
更新日:2026年8月12日。造成工事とは、建物を建てたり土地を安全に利用したりするために、傾斜や高低差、地盤の状態を整える土木工事です。本記事では、造成工事の基本と種類を整理したうえで、国税庁の令和8年分「宅地造成費の金額表」を使い、造成費用を坪単価の目安で確認できるように解説します。
目次
造成工事とは
造成工事は、土地を建築や利用に適した状態へ整えるための工事です。単に見た目をきれいにするだけでなく、建物を支える地盤、雨水の流れ、隣地との高低差などを調整し、安全に使える土地にする役割があります。
造成工事の定義と目的
造成工事とは、住宅や店舗、駐車場などに使う土地について、形状や地盤の状態を整える土木工事の総称です。傾斜地を削る、低い土地に土を入れる、軟弱な地盤を補強する、土が崩れないように擁壁を設けるといった工事が含まれます。
目的は、土地を「建てられる状態」「使える状態」にすることです。地面に凹凸が残っていたり、道路より低く雨水がたまりやすかったり、地盤が弱かったりすると、建築後の沈下や排水不良につながるおそれがあります。造成工事は、土地購入後や建築前の段階で、こうしたリスクを減らすために行います。
整地・更地・造成の違い
整地、更地、造成は似た言葉ですが、意味は異なります。
| 用語 | 意味 |
| 整地 | 土地表面の凹凸、雑草、石、がれきなどを取り除き、地面をならすこと |
| 更地 | 建物や構造物がない土地の状態を指す言葉 |
| 造成 | 切土、盛土、地盤改良、擁壁工事などを含め、土地の形や機能を建築向けに整える工事 |
更地であっても、すぐに建物を建てられるとは限りません。建物が撤去されているだけで、地盤が弱い、道路との高低差が大きい、排水経路が不十分といった問題が残っていれば、造成工事が必要になる場合があります。
造成工事が必要になる土地の例
造成工事が必要になりやすいのは、土地の形状や地盤に手を加えなければ安全に利用できない土地です。
たとえば、傾斜がある土地では、建物を水平に建てるために切土や盛土が必要になることがあります。道路より低い土地では、雨水が流れ込みやすいため、土を入れて高さを調整する工事が検討されます。
田畑や湿地だった土地、表土が柔らかい土地では、地盤改良が必要になることがあります。また、隣地や道路との高低差が大きい土地では、土砂の流出や崩壊を防ぐために擁壁工事・土止めが必要になる場合があります。
土地の見た目が平らでも、地中の状態や排水条件までは外から判断しにくいため、造成の要否は現地調査や地盤調査を踏まえて確認することが重要です。
造成工事の種類
造成工事には複数の種類があり、土地の状態によって必要な工事が変わります。ここでは、費用にも影響しやすい代表的な工事を整理します。
切土(きりど)
切土は、高い部分の土を削り取って土地を低くしたり、斜面を平らにしたりする工事です。山林や傾斜地を宅地として使う場合に行われることがあります。
切土では、削った土をどこへ運ぶか、敷地内で再利用できるかが重要です。場外へ搬出する場合は、土の量や搬出経路によって工事全体の負担が変わります。また、斜面を削ることで周囲との高低差が生じる場合は、土止めや排水計画もあわせて検討します。
盛土(もりど)
盛土は、低い土地に土砂を入れて高さを上げる工事です。道路より低い土地を宅地として使える高さにしたい場合や、敷地内の高低差をならしたい場合に行われます。
盛土で重要なのは、土を入れるだけで終わらせず、十分に締め固めることです。締め固めが不十分だと、時間の経過とともに地盤が沈むおそれがあります。土地の用途、盛る高さ、排水条件によっては、地盤改良や擁壁工事と組み合わせて計画します。
整地・地ならし
整地・地ならしは、土地表面の凹凸をならし、建築や利用の準備をする工事です。雑草や石、がれきなどを取り除く作業を含むこともあります。
整地は造成工事の中でも基本的な作業ですが、土地の状態によって手間は変わります。すでに平坦な土地であれば比較的軽い作業で済む一方、樹木の根が残っている土地や、解体後のがれきが混ざっている土地では、別の作業が必要になることがあります。
地盤改良
地盤改良は、軟弱な地盤を安定させるための工事です。湿田や埋め立て地など、表土が柔らかい土地では、建物の重さを安全に支えられない場合があります。
地盤改良の方法は、軟弱な層の深さや建物の規模によって変わります。表層部分を固める方法、地中に柱状の改良体をつくる方法、杭を使う方法などがあり、どの方法が必要かは地盤調査の結果をもとに判断します。
擁壁工事・土止め
擁壁工事・土止めは、高低差のある土地で土が崩れないように支える工事です。道路より低い土地を盛土する場合や、隣地との間に段差がある場合に必要になることがあります。
擁壁は、土地の安全性に直結する構造物です。見た目だけで判断せず、地盤、排水、土圧への対応を含めて設計する必要があります。古い擁壁がある土地では、そのまま使えるか、補修や作り替えが必要かを事前に確認しておくことが大切です。
造成工事の費用相場
造成工事の費用を考えるときは、まず公的な単価表を目安として確認すると整理しやすくなります。ただし、単価表は実際の工事見積そのものではないため、使い方には注意が必要です。
費用の目安を知る公的な物差し「宅地造成費の金額表」
造成費用の目安を知る公的な物差しとして、国税庁の「宅地造成費の金額表」があります。これは国税庁が財産評価基準書の一部として、毎年7月1日に都道府県ごとに公表しているものです。
国税庁の財産評価基準書は、都道府県を選んで確認できます。東京都の令和8年分については、「東京都 宅地造成費の金額表」のページで確認できます。
出典:国税庁 財産評価基準書
出典:令和8年分 財産評価基準書 東京都 宅地造成費の金額表
注意したいのは、この金額表が相続税・贈与税の財産評価に用いる基準であり、実際の工事の見積額そのものではないことです。また、都道府県ごとに金額が異なります。以下の数値は東京都の例なので、自分の土地については所在地の都道府県の金額表を確認してください。
金額表では、各費目は次のように説明されています。
– 整地費: ①凹凸がある土地の地面を地ならしするための工事費、または②土盛工事を要する土地について、土盛工事をした後の地面を地ならしするための工事費
– 伐採・抜根費: 樹木が生育している土地について、樹木を伐採し、根等を除去するための工事費。整地工事によって樹木を除去できる場合は造成費に含めない
– 地盤改良費: 湿田など軟弱な表土で覆われた土地の宅地造成に当たり、地盤を安定させるための工事費
– 土盛費: 道路よりも低い位置にある土地について、宅地として利用できる高さ(原則として道路面)まで搬入した土砂で埋め立て、地上げする場合の工事費
– 土止費: 道路よりも低い位置にある土地について、宅地として利用できる高さまで地上げする場合に、土盛りした土砂の流出や崩壊を防止するために構築する擁壁工事費
平坦地の造成費(令和8年分・東京都の例)
平坦地では、整地、伐採・抜根、地盤改良など、必要な作業ごとに単価を確認します。令和8年分・東京都の金額は次のとおりです。
| 工事費目 | 造成区分 | 金額 | 坪換算の目安 |
| 整地費 | 整地を必要とする面積1㎡当たり | 800円 | 約2,645円/坪 |
| 伐採・抜根費 | 伐採・抜根を必要とする面積1㎡当たり | 1,100円 | 約3,636円/坪 |
| 地盤改良費 | 地盤改良を必要とする面積1㎡当たり | 2,300円 | 約7,603円/坪 |
| 土盛費 | 他から土砂を搬入して土盛りを必要とする場合の土盛り体積1立方メートル当たり | 8,000円 | (体積当たりのため坪換算しない) |
| 土止費 | 土止めを必要とする場合の擁壁の面積1㎡当たり | 91,800円 | (擁壁面積当たりのため坪換算しない) |
整地費、伐採・抜根費、地盤改良費は土地の面積をもとに考えやすい費目です。一方、土盛費は土の体積、土止費は擁壁の面積を基準にするため、土地面積だけで単純に坪換算しない点に注意してください。
傾斜地の造成費(令和8年分・東京都の例)
傾斜地は、傾斜度によって金額が変わります。令和8年分・東京都の金額は次のとおりです。
| 傾斜度 | 金額 | 坪換算の目安 |
| 3度超 5度以下 | 24,300円/㎡ | 約80,331円/坪 |
| 5度超 10度以下 | 29,000円/㎡ | 約95,868円/坪 |
| 10度超 15度以下 | 45,600円/㎡ | 約150,744円/坪 |
| 15度超 20度以下 | 63,400円/㎡ | 約209,587円/坪 |
| 20度超 25度以下 | 70,200円/㎡ | 約232,066円/坪 |
| 25度超 30度以下 | 76,500円/㎡ | 約252,893円/坪 |
傾斜地の金額は、平坦地の整地費とは大きく異なります。土地に傾斜がある場合は、単に「広さ」だけでなく、傾斜度や高低差、擁壁の要否を確認する必要があります。
100坪の土地で試算するといくらか
100坪(約330.58㎡)の平坦地で、整地と伐採・抜根が必要な場合
– 整地費 800円/㎡ × 330.58㎡ = 約264,463円
– 伐採・抜根費 1,100円/㎡ × 330.58㎡ = 約363,636円
– 合計 約628,099円(坪当たり約6,281円)
※1坪=約3.30578㎡で換算
この試算は、令和8年分・東京都の金額表を使った目安です。地盤改良、土盛り、土止めが必要な場合は、別の費目として確認します。
自分の土地の金額表を調べる方法(国税庁 財産評価基準書で都道府県を選ぶ)
自分の土地の目安を確認する場合は、国税庁 財産評価基準書で所在地の都道府県を選びます。年分を選択し、都道府県のページに進んだうえで、「宅地造成費の金額表」を確認してください。
この記事で示しているのは、令和8年分・東京都の例です。宅地造成費の金額表は都道府県ごとに金額が異なるため、東京都以外の土地については、同じ数値をそのまま使わないでください。土地の所在地に対応する金額表を確認し、そのうえで面積や必要な工事内容に合わせて目安を整理することが大切です。
実際の工事費が金額表と異なる理由(重機の搬入条件・残土処分・近隣対策・時期)
国税庁の金額表は、公的な目安として有用ですが、実際の工事見積とは一致しません。理由は、現場ごとに施工条件が大きく異なるためです。
まず、重機の搬入条件によって作業効率が変わります。前面道路が狭い、敷地に高低差がある、作業スペースが限られるといった条件では、同じ面積でも工程が増えることがあります。
次に、残土処分の有無も見積に影響します。切土で出た土を敷地内で使える場合と、場外へ運搬して処分する場合では、必要な作業が異なります。土の性質や処分先までの距離も確認が必要です。
また、近隣対策も現場ごとに変わります。住宅が密集している場所では、騒音、振動、粉じん、車両の出入りに配慮した養生や誘導が必要になる場合があります。
さらに、工事の時期によっても進め方が変わります。雨が多い時期は土を扱いにくくなり、工程調整が必要になることがあります。造成費用を判断するときは、金額表だけで結論を出さず、現地条件を踏まえた見積で確認しましょう。
造成工事の流れ
現地調査と測量
造成工事は、現地調査と測量から始まります。確認するのは、土地の境界、高低差、前面道路の幅、重機やダンプの出入り、排水先、隣地との段差、既存擁壁や埋設物の有無などです。
この段階で見落としがあると、着工後に追加工事や工程変更が発生しやすくなります。特に傾斜地や道路より低い土地では、土をどこまで動かすのか、場内で再利用できるのか、外へ搬出する必要があるのかを早めに確認しておくことが重要です。
見積・契約
見積では、整地、切土、盛土、地盤改良、擁壁、残土処分、仮設、運搬、申請関連費用などがどの範囲まで含まれているかを確認します。合計金額だけで判断せず、工事項目ごとの数量、単価、含まれる作業、別途費用になる条件を見ます。
契約前には、追加変更工事の扱いも確認しておきましょう。地中障害物が出た場合、残土量が想定と変わった場合、近隣対応で養生や誘導が増えた場合など、どの時点で見積を出し直すのかを決めておくと、後のトラブルを避けやすくなります。
許認可の確認
造成工事では、土地の場所や工事内容によって、盛土規制法や都市計画法などの確認が必要になることがあります。すべての造成工事に許可が必要なわけではありませんが、規制区域内で一定規模以上の切土・盛土を行う場合や、土地の区画形質を変更する場合は、自治体への確認が欠かせません。
許認可が必要かどうかは、土地の所在地、区域指定、工事の内容によって変わります。自己判断で進めず、施工会社、設計者、自治体の窓口に確認し、必要な手続きを工程に織り込んでおくことが大切です。
着工から引渡しまで
着工前には、近隣への説明、搬入経路の確認、仮設計画、境界の再確認を行います。工事中は、切土・盛土、転圧、排水設備、擁壁、整地などを計画に沿って進めます。土を扱う工事では、天候や地盤の状態によって作業順序を調整することもあります。
完了時には、仕上がり高さ、排水の流れ、擁壁や土止めの状態、残土や廃材の処理、周辺への影響を確認します。必要に応じて施工写真や検査書類を受け取り、建築工事や次の利用工程へ引き継ぎます。
工期の目安と長引く要因
造成工事の工期は、土地の広さだけでなく、地盤の状態、高低差、擁壁の有無、残土処分の量、搬入経路、許認可の要否によって大きく変わります。平坦で作業しやすい土地と、傾斜や高低差がある土地では、必要な工程が異なります。
工期が長引く主な要因は、雨天による土工事の中断、地中障害物の発見、残土処分先や搬入経路の変更、近隣対応、設計変更、許認可手続きの遅れです。土地購入や建築スケジュールと連動する場合は、造成工事だけでなく、調査・申請・検査まで含めて余裕を見ておく必要があります。
造成工事に必要な許可と法規制
宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の位置づけ
宅地造成及び特定盛土等規制法は、一般に盛土規制法と呼ばれます。造成や盛土などによって、土砂の崩落や流出が起きないよう、安全性を確保するための法律です。
従来の宅地造成に関する規制を見直し、宅地だけでなく、農地や森林などを含む土地で行われる盛土等も広く対象にする考え方が取られています。造成工事を行う場合は、まず工事予定地が規制区域に入っているか、自治体の公表資料や窓口で確認することが出発点になります。
規制区域内で許可が必要になる主なケース
規制区域内では、一定規模以上の盛土、切土、土石の堆積などを行う場合に許可が必要になることがあります。許可が必要かどうかは、工事の高さ、面積、土地の状態、区域の種類、自治体の運用によって判断されます。
注意したいのは、「住宅一棟分だから必ず不要」「高さが小さいから必ず不要」とは言い切れない点です。造成の内容によっては、安全性の審査、周辺への説明、施工中の管理、完了時の確認が求められる場合があります。見積段階で、許可の要否と申請費用が含まれているかを確認しましょう。
都市計画法の開発許可との関係
都市計画法では、土地の区画形質を変更して建築や開発を行う場合に、開発許可が関係することがあります。開発許可の要否は、区域区分、土地の規模、用途、自治体の基準によって異なります。
盛土規制法の許可と都市計画法の開発許可は、目的も確認する内容も異なります。そのため、一方を確認したからもう一方も不要とは限りません。分譲地の造成、複数区画の造成、大きな土地の形質変更では、早い段階で自治体や専門家に確認することが重要です。
許可申請は誰が行うのか
許可申請の責任は、基本的には工事を行う側、または土地の利用計画を進める側にあります。ただし、実務上は設計者、施工会社、専門家が書類作成や提出を支援することが多くあります。
発注者は「誰が申請するのか」「申請費用は見積に含まれるのか」「許可が下りるまで着工できない工程があるのか」を契約前に確認しましょう。受注側の建設業者も、申請の範囲を曖昧にしたまま受注すると、後から無償対応になりやすいため注意が必要です。
費用を抑えるための考え方
複数社から見積を取り、内訳を同じ粒度で比べる
造成工事の見積は、会社によって項目の分け方が異なります。ある会社では残土処分や仮設費が細かく分かれていても、別の会社では一式でまとめられていることがあります。
比較するときは、同じ図面、同じ工事範囲、同じ前提条件で見積を依頼することが大切です。整地、切土、盛土、擁壁、地盤改良、残土処分、仮設、運搬、申請関連費用がどこまで入っているかをそろえると、安く見える見積に何が含まれていないのかを判断しやすくなります。
残土処分と搬入経路がコストを左右する
造成工事では、土を動かす量と運ぶ距離が費用に大きく影響します。切土で出た土を敷地内の盛土に使える場合と、場外へ搬出して処分する場合では、必要な車両、作業時間、処分手続きが変わります。
また、前面道路が狭い、車両の待機場所がない、近隣の通行に配慮が必要といった条件では、同じ工事内容でも作業効率が下がります。費用を抑えるには、現地調査の段階で搬入経路、残土の扱い、仮置き場所、作業時間帯を具体的に確認しておくことが重要です。
補助金・助成制度は自治体ごとに異なる
がけ地対策、危険な擁壁の改修、防災目的の工事などでは、自治体によって補助金や助成制度が設けられている場合があります。ただし、制度の有無、対象工事、申請時期、必要書類は自治体ごとに異なります。
制度を使える可能性がある場合は、工事を契約する前に所在地の自治体へ確認しましょう。着工後は対象外になることもあるため、見積段階で施工会社に「補助制度の確認が必要か」を相談しておくと安心です。
【受注側向け】造成工事の見積内訳と原価管理
造成工事の見積内訳の作り方(直接工事費・仮設費・諸経費の区分)
造成工事を受注する側は、見積を「一式」でまとめすぎないことが重要です。直接工事費には、整地、切土、盛土、転圧、地盤改良、擁壁、排水、残土処分など、現場で直接発生する作業を入れます。仮設費には、養生、仮囲い、敷鉄板、交通誘導、仮設排水などを分けて整理します。
諸経費には、現場管理、書類作成、申請対応、運搬調整、保険、共通的な管理費を含めます。労務費を見積に入れる場合は、法定福利費の扱いも確認が必要です。見積内訳の整理では、建設業の見積書における法定福利費も参考になります。
また、見積から請求へつなげるときは、工事項目名をそろえておくと後工程が楽になります。適格請求書の記載と建設業での整理方法は、建設業向け 適格請求書の書き方で確認できます。
数量拾いで差が出る項目(土量計算・残土処分・仮設)
造成工事の粗利は、数量拾いの精度で大きく変わります。特に差が出やすいのは、掘削量、盛土量、残土処分量、搬入土量、擁壁面積、仮設範囲です。図面上の数量だけでなく、現場の高低差、仕上がり高さ、重機の動線、仮置き場所を見て積算する必要があります。
残土処分は、土質や搬出先、車両の回転効率によって実行予算が変わりやすい項目です。仮設も、狭小地や住宅密集地では想定以上に増えることがあります。見積段階では、数量の根拠をメモとして残し、変更があったときに差額を説明できる状態にしておきましょう。
追加変更工事を請求漏れしないための記録
造成工事では、着工後に地中障害物、想定外の湧水、残土量の増加、搬入経路の変更、近隣要請による養生追加などが発生することがあります。これらを口頭のまま進めると、完了後に請求しづらくなります。
追加変更が出たら、発生日、原因、指示者、作業内容、使用した機械・人員、写真、変更見積、承認の記録を残します。日報や施工写真は、現場管理だけでなく、請求根拠にもなります。小さな変更でも、積み重なると粗利を圧迫するため、工事ごとに記録を分けて管理することが大切です。
請求書・入金管理を工事ごとに分けて粗利を見る
造成工事を継続して受注する建設業者は、工事ごとに見積、発注、外注費、材料費、処分費、請求、入金をひも付けて管理する必要があります。売上だけを見ていると、残土処分や追加仮設で原価が増えた工事の赤字に気づきにくくなります。
粗利は、請負金額から工事原価を差し引いて把握します。請求書の発行日、入金予定日、実際の入金日も工事別に管理すると、資金繰りの見通しが立てやすくなります。一人親方や人工代を含む請求の整理は、一人親方や人工代の請求書の書き方も参考になります。
よくある質問(FAQ)
造成工事と整地の違いは何ですか
整地は、土地表面の凹凸や草木、石、がれきなどを取り除き、地面をならす作業です。造成工事は、切土、盛土、地盤改良、擁壁、排水などを含め、土地を建築や利用に適した状態へ整える工事全体を指します。
造成費用の目安はどこで確認できますか
公的な目安として、国税庁の「宅地造成費の金額表」を確認できます。これは財産評価基準書の一部として毎年7月1日に都道府県ごとに公表されるもので、相続税・贈与税の財産評価に用いる基準です。実際の工事見積そのものではない点に注意してください。
出典:国税庁 財産評価基準書
傾斜地の造成は平坦地よりどのくらい高くなりますか
前半で示した令和8年分・東京都の例では、平坦地の整地費が1㎡当たり800円であるのに対し、傾斜地は傾斜度3度超5度以下でも1㎡当たり24,300円です。平坦地の整地と傾斜地の造成では、必要な工事内容が異なるため、金額の桁が変わると考えておきましょう。
造成工事に許可は必要ですか
すべての造成工事に許可が必要なわけではありません。ただし、規制区域内で一定規模以上の切土・盛土を行う場合や、都市計画法上の開発許可に該当する場合は、許可が必要になることがあります。土地の所在地と工事内容をもとに、自治体や専門家へ確認してください。
工期はどのくらいかかりますか
工期は、土地の規模、傾斜や高低差、地盤の状態、擁壁の有無、残土処分、搬入経路、許認可の要否によって大きく変わります。具体的な日数や月数は一律に判断できないため、現地調査後の工程表で確認しましょう。
見積書のどこを比べればよいですか
合計金額だけでなく、工事範囲、数量、単価、残土処分、仮設費、運搬費、申請関連費用、追加変更工事の条件を比べます。特に「一式」と書かれた項目が多い場合は、何が含まれ、何が別途になるのかを確認することが大切です。
造成工事の費用は経費にできますか
土地の取得に付随する造成費は、土地の取得価額に算入されるのが原則です。ただし、工事の目的や内容、所有後の改修かどうかによって扱いが分かれる場合があります。具体的な処理は、税理士または所轄税務署に確認してください。
まとめ
造成工事は、土地を安全に使うために必要な土木工事です。
費用は土地の状態、残土処分、搬入経路、擁壁の有無で大きく変わります。
許認可は所在地と工事内容によって異なるため、自治体への確認が欠かせません。
発注者は見積内訳を同じ条件で比べ、別途費用の範囲を確認しましょう。
受注側は、見積、原価、追加変更、請求、入金を工事ごとに管理することが重要です。
造成工事を受注する建設業者にとって、請求漏れや入金確認の遅れは粗利を直接圧迫します。INVOYを活用すれば、工事ごとの請求書作成や入金管理を整理しやすくなり、現場ごとの収支確認にもつなげられます。



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