
税金を滞納してしまった場合、最終的に行政が差し押さえという強制的な財産の徴収手続きを行う可能性があります。「差し押さえ」という言葉を耳にしたとき、「いつ差し押さえが来るのか」「何が取られてしまうのか」「生活できなくなるのでは」と不安を感じる方は多いはずです。
しかし、差し押さえには一定の手順があり、突然すべての財産が奪われるわけではありません。早めに正確な知識を持ち、適切な対処をすれば、差し押さえを回避したり解除したりできる可能性があります。
この記事では、税金の差し押さえとは何か、差し押さえまでの具体的な流れ、差し押さえの対象となる財産と保護される財産、そして差し押さえを回避・解除するための実践的な対処法まで、わかりやすく解説します。個人事業主や中小企業の経営者の方も、資金繰りに不安を感じている方も、ぜひ最後までお読みください。
目次
税金の差し押さえとは何か
差し押さえの定義と法的根拠
税金の差し押さえとは、税金を滞納した人の財産を、税務署や地方自治体が強制的に取得・換価(現金化)して、滞納税額に充当する手続きのことです。法的には「滞納処分」と呼ばれ、国税徴収法や地方税法に基づいて実施されます。
一般的な借金の場合、差し押さえを行うには裁判所の判決などが必要です。しかし、税金の差し押さえは行政が独自に行える「自力執行権」を持っており、裁判所の手続きなしに差し押さえが可能です。この点が、税金滞納による差し押さえが非常に強力な手続きといわれる理由のひとつです。
差し押さえの目的は「滞納税額の回収」であるため、滞納額を超えて財産が差し押さえられることはありません。ただし、延滞税や加算税など附帯税も含めた合計額が対象となるため、滞納期間が長引けば長引くほど差し押さえの対象となる金額は増加します。
国税と地方税の違い
差し押さえに関する手続きは、滞納している税金が国税か地方税かによって異なります。
国税(所得税・法人税・消費税など)の場合、滞納から原則として50日以内に税務署から督促状が送付されます。地方税(住民税・固定資産税・事業税など)の場合は、納期限から20日以内に市区町村や都道府県から督促状が送られます。
督促状の発送日から10日を経過しても滞納が続く場合、法律上は差し押さえを実施できる状態になります。ただし、実際には納付の意思確認や分割払いの相談など、複数回のプロセスを経てから差し押さえに至ることがほとんどです。
延滞税率についても違いがあります。2025年(令和7年)の国税の延滞税率は、滞納2か月以内が年2.4%、2か月超は年8.7%です。地方税も同様の仕組みで延滞金が加算されます。滞納期間が長くなるほど負担が増えるため、早めの対応が重要です。
税金を滞納してから差し押さえまでの流れ
ステップ1:納付期限を過ぎて滞納状態になる
税金は1日でも納付期限を過ぎると「滞納」となります。この時点から延滞税が発生し始めます。最初の段階では、税務署や自治体からの通知はまだ来ないことも多いですが、法的には滞納状態です。
ここで重要なのは、「まだ通知が来ていないから大丈夫」と考えて放置しないことです。納付が困難な事情がある場合は、この段階で税務署や自治体の窓口に相談することが最善です。早期相談ほど分割払いや猶予制度を利用できる可能性が高くなります。
ステップ2:督促状・催告書の送付
滞納が続くと、税務署や自治体から「督促状」が送付されます。国税は滞納から50日以内、地方税は20日以内に届くのが原則です。督促状は差し押さえを予告する公的な書類であり、この時点でも無視を続けると手続きが加速します。
督促状が届いた後も滞納が続く場合、「催告書」や電話・訪問による催告が行われることがあります。これは差し押さえの前段階として、自発的な納付を促すための手続きです。
この段階で自治体の窓口に出向き、支払いの意思を示すことで、分割払いの交渉や猶予申請が可能になる場合が多くあります。督促状を受け取ったら、放置せず速やかに対応することが大切です。
ステップ3:財産調査の実施
催告に応じない場合、税務署や自治体は差し押さえの準備として「財産調査」を実施します。財産調査では、金融機関への照会によって預金口座の残高を確認したり、登記情報から不動産を特定したりします。給与明細や確定申告書などの情報も参照されることがあります。
財産調査は滞納者への事前通知なく行われることがほとんどです。突然、勤務先に「給与差押え」の通知が届いて初めて知るケースもあります。そうした事態を避けるためにも、財産調査が始まる前の段階で自ら相談の窓口に出向くことが重要です。
法律上、税務署や自治体は金融機関・証券会社・不動産登記などに対して質問・調査を行う権限を持っています。差し押さえるべき財産が見つかれば、次の段階へ進みます。
ステップ4:差し押さえの実行
財産調査で差し押さえ対象の財産が特定されると、実際に差し押さえが執行されます。差し押さえには事前の告知が義務付けられていないケースも多く、預金口座の凍結や給与の一部が差し押さえられる形で実施されます。
不動産の場合は「差押登記」が行われ、自由な売買や抵当権設定ができなくなります。その後、公売(強制競売)にかけられ、売却代金が滞納税額に充当されます。
差し押さえが実行された後も、滞納税額の全額を支払えば差し押さえは解除されます。ただし、一旦差し押さえが行われると、信用情報に影響が出たり、事業継続が困難になったりするケースもあります。できる限り差し押さえが実行される前に対処することが重要です。
差し押さえの対象となる財産
差し押さえられる主な財産の種類
税金の差し押さえでは、滞納者が所有するさまざまな財産が対象となります。主な対象は以下の通りです。
預貯金(銀行口座)
差し押さえの中で最も実施されやすいのが預貯金の差し押さえです。金融機関への照会が容易なため、差し押さえ通知と同時に口座が凍結されることがあります。預金残高がある場合、滞納税額に相当する金額が即座に差し押さえられます。
不動産(土地・建物)
自宅や事業用の土地・建物も差し押さえの対象になります。差し押さえ登記が行われた後、公売にかけられて換価されます。住宅ローンが残っている場合でも、住宅ローン残高を超える価値がある部分については差し押さえが可能です。
給与・賞与
勤務先に差し押さえ通知が送られ、給与の一部が差し押さえられます。ただし、給与の4分の3(または33万円のいずれか高い方)は差し押さえ禁止とされています。手取りが40万円の場合、差し押さえられるのは最大7万円(40万円-33万円)となります。
売掛金・受取手形
個人事業主や法人の場合、得意先に対する売掛金や受取手形も差し押さえの対象です。取引先への通知が必要となるため、事業信用への打撃が大きいのが特徴です。
生命保険・解約返戻金
積立型の生命保険は、解約返戻金がある場合に差し押さえの対象となることがあります。差し押さえによって強制解約される場合があります。
動産(高価な物品・車両など)
高額な貴金属・美術品・車両なども差し押さえの対象です。ただし、日常的な家財道具や生活必需品は保護されます。
差し押さえが禁止されている財産
国税徴収法第75条では、「差押禁止財産」として、最低限の生活を維持するために必要な財産を保護しています。すべての財産が差し押さえられるわけではありません。
主な差し押さえ禁止財産は以下の通りです。
生活必需品
衣服・寝具・家具・食料・燃料など、3か月分の生活に必要な物は差し押さえの対象外です。冷蔵庫やテレビなどの一般的な家電製品も、生活必需品として保護されることが多いです。
現金66万円まで
手元にある現金は66万円まで差し押さえ禁止とされています。生活の維持に必要な最低限の資金として保護されます。
給与の4分の3
給与所得者の場合、手取り額の4分の3(または33万円のいずれか高い金額)は差し押さえできません。たとえば手取り給与が20万円の場合、差し押さえ可能なのは0円(手取り20万円≦33万円のため全額差押禁止)です。
年金・失業給付
老齢年金・障害年金・失業給付などの社会保険給付は、原則として差し押さえ禁止です。ただし、銀行口座に振り込まれた後の預金残高は差し押さえの対象となる場合があります。
生業に不可欠な道具・機械
農業・漁業・事業の継続に欠かせない器具・機械・材料などは、条件付きで差し押さえが禁止されています。事業の存続が不可能になるほどの差し押さえは制限されています。
学習用具・補装具など
未成年者の学習用具や、身体障害者が使用する補装具(義手・義足など)も差し押さえ禁止財産に含まれます。
差し押さえを回避するための対処法
早期に税務署・自治体窓口へ相談する
税金の差し押さえを回避するために最も効果的な方法は、納付が困難になった時点ですぐに税務署や自治体の窓口へ相談することです。相談するタイミングが早いほど、柔軟な対応が可能です。
相談の際は、滞納の理由や現在の経済状況、収支の状況などを正直に説明することが重要です。窓口では、分割払い(分納)の相談や、後述する各種猶予制度の申請手続きについての案内を受けることができます。
「税務署に行くのが怖い」「督促状を無視してしまった」という方も、今からでも遅くはありません。自ら出向いて誠実に相談する姿勢を示すことで、差し押さえを回避できる可能性が大きく高まります。電話での事前相談も受け付けている窓口が多いため、まずは電話で状況を伝えるだけでも構いません。
納税の猶予制度を活用する
国税には「納税の猶予」制度があり、一定の事情がある場合に最長1年間(場合により2年間)の納付を猶予してもらえます。猶予が認められた期間は差し押さえを受けずに済み、延滞税も軽減または免除される場合があります。
猶予が認められる主な事情:
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- 災害・盗難・火災による損失
- 病気・ケガによる医療費の負担
- 事業の廃止・著しい損失
- 本人や家族の死亡、失業
猶予申請は、納付期限から2か月以内(または差し押さえ前)に行う必要があります。申請書には財産の状況や収支の見込みを記載し、必要に応じて担保を提供することが求められます。
地方税でも同様の猶予制度が設けられており、各自治体に相談することで申請できます。コロナ禍のような社会的な経済困難な時期には、特別な猶予措置が設けられることもあります。
換価の猶予を申請する
すでに差し押さえが実行されている状態でも、「換価の猶予」を申請することができます。差し押さえは維持されたまま、換価(財産の現金化)を一時的に止めてもらう制度です。
換価の猶予が認められると、分割払いによる納付計画を立てながら、不動産の公売や口座資産の取立てを猶予してもらえます。事業継続の観点から、売掛金や不動産が換価されることによって事業が立ち行かなくなる場合などに有効な手段です。
申請には、事業の状況・財産の状況・今後の収支見込みなどを詳細に記載した書類が必要です。認められた場合でも、猶予期間中は毎月一定額の分割納付が条件となるのが一般的です。
外部資金を活用した一括納付の方法
差し押さえを回避するために、外部からの資金調達によって滞納税金を一括納付するという方法もあります。特に事業者の場合は、売掛金を活用したファクタリングによる資金調達が有効な選択肢のひとつです。
ファクタリングの活用
ファクタリングは、将来受け取る予定の売掛金をファクタリング会社に売却して、早期に現金を調達する方法です。銀行融資と異なり、審査が比較的スピーディーで、税金の滞納があっても利用できるケースがあります。売掛先の信用力が重視されるため、信用力のある取引先への売掛金を保有している場合には特に有効です。
ただし、ファクタリングには手数料がかかるため、手数料を含めたコストと税金の延滞税の増加ペースを比較して判断することが大切です。また、悪質な業者も存在するため、正規のファクタリング会社を選ぶことが重要です。
その他の資金調達手段
中小企業・小規模事業者の場合、商工会議所や商工会を通じた相談や、日本政策金融公庫の融資制度を活用することも選択肢です。信頼できる金融機関や支援機関に早めに相談することで、適切な資金調達の方法を見つけられる可能性があります。

差し押さえを解除するための方法
滞納税額を全額納付する(完納)
差し押さえを解除するための最も確実な方法は、滞納している税金(本税)と延滞税・加算税などの附帯税をすべて納付することです。完納が確認されると、税務署や自治体は速やかに差し押さえを解除します。
預金口座の差し押さえの場合は口座の凍結が解除され、不動産の場合は差押登記が抹消されます。給与差し押さえの場合は勤務先への通知によって差し押さえが停止します。
滞納額が高額で一括納付が困難な場合でも、税務署や自治体に相談することで分割納付を認めてもらえることがあります。分割払いの交渉が成立した場合、差し押さえを解除してもらえるケースもあります。ただし、分割払い中に不払いが生じると、再度差し押さえが実行される可能性があります。
分割払いを交渉して差し押さえを解除してもらう
一括納付が難しい場合でも、分割払いの交渉によって差し押さえを解除してもらえる可能性があります。税務署や自治体が分割払いを認める条件としては、誠実な態度で相談に来ること、現実的な返済計画を提示できること、毎月の納付を滞りなく実施することなどが挙げられます。
分割払いの交渉を行う際のポイントは以下の通りです。
まず、月々の収入・支出の状況を正直に開示することが重要です。無理のない返済計画を提示することが認められやすい交渉の第一歩です。次に、差し押さえが継続することで事業継続や生活維持に具体的にどのような支障が出るかを説明することも有効です。また、自ら積極的に出向いて相談する姿勢を示すことで、担当者の心証も良くなります。
分割払いの交渉は、必ずしも認められるわけではありません。悪質な滞納者(過去に約束を守らなかった場合など)と判断された場合は、認められないこともあります。
不服申し立て(審査請求)を行う
差し押さえの手続きに違法・不当な点がある場合は、「不服申し立て(審査請求)」を行うことができます。審査請求は、差し押さえを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。
ただし、不服申し立ては「差し押さえ自体の中止」を求めるものではなく、「手続きの適法性」を争うものです。税額の計算ミスや手続き上の瑕疵がある場合には有効ですが、単なる「支払いたくない」という理由では認められません。
違法な差し押さえが疑われる場合や、差し押さえの範囲が不当に広いと感じる場合は、税理士や弁護士に相談することをお勧めします。専門家のサポートを受けながら対応することで、適切な解決策を見つけやすくなります。
法人が滞納した場合の注意点
法人特有のリスクと差し押さえの影響
個人事業主や法人が税金を滞納した場合、個人の滞納とは異なる特有のリスクがあります。
売掛金の差し押さえによる信用への打撃
取引先への売掛金が差し押さえられる場合、税務署から取引先へ直接通知が届きます。これにより取引先に滞納の事実が知られてしまい、取引継続に悪影響が出ることがあります。特に金融機関や大手企業との取引がある場合、信用失墜は事業存続に直結します。
代表者個人への影響
法人の税金滞納が続き、会社が廃業した場合でも、第二次納税義務(国税徴収法第39条など)の規定によって、一定の条件のもとで代表者個人に納税義務が及ぶことがあります。会社の財産が事業とは無関係に流出していたケースなどで適用される可能性があります。
融資・信用への影響
税金の滞納は、金融機関の融資審査において重大なマイナス要素になります。差し押さえが実行されると、新たな融資を受けることが極めて困難になる場合があります。資金繰りがさらに悪化するという悪循環に陥る前に、早期の対処が不可欠です。
滞納時に優先すべき税金の順番
資金繰りが厳しい状況で複数の税金が滞納している場合、どの税金を優先して納付すべきか迷うことがあります。事業者としての観点からは、以下の税金を優先することが一般的に推奨されています。
源泉所得税
従業員の給与から天引きした源泉所得税は、従業員から預かった税金です。これを会社の運転資金に流用して滞納することは、社会的な信頼を大きく損ないます。また、源泉所得税の不納付は「不納付加算税(10〜15%)」や刑事罰の対象になる場合もあるため、優先的に納付することが重要です。
消費税
消費者から受け取った消費税を国に納めずに滞納することも、預り金の流用と同様の問題があります。消費税の滞納も不納付加算税の対象となるため、優先して対応すべき税金のひとつです。
一方、法人税・住民税などは経営状況に応じて猶予制度の活用が比較的認められやすい税目です。資金が限られている場合は、まず源泉所得税・消費税を優先し、残りについて猶予申請や分割交渉を行う方針が現実的です。
よくある質問(Q&A)
Q:差し押さえはいつ実行されますか?
A:差し押さえが実行されるタイミングは、滞納の状況や税務署・自治体の対応によって異なります。法律上は、督促状の発送から10日を経過すれば差し押さえが可能な状態になります。ただし、実際には複数回の催告を経てから差し押さえに至ることがほとんどです。
滞納が1〜2か月程度で督促状に適切に対応した場合は、差し押さえに至らないことが多いです。一方、半年以上にわたって督促を無視し続けた場合は、比較的早期に差し押さえが実行されることもあります。督促状や催告書を受け取ったら、速やかに窓口へ相談することが重要です。
Q:差し押さえされると生活できなくなりますか?
A:差し押さえによってすべての財産が失われるわけではありません。国税徴収法では、生活に必要な最低限の財産は「差押禁止財産」として保護されています。
現金66万円まで、給与の4分の3、生活必需品(衣服・寝具・食料など)は差し押さえの対象外です。また、年金・失業給付なども差し押さえ禁止とされています。
ただし、預金口座に振り込まれた年金・給与などは、口座残高として差し押さえの対象になる場合があります。特に預金口座への差し押さえは即日実施されることがあるため、生活資金の確保に支障が出ないよう早め早めの対応が必要です。
Q:滞納に時効はありますか?
A:税金の徴収権には時効があります。国税の徴収権の消滅時効は、法定納期限の翌日から原則として5年です。ただし、督促状の送付や差し押さえが行われると時効が中断(または更新)されます。
実務上、税務署や自治体は積極的に督促状の送付や差し押さえを行うため、時効の成立は非常にまれです。「時効になるまで待てばいい」という考え方は非常に危険であり、その間に延滞税が膨らむことで滞納総額がさらに増加します。時効を期待して放置することは絶対に避けてください。
Q:差し押さえを弁護士・税理士に相談すべきですか?
A:滞納額が高額な場合、複数の税金が滞納されている場合、差し押さえによって事業継続が困難になっている場合などは、税理士・弁護士への相談を強くお勧めします。
税理士は税務署との交渉・猶予申請のサポートを専門としており、分割払いや換価猶予の交渉を代行してもらえます。弁護士は差し押さえの適法性に問題がある場合の不服申し立てや、多重の債務がある場合の債務整理も含めた総合的なアドバイスを受けられます。
「専門家に頼むと費用がかかる」と心配な方は、法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談や、税理士会の無料相談窓口を活用することもできます。
Q:固定資産税を滞納したら差し押さえはどうなりますか?
A:固定資産税を滞納した場合、市区町村から督促状が届き、その後「差押予告通知書」が送られることがあります。これは差し押さえの直前段階の通知であり、受け取ったら速やかに市区町村の税務担当窓口へ相談することが必要です。
固定資産税の差し押さえでは、滞納物件となっている不動産そのものが差し押さえの対象になりやすい特徴があります。自宅を差し押さえられると、最終的に公売にかけられて失うリスクがあります。差押予告通知書が届いた段階で相談すれば、分割払いの交渉が成立することが多く、最悪の事態を避けられる可能性が高まります。
資金繰りが苦しい時の事前対策
納付期限と年間スケジュールの管理
税金の差し押さえを根本的に防ぐためには、日頃から税金の納付スケジュールをしっかり把握し、計画的に資金を準備しておくことが重要です。
主な税金の納付時期の目安は以下の通りです。所得税の確定申告・納付は毎年2月16日〜3月15日、住民税は6月・8月・10月・翌1月の4期払い、固定資産税は4月・7月・12月・翌2月の4期払い、消費税(個人事業主・四半期ごとの中間申告あり)は翌年3月31日までが原則です。
これらの納付時期に合わせて、毎月一定額を「税金積立」として確保しておく習慣をつけることで、資金ショートによる滞納を防ぐことができます。特に売上の変動が大きい事業者は、売上が好調な時期に納税資金を積み立てておくことが有効です。
資金繰りの安定化で納税能力を維持する
税金の滞納は、多くの場合「資金繰りの悪化」が引き金になります。売上回収の遅延・急な仕入れ代金の支払い・設備投資などによって手元資金が不足し、納税が後回しになるケースが典型的です。
資金繰りを安定させるために有効な手段のひとつが、ファクタリングの活用です。ファクタリングを利用すると、売掛金の入金を待たずに早期に現金を調達でき、税金納付の資金を確保しやすくなります。
また、売掛金の回収サイトを短縮する交渉を取引先と行うことや、支払いサイトを延長するための「手形払い」「リボルビング融資」などの活用も検討に値します。日頃から複数の資金調達手段を持っておくことが、税金滞納を防ぐうえで重要なリスク管理になります。
まとめ
税金の差し押さえは、滞納が長期化した場合に税務署や自治体が実施する強制的な財産徴収手続きです。裁判所の手続きなしで行われるため、一般的な借金の差し押さえよりも迅速に実施されることが特徴です。
差し押さえまでの流れは「滞納→督促状→催告→財産調査→差し押さえ実行」という段階的なプロセスです。どの段階でも、自ら窓口に相談することで、分割払いや猶予制度の活用によって差し押さえを回避できる可能性があります。
差し押さえの対象は預金・給与・不動産・売掛金などが中心ですが、現金66万円まで・給与の4分の3・生活必需品などの差押禁止財産は保護されます。差し押さえの解除は、滞納税額の完納か、分割払いの合意によって実現できます。
最も重要なのは「早めに相談すること」です。督促状が届いた段階で税務署や自治体の窓口へ出向き、誠実に対応することで、最悪の事態を回避する可能性が大きく高まります。資金繰りに不安がある事業者の方は、ファクタリングなどの資金調達手段も活用しながら、計画的な納税管理を心がけましょう。



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