会計の基礎知識

内部統制報告書とは?記載事項・様式・提出期限と不備対応を解説

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内部統制報告書

内部統制報告書は、経営者が財務報告に係る内部統制を評価し、有価証券報告書と併せてEDINET経由で提出する法定書類です。担当者は提出義務、記載事項、提出先、期限を先に押さえます。

この記事では、第一号様式の5つの記載事項、作成手順、提出期限、監査免除、不備対応を実務順に整理します。

制度全体の基本を先に確認したい場合は、内部統制とはで定義や目的から確認できます。

目次

内部統制報告書とは(制度の概要)

目的と法的根拠

内部統制報告書とは、経営者が自社グループの財務報告に係る内部統制を評価し、その結果を投資者に開示する書類です。金融商品取引法第24条の4の4に基づき、有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出します。

この制度は一般にJ-SOXと呼ばれますが、J-SOX法という単独の法律はありません。対象は財務報告の信頼性を確保する内部統制です。

売上計上では、注文書、出荷記録、請求書、入金消込のつながりを確認します。税込110,000円の販売であれば、売掛金110,000円、売上100,000円、仮受消費税10,000円という仕訳が、承認済みの出荷事実と請求書に基づいて起票される状態を評価します。

関連書類との違い

内部統制報告書は経営者の自己評価であり、内部統制監査報告書は監査人の意見書です。有価証券報告書や確認書とも役割が異なります。

書類作成者主な内容監査との関係
内部統制報告書経営者財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続、評価結果原則として内部統制監査の対象です
有価証券報告書提出会社企業の概況、事業状況、財務諸表、リスク情報など財務諸表監査の対象です
内部統制監査報告書公認会計士または監査法人経営者の評価結果に対する監査人の意見監査人が作成します
確認書代表者など有価証券報告書等の記載内容が適正であることの確認監査報告書とは別の経営者確認です

根拠条文は、内部統制報告書が金融商品取引法第24条の4の4、有価証券報告書が第24条、内部統制監査報告書が第193条の2、確認書が第24条の4の2です。

前提知識:4つの目的と6つの基本的要素

4つの目的

内部統制は、組織の業務に組み込まれ、組織内の人によって実行されるプロセスです。

目的概要
業務の有効性及び効率性事業目的を達成するために、業務を無駄なく進めます
報告の信頼性組織内外への報告が信頼できる状態を確保します
事業活動に関わる法令等の遵守法令、規則、社内規程を守る体制を整えます
資産の保全資産の取得、使用、処分を正当な手続きで行います

6つの基本的要素

6つの基本的要素は、評価作業のチェック項目を考える土台です。売上プロセスでは、承認ルール、権限表、システム権限、例外処理、内部監査の確認も見ます。

基本的要素概要
統制環境経営者の姿勢、組織構造、権限と責任の明確さです
リスクの評価と対応財務報告の誤りにつながるリスクを識別し対応します
統制活動承認、照合、職務分掌などの具体的な手続きです
情報と伝達必要な情報を正確に集め、関係者へ伝える仕組みです
モニタリング統制が有効に動いているかを継続的に確認します
ITへの対応システム権限、委託先管理、セキュリティを管理します

詳しい定義や全体像は、内部統制とはで解説しています。

提出義務がある会社とIPO時の監査免除

提出義務の対象

提出義務の対象は、有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、金融商品取引法第24条第1項第1号に掲げる有価証券の発行者である会社、その他政令で定めるものです。代表例は金融商品取引所に上場している会社ですが、根拠は有価証券報告書の提出義務と結び付いています。

連結財務諸表を作成している会社では、子会社、重要な事業拠点、財務報告に重要な影響を与える業務プロセスも対象になり得ます。海外子会社や外部委託先でも、売上、購買、在庫、決算処理などに重要性があれば評価範囲に入ります。

IPO直後の監査免除特例

新規上場企業には、上場後3年間、内部統制報告書に対する監査証明が免除される特例があります。ただし、免除されるのは監査証明であり、内部統制報告書の提出義務そのものではありません。上場後に初めて到来する事業年度末から、経営者は内部統制を評価し、報告書を作成して提出する必要があります。

この特例には規模要件もあります。資本金100億円以上または負債総額1,000億円以上の会社は、社会的、経済的な影響が大きい会社として監査免除の対象外になります。IPO準備企業では、3点セット、評価範囲、経営者評価の記録を準備段階から整えます。

様式とひな形

内国会社用の第一号様式と外国会社用の第二号様式

内国会社が通常使う様式は、内部統制府令の第一号様式です。外国会社が日本で提出義務を履行する場合は、第二号様式を使います。金融庁の受付案内には第一号様式第二号様式のPDFがありますが、受付ページ配下の様式は旧版の可能性があります。実際に作成する際は、必ずe-Govの内部統制府令に掲載されている別記様式で最新版を確認します。

第一号様式では、表紙に提出書類、根拠条文、提出先、提出日、会社名、代表者、最高財務責任者、縦覧場所を記載し、その下に5つの本文項目を並べます。評価計画、テスト結果、不備一覧、是正証跡は社内で保存します。

様式の構成

第一号様式の本文は5項目で構成されます。該当事項なしと書ける欄もありますが、評価の範囲や評価結果のように必ず結論を記載する欄もあり、空欄では済ませられません。

項目記載内容該当なしの場合の考え方
1 財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項経営者の責任、準拠した基準、内部統制の固有の限界通常は該当なしとはしません
2 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項基準日、準拠基準、評価手続、評価範囲と決定根拠通常は該当なしとはしません
3 評価結果に関する事項有効、有効でない、表明不能などの結論通常は該当なしとはしません
4 付記事項後発事象、期末後の是正措置、前年度不備の是正状況事項がなければ該当事項なしとします
5 特記事項評価について特に説明すべき事項事項がなければ該当事項なしとします

5つの記載事項と書き方

①財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

この欄では、代表者と最高財務責任者が財務報告に係る内部統制の整備と運用に責任を有している旨を記載します。最高財務責任者を定めていない会社では、様式の注記に従って代表者を中心に記載します。

併せて、財務報告に係る内部統制を整備及び運用する際に準拠した基準の名称、すなわち一般に公正妥当と認められる内部統制の基本的枠組みに準拠している旨を示します。内部統制には固有の限界があり、判断の誤り、共謀、経営者による無効化などにより、虚偽記載を完全には防止または発見できない可能性があることも記載します。

②評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

この欄では、評価基準日、評価に準拠した基準、評価手続の概要、評価範囲を記載します。評価基準日は通常、事業年度の末日です。3月決算会社であれば、20XX年3月31日現在における財務報告に係る内部統制を評価した旨を記載します。

2024年4月1日以後開始する事業年度からは、評価範囲について、どの指標を使い、どの一定割合を使い、なぜその範囲にしたのかという判断事由の説明がより重要になりました。たとえば、連結売上高1,000億円の会社で、A事業拠点400億円、B事業拠点300億円を重要な事業拠点に選ぶと、合計700億円で売上高のおおむね3分の2を超えます。ただし、この3分の2は機械的な線引きではなく、利益率、リスク、事業変更、過年度の不備なども踏まえて決めます。

③評価結果に関する事項

評価結果は、様式の注記に沿って4つの区分から選びます。1つ目は、財務報告に係る内部統制が有効である旨です。2つ目は、評価手続の一部を実施できなかったものの、財務報告に係る内部統制は有効である旨です。この場合は、実施できなかった手続と理由を併記します。

3つ目は、開示すべき重要な不備があり、財務報告に係る内部統制は有効でない旨です。この場合は、不備の内容と、事業年度の末日までに是正されなかった理由を記載します。4つ目は、重要な評価手続を実施できなかったため、評価結果を表明できない旨です。災害、システム障害、海外拠点の資料未入手などでは、理由を具体的に説明します。

④付記事項

付記事項には、事業年度末日の翌日から提出日までに、内部統制の有効性評価に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合にその内容を記載します。また、事業年度末日に開示すべき重要な不備があり、期末後から提出日までに是正措置を実施した場合は、その措置の内容を記載します。

2024年改訂では、前年度に開示すべき重要な不備を報告した場合に、その不備に対する是正状況を付記事項に記載すべき項目として追加しました。前年度に決算・財務報告プロセスの不備を開示した場合は、承認フローの再設計、経理人員の補強、月次レビューの追加などの是正措置と運用状況を簡潔に示します。

⑤特記事項

特記事項は、評価について特に説明すべき事項がある場合に記載します。該当する事項がなければ、該当事項なしと記載します。付記事項は後発事象や不備の是正状況など、特記事項はそれ以外の補足を置く欄です。

補足がない会社では5 特記事項の欄に該当事項なしと記載します。会社再編、重要なシステム移行、評価手続の前提に関する補足が必要な場合は、その事実と評価結果への影響を記載します。

実企業の記載例

実物は、EDINETまたは各社IR資料で確認できます。花王株式会社は、対象期間が2024年1月1日から2024年12月31日の第119期について、EDINETに内部統制報告書を提出しています。同社の評価結果欄では、2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制を有効と判断した旨が示されています。

訂正の実例として、株式会社I-neの第18期、対象期間は2024年1月1日から2024年12月31日の内部統制報告書について、2026年5月15日に訂正内部統制報告書をEDINETで提出しています。この訂正報告書では、訂正に至った経緯、訂正理由、開示すべき重要な不備の内容、当初報告書に不備を記載できなかった理由、是正措置と是正状況が整理されています。

作成手順と監査までの6ステップ

1 評価対象範囲の決定

最初に、財務報告に重要な影響を与える拠点と業務プロセスを決めます。トップダウン型のリスク・アプローチにより、全社的な内部統制を見たうえで、重要な事業拠点や勘定科目に関係する業務プロセスへ絞ります。

実務では、売上高等のおおむね3分の2、売上、売掛金、棚卸資産の3勘定といった例示を参照することがあります。ただし、金融庁の意見書では、これらを機械的に適用すべきではないとされています。評価範囲を決める際は、内部統制実施基準の2024年改訂の詳細(評価範囲・IT対応)も確認し、自社の事業リスクに応じて判断します。

2 整備・運用状況の評価

評価範囲が決まったら、整備状況と運用状況を確認します。整備状況では、承認ルール、職務分掌、システム権限、証憑の保存方法を見ます。運用状況では、対象期間のサンプルを抽出し、承認印、電子承認ログ、請求書、入金記録を照合します。

請求業務では、受注登録、出荷実績の確定、請求書発行、例外値引きの承認の流れを確認します。税込110,000円の売上について、売掛金110,000円、売上100,000円、仮受消費税10,000円の仕訳が、出荷日、契約条件、請求書と一致していれば、統制の証跡として説明しやすくなります。

3 不備の把握と是正

評価の過程で不備が見つかった場合は、内容を整理し、財務報告に与える影響を判断します。承認漏れが1件あっただけで直ちに開示すべき重要な不備になるわけではありません。発生原因、件数、影響額、補完統制の有無、再発可能性を見て区分します。

是正では、原因に対応した改善策を実行します。承認漏れであれば、承認画面の必須化、権限設定の見直し、月次例外リストのレビューなどが考えられます。決算処理の誤りであれば、会計論点のレビュー体制や人員体制の見直しが必要になる場合があります。

4 報告書の作成

評価結果が固まったら、第一号様式に沿って報告書を作成します。報告書には評価範囲や評価結果を簡潔に記載し、監査人には範囲の理由、実施手続、不備判断を説明できる資料を示します。

記入例として、評価範囲欄では、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、重要な事業拠点を選定し、当該拠点における売上、売掛金、棚卸資産に至る業務プロセスを評価対象とした旨を書きます。2024年改訂後は、選定指標や一定割合の判断事由も自社の言葉で説明することが重要です。

5 監査証明の取得

原則として、内部統制報告書は公認会計士または監査法人による監査証明の対象です。監査人は、経営者の評価プロセスと評価結果が適正かを検討します。会社が行った評価の妥当性を監査する点が重要です。

新規上場企業の監査免除特例がある場合でも、提出義務と経営者評価の実施は残ります。監査が免除される年度でも、資料の保存は必要です。翌期以降の監査対応や投資者への説明を考え、記録を整えます。

6 EDINETでの提出・公表

監査証明を受けた内部統制報告書は、有価証券報告書と併せてEDINETで提出し、公衆の縦覧に供されます。提出後は投資者、取引先、求職者、競合企業も閲覧できるため、外部向けの表現にします。

提出直前には、会社名、事業年度、提出日、根拠条文、代表者、最高財務責任者、縦覧場所などの表紙情報も確認します。決算発表、有価証券報告書、確認書、監査報告書との日付整合も確認します。

3点セット

3点セットとは、業務記述書、フローチャート、リスク・コントロール・マトリクスのことです。提出書類ではありませんが、評価の根拠資料として重要です。業務記述書は手順と承認を文章で示し、フローチャートは業務、帳票、承認点、システム処理の流れを図で示します。

RCMは、財務報告の虚偽記載リスクと、そのリスクを低減する統制を対応付ける表です。売上の架空計上リスクに対して、出荷実績と請求データの照合、例外値引きの上長承認、入金消込の独立レビューなどを結び付けて管理します。

提出先と提出期限

提出先

内部統制報告書は、金融商品取引法上は内閣総理大臣に提出する書類です。実務上は、EDINETを通じて管轄の財務局長宛てに提出します。第一号様式の表紙にも提出先として財務局長または財務支局長を記載する欄があります。

上場会社の通常実務ではEDINET提出を前提に、提出用データ、XBRLやPDFの表示確認、監査済み版との一致を確認します。

提出期限

提出期限は、有価証券報告書と併せて、内国会社では事業年度経過後3か月以内です。3月31日決算の会社であれば、原則として6月30日までに提出するイメージです。土日祝日や個別の延長承認などの論点は、会社の提出実務と所管財務局の扱いを確認します。

期限管理では、評価完了、監査法人へのドラフト提示、経営者確認、取締役会や監査役等への共有、EDINET提出データの確認から逆算します。期末後に不備が見つかった場合は、是正措置の有無や付記事項への記載も必要です。

開示すべき重要な不備が見つかった場合の対応

開示すべき重要な不備とは

開示すべき重要な不備とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い内部統制の不備です。重要な虚偽記載を防止または発見できない可能性がある状態を指し、判断では金額的重要性と質的重要性の両方を見ます。

金額的重要性の目安として、金融庁のQ&Aでは連結税引前利益の概ね5%程度が例示されています。たとえば連結税引前利益が20億円であれば、5%は1億円です。ただし、これは開示すべき重要な不備の金額的重要性を考える際の例示であり、評価範囲を決める際の売上高等のおおむね3分の2とは別の文脈です。

報告書への記載方法

事業年度末日時点で開示すべき重要な不備があり、財務報告に係る内部統制が有効でないと判断した場合は、評価結果に関する事項にその旨を記載します。併せて、不備の内容と、その不備が事業年度の末日までに是正されなかった理由を記載します。

記入例としては、決算・財務報告プロセスにおいて関連当事者取引の把握と注記検討に不備があり、重要な虚偽記載を防止または発見する統制が十分に機能していなかったため、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました、という方向で具体化します。期末日までに是正できなかった理由として、事実判明時期、調査に要した期間、再発防止策の設計と運用確認が未了であったことなどを説明します。

監査意見への影響と罰則

開示すべき重要な不備がある場合、経営者の評価結果は有効でないとなります。監査人は、会社の記載が適正に表示されているかを見ます。有効でないと正しく記載されていれば、内部統制監査報告書ではその評価結果に対する意見が表明されます。不備を隠した場合や、評価範囲や評価結果の説明が不十分な場合は、監査上の問題が大きくなります。

内部統制報告書の不提出や重要な虚偽記載には、金融商品取引法第197条の2に基づく罰則が問題になります。2025年6月1日施行の刑法等改正により刑名は拘禁刑に一元化されているため、2026年時点では5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科という表記で確認します。法人については、同法第207条の法人重科により5億円以下の罰金が問題になります。

訂正報告書と訂正の経緯・理由の開示

提出済みの内部統制報告書に誤りがあると判明した場合は、訂正内部統制報告書を提出します。2024年改訂では、訂正時に具体的な訂正の経緯や理由等の開示を求める方向で制度整備が行われました。背景には、当初の報告書では開示されなかった重要な不備が、後日に訂正報告書で明らかになる事例があったことがあります。

実務では、訂正の対象となる報告書の提出日、訂正理由、訂正に至った経緯、不備の内容、当初報告書に記載できなかった理由、是正措置と是正状況を整理します。訂正報告書は、なぜ当初評価を訂正するのかを投資者に説明する書類です。

EDINETで他社事例を確認する方法

他社事例を確認するには、EDINETの書類検索で会社名またはEDINETコードを入力し、提出書類の種類から内部統制報告書や訂正内部統制報告書を探します。評価結果に関する事項、付記事項、訂正理由を読むと、自社の書き方の粒度をつかみやすくなります。

ただし、他社の表現をそのまま写すのは避けます。評価範囲、事業内容、組織体制、不備の原因は会社ごとに異なるためです。他社事例は、自社の判断事由と証跡に基づいて記載するための参考資料として使います。

2023年4月改訂で記載はどう変わったか

記載事項の新旧対比表

2024年4月1日以後開始する事業年度から、改訂後の内部統制基準と実施基準が適用されています。本記事では、報告書の記載に影響する点に絞ります。特に評価範囲、付記事項、訂正報告書の3点は、作成担当者が文面で意識すべき変更です。

記載欄改訂前の実務2024年4月1日以後開始事業年度からの実務
2 評価の範囲、基準日及び評価手続評価範囲と決定手順を簡潔に記載する実務が中心でした重要な事業拠点の選定に用いた指標や一定割合等の判断事由を説明します
4 付記事項後発事象や期末後の是正措置が中心でした前年度に報告した開示すべき重要な不備の是正状況も記載対象になります
訂正内部統制報告書訂正の背景説明が十分でない事例がありました具体的な訂正の経緯や理由等を開示する方向で整備されています

誤解しやすい報告の信頼性の意味

2024年改訂では、内部統制の目的の表現として財務報告の信頼性が報告の信頼性へ見直されました。ただし、金融商品取引法上の内部統制報告制度の目的が、ESG情報など非財務情報全般の評価へ広がったわけではありません。金融庁の意見書でも、内部統制報告制度はあくまで財務報告の信頼性の確保が目的である点を強調しています。

サステナビリティ情報や人的資本情報の開示管理は重要ですが、内部統制報告書の評価範囲を当然に非財務情報全般へ広げるという意味ではありません。本記事で扱うのは、財務報告に係る内部統制の評価と報告書の作成です。

改訂の詳細を確認する記事

2024年改訂には、評価範囲の考え方、不正リスク、IT委託業務、サイバーリスク、3線モデルなどの論点があります。評価範囲やIT対応の実務を深く確認する場合は、内部統制実施基準の2024年改訂の詳細(評価範囲・IT対応)を参照してください。

関係者別の視点と役割

経営者の役割

経営者は、財務報告に係る内部統制の整備、運用、評価について責任を負い、評価範囲や不備判断の重要な判断事由を理解します。経営者による内部統制の無効化は重大なリスクであり、取締役会や監査役等との情報共有が重要です。

経理・財務担当者の役割

経理・財務担当者は、決算・財務報告プロセスの統制を日常業務で運用します。請求書、入金、棚卸、引当、税効果、連結仕訳などの証跡を残し、監査人や内部監査部門に説明できる状態を整えます。

内部監査・投資家の視点

内部監査部門は、評価計画、3点セット、サンプルテスト、不備評価を客観的に確認します。投資者は、評価結果、不備の内容、是正方針、訂正報告書の有無、監査人の意見を確認します。

よくある質問(FAQ)

内部統制監査報告書とは何が違いますか?

内部統制報告書は経営者の評価書類で、内部統制監査報告書は公認会計士または監査法人の監査意見書です。

提出期限はいつですか?

内国会社では、有価証券報告書と併せて、事業年度経過後3か月以内に提出します。3月決算会社なら、原則として6月末までが目安です。

開示すべき重要な不備があると上場廃止になりますか?

開示すべき重要な不備を記載したことだけで、直ちに上場廃止になるとは限りません。重要なのは、不備の内容、財務報告への影響、訂正の有無、再発防止策、是正状況です。重大な虚偽記載や不適切な開示がある場合は、金融商品取引法上の責任や上場規則上の対応が問題になる可能性があります。

新規上場した会社は出さなくてよいのですか?

新規上場企業でも、内部統制報告書の提出は必要です。一定の要件を満たす場合に免除されるのは、上場後3年間の監査証明です。資本金100億円以上または負債総額1,000億円以上の会社は監査免除の対象外になるため、IPO準備段階で自社の要件を確認します。

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まとめ

要点再確認

内部統制報告書は、経営者が財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、有価証券報告書と併せて提出する法定書類です。第一号様式の5項目、事業年度経過後3か月以内という提出期限、監査証明、不備対応を分けて押さえます。

2024年4月1日以後開始する事業年度からは、評価範囲の判断事由、前年度に報告した開示すべき重要な不備の是正状況、訂正時の経緯や理由の開示がより重要になりました。総論を確認する場合は内部統制とは(定義・4つの目的・6つの基本的要素)を参照し、請求書や経理周辺の実務は会計の基礎知識も併せて確認できます。

この記事の投稿者:

hasegawa

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