
カードローンに申し込む前に、いくら借りたらいくら返すことになるのかを数字で確かめておきたい。そう考えている方に向けて、この記事では返済シミュレーションのやり方と返済計画の立て方だけを扱います。
シミュレーションを一度でも自分の手で通すと、借入額と毎月の返済額の組み合わせが、完済までの月数と利息総額をどれくらい左右するのかが見えてきます。毎月1万円ずつ返すつもりだった人が、2万円に上げるだけで利息が半分以下になる、といった差が具体的な金額で出てきます。
必要なのは電卓と、借入額・金利・返済方式・毎月の返済額という4つの数字だけです。専門知識はいりません。金融機関のサイトにあるシミュレーターも便利ですが、中身の計算式を知っていると、出てきた数字をそのまま信じるべきか、余裕を持って見ておくべきかの判断がつきます。この記事では、計算式と実際の試算結果を並べながら、返済計画の作り方を追っていきます。
なお、この記事は借入を勧めるものではありません。試算の結果、返済原資を確保できないと判断したなら、借りないという結論も当然の選択肢です。
目次
シミュレーションでわかる4つの数字
返済シミュレーションが出してくれるのは、次の4つです。どれも借りる前に知っておきたい数字ですが、多くの人は最初の1つしか見ていません。
毎月の返済額
借入額と金利、返済回数を決めると、毎月いくら払うことになるのかが出ます。逆に毎月の返済額を先に決めて、そこから返済回数を逆算する使い方もできます。カードローンは後者の使い方をする場面が多くなります。毎月の返済額に最低額が設定されていて、その範囲で自分で決める商品が一般的だからです。
家計から無理なく出せる金額を先に決め、その金額で完済までどれくらいかかるかを見る。この順番のほうが、返済計画としては現実的です。
完済までの回数と期間
毎月の返済額を決めると、何回払いで終わるかが決まります。ここが実感しにくいところで、毎月の返済額を少し下げただけで回数が大きく伸びることがあります。後の章で実際の数字を出しますが、借入50万円で毎月の返済額を1万円にすると79回、つまり6年半以上かかる計算になります。
総返済額
元金と利息を足した、最終的に払う合計額です。毎月の返済額しか見ていないと、この数字は視界に入りません。50万円借りて78万円返す、という結果になっていても、月1万円という表示だけを見ていると気づきにくいのです。
利息総額
総返済額から元金を引いた、純粋な負担分です。借入額が同じでも、返済ペースによってここが何倍にも変わります。シミュレーションで一番見るべきなのはこの数字だと考えています。
試算に必要な4つの入力値をそろえる
計算を始める前に、次の4つを手元に用意します。どれか1つでも曖昧だと、出てくる数字も曖昧になります。
借入額(元金)
実際に借りる金額です。限度額いっぱいの数字ではなく、必要な金額を入れます。限度額100万円のカードで30万円だけ使うなら、元金は30万円です。
すでに借入がある状態で追加で借りる場合は、合計残高で計算します。金利の区分が変わることもあるためです。
適用される金利
商品ページに書かれている金利は「年3.0%〜18.0%」のような幅で示されているのが普通です。この下限はごく限られた条件でしか適用されません。試算の段階では、上限に近い金利を入れておくのが安全です。
金利には法律上の上限があります。利息制限法第1条は、元本の額に応じて上限を定めています。2026年8月時点で、元本10万円未満なら年20%、10万円以上100万円未満なら年18%、100万円以上なら年15%です。これを超える部分の利息契約は無効になります。多くのカードローンで上限金利が18.0%前後に設定されているのは、この区分が理由です。
返済方式
同じ借入額・同じ金利でも、方式が違えば残高の減り方が変わります。契約書や商品概要に「元利定額リボルビング方式」などと書かれているので、そこを確認します。次の章で3つの方式を扱います。
毎月の返済額または返済回数
どちらか一方を決めれば、もう一方は計算で出ます。カードローンでは毎月の返済額を先に決めるほうが実務に合います。ただし商品ごとに最低返済額が決まっているので、それを下回る金額では試算しても意味がありません。
返済方式によって減り方はどう変わるのか
カードローンでよく使われる返済方式は3つあります。名前は似ていますが、元金がどのタイミングでどれだけ減るかが違います。
元利定額リボルビング方式
毎月の返済額が一定で、その中から利息を先に差し引き、残りを元金に充てる方式です。返済額が変わらないので家計の予定は立てやすい一方、残高が多い初期は利息の取り分が大きく、元金がなかなか減りません。
たとえば毎月1万円の返済で、初回の利息が3,698円だったとすると、元金に充てられるのは6,302円です。返済の4割近くが利息で消える計算になります。残高が減るにつれて利息の取り分も小さくなるため、後半ほど元金の減りが速くなります。
残高スライド方式
借入残高の区分に応じて、毎月の最低返済額が段階的に変わる方式です。残高10万円以下なら月4,000円、10万円超20万円以下なら月8,000円といった具合に決まっています。区分の刻み方も金額も金融機関ごとに違うので、必ず自分の契約内容を確認してください。
追加で借りて残高が増えると返済額も上がり、返していけば下がります。返済額が自動で調整されるぶん、最低額だけ払い続けると完済まで長くかかりやすい方式でもあります。
元金定額方式
毎月決まった額の元金を返し、それに利息を上乗せして支払う方式です。元金1万円ずつ返す契約なら、初回は1万円に利息を足した金額を払います。
初回の支払いは3つの方式の中で重くなりますが、元金が確実に減るぶん利息総額は抑えられます。返済額は月ごとに少しずつ軽くなっていきます。
3つの方式を同じ条件で比べる
借入30万円、年15.0%で、元利定額(毎月1万円)と元金定額(元金1万円+利息)を比べると、次のようになります。1か月を30日とし、円未満は切り捨てた概算です。
元利定額リボルビング方式:38回・総返済376,880円・利息76,880円
元金定額方式:30回・総返済357,315円・利息57,315円(初回の支払額13,698円)
元金定額のほうが8回早く終わり、利息は19,565円少なくなります。ただし初回の負担は13,698円と重く、家計に余裕がなければ選べません。初回にいくらまで払えるかが、方式を選ぶときの判断材料になります。
電卓でできる利息の概算方法
シミュレーターを使わずに、自分で1か月分の利息を出す方法を押さえておきます。仕組みがわかると、返済額の内訳が読めるようになります。
1か月分の利息を出す計算式
日割りで計算するのが基本です。
利息 = 借入残高 × 年利 ÷ 365 × 経過日数
借入残高30万円、年利15.0%、経過日数30日なら、300,000 × 0.15 ÷ 365 × 30 = 3,698円(円未満切り捨て)となります。
借入残高が50万円なら、500,000 × 0.15 ÷ 365 × 30 = 6,164円です。残高に比例して増えるので、残高を早く落とすほど利息は軽くなります。
返済額を利息と元金に分解する
毎月払う金額のうち、まず利息が引かれ、残りが元金に充てられます。
元金充当額 = 毎月の返済額 − その月の利息
先ほどの例で毎月1万円を返すなら、10,000 − 3,698 = 6,302円が元金に回ります。翌月の残高は300,000 − 6,302 = 293,698円です。
2か月目以降の残高を追いかける
同じ手順を繰り返します。2か月目の利息は293,698 × 0.15 ÷ 365 × 30 = 3,620円、元金充当額は6,380円で、残高は287,318円になります。3か月目は利息3,542円、元金6,458円で、残高は280,860円です。
3か月分だけでも、利息が3,698円から3,542円へ、元金充当額が6,302円から6,458円へと動いているのがわかります。この積み重ねが完済回数を決めます。表計算ソフトに同じ式を並べれば、完済までの全期間を自分で追えます。
条件を変えると総返済額はどれだけ動くか
入力値を1つずつ動かして、結果がどう変わるかを見ていきます。いずれも1か月30日、円未満切り捨て、金利は期間中一定、追加借入なしという前提の概算です。
毎月の返済額を上げた場合
借入30万円、年15.0%の場合。
毎月10,000円:38回・総返済376,880円・利息76,880円
毎月15,000円:24回・総返済346,582円・利息46,582円
毎月20,000円:17回・総返済333,773円・利息33,773円
毎月5,000円上げるだけで、完済が14回早まり利息は30,298円減ります。2万円まで上げると、1万円のときと比べて利息は43,107円少なくなります。
借入50万円、年15.0%だと差はさらに広がります。
毎月10,000円:79回・総返済781,979円・利息281,979円
毎月15,000円:44回・総返済647,882円・利息147,882円
毎月20,000円:31回・総返済601,436円・利息101,436円
毎月1万円のケースは、6年半かけて元金の半分以上にあたる281,979円を利息として払う計算です。2万円に上げると利息は101,436円まで下がります。差は180,543円になります。毎月の返済額を1万円変えるだけで、これだけの開きが生まれます。
金利が違う場合
借入30万円、毎月10,000円の返済で、金利だけを変えた比較です。
年18.0%:40回・総返済399,463円・利息99,463円
年15.0%:38回・総返済376,880円・利息76,880円
年12.0%:36回・総返済357,431円・利息57,431円
金利が3ポイント違うと、利息は2万円以上変わります。申し込み前の試算では、適用されるのが上限金利だった場合を想定しておくと、実際の契約後に慌てずに済みます。
借入額を増やした場合
毎月10,000円の返済で年15.0%なら、30万円の借入は38回で終わりますが、50万円だと79回かかります。借入額が1.67倍になると、返済回数は2倍以上に伸びます。
理由は、毎月の返済額が固定されているためです。残高が大きいほど利息の取り分が増え、元金に回る金額が減ります。借入額を増やすときは、毎月の返済額も同時に見直さないと、完済時期が想定を大きく超えます。

金融機関のシミュレーターを使うときの注意点
各社のサイトには返済シミュレーターが用意されています。手軽ですが、そのまま鵜呑みにしないほうがよい点がいくつかあります。
表示されるのはあくまで概算
多くのシミュレーターは、1か月を30日として計算したり、日割り計算を月割りに簡略化したりしています。実際の請求は暦日数で計算されるため、31日ある月は利息が少し多くなります。数百円から数千円の幅でずれることがあると考えておいてください。この記事の試算も同じ理由で概算です。
実際の適用金利は審査後に決まる
シミュレーターに金利を自分で入力するタイプの場合、下限金利を入れれば当然きれいな結果が出ます。ただし適用金利は審査の結果で決まるものであり、事前に確定させることはできません。年3.0%〜18.0%という表示の商品で、初回契約から下限が適用されるケースは限られます。
試算は上限金利で行い、それでも返済できる計画になっているかを確認する。この順序を守るだけで、想定外の負担を避けやすくなります。
手数料や遅延損害金は含まれないことがある
ATM利用手数料や振込手数料は、シミュレーターの結果に含まれていない場合があります。毎月ATMで返済して1回あたり110円や220円の手数料がかかるなら、40回の返済で数千円の追加負担になります。
返済が遅れた場合の遅延損害金も、当然ながら試算には入っていません。利息制限法第7条により、営業的金銭消費貸借の遅延損害金は年20%が上限と定められています。通常の利息より高い利率が適用されるため、遅延はそれ自体が費用を増やします。
試算結果の読み方と返済原資の確認
数字が出たら、それを自分の状況に当てはめて判断します。
返済比率で家計の負担を測る
年間の返済額が年収に占める割合を返済比率と呼びます。
返済比率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100
毎月2万円を返す場合、年間返済額は24万円です。年収400万円なら、24万円 ÷ 400万円 × 100 = 6.0%となります。他に住宅ローンや自動車ローンがあれば、それらも合算して計算します。
何%までなら安全という一律の基準はありません。金融機関によって審査上の考え方は異なりますし、家族構成や固定費によって同じ比率でも重さは変わります。自分で計算してみて、その金額を毎月確実に用意できるかどうかを判断材料にしてください。
総量規制との関係
貸金業法には総量規制があり、貸金業者からの借入残高の合計は原則として年収の3分の1までとされています。年収400万円なら、およそ133万円が目安になります。銀行のカードローンは貸金業法の対象外ですが、各行が自主的な融資上限を設けています。
個人事業主が事業資金として借りる場合は、事業計画や返済計画などの書類を提出することで例外として扱われる仕組みもあります。制度の詳細は借入先に確認してください。
返済原資が確保できるかを月単位で確認する
年間の返済比率が低くても、月ごとの収支が赤字になる月があれば返済は続きません。ボーナス月に偏った家計や、繁忙期と閑散期の差が大きい仕事では、平均値で見ると実態を見誤ります。
直近12か月の収支を月別に並べ、最も収入が少ない月でも返済額を出せるかを確認します。ここで足りない月があるなら、毎月の返済額を下げるか、借入額そのものを見直すことになります。
事業者は資金繰り表と重ねて確認する
個人事業主やフリーランスの場合、家計と事業のお金が近い距離にあります。返済シミュレーションの結果は、事業の資金繰り表と並べて見ないと判断を誤ります。
入金サイクルと返済日のズレ
売上が立った月と入金される月がずれるのは、事業では当たり前のことです。月末締め翌月末払いの取引先が多ければ、実際の入金は2か月近く先になります。返済日はその入金を待ってくれません。
資金繰り表の作り方を押さえたうえで、返済額を毎月の支出予定に組み込みます。そのうえで、資金残高が最も薄くなる月がいつかを確認します。返済シミュレーションで出した毎月の返済額を、その月に払えるかどうかが実質的な判断基準です。
借入以外の選択肢も並べて比べる
資金繰りの穴を埋める方法は借入だけではありません。支払いの時期をずらす方法もあります。たとえば請求書のカード払いサービスを使えば、支払期日を後ろに動かせる場合があります。売掛金の回収を早める交渉も選択肢です。
借入を検討する場合でも、金融機関の種類によって手続きや期間は変わります。銀行からお金を借りる審査の流れや、個人で使える即日の資金調達方法も見比べたうえで、総返済額の小さい手段から検討するのが順当です。
よくある質問
シミュレーションの結果どおりの金額になりますか
なりません。試算はあくまで概算です。実際の請求額は、暦の日数、返済日のタイミング、繰上返済の有無、適用金利によって変わります。この記事の数字も、1か月30日という前提で計算した概算です。契約後は毎月の明細で実際の内訳を確認してください。
毎月の返済額は最低額に設定してよいですか
最低額での返済は、毎月の負担が軽い代わりに完済までの期間が長引きます。借入50万円で毎月1万円を返す例では79回、6年半以上かかり、利息は281,979円になりました。家計に余力があるなら、最低額より多く返す設定にしたほうが利息総額は小さくなります。
繰上返済をすると利息はどれくらい減りますか
利息は残高に対して日割りでかかるため、元金を早く減らすほど利息は少なくなります。減る金額は、繰り上げた時期と金額によって変わります。多くの商品では返済シミュレーターに繰上返済を織り込む機能があるので、実行前に試算してみてください。手数料の有無も併せて確認が必要です。
複数のカードローンを使っている場合はどう試算しますか
契約ごとに金利も返済方式も違うので、まとめて計算はできません。それぞれ個別にシミュレーションし、毎月の返済額と利息総額を合算します。合算した年間返済額を年収で割れば、全体の返済比率が出ます。件数が増えるほど管理が難しくなるため、一覧表にして残高と金利を並べておくと状況を把握しやすくなります。
返済回数から毎月の返済額を逆算できますか
できます。返済回数を先に決めて毎月の返済額を求める計算式もありますが、手計算では手間がかかります。実務では、毎月の返済額を何通りか入れてみて、希望する回数に近づく金額を探すほうが早く済みます。この記事で示した1万円・1万5,000円・2万円の比較も、その探し方の一例です。
返済が苦しくなったときの相談先
試算の段階で無理があるとわかったら、借りない判断をしてください。すでに返済中で負担が重いと感じている場合は、早い段階で相談窓口を使うことをおすすめします。
日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターでは、貸金業者からの借入に関する相談や、返済に関する助言を受けられます。返済条件の見直しについて相談したい場合の窓口です。
法的な整理を含めて検討したい場合は、法テラス(日本司法支援センター)があります。収入などの条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できます。
返済が遅れると遅延損害金が発生し、負担はさらに重くなります。滞納してから動くより、返せそうにないと感じた時点で相談したほうが選択肢は多く残ります。
まとめ
カードローンの返済シミュレーションは、借入額・金利・返済方式・毎月の返済額の4つを決めれば、電卓でも進められます。利息は「残高 × 年利 ÷ 365 × 日数」で概算でき、返済額からその利息を引いた残りが元金に充てられます。この2つの式を繰り返すだけで、完済までの回数と利息総額が見えてきます。
条件を変えた比較では、借入30万円・年15.0%で毎月の返済額を1万円から2万円に上げると、完済が38回から17回に縮み、利息は76,880円から33,773円に下がりました。同じ金額を借りても、返し方で負担は大きく変わります。
金融機関のシミュレーターは便利ですが、出てくるのは概算です。適用金利は審査後に決まり、手数料や遅延損害金は含まれていないことがあります。上限金利で試算し、収入が最も少ない月でも返済できるかを確認したうえで判断してください。事業者であれば、資金繰り表と重ねて入金と返済のタイミングを見ることが欠かせません。
試算した結果、返済原資を用意できないと判断したなら、借りないという結論も正しい答えです。返済中で行き詰まりを感じたら、日本貸金業協会や法テラスの窓口に早めに相談してください。



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