
最終更新日:2026年7月30日
還付申告は、源泉徴収や予定納税で納めた所得税が、本来の税額より多い場合に還付を受けるための手続きです。会社員でも、医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、年末調整では反映できない控除があると還付を受けられる場合があります。
結論として、確定申告の義務がない方の還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間行えます。例えば、2025年分は2026年1月1日から2030年12月31日まで申告できます。期限を過ぎても罰則は原則ありませんが、還付は受けられなくなります。根拠は国税庁 No.2030 還付申告と国税庁 所得税及び復興特別所得税の申告等です。
目次
還付申告とは?確定申告・年末調整との違い
還付申告と確定申告の違い
還付申告は、納めすぎた所得税の還付を受けるために行う確定申告の一種です。確定申告という大きな手続きのうち、結果として税金が戻る申告を還付申告と考えるとわかりやすいです。
一方、通常の確定申告は、所得や税額を計算し、納税額または還付額を確定させる手続きです。事業所得がある個人事業主や、給与収入が一定額を超える会社員など、確定申告の義務がある方は、原則として法定申告期限までに申告する必要があります。
| 手続き | 主な目的 | 主な対象者 | 期限 | 提出先 |
| 還付申告 | 納めすぎた所得税の還付を受ける | 確定申告義務はないが控除などで還付がある方 | 対象年の翌年1月1日から5年間 | 所轄税務署 |
| 確定申告 | 所得税額を確定し納税または還付を受ける | 個人事業主、副業所得がある方など | 原則として翌年3月15日まで | 所轄税務署 |
| 年末調整 | 給与から源泉徴収された所得税を会社が精算する | 会社員、パート、アルバイトなど | 勤務先の年末調整時期 | 勤務先 |
還付申告と年末調整の違い
年末調整は、勤務先が給与所得者の所得税を精算する手続きです。給与や賞与から差し引かれた所得税は概算であり、年末に扶養控除や保険料控除などを反映して過不足を調整します。
ただし、医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除の初年度などは、年末調整だけでは申請できません。勤務先で年末調整を受けた方でも、追加で控除を受けたい場合は、自分で還付申告を行います。
還付金の基本的な仕組みは、還付申告とは?対象者や条件、やり方、提出期限などをわかりやすく解説-INVOYも参考になります。
期限はいつまで?
原則は翌年1月1日から5年間
還付申告は、所得が発生した年の翌年1月1日から5年間提出できます。2025年に生じた所得であれば、2026年1月1日から2030年12月31日までです。
2026年時点で見ると、2021年分は2026年12月31日まで申告できます。2020年分は2025年12月31日で期限を過ぎています。年分ごとに5年の期限を数えるため、複数年分を申告する場合は、古い年分から確認することが大切です。
還付申告を行う例として、予定納税によって税金を払いすぎたケースがあります。予定納税は、その年の5月15日時点で確定している予定納税基準額が15万円以上になる方が対象です。予定納税額は前年の所得金額や税額などをもとに計算するため、当年の所得が下がると、税金を多く支払っている場合があります。
期限を過ぎた場合の扱い
還付申告の期限を過ぎても、還付を受けられないだけで、無申告加算税や延滞税などの附帯税が直ちにかかるわけではありません。還付申告は、納税ではなく返してもらうための手続きだからです。
ただし、確定申告義務があるにもかかわらず申告しなかった場合は別です。納税が必要な申告を期限後に行うと、延滞税や加算税が生じる場合があります。還付か納税かだけで判断せず、自分に確定申告義務があるかを確認しましょう。
青色申告特別控除を受ける場合の注意点
青色申告特別控除のうち65万円または55万円の控除を受ける場合など、法定申告期限までの提出が要件になっている特例があります。この場合は、申告結果が還付であっても、原則として翌年3月15日までに確定申告書を提出する必要があります。
2025年分の所得税の確定申告期限は、2026年3月15日が日曜日のため、2026年3月16日月曜日でした。青色申告の特例を使う個人事業主やフリーランスは、5年ルールだけで判断しないようにしましょう。
対象になる主なケース
医療費控除・セルフメディケーション税制
医療費控除は、1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得から控除額を差し引ける制度です。勤務先の年末調整では申請できないため、還付を受けたい場合は自分で申告します。
セルフメディケーション税制は、一定の医薬品を購入した場合に利用できる医療費控除の特例です。通常の医療費控除との併用はできないため、どちらが有利かを確認して選びます。
住宅ローン控除の初年度
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築、取得、増改築した場合などに利用できる制度です。初年度は確定申告で申請します。2年目以降は、給与所得者であれば勤務先の年末調整で控除を受けられる場合があります。
必要書類は住宅の種類や取得方法で異なります。住宅ローンの年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書などを求められることがあるため、国税庁や金融機関の案内で確認しましょう。
寄附金控除・ふるさと納税
国や自治体、一定の団体へ寄附をした場合、寄附金控除や寄附金特別控除の対象になることがあります。ふるさと納税も寄附金控除の一種です。
ワンストップ特例を使った方は、原則として確定申告をしなくても控除を受けられます。ただし、医療費控除などで確定申告を行う場合は、ワンストップ特例の申請が無効になるため、ふるさと納税分もあわせて申告する必要があります。
年の途中で退職し年末調整を受けていない場合
年の途中で退職し、その年のうちに再就職しなかった方は、年末調整を受けていない場合があります。給与から差し引かれた源泉徴収税額は概算のため、還付申告をすると所得税が戻ることがあります。
退職後に再就職した方は、新しい勤務先で前職分を含めて年末調整を受けているか確認しましょう。前職の源泉徴収票を提出していない場合は、精算が終わっていない可能性があります。
雑損控除・特定支出控除など
災害、盗難、横領で資産に損害を受けた場合は、雑損控除の対象になることがあります。災害による住宅や家財の損害については、雑損控除または災害減免法による軽減免除を選べる場合があります。
会社員でも、通勤費、転居費、研修費、資格取得費など一定の支出がある場合、特定支出控除を受けられることがあります。適用要件は細かいため、勤務先の証明や支出内容の確認が必要です。
| 主なケース | 還付につながる理由 | 主な確認書類 |
| 医療費控除 | 医療費が所得控除になる | 医療費控除の明細書、医療費通知 |
| セルフメディケーション税制 | 対象医薬品の購入額が控除対象になる | 明細書、購入明細 |
| 住宅ローン控除初年度 | 税額控除を申告で適用する | 年末残高証明書、契約書類など |
| 寄附金控除 | 寄附額の一部が控除対象になる | 寄附金受領証明書 |
| 年途中退職 | 年末調整未実施で源泉徴収税額が多い場合がある | 源泉徴収票 |
| 予定納税 | 当年の税額より予定納税額が多い場合がある | 予定納税額通知書 |
| 雑損控除 | 災害や盗難の損失を控除できる場合がある | 損害額がわかる書類 |
| 特定支出控除 | 会社員の一定支出を控除できる場合がある | 支出証明、勤務先の証明 |
なお、源泉分離課税とされる預貯金の利子、金融類似商品の収益、一定の割引債の償還差益などは、還付申告をしても所得税の還付を受けられません。
2025年分以降の注意点
基礎控除と給与所得控除の見直し
2025年分以後の所得税では、基礎控除や給与所得控除の見直しが行われました。国税庁の案内では、合計所得金額132万円以下の方の基礎控除額は、改正前の48万円から95万円に引き上げられています。給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に引き上げられています。
この見直しにより、給与所得者や年金所得者は、源泉徴収や年末調整で改正後の控除が反映されていない場合、確定申告により所得税が還付されることがあります。詳しくは国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等についてで確認できます。
特定親族特別控除と123万円の目安
2025年分以後は、特定親族特別控除も創設されました。対象は、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下などの要件を満たす方です。控除額は所得金額に応じて変わり、最高63万円です。
また、扶養親族や同一生計配偶者などの所得要件は、合計所得金額48万円以下から58万円以下へ引き上げられました。給与収入だけの方は、給与所得控除の最低保障額65万円とあわせて、給与収入123万円以下が1つの目安になります。
2025年中に退職して年末調整を受けていない方、休職などで年末調整に改正後の控除が十分反映されていない方、年金の源泉徴収税額がある方は、還付の有無を確認しましょう。
手続きの流れと入金までの期間
申告書作成から提出まで
還付申告は、確定申告書を作成し、所轄税務署へ提出して行います。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力するだけで税額を自動計算できます。e-Taxで送信するほか、印刷して郵送または税務署へ持参する方法もあります。
手続きの流れは次のとおりです。
1. 源泉徴収票や控除証明書などを集めます。
2. 収入金額と所得金額を確認します。
3. 所得控除や税額控除を入力します。
4. 還付される税金の受取口座を記載します。
5. e-Tax、郵送、窓口のいずれかで提出します。
還付金の考え方はシンプルです。すでに納めた所得税が、本来の年間の所得税額を超えている場合、その差額が還付見込み額になります。
すでに納めた所得税額 − 年間の所得税額 \= 還付見込み額
給与所得者は源泉徴収票で源泉徴収税額を確認できます。個人事業主やフリーランスは、取引先から受け取る支払調書や、請求書に記載した源泉徴収税額を確認しましょう。
還付までの期間の目安
還付金が振り込まれるまでの期間は、申告方法や内容によって変わります。e-Taxの還付金処理状況確認では、処理状況が確認できる目安として、e-Taxで還付申告を行ってから2週間程度、書面で還付申告を行ってから1か月程度と案内されています。
一般的には、e-Taxの方が書面より早く進みやすいです。申告内容に確認が必要な場合、添付書類に不足がある場合、振込口座の名義に誤りがある場合は、通常より時間がかかります。目安はe-Tax 還付金処理状況確認についてで確認できます。
必要書類の整理
共通して使う書類
還付申告では、確定申告書を提出します。現在の申告書は、以前の申告書Aと申告書Bに分かれておらず、1つの様式に統一されています。
確定申告書には第一表と第二表があり、申告では基本的にこの2つを使います。土地や建物、株式等の譲渡所得など分離課税で計算する所得がある場合は第三表を使います。損失を翌年以後に繰り越す場合などは第四表を使います。
マイナンバーの記載も必要です。書面で提出する場合は、本人確認書類の提示または写しの添付が必要になる場合があります。e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の添付を省略できることがあります。
控除ごとに追加で準備する書類
確定申告書のほかに、申告する内容ごとの書類が必要です。医療費控除では医療費控除の明細書を添付します。医療費の領収書は提出不要ですが、一定期間の保管が必要です。
住宅ローン控除、寄附金控除、雑損控除、特定支出控除などは、制度ごとに必要書類が異なります。証明書の再発行に時間がかかることもあるため、期限直前ではなく早めに確認しましょう。
提出済みの申告を直す方法 更正の請求
更正の請求の期限と起点
すでに還付申告をしたものの、還付金を本来より少なく申告してしまった場合は、更正の請求を行うことで、追加の還付を受けられる場合があります。
更正の請求では、所得税及び復興特別所得税の更正の請求書を作成し、所轄税務署長に提出します。国税庁 No.2030では、還付申告をした人の更正の請求は、原則として還付申告書を提出した日から5年以内とされています。一方、通常の確定申告で税額を多く申告していた場合は、原則として法定申告期限から5年以内です。詳しくは国税庁 申告が間違っていた場合を確認してください。
還付申告と更正の請求の使い分け
まだ申告していない年分について還付を受けたい場合は、還付申告を行います。すでに提出した申告書の内容を直したい場合は、更正の請求を検討します。
還付申告の5年期限を過ぎた後に、初めて申告して還付を受けることは原則できません。更正の請求は、提出済みの申告内容を正す手続きであり、期限切れの還付申告を復活させる手続きではありません。
よくある質問(FAQ)
還付申告の期限を過ぎたらどうなりますか?
確定申告義務がない方の還付申告では、期限を過ぎても罰則は原則ありません。ただし、還付を受ける権利が消滅し、税金は戻らなくなります。納税が必要な申告をしていない場合は扱いが異なるため、税務署や税理士に確認しましょう。
過去何年分までさかのぼれますか?
対象年の翌年1月1日から5年間です。2025年分は2026年1月1日から2030年12月31日まで申告できます。2026年時点では、2021年分の期限が2026年12月31日までです。
還付までどのくらいかかりますか?
申告内容や時期により変わります。目安として、e-Taxで提出した場合は書面提出より早く処理されやすいです。e-Taxでは、還付申告から2週間程度、書面では1か月程度経過すると処理状況を確認できると案内されています。
確定申告期間の2月から3月以外でも申告できますか?
できます。還付申告は、確定申告期間を待たずに、対象年の翌年1月1日から提出できます。税務署の閉庁日は窓口受付を行わないため、書面やe-Taxの利用可能時間を確認しましょう。
源泉徴収票を提出する必要はありますか?
給与所得者は、源泉徴収票を見ながら申告書を作成します。ただし、現在の所得税の確定申告では、源泉徴収票そのものの添付は不要です。手元で大切に保管しましょう。
事業者の準備はINVOYで効率化
源泉徴収税額の集計チェックリスト
個人事業主やフリーランスは、原稿料、講演料、デザイン料などの報酬から所得税が源泉徴収されることがあります。年間の所得税額より、源泉徴収税額や予定納税額の方が多い場合は、還付を受けられる可能性があります。
INVOYで請求書を発行または受領している場合は、申告前に次の点を確認しましょう。
1. 請求書ごとの源泉徴収税額を確認します。
2. 入金額と請求額の差額を照合します。
3. 取引先ごとの年間報酬額を整理します。
4. 支払調書がある場合は請求書データと照合します。
5. 経費書類と控除証明書を年分ごとに分けます。
源泉徴収税額は、取引先が支払調書を発行しない場合でも、請求書や入金記録から確認が必要です。実際の申告では、取引内容や報酬の種類によって扱いが変わる場合があるため、不明点は税務署や税理士に確認しましょう。
請求書作成・受取管理をまとめて行う方法
INVOYは、請求書などの経理書類をWeb上で発行、保管するためのサービスです。見積書、請求書、発注書、領収書の発行、受領した書類のクラウド管理、受領した請求書のカード決済、会計ソフトとのCSV連携などに対応しています。
請求書の作成や受取管理をまとめておくと、還付申告の準備だけでなく、毎年の確定申告や経理業務の見直しにも役立ちます。請求書管理を始めたい方は、いますぐ無料ではじめるから利用できます。サービスの詳細はINVOYの詳細はこちらをご確認ください。
還付金の受け取り時期や申告方法については、還付金とは?いつ受け取れる?年末調整や確定申告で申告する方法も紹介還付申告とは?対象者や条件、やり方、提出期限などをわかりやすく解説-INVOYもあわせて確認できます。
まとめ
期限と対象ケースの再確認
還付申告は、すでに支払った所得税が多すぎた場合や、勤務先の年末調整で受けられない控除を適用したい場合に行う手続きです。確定申告義務がない方は、対象年の翌年1月1日から5年間申告できます。
ただし、青色申告特別控除65万円または55万円など、法定申告期限までの提出が要件となる特例があります。個人事業主やフリーランスは、還付になる場合でも3月15日までの提出が必要か確認しましょう。
申告前に確認したいこと
医療費控除、住宅ローン控除初年度、寄附金控除、年途中退職、予定納税、源泉徴収された報酬などは、還付につながる代表的なケースです。2025年分以後は、基礎控除や給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の創設により、還付の有無が変わる場合もあります。
期限を過ぎると還付は受けられません。源泉徴収票、控除証明書、請求書、支払調書、医療費や寄附金の明細を早めに整理し、対象となる方は期限内に還付申告を行いましょう。



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