
「ファクタリングを利用したら消費税はかかるのだろうか」「手数料に10%の消費税を上乗せされたが、これは正しいのか」。資金繰り改善の手段としてファクタリングを検討する事業者から、消費税に関するこうした疑問は非常に多く寄せられます。結論から言えば、ファクタリング(売掛債権など金銭債権の譲渡)は消費税法上の非課税取引であり、調達した資金にも、ファクタリング会社へ支払う手数料にも、原則として消費税はかかりません。
この記事では「ファクタリング 消費税」をテーマに、なぜファクタリングが非課税になるのかという法的根拠を消費税法と国税庁の見解にもとづいて整理します。あわせて、手数料に消費税が課されない理由、消費税が例外的にかかる費用、インボイス制度との関係、もし業者が手数料に消費税を上乗せ請求してきた場合の見分け方、そして会計上の正しい扱いまでを体系的に解説します。消費税の取り扱いを誤ると、不要な税負担を負ったり、悪質業者の被害に遭ったりするおそれがあります。正確な知識を身につけ、安全に資金調達を行うための判断材料として活用してください。なお、個別の取引の税務判断については、最終的に顧問税理士や所轄の税務署へ確認することをおすすめします。
目次
ファクタリングに消費税はかからないのが原則
ファクタリングとは、企業や個人事業主が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社へ売却し、支払期日を待たずに早期資金化するサービスです。このとき行われているのは「売掛債権の売買」、すなわち金銭債権の譲渡です。そして消費税法上、金銭債権の譲渡は非課税取引と定められています。したがって、ファクタリングによって受け取る資金そのものに消費税は課されません。
消費税は本来、国内において事業者が事業として対価を得て行う「資産の譲渡等」に課される税金です。ところが、すべての取引に課税してしまうと税の性格になじまないものや、社会政策上配慮すべきものが出てきます。そこで消費税法では、課税の対象とならない取引を「非課税取引」として個別に列挙しています。金銭債権の譲渡は、土地の譲渡や有価証券の譲渡、利子などと並んで、この非課税取引に含まれているのです。
非課税の根拠は消費税法別表第二と施行令
ファクタリングが非課税となる直接の根拠は、消費税法第六条および同法別表第二にあります。別表第二は、消費税を課さない取引を列挙した条文で、その中に「有価証券その他これに類するものとして政令で定めるものの譲渡」が定められています。この「政令で定めるもの」を受けて、消費税法施行令第九条は、貸付金や預金、売掛金その他の金銭債権をこの非課税の対象に含めています。
つまり売掛金は「金銭債権」の一種であり、その金銭債権を譲渡する行為であるファクタリングは、法律のしくみとして非課税取引に位置づけられているということです。国税庁が公表する「No.6201 非課税となる取引」でも、有価証券等の譲渡として「金銭債権」が非課税の対象に挙げられています。これは特定のファクタリング会社のサービスだから非課税というわけではなく、金銭債権の譲渡という取引の性質そのものに由来する取り扱いです。
非課税取引と不課税取引の違い
消費税がかからない取引には、大きく分けて「非課税取引」と「不課税取引(課税対象外)」の二つがあります。両者は似ているようで意味が異なります。非課税取引は、本来は課税の対象になりうるが政策的な理由などから課税しないと定められた取引で、金銭債権の譲渡や土地の譲渡がこれにあたります。一方の不課税取引は、そもそも消費税の課税要件である「対価を得て行う資産の譲渡等」に該当しない取引で、給与の支払いや寄付金、配当金などが該当します。
ファクタリングは消費税法上「非課税取引」に分類されます。利用者にとっては「消費税を払わなくてよい」という結果は同じですが、ファクタリング会社側では非課税売上として課税売上割合の計算に影響するなど、事業者の納税計算に関わる違いがあります。利用者側で押さえておくべきポイントは、ファクタリングは課税されない取引であり、原則として消費税を支払う必要はないという点です。
ファクタリング手数料にも消費税はかからない理由
ファクタリングについて最も誤解が生じやすいのが手数料の取り扱いです。ファクタリングを利用すると、売掛金の額面から一定の手数料が差し引かれて入金されます。たとえば額面100万円の売掛金を手数料10%で売却した場合、受け取れるのは90万円です。この手数料10万円に対して、さらに消費税を上乗せ請求されるべきなのか、という疑問が生じます。結論として、ファクタリング手数料にも消費税はかかりません。
手数料は「金銭債権の譲受対価」として非課税
この点について国税庁は明確な見解を示しています。国税庁の質疑応答事例「金銭債権の買取り等に対する課税関係」では、金銭債権の譲受けの際に債権者から徴収する割引料、保証料または手数料は、その名目のいかんにかかわらず、金銭債権の譲受けの対価として非課税となる、と説明されています。これは消費税法施行令第十条第三項第八号などにもとづく取り扱いです。
重要なのは「名目のいかんにかかわらず」という部分です。ファクタリング会社が差し引く金額を「手数料」「割引料」「保証料」「買取手数料」などどのような名称で表示していても、それが金銭債権の譲受けに伴う対価である限り、消費税は課されません。手数料はファクタリング会社が売掛債権を買い取るために設定する対価の一部であり、独立した課税サービスの提供ではないためです。したがって、額面100万円・手数料10%のケースでは、控除されるのは手数料10万円のみであり、これに消費税1万円が加算されることはありません。
消費税を上乗せされると二重課税に近い負担になる
仮に手数料に消費税が課されると考えると、利用者の負担はさらに重くなります。額面100万円・手数料10%の例で手数料10万円に消費税10%を上乗せすれば、利用者は11万円を負担し、手取りは89万円に減ります。本来非課税であるはずの取引に課税を持ち込むことは、利用者にとって理由のない上乗せ負担にほかなりません。ファクタリングは資金繰りに余裕のない事業者が利用するケースが多いだけに、こうした不当な上乗せは経営に直接の打撃を与えます。
次のポイントを押さえておきましょう。
- ファクタリングで受け取る資金そのものは非課税で、消費税はかからない
- 手数料・割引料・保証料も金銭債権の譲受対価として非課税
- 名目が何であれ、金銭債権の買取りに伴う対価には消費税は課されない
- 手数料に消費税が上乗せされた請求書は、原則として誤りまたは不当である
消費税が例外的にかかる費用に注意
ファクタリング取引の本体は非課税ですが、取引に付随して発生する一部の費用には消費税が課される場合があります。これらは金銭債権の譲渡そのものではなく、別個に提供される課税サービスや手続きの対価だからです。手数料に消費税がかからないこととは区別して理解しておく必要があります。
債権譲渡登記に伴う司法書士報酬など
3者間ファクタリングや一部の2者間ファクタリングでは、売掛債権が二重に譲渡されることを防ぐため「債権譲渡登記」を行うことがあります。登記そのものにかかる登録免許税や印紙税は税金であり消費税の対象外ですが、登記手続きを司法書士に依頼した場合の司法書士報酬は、専門家による役務の提供にあたるため消費税の課税対象です。この報酬部分には10%の消費税が正当に加算されます。
このほか、契約書作成に関する弁護士・司法書士などへの報酬、債権の存在や売掛先の信用を調査するための実費のうち課税対象となるサービス費用などにも、消費税がかかる場合があります。これらは「ファクタリング手数料」とは性質の異なる費用であり、消費税が課されること自体は正当です。請求内容を確認する際は、非課税であるべき買取手数料部分と、課税が正当な付随費用部分を区別して見ることが大切です。
課税・非課税の区別を整理する
判断に迷ったときは、その費用が「金銭債権の譲受けの対価」なのか「別個の役務提供などの対価」なのかという視点で整理すると見分けやすくなります。前者は非課税、後者は課税というのが基本的な考え方です。
- 非課税となるもの:受け取る資金(買取代金)、買取手数料、割引料、保証料
- 課税対象となりうるもの:債権譲渡登記を依頼した司法書士への報酬、契約に関する専門家報酬
- 消費税の対象外(税金):登録免許税、印紙税などの公租公課
自社の取引でどの費用が課税・非課税にあたるか判断が難しい場合は、見積書や契約書の内訳を確認したうえで、税理士に相談すると確実です。
ファクタリングとインボイス制度の関係
2023年10月に開始したインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、課税仕入れについて仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書発行事業者が発行したインボイス(適格請求書)の保存が必要になりました。これを受けて、ファクタリングを利用する際にもインボイスが必要になるのではないかと心配する声があります。
非課税取引にインボイスは不要
インボイスが必要になるのは、あくまで消費税の課税取引について仕入税額控除を行う場合です。ファクタリングは非課税取引であり、そもそも消費税が発生しないため、仕入税額控除の対象になりません。したがって、利用者がファクタリング会社からインボイスの交付を受ける必要はなく、ファクタリング会社がインボイス発行事業者として登録しているかどうかも、買取手数料の取り扱いに影響しません。手数料が非課税である以上、控除すべき消費税が存在しないからです。
ただし、前述の債権譲渡登記に伴う司法書士報酬など、消費税が課される付随費用については話が別です。これらの課税仕入れについて仕入税額控除を受けたい場合は、報酬を受け取る司法書士事務所などから適格請求書の交付を受け、保存しておく必要があります。なお免税事業者など適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについては、令和5年10月から令和8年9月までは仕入税額相当額の80%、令和8年10月から令和11年9月までは50%を控除できる経過措置が設けられています。
売掛先との関係でインボイスを混同しない
インボイスとファクタリングの関係でもう一つ押さえておきたいのが、ファクタリングで売却するのは「売掛債権」であって、元の商品やサービスの売上そのものではないという点です。商品やサービスを売掛先へ販売した時点の売上は、通常どおり課税取引としてインボイスを発行する必要があります。ファクタリングはその後にその売掛債権を資金化する別の取引であり、ファクタリング自体に新たなインボイス発行義務が生じるわけではありません。売上計上時のインボイス対応と、ファクタリング時の非課税扱いを混同しないようにしましょう。

手数料に消費税を上乗せ請求する業者は要注意
ここまで述べたとおり、ファクタリングの買取手数料に消費税はかかりません。それにもかかわらず、手数料に消費税を上乗せして請求してくる業者が存在します。こうした業者は、税制への理解が不足しているか、あるいは利用者の知識不足につけ込んで不当に利益を得ようとしている悪質業者である疑いがあります。資金繰りに困っている事業者ほど内訳を細かく確認する余裕がなく、被害に遭いやすい点に注意が必要です。
「事務手数料」「システム利用料」名目の上乗せに注意
悪質な業者は、本来非課税である買取手数料に直接消費税を乗せると気づかれやすいため、「事務手数料」「システム利用料」「審査料」などの別名目を使い、そこに消費税を加えて上乗せ請求する手口を取ることがあります。しかし、これらが実質的に金銭債権の買取りに伴う対価である限り、名目を変えても非課税であるという国税庁の見解は変わりません。見積書や契約書に消費税の記載がある場合は、その費用が何の対価なのかを必ず確認し、買取手数料に対する消費税であれば理由を質すべきです。
偽装ファクタリングと貸金業のリスク
手数料への消費税上乗せは、その業者が法令を軽視している兆候の一つでもあります。ファクタリングを装いながら、実態は貸付け(融資)に近い「偽装ファクタリング」を行う業者も問題となっています。買い取った債権の支払いを利用者に求める「償還請求権あり(リコースあり)」の契約や、実質的に金利に相当する高額な手数料を課す契約は、貸金業に該当する可能性があります。貸金業を営むには貸金業登録が必要であり、無登録での貸付けは違法です。
金融庁や日本貸金業協会も、ファクタリングを装ったヤミ金融的な業者に対して注意喚起を行っています。次のような特徴が見られる場合は、契約前に慎重な確認が必要です。
- 買取手数料に消費税を上乗せして請求してくる
- 手数料の内訳や算定根拠を明確に説明しない
- 償還請求権ありの契約で、売掛先が支払えない場合に利用者へ返済を求める
- 契約書を交付しない、または控えを渡さない
- 相場(おおむね数%から20%程度)を大きく超える手数料を要求する
少しでも不審な点があれば契約を急がず、複数社から見積もりを取って比較し、必要に応じて税理士や弁護士に相談することが、被害を避ける最も確実な方法です。INVOYを提供するOLTAのように、手数料の内訳を明確に提示する事業者を選ぶことが安全な資金調達につながります。サービスの詳細はOLTAで確認できます。
ファクタリングの会計処理と消費税の扱い
ファクタリングが非課税取引であることは、会計処理(仕訳)にも反映されます。消費税がかからない取引であるため、手数料を計上する際に仮払消費税などを計上する必要はありません。ここでは買取型ファクタリングの基本的な仕訳の流れを確認します。なお、勘定科目の選び方は会計ソフトや会社の方針によって異なる場合があるため、最終的には顧問税理士の指示に従ってください。
売却損は非課税で計上する
ファクタリングで売掛金を売却したとき、額面と入金額の差額である手数料は費用として計上します。一般的に用いられる勘定科目は「売上債権売却損」です。会計ソフトにこの科目がない場合は、「支払手数料」「割引料」「雑損失」などで代用されることもあります。たとえば額面100万円の売掛金を手数料10万円で売却し、90万円が入金された場合、売掛金100万円を消し、普通預金90万円と売上債権売却損10万円を計上します。
このとき重要なのは、売上債権売却損10万円は非課税仕入れではなく「不課税」または「対象外」として処理し、消費税の計算に含めないという点です。仮に手数料に消費税を含めて入力してしまうと、本来非課税の取引に課税処理を適用することになり、消費税の申告額に誤りが生じます。会計ソフトで税区分を入力する際は、手数料を「対象外」や「非課税」として設定するよう注意しましょう。
契約から入金までの段階的な仕訳
ファクタリング契約から実際の入金まで日数が空く場合は、段階を分けて仕訳します。譲渡契約を結んだ時点では、売掛金を「未収入金」に振り替えます。未収入金は、資産を売却して後日その代金を受け取る場合に用いる勘定科目です。その後、ファクタリング会社から入金があった時点で、未収入金を消し、入金額を普通預金に、手数料を売上債権売却損に計上します。これにより、債権を譲渡した事実と、後日資金化された事実を会計上明確に区分できます。なお、債権譲渡登記の司法書士報酬など課税対象の費用は、その費用部分について消費税を含めて処理する必要があります。
ファクタリングを含む請求業務や入金管理を効率化したい場合は、請求書の発行から管理までを一元化できるツールの活用も有効です。請求まわりの業務改善についてはINVOYも参考になります。
よくある質問
ファクタリングに消費税はかかりますか
原則としてかかりません。ファクタリングは売掛金などの金銭債権の譲渡にあたり、消費税法別表第二により非課税取引と定められているためです。受け取る資金そのものにも、ファクタリング会社へ支払う手数料にも、消費税は課されません。
手数料に消費税を請求されました。これは正しいですか
買取手数料への消費税の上乗せは、原則として誤りまたは不当な請求です。国税庁は、金銭債権の譲受けの際の割引料・保証料・手数料は名目を問わず非課税であるとの見解を示しています。「事務手数料」「システム利用料」などの名目で実質的に買取対価へ消費税が乗せられている場合も同様です。請求の根拠を確認し、納得できない場合は契約前に税理士などへ相談してください。
ファクタリングにインボイスは必要ですか
ファクタリング自体は非課税取引のためインボイスは不要です。仕入税額控除はそもそも消費税が発生する課税取引が対象であり、非課税のファクタリング手数料には適用されません。ただし、債権譲渡登記の司法書士報酬など消費税が課される付随費用について控除を受けたい場合は、その分のインボイスを保存しておく必要があります。
消費税がかかる費用はありますか
ファクタリングの本体取引は非課税ですが、債権譲渡登記を依頼した司法書士への報酬や、契約に関わる専門家報酬など、別個の役務提供にあたる費用には消費税がかかる場合があります。登録免許税や印紙税は税金のため消費税の対象外です。買取手数料部分と付随費用部分を区別して確認しましょう。
会計処理で消費税はどう扱いますか
手数料は「売上債権売却損」などの科目で計上し、税区分は「対象外(不課税)」または「非課税」として消費税計算に含めないのが原則です。手数料に消費税を含めて入力すると申告額に誤りが生じるため注意してください。判断に迷う場合は顧問税理士に確認することをおすすめします。
まとめ
ファクタリングは売掛金などの金銭債権の譲渡であり、消費税法別表第二および施行令にもとづく非課税取引です。受け取る資金にも、ファクタリング会社へ支払う手数料・割引料・保証料にも、原則として消費税はかかりません。国税庁も、金銭債権の譲受けの際の手数料等は名目を問わず非課税であると明示しています。一方で、債権譲渡登記の司法書士報酬など別個の役務提供にあたる費用には消費税が課される場合があり、ここは区別して理解しておく必要があります。
インボイス制度との関係でも、非課税であるファクタリング手数料にインボイスは不要です。そして最も注意すべきは、買取手数料に消費税を上乗せ請求してくる業者です。これは誤りまたは不当な請求であり、偽装ファクタリングや無登録の貸金業など、より深刻なリスクの兆候であることもあります。請求内容の内訳を必ず確認し、不審な点があれば契約を急がず、税理士や弁護士に相談してください。正確な税務知識を武器に、手数料の内訳が明確で信頼できる事業者を選ぶことが、安全で健全な資金調達につながります。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断については所轄税務署や顧問税理士へご確認ください。



ファクタリングの債権譲渡登記とは?仕組み・費用・登記なしの違…
ファクタリングで資金調達を検討していると、契約書やファクタリング会社の説明のなかで「債権譲渡登記」と…