
売掛金の入金を待っている間に、急な仕入れや人件費の支払いが重なって資金繰りが苦しくなる。こうした場面で、取引先に知られることなくスピーディーに資金を確保できる手段として注目されているのが2社間ファクタリングです。2社間ファクタリングは、売掛債権を保有する事業者とファクタリング会社の2者だけで契約が完結する取引形態で、売掛先(取引先)への通知や承諾を必要としません。そのため、取引関係に影響を与えずに、支払期日より前に売掛金を現金化できます。
一方で、ファクタリング会社が売掛先から直接回収できない分だけ回収リスクが高まるため、手数料は3社間ファクタリングよりも高めに設定される傾向があります。この記事では、2社間ファクタリングの仕組みから3社間との違い、メリットとデメリット、手数料相場、利用の流れ、そして向いているケースまでを、2024年から2026年時点の最新情報をもとに体系的に整理します。資金調達の選択肢として2社間ファクタリングが自社に適しているかを判断する材料にしてください。
目次
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングとは、売掛債権を持つ利用者(売り手企業や個人事業主)と、ファクタリング会社の2者の間だけで契約が成立するファクタリングの形態です。利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、その対価として手数料を差し引いた金額を受け取ります。最大の特徴は、売掛先である取引先を契約に関与させないこと、すなわち取引先に債権譲渡を通知したり承諾を得たりする必要がない点にあります。
ファクタリングは法律上、売掛債権の売買として位置づけられる取引です。金融庁も、ファクタリングは原則として貸付け(融資)には該当しない債権の売買であるとの整理を示しています。借入ではないため負債が増えず、信用情報に影響しない点が融資との大きな違いです。ただし、形式上は債権譲渡契約でも、実態として貸付けと同様の機能を持つ取引は貸金業に該当するおそれがあるため、契約内容の確認は欠かせません。
2社間ファクタリングの取引の流れ(資金の動き)
2社間ファクタリングでは、まず利用者がファクタリング会社へ売掛債権を譲渡し、ファクタリング会社が手数料を差し引いた買取代金を利用者へ支払います。その後、売掛先からの入金は通常どおり利用者の口座に振り込まれ、利用者はその入金額をそのままファクタリング会社へ送金して精算します。売掛先からの回収を利用者が代行する形になるため、利用者とファクタリング会社の信頼関係が前提となる取引です。具体的には、支払期日が60日後の請求書を保有している場合でも、2社間ファクタリングを使えば期日を待たずに今すぐ資金を受け取り、60日後に売掛先から入金された資金で精算するという流れになります。
2社間ファクタリングが融資と異なる点
2社間ファクタリングは、銀行融資やビジネスローンといった借入とは性質が大きく異なります。融資は金融機関からお金を借りて後で利息とともに返済する仕組みであり、貸借対照表上は負債として計上されます。これに対し2社間ファクタリングは、保有する売掛債権という資産を売却して現金に換える取引であるため、借入には当たらず負債が増えません。返済義務も生じず、原則として担保や保証人も不要です。また、審査では利用者の財務状況よりも売掛先の信用力が重視されるため、融資審査に通りにくい状況でも資金調達できる可能性があります。資金調達のスピードも、融資が数週間から1か月以上かかるのに対し、2社間ファクタリングは最短即日と圧倒的に速い点が特徴です。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
ファクタリングには大きく2社間と3社間の2種類があります。両者の最も本質的な違いは、売掛先(取引先)が契約に関与するかどうかです。3社間ファクタリングでは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者が関与し、売掛先への債権譲渡の通知と承諾が必須となります。これに対し2社間ファクタリングでは、売掛先への通知も承諾も不要です。この違いが、スピード・手数料・取引先への影響という3つの面で大きな差を生みます。
- 取引先への通知:2社間は不要で取引先に知られない/3社間は通知と承諾が必須で取引先に知られる
- 資金化までのスピード:2社間は最短即日も可能/3社間は売掛先の承諾を待つため数日かかることが多い
- 手数料相場:2社間はおおむね8〜18%/3社間は1〜5%程度と低い
- ファクタリング会社の回収リスク:2社間は利用者経由のため高い/3社間は売掛先から直接回収できるため低い
3社間ファクタリングは手数料が1〜5%と低く抑えられる一方、売掛先に資金調達の事実を知られてしまいます。取引先によっては経営状況への懸念を抱かれる可能性があるため、取引関係を最優先したい場合には2社間が選ばれます。逆に、コストを最優先し、かつ取引先に知られても問題がなければ3社間が有利です。自社の優先順位に応じて使い分けることが重要です。
手数料の差を具体的な金額で見ると違いがよくわかります。たとえば100万円の売掛債権を現金化する場合、2社間ファクタリングで手数料15%なら手取りは85万円、3社間ファクタリングで手数料3%なら手取りは97万円となり、その差は12万円にもなります。同じ債権でも契約形態によって手取り額が大きく変わるため、取引先に知られないという秘匿性に12万円分の価値を見いだせるかどうかが、2社間と3社間を選ぶ際の判断基準のひとつになります。なお、3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得る手続きが入るため、入金まで数日から1週間程度かかることが一般的で、緊急の資金需要には向きません。
2社間ファクタリングのメリット
2社間ファクタリングが多くの事業者に選ばれている理由は、スピードと秘匿性という2つの明確な利点にあります。資金繰りの逼迫は時間との勝負になることが多く、また取引先との関係維持も事業継続には欠かせません。2社間ファクタリングはこの両方に応える設計になっています。
取引先に知られずに資金調達できる
2社間ファクタリングでは売掛先への通知や承諾が不要なため、取引先に資金調達の事実を知られることがありません。資金調達を行うと取引先に経営難を疑われるのではないかという不安を抱く事業者は少なくありませんが、2社間であればこうした懸念なく利用できます。取引関係を維持したまま資金を確保できる点は、継続的な取引を重視する事業者にとって大きな価値があります。
最短即日で資金化できるスピード
2社間ファクタリングは売掛先の承諾を待つ工程がないため、審査が完了すれば即日入金も可能です。近年はオンライン完結型のサービスが増え、申込みから書類提出、審査、契約、入金までを非対面で行えるようになりました。サービスによっては最短2時間程度での入金に対応する事業者もあり、急な支払いに間に合わせやすくなっています。必要書類が請求書・本人確認書類・通帳の取引履歴の3点のみといったケースもあり、手続きの負担が小さいことも資金化を早める要因です。
2社間ファクタリングのデメリット
利便性が高い2社間ファクタリングにも、見過ごせないコスト面の注意点があります。利用前にデメリットを正しく理解しておくことで、想定外の出費や審査の長期化を避けられます。
手数料が3社間より高い
2社間ファクタリングの手数料相場はおおむね8〜18%で、1〜5%程度の3社間と比べて高めです。これは、ファクタリング会社が売掛先から直接回収できず、いったん利用者の口座に入金された資金を経由して回収するため、未回収や資金の流用といったリスクが高くなることが理由です。たとえば100万円の売掛債権を手数料15%で売却した場合、受け取れる金額は85万円となり、15万円がコストとなります。手数料は売掛先の信用力や債権金額、支払期日までの期間などで変動するため、複数社で見積もりを比較することが重要です。
債権譲渡登記を求められる場合がある
2社間ファクタリングでは、同じ債権を複数のファクタリング会社へ譲渡する二重譲渡のリスクを避けるため、債権譲渡登記を求められることがあります。債権譲渡登記には、登録免許税が1件あたり7,500円かかるほか、手続きを司法書士に依頼する場合は5〜10万円程度の報酬が別途必要になるのが一般的です。これらは手数料とは別に発生する費用のため、総コストで判断する必要があります。なお、登記は法人を対象とした制度であり、個人事業主は債権譲渡登記の対象外となる点も押さえておきましょう。

2社間ファクタリングの手数料相場と総コストの考え方
2社間ファクタリングの手数料は、2024年から2026年時点でおおむね8〜18%が一般的な相場です。ただし、AI審査やオンライン完結型サービスの普及によりコスト構造が改善され、上限を9.5〜10%程度に明示する事業者も登場するなど、全体として低下傾向にあります。手数料率は固定ではなく、次のような要素によって決まります。
- 売掛先の信用力:上場企業や官公庁など信用度が高いほど手数料は下がりやすい
- 債権の金額:金額が大きいほど料率が下がる傾向がある
- 支払期日までの期間:期間が短いほどリスクが小さく料率も低くなりやすい
- 利用者の信用力や取引実績:継続利用で料率が改善することもある
実際の負担を判断する際は、表示される手数料率だけでなく、債権譲渡登記費用や印紙代、振込手数料などの諸費用を含めた総コストで比較することが大切です。手数料率が低くても登記費用などを加えると割高になる場合があり、逆に登記不要のオンライン型では諸費用を抑えられることもあります。
2社間ファクタリングの利用の流れ
2社間ファクタリングの申込みから入金までは、オンライン完結型であれば数時間から1営業日程度で進むことが一般的です。手続きの全体像を把握しておくと、必要書類を事前に揃えてスムーズに資金化できます。
- 申込み:ファクタリング会社のフォームから売掛債権の内容や希望額を入力して申し込む
- 必要書類の提出:請求書、本人確認書類、通帳の取引履歴、取引先との契約書などを提出する
- 審査:売掛先の信用力や債権の実在性を中心に審査が行われる
- 契約:手数料や買取額などの条件に合意し、債権譲渡契約を締結する
- 入金:手数料を差し引いた買取代金が利用者の口座へ振り込まれる
- 精算:後日、売掛先から入金された売掛金をファクタリング会社へ送金して取引完了となる
審査でとくに重視されるのは、利用者自身の信用力よりも売掛先の信用力と債権の確実性です。そのため、赤字や税金の滞納がある事業者でも、信用度の高い取引先への売掛債権があれば利用できる可能性があります。必要書類を漏れなく準備しておくことが、審査時間を短縮し即日資金化につなげる鍵になります。請求書が正確に作成され、取引内容が明確であるほど債権の実在性を示しやすくなるため、日頃から請求書の発行と入金管理を整えておくことも、スムーズな資金化に役立ちます。
なお、即日入金を希望する場合は、金融機関の営業時間や振込のタイミングにも注意が必要です。午前中の早い時間に申込みと書類提出を済ませれば当日中の入金に間に合いやすい一方、夕方以降の申込みでは翌営業日扱いになることもあります。緊急で資金が必要な場合ほど、余裕をもって手続きを始めることが確実な資金化につながります。
2社間ファクタリングが向いているケース
2社間ファクタリングは万能の資金調達手段ではなく、適したケースとそうでないケースがあります。次のような状況にある事業者には、2社間ファクタリングが有力な選択肢となります。
- 取引先に資金調達の事実を知られたくない場合
- 数日以内、できれば即日で資金が必要な緊急性の高い場合
- 銀行融資の審査に時間がかかる、または融資を受けにくい状況にある場合
- 信用力の高い取引先への売掛債権を保有している場合
反対に、コストを最優先したい場合や、取引先に知られても問題がない場合は、手数料が低い3社間ファクタリングのほうが適しています。また、ファクタリングはあくまで売掛債権の前倒しであり、繰り返し利用すると手数料負担が経営を圧迫する点には注意が必要です。一時的なつなぎ資金として位置づけ、根本的な資金繰り改善とあわせて活用することが望ましいといえます。請求書の発行や入金管理を効率化したい場合は、無料で使える請求書発行サービスのINVOYもあわせて検討するとよいでしょう。
2社間ファクタリングに関するよくある質問
2社間ファクタリングは違法ではないですか?
2社間ファクタリング自体は違法ではありません。ファクタリングは売掛債権の売買であり、原則として貸付けには該当しないと金融庁も整理しています。ただし、償還請求権なし(ノンリコース)で売買として完結している取引であることが前提です。実態として貸付けと同様の機能を持つ取引や、給与を対象にした取引などは貸金業に該当するおそれがあるため、契約内容をよく確認し、信頼できる事業者を選ぶことが重要です。
2社間ファクタリングは個人事業主でも利用できますか?
利用できます。個人事業主やフリーランス向けにオンラインで完結するサービスも増えています。なお、債権譲渡登記は法人を対象とした制度のため、個人事業主は登記の対象外となり、登記費用が発生しないケースもあります。一方で、利用には事業として発生した売掛債権が必要です。
手数料を安く抑えるにはどうすればよいですか?
信用力の高い取引先への売掛債権を選ぶこと、支払期日までの期間が短い債権を利用すること、複数のファクタリング会社で見積もりを比較することが有効です。オンライン完結型のサービスは登記不要で諸費用を抑えられる場合があり、総コストで比較すると有利になることもあります。継続的に同じ事業者を利用して取引実績を積むことで、料率が改善するケースもあります。
まとめ
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者だけで契約が完結し、取引先に知られずに最短即日で売掛金を現金化できる資金調達手段です。3社間ファクタリングと比べて手数料はおおむね8〜18%と高めで、債権譲渡登記費用(登録免許税7,500円や司法書士報酬5〜10万円程度)が別途かかる場合がある点には注意が必要ですが、スピードと秘匿性を重視する事業者にとっては有力な選択肢となります。
利用にあたっては、手数料率だけでなく諸費用を含めた総コストで比較し、ノンリコースの債権売買として適切に契約される信頼できる事業者を選ぶことが大切です。ファクタリングは一時的なつなぎ資金として活用しつつ、請求書発行や入金管理の効率化による根本的な資金繰り改善とあわせて取り組むことで、より健全な経営につなげられます。クラウドファクタリングをはじめとする資金調達サービスを提供するOLTAの情報もあわせて確認し、自社に合った資金調達手段を選びましょう。



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