ファクタリングの基礎知識

ファクタリングの取り立ては起こる?正規取引と違法な督促の見分け方・相談先を解説

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ファクタリング 取り立て

資金繰りのために売掛金を早期に現金化できるファクタリングは、中小企業や個人事業主にとって便利な資金調達手段です。一方で「ファクタリングを使うと取り立てが来るのではないか」「売掛先が倒産したら自分が払わされるのか」「悪質な業者にしつこく督促されたらどうすればよいのか」といった不安を抱く方も少なくありません。結論から言えば、正規のファクタリングでは利用者への取り立ては原則として起こりにくい仕組みになっています。なぜなら、ファクタリングは借入れではなく売掛債権の売買であり、多くの契約が償還請求権のないノンリコース型だからです。

しかし現実には、ファクタリングを装った偽装業者やヤミ金による違法な取り立て被害も報告されています。本記事では、ファクタリングと取り立ての関係を法的な観点から整理し、正規取引で取り立てが起こりにくい理由、利用者側に支払い義務が生じるケース、偽装ファクタリングやヤミ金による違法な取立ての実態、そして被害に遭ったときの相談先までを中立的に解説します。不安を解消し、安全に資金調達を行うための判断材料として活用してください。

そもそもファクタリングとは何か

ファクタリングとは、企業や個人事業主が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、支払期日より前に資金を受け取る取引です。法律的には民法第466条以下に定められた債権譲渡を根拠とする「債権の売買」であり、お金を貸し借りする融資(金銭消費貸借)とは性質が異なります。融資ではないため、貸金業登録や利息制限法・出資法の上限金利は原則として適用されません。代わりにファクタリング会社は「手数料」を差し引いた金額を利用者に支払います。手数料の相場は契約形態によって幅がありますが、一般に3社間ファクタリングで数パーセント程度、2社間ファクタリングで10パーセント前後からと言われ、取引条件や売掛先の信用力によって変動します。あくまで売買の対価であり、融資の利息とは法的な位置づけが異なる点を押さえておきましょう。

ファクタリングには大きく分けて2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。2社間は利用者とファクタリング会社の2者で契約し、売掛先には通知しないため取引先に知られずに資金調達できる一方、手数料は高めになりがちです。3社間は売掛先も契約に関与し、売掛先から直接ファクタリング会社へ支払われるため手数料は低く抑えられます。この「誰が誰に支払うか」という構造の違いが、後述する取り立て・督促の論点に深く関わってきます。

正規のファクタリングで取り立てが起こりにくい理由

正規のファクタリングで利用者に対する取り立てが起こりにくいのは、取引の本質が「売買」であることと、契約形態の多くが償還請求権のないノンリコース型であることの2点に由来します。順に見ていきましょう。

債権の売買だから返済義務がない

ファクタリングは売掛債権を売却する取引であり、借入れではありません。売買である以上、売主である利用者が代金を受け取った後にその債権を買い戻したり、お金を返済したりする義務は原則として生じません。融資であれば毎月の返済と、滞納時の督促・取り立てが発生しますが、ファクタリングは債権を譲り渡して対価を受け取って完結するため、利用者に対する返済の督促という概念自体がそもそも当てはまらないのです。

ノンリコース契約なら売掛先倒産でも償還請求されない

償還請求権とは、譲渡した売掛金が回収できなくなった場合に、ファクタリング会社が利用者へ買い戻しや弁済を請求できる権利のことです。この権利がない契約をノンリコース(償還請求権なし)、ある契約をウィズリコース(償還請求権あり)と呼びます。日本国内の正規ファクタリング会社が提供するサービスは、ノンリコース型が主流です。ノンリコース契約では、売掛先が倒産・支払不能に陥っても、利用者はファクタリング会社から弁済を求められることはありません。貸倒れのリスクをファクタリング会社が引き受けるからこそ、利用者は安心して資金化できるわけです。

逆に償還請求権あり(ウィズリコース)の契約は、未回収時に利用者が肩代わりする点で実質的に貸付けと変わらず、貸金業登録のない業者がこれを行うと貸金業法違反となるおそれがあると指摘されています。契約書に「償還請求権」「買戻し」「保証」といった文言がある場合は、その契約が本当に債権の売買なのかを慎重に確認する必要があります。

ノンリコース契約のポイントを整理すると次のとおりです。

  • 売掛先が倒産しても利用者は弁済を求められない(償還請求なし)
  • 貸倒れリスクはファクタリング会社が負担する
  • 国内の正規ファクタリングはノンリコースが一般的である
  • 償還請求権ありの契約は実質的な貸付けと判断されるおそれがある

それでも利用者に請求が来るケース

正規のファクタリングでも、利用者に対して支払いの請求が生じる場面はあります。これは違法な取り立てとは異なり、契約上の正当な債務不履行への請求です。代表的なのが2社間ファクタリングで回収金を送金しないケースです。

2社間で回収金を送金しないと横領になりうる

2社間ファクタリングでは、売掛先はファクタリング会社の存在を知らないため、これまでどおり利用者の口座へ売掛金を支払います。利用者はその入金を受け取ったうえで、契約に従ってファクタリング会社へ送金する義務を負います。ところが、すでに売却済みの売掛金はファクタリング会社の財産です。受け取った回収金を送金せず使い込んでしまうと、横領罪(刑法第252条以下)が成立する可能性があり、最悪の場合は刑事告訴に発展するおそれがあると解説されています。この場合の請求は違法な取り立てではなく、利用者側の契約違反に対する正当な請求です。

同様に、すでに譲渡した売掛金を別の業者にも売る二重譲渡も、刑事責任や損害賠償につながる違法行為です。契約後に資金が苦しくなっても回収金は必ず期日どおりに送金し、複数業者への重複売却は絶対に避けてください。これらは取り立て被害ではなく、利用者自身の義務違反の問題である点を理解しておくことが大切です。

償還請求権ありの契約だった場合

前述のとおり、ウィズリコース(償還請求権あり)の契約を結んでいた場合は、売掛先が支払えなくなったときに利用者へ買戻しや弁済が請求されます。これは契約上は有効な請求になりうるため、契約前に償還請求権の有無を必ず確認しておくことが重要です。ノンリコースであれば、売掛先の倒産による不払いリスクは利用者に及びません。なお、契約書の文言が「売買」となっていても、償還請求権や買戻し特約が付いている場合には、その経済的実態が貸付けと評価されることがあります。判断に迷うときは、契約前に弁護士や司法書士などの専門家に契約書を確認してもらうと安心です。

偽装ファクタリング・ヤミ金による違法な取り立て

正規のファクタリングとは別に、ファクタリングを装いながら実態は高利貸付けを行う偽装業者やヤミ金が存在します。こうした業者では、貸金業法が禁じる違法な取り立てが行われる危険があり、注意が必要です。

給与ファクタリングは最高裁が貸付けと判断

個人が勤務先に対して持つ給与(賃金債権)を給料日前に買い取って現金を渡し、給料日にその個人を通じて回収する「給与ファクタリング」と呼ばれる取引があります。これについて最高裁判所は令和5年(2023年)2月20日の判決で、給与ファクタリングは貸金業法第2条第1項および出資法第5条第3項にいう「貸付け」に当たると判断しました。利用者は勤務先に知られたくないため事実上買い戻さざるを得ず、実質的に返済合意のある金銭の貸付と同じと評価されたためです。

この結果、給与ファクタリングを業として行うには貸金業登録が必要であり、無登録業者はヤミ金に該当します。無登録業者では年率換算で数百パーセントから千数百パーセントにのぼる高額な手数料を取られたり、大声での恫喝や勤務先への連絡といった私生活の平穏を害する悪質な取立て被害を受けたりする危険があると注意喚起されています。なお給与ファクタリングは個人の給与を対象とするもので、事業者が売掛金を売却する通常の事業者向けファクタリングとは別物です。

貸金業法が禁じる取立て行為

正規の貸金業であっても、貸金業法第21条は取立て行為を厳しく制限しています。偽装ファクタリングが実質的な貸付けと判断されれば同様の規制対象となり、次のような行為は違法な取り立てに当たります。これらは被害の典型的なサインでもあります。

  • 正当な理由なく早朝や深夜(一般に午後9時から午前8時まで)に電話や訪問をする
  • 勤務先など自宅以外の場所へ電話や訪問をして取り立てる
  • 張り紙や立て看板などで借入れの事実を第三者に知らせる
  • 大声での恫喝や乱暴な言動、暴力的・脅迫的な取立てを行う
  • 家族や知人など本人以外の関係者に支払いを要求する

悪質な業者を見分けるチェックポイント

金融庁は、ファクタリングを装った違法なヤミ金融業者の存在について注意喚起を行っています。次のような特徴がある場合は、偽装ファクタリングやヤミ金の疑いが強いため契約を避けるべきです。

  • 契約書に償還請求権・買戻し・保証など、実質的に返済を求める条項がある
  • 手数料が年率換算で異常に高い、手数料の内訳が不明確である
  • 契約書を交付しない、控えを渡さない、社名や所在地が確認できない
  • 分割での返済を提案してくるなど、貸付けと見分けがつかない説明をする
ファクタリング 取り立て

違法な取り立て被害に遭ったときの相談先

偽装ファクタリングやヤミ金による違法な取り立てに遭った場合、一人で抱え込まず、早めに公的な窓口や専門家へ相談することが重要です。相手の言いなりに支払いを続けても被害が拡大するだけのことが多いため、次の相談先を活用してください。

  • 警察相談専用電話 #9110 — 自宅周辺をうろつかれる、近隣に借金を言いふらされる、暴力・脅迫を受けるなど、犯罪やトラブルに関わる相談の窓口です。緊急で身の危険がある場合は110番に通報してください。
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 — 違法な金融業者に関する情報提供や相談を受け付けています。寄せられた情報は警察や行政と連携して対応に活用されます。
  • 法テラス(日本司法支援センター)0570-078374 — 経済的に余裕がない方でも、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替え制度を利用でき、適切な専門家につないでもらえます。
  • 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター — 「ヤミ金かもしれない」と思ったときの相談や、貸金業者とのトラブルに関する相談を受け付けています。
  • 弁護士・司法書士 — ヤミ金被害に詳しい弁護士や司法書士に依頼すると、受任通知の送付などにより取り立てを止められる場合があります。最寄りの弁護士会・司法書士会の相談窓口も活用できます。

違法なヤミ金からの借入れについては、元金も含めて返済義務を負わないとする考え方が裁判例でも示されており、支払ってしまったお金の返還を求められる場合もあります。だからこそ、自己判断で支払い続ける前に専門家へ相談することが被害回復への近道です。証拠として、契約書・振込明細・業者とのやり取り(メール・SMS・着信履歴・録音など)はできる限り保存しておきましょう。

安全にファクタリングを利用するための注意点

取り立てトラブルを未然に防ぐ最大のポイントは、正規の事業者を選び、契約内容を正しく理解することです。利用前に次の点を確認しておきましょう。

  • 契約が債権の売買であること、ノンリコース(償還請求権なし)であることを契約書で確認する
  • 手数料の水準と内訳が明示され、書面が交付されることを確認する
  • 会社の所在地・運営実態・問い合わせ窓口がはっきりしている事業者を選ぶ
  • 2社間契約では回収した売掛金を必ず期日どおりに送金し、二重譲渡をしない
  • 個人の給与を対象とする「給与ファクタリング」には手を出さない

クラウドファクタリングのオンライン完結型サービスを提供するOLTAのような運営実態の明確な事業者を選べば、契約条件が明示され、不透明な取り立てのリスクを避けやすくなります。サービス内容はOLTAで確認できます。

よくある質問

ファクタリングを使うと取り立ては来ますか。

正規のファクタリングは債権の売買であり、利用者への返済の取り立てという概念は原則ありません。ただし2社間契約で回収金を送金しない場合や、償還請求権あり契約で売掛先が倒産した場合には、契約上の正当な請求が生じることがあります。これは違法な取り立てとは別物です。

売掛先が倒産したら自分が払わされますか。

ノンリコース(償還請求権なし)契約であれば、売掛先が倒産・支払不能になっても利用者が弁済を求められることはありません。国内の正規ファクタリングはノンリコースが主流です。一方、償還請求権あり契約では肩代わりを求められる場合があるため、契約前の確認が必須です。

しつこい督促や脅迫まがいの取り立てを受けています。どうすればよいですか。

深夜・早朝の連絡、勤務先や家族への連絡、恫喝などは貸金業法が禁じる違法な取立てに当たります。一人で支払い続けず、警察相談専用電話#9110、金融庁の金融サービス利用者相談室、弁護士・司法書士などに早めに相談してください。契約書ややり取りの記録は証拠として保存しておきましょう。

給与ファクタリングは利用しても大丈夫ですか。

個人の給与を対象とする給与ファクタリングは、最高裁が令和5年2月20日に貸付けに当たると判断しており、無登録で行う業者はヤミ金に該当します。高金利や悪質な取り立ての被害につながるため利用は避けてください。事業者向けの売掛金ファクタリングとは性質が異なります。

まとめ

ファクタリングと取り立ての関係を正しく理解すれば、過度に不安を抱く必要はありません。正規のファクタリングは借入れではなく債権の売買であり、ノンリコース契約であれば売掛先が倒産しても利用者へ償還請求が及ばないため、本来は取り立てが起こりにくい仕組みです。利用者に正当な請求が生じるのは、2社間で回収金を送金しなかった場合(横領のおそれ)や、償還請求権あり契約だった場合などに限られます。

一方で、ファクタリングを装った偽装業者やヤミ金による違法な取り立て被害は現実に存在します。給与ファクタリングが最高裁で貸付けと判断されたように、実態が貸付けであれば貸金業法の規制対象となり、深夜の連絡や勤務先・家族への連絡、恫喝などは違法です。被害に遭ったら、警察相談専用電話#9110、金融庁 金融サービス利用者相談室、法テラスや弁護士・司法書士といった相談先を早めに活用してください。契約内容を確認し、運営実態の明確な正規事業者を選ぶことが、安全な資金調達の第一歩です。請求書発行やカード払いを含む経理・資金繰りの効率化についてはINVOYもあわせて参考にしてください。

この記事の投稿者:

hasegawa

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