貸越や一部の短期ローンでは金利が高めに設定されるケースもあるため、金利条件は商品ごとに確認が必要です。

貸借対照表での表示の違い

貸借対照表(バランスシート)において、短期借入金と長期借入金は異なる区分に表示されます。

短期借入金は「流動負債」の部に計上されます。流動負債には、買掛金・未払金・未払費用など1年以内に支払い義務が生じる負債が並びます。

長期借入金は「固定負債」の部に計上されます。固定負債には、社債・長期未払金など返済期限が1年を超える負債が並びます。

貸借対照表の表示区分は財務分析上、非常に重要です。流動負債が多いと流動比率(流動資産÷流動負債×100)が低下し、短期的な支払い能力が低いと判断されます。一般的に流動比率は200%以上が理想とされており、これを下回ると銀行融資の審査に影響することがあります。短期借入金を活用する際は、流動比率への影響を常に意識しておくことが大切です。

返済の原資の違い

短期借入金と長期借入金では、返済の原資(返済するための資金の出所)も異なります。

短期借入金の返済原資は主に「回収した売掛金」です。売掛金が回収されるタイミングで短期借入金を返済するという形が一般的です。たとえば、仕入れ代金を短期借入金で支払い、商品が売れて売掛金が入金されたタイミングで返済するというサイクルが典型例です。

長期借入金の返済原資は「設備投資が生み出す将来のキャッシュフロー」です。機械設備や建物に投資して売上・利益が増加することを見込み、その収益から長期にわたって返済していきます。返済計画を立てる際は、投資が生み出す利益(減価償却費を含むキャッシュフロー)が返済額を上回るかを検証することが重要です。

このように、借入の性格と返済原資を一致させることを「資金の調達・運用のバランス(マッチング原則)」といいます。短期の資金ニーズには短期借入金を、長期の投資には長期借入金を活用するのが財務管理の基本です。

短期借入金の仕訳・会計処理

借入時の仕訳

銀行などから短期借入金を受け取ったときは、以下のように仕訳します。

【例】銀行から運転資金として300万円を借り入れ、普通預金に入金された。

借方:普通預金 3,000,000円

貸方:短期借入金 3,000,000円

借入金を受け取ることで資産(普通預金)が増加し、同時に負債(短期借入金)が増加します。手元の現金・預金が増える一方で、返済義務も生まれる点を記録します。

もし振込手数料がかかった場合は、手数料分を支払手数料(または雑費)として借方に計上し、その分を差し引いた金額が普通預金に入金されます。手数料が550円だった場合の仕訳は以下のとおりです。

借方:普通預金 2,999,450円 / 支払手数料 550円

貸方:短期借入金 3,000,000円

返済時の仕訳

短期借入金を返済するときは、負債が減少し、資産(普通預金)が減少します。

【例】借り入れた300万円の元本を返済した。

借方:短期借入金 3,000,000円

貸方:普通預金 3,000,000円

元本の返済は費用にはなりません。あくまで借りたお金を返しているだけなので、損益計算書には影響しません。

分割返済の場合は、返済のたびに返済額分だけ短期借入金を減少させます。たとえば月々50万円ずつ6ヶ月で返済するプランであれば、毎月「短期借入金50万円 / 普通預金50万円」の仕訳を6回行います。

利息(支払利息)の仕訳

借入金には利息が発生します。利息は「支払利息」として費用計上し、損益計算書の営業外費用に表示されます。元本返済とは別に処理することが重要です。

【例】300万円の借入金に対する利息15,000円を普通預金から支払った。

借方:支払利息 15,000円

貸方:普通預金 15,000円

元本と利息をまとめて返済する場合は以下のように処理します。

【例】元本100万円 + 利息5,000円を同時に返済した。

借方:短期借入金 1,000,000円 / 支払利息 5,000円

貸方:普通預金 1,005,000円

支払利息は税務上、損金(費用)として認められるため、法人税の節税効果があります。一方、元本返済は損金にならないため、この2つを混同しないよう注意が必要です。

利息の計算方法は「元本×年利率×借入日数÷365」で算出します。たとえば300万円を年利2%で90日借り入れた場合の利息は「3,000,000×0.02×90÷365=14,795円」となります。

決算時の処理(振替処理)

決算日を迎えたとき、長期借入金のうち1年以内に返済が到来する部分を流動負債に振り替える処理が必要です。この科目を「1年以内返済長期借入金」といいます。

【例】長期借入金1,200万円のうち、翌年度中に返済が到来する240万円を振り替える。

借方:長期借入金 2,400,000円

貸方:1年以内返済長期借入金 2,400,000円

この処理は毎決算期に行います。振替後、「1年以内返済長期借入金」は貸借対照表の流動負債に、残りの「長期借入金」は固定負債に表示されます。

また、期末に利息の未払いがある場合は「未払費用」として計上します。

【例】決算日時点で利息3,000円が未払いの場合。

借方:支払利息 3,000円

貸方:未払費用 3,000円

この未払費用は翌期首に反対仕訳(振り戻し仕訳)で解消します。

短期借入金とは?長期借入金との違い・仕訳・活用のポイントを徹底解説

短期借入金のメリット・デメリット

メリット

短期借入金には以下のようなメリットがあります。

審査が通りやすい

返済期間が短く、金融機関にとって貸し倒れリスクが小さいため、長期借入金と比べて審査が通りやすい傾向があります。売掛金などの裏付けがあれば、赤字の企業でも借り入れられるケースがあります。

金利が低い

長期借入金と比べて金利が低めに設定されることが多いです。返済期間が短いほどリスクが低いとみなされ、金融機関が提供する金利水準も低くなります。

資金調達スピードが速い

手形貸付などは書類審査が少なく、審査が通ればスピーディーに資金を受け取れる場合があります。急ぎの運転資金需要に対応しやすいです。

柔軟な資金管理が可能

当座貸越を契約しておけば、必要なときに必要な分だけ資金を引き出せます。常に一定額を借り続ける必要がなく、利息コストを最小化できます。

借り換えによる継続利用ができる

短期継続融資(短コロ)を活用すれば、返済期限が来ても条件を再交渉して借り換えができます。長期的な運転資金として実質的に継続活用することが可能です。

デメリット・リスク

短期借入金には以下のようなデメリット・リスクもあります。

返済期限が短く資金繰りが厳しくなる

1年以内という短い期間での返済が求められるため、予期せぬ売上低下や回収遅延が生じると返済が困難になるリスクがあります。返済が遅れると信用不安につながり、次の融資が受けにくくなる悪循環に陥ることがあります。

貸し剥がしリスクがある

銀行の方針変更や業況悪化と判断された場合、借り換えを拒否される「貸し剥がし」が起きると、一括返済を求められることがあります。長期借入金と比べてこのリスクが高い点には注意が必要です。

流動比率を悪化させる

短期借入金は流動負債に計上されるため、借入額が大きいと流動比率が低下します。流動比率が低い企業は金融機関から財務状態が悪いと判断され、追加の融資審査に影響する可能性があります。

借り換え管理の手間がかかる

短期借入金は返済期限が来るたびに借り換え手続きが必要です。複数の短期借入金を抱えている場合、それぞれの返済期限管理や銀行との折衝が事務負担になります。

短期借入金が資金繰りに与える影響

流動比率・当座比率との関係

短期借入金は流動負債に計上されるため、財務指標の中でも特に「流動比率」と「当座比率」に直接影響します。

流動比率は「流動資産÷流動負債×100(%)」で計算し、会社の短期的な支払い能力を示します。一般的に200%以上が理想とされています。

【計算例】流動資産が2,000万円、流動負債が1,000万円の場合

流動比率 = 2,000万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 200%

この状態で新たに短期借入金500万円を調達すると、普通預金(流動資産)が500万円増加し、流動負債も500万円増加します。

流動比率 = 2,500万円 ÷ 1,500万円 × 100 ≒ 167%

短期借入金の調達によって流動比率が低下し、財務指標上は悪化したように見えます。ただし、手元資金が増えることで実際の資金繰りは改善されるため、指標と実態を切り離して考えることも重要です。

当座比率は「当座資産(現金・預金・受取手形・売掛金)÷流動負債×100(%)」で計算し、100%以上が安全圏の目安とされています。短期借入金の増加は当座比率にも影響を与えます。

資金繰り悪化を防ぐポイント

短期借入金を活用しながら資金繰りの悪化を防ぐためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

資金繰り表を作成する

月次・週次の資金繰り表を作成し、いつ・どれだけの資金が必要かを事前に把握しましょう。資金不足が予測できれば余裕をもって借り入れの準備ができます。資金繰り表では、入金予定(売掛金回収・前受金など)と出金予定(買掛金支払い・給与・税金など)を対照させて管理します。

過度な短期借入への依存を避ける

短期借入金に依存しすぎると、返済が来るたびに借り換えが必要になり、資金繰りが慢性的に不安定になります。運転資金として常時必要な資金は、短期よりも長期(短期継続融資や長期運転資金融資)で対応する方が安定します。

売掛金の回収サイクルを改善する

売掛金の回収が遅いほど短期借入金への依存度が高まります。請求書の早期発行、支払い条件の見直し、請求書カード払いサービスの活用などにより、回収サイクルを短縮することが根本的な解決策になります。

複数の金融機関と関係を維持する

メインバンク1行だけに頼ると、その銀行の方針変更によって資金調達が困難になるリスクがあります。複数の金融機関と良好な関係を保ち、調達ルートを分散させることがリスク管理として有効です。

短期借入金を上手に活用するためのポイント

借り入れる前に確認すべきこと

短期借入金を活用する前に、以下の点を必ず確認しましょう。

返済原資が明確かどうか

借り入れた資金をどのように返済するかの見通しを立てておくことが最優先です。売掛金の回収予定額・タイミングを確認し、返済期限までに十分な原資が確保できるかを検証します。

借入コスト(金利・手数料)の合計額

金利だけでなく、保証料・事務手数料なども含めた実質的なコストを計算します。年利1%でも100万円を借りれば年間1万円の利息負担となります。複数の金融機関・商品を比較して、最もコストの低い選択肢を選ぶことが重要です。

流動比率への影響

借り入れ後の流動比率・当座比率を試算し、財務指標が大きく悪化しないかを確認します。特に融資審査が近い時期や、すでに流動比率が低い場合は慎重な判断が必要です。

銀行との関係性

普段から銀行担当者と良好な関係を築いておくことが、融資審査のスムーズさにつながります。決算書や試算表を定期的に提出し、業況を正直に報告しておくことが信頼関係の基礎です。

短期継続融資(短コロ)の活用

「短期継続融資(短コロ)」とは、短期借入金を返済期限ごとに借り換えしながら実質的に長期間にわたって利用し続ける資金調達の方法です。「短期ローリング」の略で「短コロ」と呼ばれます。

短期継続融資は、もともと日本の銀行が中小企業の運転資金に対して行っていた伝統的な融資方法でした。しかし、バブル崩壊後の不良債権問題を契機に、多くの銀行が長期融資中心に切り替えたため、一時は普及が縮小しました。近年は金融庁が「事業性評価融資」の一環として短期継続融資の活用を促しており、再び注目されています。

短コロのメリットは、変動する資金需要に柔軟に対応できる点です。売上が増えれば借入額を増やし、減れば減らすという形で運転資金の量を調整できます。また、金利が低めに設定されることが多く、財務費用の削減にも貢献します。

一方、短コロのデメリットは、定期的な借り換え手続きが必要な点と、銀行との信頼関係が前提になる点です。業績が悪化すると借り換えを断られるリスクがあるため、常に健全な財務状態を維持することが重要です。

ファクタリングとの使い分け

短期借入金と並んで活用が広がっているのが「ファクタリング」です。ファクタリングとは、保有している売掛債権をファクタリング会社に売却して即座に現金化する資金調達手段です。借入金ではなく売掛債権の「売却」のため、貸借対照表上は負債が増えません。

短期借入金とファクタリングの比較

短期借入金は審査に時間がかかる場合があり、融資が実行されるまでに数日〜数週間かかることがあります。一方、ファクタリングは最短即日で現金化できる場合があります。

コスト面では、ファクタリングの手数料(売掛金の2%〜10%程度)は一般的に借入利息よりも高くなります。緊急性が高い場合はファクタリング、余裕があれば銀行融資という使い分けが合理的です。

財務への影響という点では、短期借入金は流動負債が増加しますが、ファクタリングは売掛金が現金に変わるだけなので総資産・負債の変動が小さく、財務指標への影響が少ないというメリットがあります。

これらの特性を踏まえ、急ぎの資金需要にはファクタリング、計画的な運転資金確保には銀行短期融資、という形での使い分けが効果的です。INVOYの請求書カード払いサービスを活用すると、買掛金の支払いをカード決済に切り替えて支払いを最大60日延長できるため、資金繰り改善の選択肢のひとつとして検討する価値があります。

よくある質問

短期借入金と1年以内返済長期借入金はどう違いますか?

短期借入金は最初から短期(1年以内)での返済を前提として借り入れた資金です。一方、「1年以内返済長期借入金」はもともと長期目的(設備投資など)で借り入れた資金のうち、決算日時点で翌年度中に返済が到来する部分を指します。どちらも貸借対照表では流動負債に表示されますが、性格が異なります。

短期借入金は運転資金の調達が主な目的であり、返済原資は主に売掛金の回収です。1年以内返済長期借入金は設備投資の回収キャッシュフローが返済原資となる点が異なります。また、1年以内返済長期借入金はローンが進むにつれて毎年度の返済額が確定しているのに対し、短期借入金はロールオーバー(借り換え)が前提のことも多く、返済計画の性質が違います。

短期借入金は赤字でも借りられますか?

条件によっては、赤字でも短期借入金を利用できる場合があります。特に短期借入金の返済原資が売掛金であることが明確な場合、金融機関は赤字よりも「売掛金の回収見通し」を重視して融資判断をすることがあります。

ただし、赤字が続く場合や、売掛金の回収に不確実性がある場合は審査が厳しくなります。また、赤字による借入は財務悪化のサインとして捉えられるため、根本的な収益構造の改善と並行して進めることが重要です。

赤字での借り入れを検討する場合は、公的金融機関(日本政策金融公庫など)への相談や、信用保証協会の保証付き融資の活用も検討してください。民間金融機関よりも柔軟な対応が期待できる場合があります。

個人事業主でも短期借入金を利用できますか?

個人事業主でも銀行や信用金庫などの金融機関から短期借入金を利用することは可能です。会計処理上も、個人事業主が事業目的で借り入れた場合は短期借入金として処理します。

ただし、個人事業主は法人と比べて財務諸表の整備が不十分なケースが多く、融資審査において確定申告書・決算書の内容が重視されます。3年分程度の確定申告書を用意しておくと審査がスムーズです。

個人事業主に適した短期借入の選択肢としては、日本政策金融公庫の「小口零細企業貸付」や信用金庫の事業者向けローン、マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)などがあります。商工会・商工会議所経由で申し込むマル経融資は、無担保・無保証人で利用できる点が中小・個人事業主に人気です。

まとめ

短期借入金は、1年以内に返済が到来する借入金で、貸借対照表上は流動負債に計上されます。主に運転資金の調達を目的として、手形貸付・証書貸付・当座貸越などの形態で活用されます。

長期借入金との主な違いは、返済期間・目的・金利・貸借対照表上の区分の4点です。短期借入金は運転資金向け・低金利・流動負債、長期借入金は設備投資向け・中金利以上・固定負債という性格があります。

仕訳については、借入時は「普通預金/短期借入金」、返済時は「短期借入金/普通預金」、利息支払いは「支払利息/普通預金」が基本形です。決算時には、長期借入金のうち翌年度返済分を「1年以内返済長期借入金」に振り替える処理も忘れずに行いましょう。

短期借入金のメリットは審査通過のしやすさ・低金利・資金調達スピードです。一方、短期返済による資金繰り負担・貸し剥がしリスク・流動比率悪化といったデメリットもあります。流動比率や当座比率の推移を常に確認しながら、適切な借入額を維持することが重要です。

資金繰りの安定のためには、資金繰り表の定期作成、売掛金回収サイクルの改善、複数金融機関との良好な関係維持が効果的です。ファクタリングや請求書カード払いなど、銀行融資以外の資金調達手段とも組み合わせて、自社に最適な資金繰り戦略を構築してください。

短期借入金を正しく理解して戦略的に活用することで、一時的な資金不足を乗り越えながら、着実に事業を成長させていきましょう。

この記事の投稿者:

hasegawa

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