
相殺の事実を領収書に明記すると、現金を受け取っていない相殺分には収入印紙がかかりません。この記事では、全額相殺と一部相殺の記入例を紹介します。一部相殺では、現金や振込で受け取った金額だけを印紙税の判定対象にします。
相殺領収書は、相殺した請求書や金額を確認するための書類です。発行義務はありませんが、取引先との認識違いや税務調査に備え、相殺の内容を記録しておくと管理しやすくなります。
目次
相殺領収書とは?通常の領収書との違い

相殺領収書は「お金を受け取っていない」ことを示す書類
相殺とは、同じ取引先との間にある売掛金と買掛金などを差し引き、支払いや受け取りを完了させる処理です。
たとえば、自社が取引先に100万円の商品を販売し、同じ取引先から80万円のサービスを購入したとします。この場合、自社が受け取る金額は差額の20万円です。80万円については現金や振込による受け取りがありませんが、売掛金と買掛金を相殺することで決済が完了します。
通常の領収書は、金銭や有価証券を受け取った事実を証明する書類です。一方、相殺領収書は、金銭を受け取った事実ではなく、売掛金と買掛金を相殺した事実を示します。
相殺の基本的な意味や成立条件は、相殺の仕組みと3つの要件で詳しく解説しています。請求書側で相殺額を書く方法は、請求書で相殺する方法と書き方を参照してください。
発行は義務ではありませんが、記録を残す意味があります
相殺領収書を発行する義務は、一般的にはありません。相殺の合意書や通知書、対象となる請求書などによって相殺の内容を確認できる状態であれば、領収書を発行しない運用も可能です。
ただし、記録がないと、次のような問題が起こりやすくなります。
> * 売掛金を回収したのか確認できなくなります。
> * 買掛金を支払ったのか確認できなくなります。
> * 取引先と相殺金額の認識がずれるおそれがあります。
> * 入金がない理由を経理担当者が説明できなくなります。
相殺領収書を発行する場合は、対象となる請求書番号、相殺額、現金などで受け取った金額を明記します。領収書だけでは内容を確認しにくい場合は、相殺合意書や明細書も一緒に保管します。
相殺領収書のテンプレート(記入例2種)
全額相殺の記入例
全額相殺とは、請求金額の全額を相手方に対する債務と相殺する方法です。現金や振込による受け取りがないため、但し書きに相殺の事実を明記します。
次の表をもとに、取引内容に合わせて書き換えてください。
| 項目 | 記入例 |
| 書類名 | 相殺領収書 |
| 発行日 | 令和8年9月30日 |
| 宛名 | 株式会社B 御中 |
| 金額 | ¥1,100,000- |
| 但し書き | 令和8年9月分売掛金として、下記買掛金と相殺 |
| 内訳 | 売掛金1,100,000円と買掛金1,100,000円を相殺 |
| 対象請求書 | 請求書番号 INV-202609-001 |
| 発行者 | 株式会社A、住所、電話番号、担当者名 |
但し書きには、金銭を受け取っていないことが分かる文言を入れます。
> 令和8年9月分売掛金1,100,000円を、当社買掛金1,100,000円と相殺しました。金銭の受領はありません。
「上記金額を受領しました」とだけ記載すると、書類上は相殺の事実を確認できません。印紙税の取り扱いを明確にするため、「相殺」と「金銭の受領はありません」という内容を記載します。
金額の前に「¥」を付け、末尾に「-」などを付けると、数字の追加や改変を防ぎやすくなります。これらの記号は法律上の必須項目ではありませんが、実務上の慣行として使われています。
一部相殺の記入例
一部相殺とは、請求金額の一部を相殺し、残りを現金や振込で受け取る方法です。
たとえば、請求金額110万円のうち60万円を相殺し、50万円を振込で受け取る場合は、相殺額と受領額を分けて記載します。
| 項目 | 記入例 |
| 書類名 | 領収書 |
| 発行日 | 令和8年9月30日 |
| 宛名 | 株式会社B 御中 |
| 総額 | ¥1,100,000- |
| 相殺額 | ¥600,000- |
| 現金・振込受領額 | ¥500,000- |
| 但し書き | 令和8年9月分売掛金として、600,000円を買掛金と相殺し、500,000円を振込で受領 |
| 内訳 | 相殺分600,000円、振込受領分500,000円 |
| 対象請求書 | 請求書番号 INV-202609-001 |
| 発行者 | 株式会社A、住所、電話番号、担当者名 |
記入例の但し書きは、次のとおりです。
> 令和8年9月分売掛金1,100,000円のうち600,000円を買掛金と相殺し、残額500,000円を振込により受領しました。
一部相殺では、総額だけでなく、相殺額と現金などで受け取った金額を分けて記載します。相殺額が文書上明らかであれば、その金額は印紙税の記載金額に含めません。この記入例では判定の対象が振込受領額の50万円になるため、収入印紙は200円です(5万円以上100万円以下)。印紙を貼ったら、収入印紙の消印の押し方も確認してください。
現金や振込で受け取った金額を区分せず、「1,100,000円を受領」とだけ記載すると、1,100,000円全体が受取金額と判断される可能性があります。
Excelで作るときのコツと無料テンプレートの使い方
Excelで作成する場合は、通常の領収書に次の項目を追加します。
> * 相殺額を入力する欄を設けます。
> * 現金や振込の受領額を入力する欄を設けます。
> * 相殺対象の請求書番号を入力します。
> * 但し書きに相殺の事実を記載します。
> * 相殺額と受領額の合計が総額と一致するようにします。
一部相殺では、次の計算が合うことを確認します。
> 総額 = 相殺額 + 現金・振込受領額
計算式を設定する場合は、総額や相殺額を誤って変更しないよう、入力欄と計算欄を分けて管理します。作成後は、対象となる請求書や相殺合意書と照合します。
通常の領収書のひな形を使いたい場合は、INVOYの領収書無料テンプレートを利用できます。相殺に使うときは、但し書きや内訳の欄を相殺用の文言に書き換えてください。
INVOYでは、請求書のほか、見積書、納品書、領収書を無料で作成・発行・管理できます。
相殺領収書の書き方と項目ごとのルール
発行日、宛名、金額の記載
発行日には、相殺の合意日や相殺処理を行った日を記載します。請求書の発行日や取引日と異なる場合は、相殺日を確認できるように管理します。
宛名には、取引先の正式名称を記載します。株式会社を「(株)」と省略せず、法人名や屋号を確認して記載すると、書類の宛先が明確になります。
金額には、相殺した金額または総額を記載します。一部相殺では、総額、相殺額、現金や振込による受領額を区分します。
金額の記載例は次のとおりです。
| 区分 | 記載例 |
| 全額相殺 | ¥1,100,000- |
| 一部相殺の総額 | ¥1,100,000- |
| 一部相殺の相殺額 | ¥600,000- |
| 一部相殺の現金・振込受領額 | ¥500,000- |
相殺領収書の金額が、売上に関する受取書として扱われる場合は、収入印紙の要否を確認します。印紙税の基準は、令和8年4月1日現在の法令等に基づきます。
但し書きの文言例
但し書きには、相殺の対象、相殺金額、受領金額をできるだけ具体的に記載します。文言の例は次のとおりです。
| 用途 | 文言例 |
| 全額相殺 | 令和8年9月分売掛金を買掛金と相殺 |
| 金銭を受け取っていないことの明示 | 上記金額は相殺によるものであり、金銭の受領はありません |
| 請求書を特定 | 請求書番号INV-202609-001に係る売掛金と買掛金を相殺 |
| 一部相殺 | 総額のうち600,000円を相殺し、500,000円を振込で受領 |
| 複数取引 | 別紙明細記載の売掛金と買掛金を相殺 |
「相殺につき印紙不要」とだけ書くよりも、何と何を相殺したのかを記載したほうが、書類の内容を確認しやすくなります。
複数の請求書をまとめて相殺するときは別紙明細を付けます
複数の請求書をまとめて相殺する場合は、領収書の但し書きに「別紙明細のとおり」と記載し、対象の請求書番号や金額を一覧にします。
| 請求書番号 | 売掛金 | 買掛金との相殺額 | 残額 |
| INV-202609-001 | 300,000円 | 300,000円 | 0円 |
| INV-202609-002 | 500,000円 | 400,000円 | 100,000円 |
| 合計 | 800,000円 | 700,000円 | 100,000円 |
別紙には、発行日、宛名、対象期間、相殺額を記載します。領収書本体と別紙を一緒に保存し、どの取引を相殺したのか後から確認できるようにします。
相殺領収書に収入印紙は必要?
相殺の事実が文書上明らかなら印紙は不要です
国税庁のタックスアンサーNo.7126では、相殺の事実を証明する領収書について、実際には金銭や有価証券を受け取っていないため、印紙税法上の第17号文書に該当しないと説明しています。
ただし、相殺の事実が文書上明らかでない場合は、通常の金銭の受取書と判断される可能性があります。印紙税法基本通達でも、別表第1第17号文書の20として、相殺の事実が明らかな場合の取り扱いが示されています。
相殺領収書を紙で発行する場合は、次の点を確認します。
> * 相殺の対象となる債権と債務を記載します。
> * 相殺額を記載します。
> * 一部相殺では受領額を区分します。
> * 「相殺」と分かる文言を但し書きに入れます。
相殺と書いた場合と、書かなかった場合の違いは次のとおりです。
| 記載方法 | 印紙税の考え方 |
| 「売掛金と買掛金を相殺」と記載 | 相殺分は受取書の記載金額に含めない |
| 「金銭の受領はない」と記載 | 現金を受け取っていないことを確認しやすい |
| 「上記金額を受領」とだけ記載 | 通常の受取書と判断される可能性がある |
| 一部相殺の金額と現金受領額を区分 | 相殺額を除き、現金受領額で判定する |
| 総額だけを記載 | 総額が記載金額になる可能性がある |
「相殺」と書かなかった場合は通常の受取書になります
相殺した取引でも、書類の内容から相殺であることが分からなければ、文書上は金銭を受け取った領収書に見えます。
たとえば、100万円を相殺したにもかかわらず、但し書きに「商品代金として上記金額を受領」とだけ記載した場合です。この場合、相殺の事実を確認できないため、売上代金の受取書として印紙税が課税される可能性があります。
相殺分に印紙を貼らない場合は、「相殺」と明記します。印紙税の取り扱いは、実際の取引だけでなく、文書に記載された内容によって判断されます。
一部相殺は現金で受け取った分だけで判定します
一部相殺では、相殺に係る金額が明らかにされていれば、その金額は記載金額に含めません。残りの現金や振込による受領額を基準に、印紙税を判定します。
計算例1
総額10万円のうち、6万円を相殺し、4万円を振込で受け取る場合です。
| 区分 | 金額 |
| 総額 | 100,000円 |
| 相殺額 | 60,000円 |
| 振込受領額 | 40,000円 |
| 印紙税の判定対象 | 40,000円 |
| 印紙税 | 非課税 |
相殺額6万円と振込受領額4万円を区分して記載すれば、印紙税の判定対象は4万円です。5万円未満の売上代金の受取書は非課税のため、収入印紙は必要ありません。
一方、「10万円を受領」とだけ書くと、10万円全体が記載金額となり、200円の収入印紙が必要です。
計算例2
総額150万円のうち、100万円を相殺し、50万円を振込で受け取る場合です。
| 区分 | 金額 |
| 総額 | 1,500,000円 |
| 相殺額 | 1,000,000円 |
| 振込受領額 | 500,000円 |
| 印紙税の判定対象 | 500,000円 |
| 印紙税 | 200円 |
相殺額と振込受領額を区分すれば、印紙税の判定対象は50万円です。50万円は5万円以上100万円以下に該当するため、収入印紙は200円です。
相殺額を区分せず、150万円を受領したと記載すると、150万円全体が記載金額となり、印紙税は400円です。
消費税額を分けて書くと税抜金額で判定できます
国税庁No.7124では、受取書に消費税額等を区分して記載している場合、消費税額等を記載金額に含めないとしています。
たとえば、次のように記載した場合です。
| 記載内容 | 印紙税の判定対象 |
| 商品代金48,000円 | 48,000円 |
| 消費税10%4,800円 | 含めない |
| 合計52,800円 | 48,000円として判定 |
本体価格48,000円と消費税4,800円を明確に区分すれば、税抜金額48,000円で判定します。この場合、5万円未満のため非課税です。
「消費税込み52,800円」とだけ書いて消費税額を区分しない場合は、52,800円が記載金額となり、200円の収入印紙が必要です。なお、免税事業者が作成した領収書は、消費税相当額を区分して書いても記載金額に含めます。相殺額と受領額だけでなく、消費税額の表示方法も確認します。
PDFやメールで送る領収書には印紙がかかりません
PDFなどの電磁的記録をメールで送信するだけであれば、印紙税法上の「文書」に該当しないため、収入印紙は必要ありません。
ただし、PDFを送信した後に、同じ内容の紙の領収書を原本として交付する場合は、紙の文書について印紙税を確認します。電子交付と紙の交付を両方行う場合は、どちらを正式な書類として扱うのかを社内で決めておくと管理しやすくなります。
電子取引のデータは、電子帳簿保存法の要件に沿って保存します。取引年月日、取引金額、取引先で検索できる状態にし、後から表示できるように管理します。
売上代金の受取書にかかる印紙税額
売上代金の受取書にかかる印紙税額は、令和8年4月1日現在の国税庁No.7105によると次のとおりです(1,000万円を超える金額はNo.7141で確認できます)。
| 記載金額 | 印紙税額 |
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 600円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 2,000円 |
営業に関しない受取書は非課税です。法人や個人事業主が事業として作成する領収書は、通常は営業に関する受取書にあたります。金額ごとの具体例は領収書の収入印紙はいくらから必要かでまとめています。
相殺領収書はどちらが発行する?
発行者に決まりはありませんが、双方で発行して交換するのが確実です
相殺領収書について、どちらが必ず発行しなければならないという決まりはありません。
実務では、売掛金を持つ側が、相殺によって債権を回収したことを示す領収書を発行します。買掛金を持つ側も、相殺によって債務を消滅させたことを示すため、同額の領収書を発行して交換することがあります。
双方で発行する場合は、次の点をそろえます。
> * 相殺日を一致させます。
> * 相殺額を一致させます。
> * 対象となる請求書番号を記載します。
> * 相殺後に支払う差額を確認します。
> * 片方だけが紙で発行する場合は、相手方にも写しを渡します。
片方が発行した領収書だけで処理する場合も、メールなどで相手方の合意を残します。
発行しない場合は相殺合意書や相殺通知書で記録を残します
領収書を発行しない場合は、相殺合意書や相殺通知書を作成します。書類には、次の内容を記載します。
| 項目 | 記載内容 |
| 相殺日 | 相殺処理を行う日 |
| 当事者 | 自社と取引先の正式名称 |
| 自社の債権 | 請求書番号、金額、支払期日 |
| 自社の債務 | 相手方の請求書番号、金額、支払期日 |
| 相殺額 | 相殺する金額 |
| 差額 | 相殺後に支払う金額 |
| 合意方法 | 署名、押印、メールなど |
相殺領収書を発行しないこと自体が、直ちに税務上の問題になるわけではありません。売掛金と買掛金がいつ、いくら相殺されたのかを確認できる資料を保存します。
相殺領収書とインボイス制度
相殺領収書に登録番号の記載義務はありません
相殺領収書そのものに、適格請求書発行事業者の登録番号を記載する義務はありません。領収書を相殺の事実を示す書類として使うだけであれば、登録番号がなくても発行できます。
ただし、その領収書を適格請求書として使用する場合は、適格請求書の記載事項が必要です。一般的には、次の項目を確認します。
> * 発行者の氏名または名称と登録番号
> * 取引年月日
> * 取引内容
> * 税率ごとに区分した対価の額
> * 適用税率
> * 税率ごとの消費税額等
> * 受領者の氏名または名称
適格簡易請求書を交付できるのは、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業など、不特定多数の者を相手にする一定の事業です。一般的な企業間取引では、通常の適格請求書の要件を確認します。
インボイスは相殺前の金額で交付します
支払方法として相殺を選んだだけであれば、商品の販売やサービス提供の対価は減少しません。インボイスは、相殺前の取引金額をもとに交付します。
たとえば、110万円の商品を販売し、60万円を買掛金と相殺して50万円を受け取る場合、販売側のインボイスは110万円の取引内容をもとに作成します。相殺した60万円だけを売上として記載するわけではありません。
一方、販売奨励金、返品、値引きなど、取引後に対価の返還が発生している場合は、売上げに係る対価の返還等として別の整理が必要です。適格請求書と適格返還請求書は、必要な記載事項を満たせば1つの書類にまとめられます。
インボイスの相殺処理や仕訳まで確認したい場合は、インボイスの相殺処理と書き方を参照してください。
相殺する前に確認したい民法のルール
相殺できる条件と弁済期の考え方
民法505条1項では、双方が同じ種類の目的を持つ債務を負い、双方の債務が弁済期にあるときに相殺できると定めています。この相殺できる状態を、相殺適状といいます。
相殺の主な条件は次のとおりです。
> * 双方が互いに債権と債務を持っていること。
> * 債権と債務の目的が同じ種類であること。
> * 原則として双方の債務が弁済期にあること。
> * 相殺禁止特約など、相殺を妨げる事情がないこと。
自社が取引先に対して持つ売掛金を「自働債権」、自社が取引先に対して負う買掛金などを「受働債権」と呼びます。実務上は、自働債権の弁済期が到来していることを確認します。
受働債権(自社の支払い)は、支払期限がまだ先でも、期限の利益を放棄すれば相殺できます。民法136条2項は、期限の利益は放棄できるが、相手方の利益を害することはできないと定めています。契約内容や第三者の権利関係によって扱いが変わることもあるため、期限前に相殺する場合は契約書を確認し、相手方と合意しておくと安心です。
相殺は、相手方に対する意思表示によって行います。民法506条では、相殺の意思表示に条件や期限を付けられず、相殺適状を満たした時点にさかのぼって効力が生じると定めています。
相殺禁止特約と相手が破産したときの扱い
契約書に「相殺を禁止する」といった条項がある場合は、内容を確認してから処理します。相殺禁止特約があるにもかかわらず一方的に相殺すると、契約違反になる可能性があります。
相手方が破産した場合も、相殺が一律に禁止されるわけではありません。破産手続開始時に、破産者に対する債権と破産者に負う債務が存在している場合、破産法67条により、破産手続によらず相殺できることがあります。
ただし、破産手続開始後に負担した債務や、支払不能を知った後に取得した債権などは、破産法71条や72条によって相殺が制限される場合があります。相手方の破産が関係する場合は、相殺領収書を作成する前に、弁護士に確認します。
よくある質問
相殺領収書は手書きでもよいですか?
手書きでも問題ありません。発行日、宛名、金額、但し書き、発行者を記載し、相殺の事実が分かるようにします。金額の訂正を避け、控えや相殺の根拠資料も保存します。
相殺した金額に消費税はかかりますか?
相殺という決済方法自体に消費税はかかりません。商品の販売やサービス提供にかかる消費税は、相殺前の取引金額をもとに計算します。
たとえば、110万円の商品販売と60万円の買掛金を相殺しても、商品の販売額が50万円になるわけではありません。販売側は110万円の売上をもとに処理し、買掛金側の取引も別に処理します。
一部相殺は2枚の領収書に分けるべきですか?
必ず2枚に分ける必要はありません。1枚の領収書に、総額、相殺額、現金や振込による受領額を区分して記載できます。
取引先の経理処理や社内管理の都合で、相殺分と現金受領分を別々に管理したい場合は、2枚に分ける方法もあります。どちらの方法でも、合計金額と内訳を一致させます。
相殺領収書を発行しないと税務調査で問題になりますか?
領収書を発行しないことだけで、直ちに問題になるわけではありません。相殺合意書、相殺通知書、対象となる請求書、入出金記録などを保存し、相殺の内容を説明できるようにします。
反対に、領収書を発行していても、相殺の記載がなく、金銭を受け取ったように見える場合は、印紙税の確認が必要です。
受け取った相殺領収書は何年保存しますか?
法人は、帳簿や領収書などの書類を原則として7年間保存します。欠損金が生じた事業年度などは、10年間の保存が必要になる場合があります。
個人事業主の場合、青色申告者は領収書などの現金預金取引等関係書類を原則7年間保存します。前々年分の所得が300万円以下の場合は、5年間でよいとされる書類があります。請求書や見積書などのその他の書類は、5年間保存が基本です。
白色申告者は、領収書などの書類を5年間保存します(収入や経費を記載した帳簿は7年間)。実際の保存期間は、法人か個人か、申告方法、書類の種類によって確認します。
まとめ
相殺領収書を作成するときは、次の点を確認します。
> * 相殺の事実を但し書きに明記します。
> * 全額相殺では、金銭を受け取っていないことを記載します。
> * 一部相殺では、相殺額と現金や振込の受領額を区分します。
> * 相殺分は、印紙税の記載金額に含めません。
> * 消費税額を区分記載すれば、税抜金額で印紙税を判定できます。
> * 相殺領収書に登録番号を記載する義務はありません。
> * インボイスとして使う場合は、適格請求書の要件を満たします。
> * 相殺合意書や対象請求書と一緒に保存します。
相殺領収書は、専用の複雑な書式でなくても作成できます。総額、相殺額、受領額、相殺対象を明確に記載し、取引先と内容を確認します。領収書の作成や管理には、INVOYを活用できます。



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