
原価率(%)は、売上原価÷売上高×100で計算します。売価1,000円の商品に300円の原価がかかる場合は、300円÷1,000円×100=30.0%です。
この記事では、次の内容を確認できます。
- 単品・月次・棚卸を含む原価率の計算方法
- 粗利率や必要売価への換算方法
- 業種別の統計値と原価率が高い場合の改善手順
仕入高だけで計算する方法と、期首・期末の在庫を反映する方法では、結果が異なります。計算条件を統一し、自社の数値を算出したうえで業種別の数値と比べ、必要に応じて改善する流れを確認しましょう。月次の数値を同じ基準で追うと、価格設定や仕入れの見直しにも役立ちます。
目次
原価率とは(結論と計算式)

原価率の計算式と売上原価・売上高の意味
売上高のうち、売上原価が占める割合を原価率といいます。基本の計算式は「原価率(%)=売上原価÷売上高×100」です。売上原価には、販売した商品や提供したサービスに直接対応する費用を含めます。小売業では売れた商品の仕入原価、製造業では材料費や製造にかかった費用が中心です。
計算時は、売上高と売上原価の税込・税抜をそろえます。対象範囲と期間もそろえます。商品単位なら1商品、期間単位なら1日・1か月・1年度と、同じ単位で集計してください。対象商品を一部に限る場合は、売上高と原価の集計範囲も合わせます。条件が異なると、数値自体は正しくても採算を比べられません。
この指標は、商品の価格を決めるときにも、店舗や会社の月次管理にも使えます。販売価格1,000円、仕入原価300円の商品なら30.0%です。送料50円と包材20円を管理上の原価に含める場合は、原価が370円となり、原価率は37.0%になります。「原価に何を含めるか」を社内で決めておくことが、計算の出発点です。
原価率と粗利率(売上総利益率)の関係
売上高から売上原価を差し引いた金額が売上総利益、いわゆる粗利益です。その割合を粗利率といい、計算式は「粗利率(%)=100%−原価率(%)」です。仮に30.0%であれば、売上の残り70.0%が粗利率です。売上高1,000円、売上原価300円の場合、粗利益は700円、粗利率は70.0%です。
売上に占める売上原価の割合が原価率、売上原価を差し引いた後に残る割合が粗利率です。月間売上高500万円で原価率60.0%なら、粗利益は200万円になります。率が下がっても売上が減少すれば粗利額も小さくなるため、割合と金額の両方を確認しましょう。
粗利益は、家賃、人件費、広告費、支払手数料などの販売費および一般管理費に充てます。粗利率の高い商品でも販売数量が少なければ、会社全体の利益への貢献は限られます。損益計算書の利益項目まで確認するときは、損益計算書の5つの利益も参考になります。
原価率・利益率・原価計算の違い
利益に関する割合は、分子に置く金額がそれぞれ異なります。売上原価を売上高で割った値が原価率です。粗利率は粗利益を売上高で割った値、営業利益率は粗利益から販売費および一般管理費を差し引いた営業利益を売上高で割った値です。経常利益率では、営業外収益や営業外費用を含めた経常利益を使います。
原価計算は、材料費、労務費、外注費などを集め、商品やサービスに対応させる仕組みです。この割合を計算するための数字を作る作業が、原価計算に当たります。小売では商品単位の仕入原価、製造では材料費や加工費、ITサービスではプロジェクトの人件費や外注費が中心になるなど、集計対象は事業の形によって変わります。
売上高1,000万円、売上原価600万円、販管費300万円の場合、原価率は60.0%、粗利率は40.0%、営業利益率は10.0%です。これらは同じ意味の数値ではありません。計算に必要な集計方法を詳しく確認したい場合は、原価計算の種類と手順を参照してください。
数字を使った計算方法と計算例
単品の販売価格から原価率を求める方法
単品の採算を見るときは、販売価格と、その商品1個に対応する原価を使います。売価1,000円、原価300円の商品なら、「300円÷1,000円×100=30.0%」です。売価から原価300円を差し引いた粗利益は700円で、商品単体の粗利率は70.0%になります。
商品原価に仕入価格だけを入れるのか、送料、加工費、包材費、決済手数料まで含めるのかで、計算結果は変わります。仕入価格300円に送料40円と包材30円がかかる場合、管理上の原価を370円とし、370円÷1,000円×100=37.0%と計算できます。会計上の売上原価と、価格設定に使う管理原価では範囲が異なる場合があるため、用途を記録しておくと安心です。
税込価格で売価を集計するなら、原価も税込にそろえます。税抜価格を使う場合は、原価も税抜にしてください。単品原価率は価格設定や商品別の採算確認に役立ちますが、店舗全体の原価率と一致するとは限りません。全体の数値は、各商品の販売数量と売上構成比を反映して計算します。
月次の売上高と売上原価から求める方法
月次管理では、対象月の売上高と売上原価を集計します。月間売上高が500万円、売上原価が300万円なら、「300万円÷500万円×100=60.0%」です。この場合、粗利益は200万円、粗利率は40.0%になります。売上高が増えたときは、粗利額も増えているかを確認してください。
前月が売上高450万円、売上原価247万5,000円で原価率55.0%、当月が売上高500万円、売上原価300万円で原価率60.0%だったとします。当月は売上高が50万円増えていますが、粗利益は前月の202万5,000円から200万円へ2万5,000円減少しています。売上の伸びだけを追うと、原価率の上昇を見落とします。
前月や前年同月と比べる際は、売上の計上期間、仕入の計上方法、棚卸日をそろえます。粗利額、販売数量、平均単価も並べると、価格変化によるものか、仕入単価や商品構成によるものかを判断しやすくなります。Excelで管理する場合は、売上高、仕入高、棚卸高、商品コードを月ごとに同じ列へ記録し、計算式を固定すると転記ミスを減らせます。
棚卸を含めた正しい売上原価の計算方法
仕入れた商品がすべて当月に売れるとは限りません。月末に残った商品は将来販売する在庫なので、当月の売上原価から除きます。売上原価は、次の式で求めます。
売上原価=期首棚卸高+当月仕入高−期末棚卸高
期首棚卸高が80万円、当月仕入高が300万円、期末棚卸高が120万円なら、売上原価は「80万円+300万円−120万円=260万円」です。売上高が500万円の場合、原価率は「260万円÷500万円×100=52.0%」になります。仕入高だけで計算すると60.0%になるため、在庫の増加分を原価に含めたかどうかで8.0ポイントの差が生じます。
棚卸では、実際の数量、評価単価、棚卸を行う日をそろえます。単価の異なる商品を一律単価で評価したり、破損品を在庫に残したりすると、期末棚卸高が実態とずれます。月末の締め時刻、未検品の商品、返品予定の商品をどう扱うかも、社内ルールとして決めておくと月次比較が安定します。
棚卸高の考え方や仕訳まで確認する場合は、売上原価の計算方法もあわせてご覧ください。月次速報で仕入高を使う場合があっても、月次決算や前年との正確な比較では、棚卸を反映した売上原価を使うのが基本です。
簡易計算と棚卸込み計算で差額が出る理由
同じ月の原価率でも、仕入高だけを使うか、期首と期末の在庫を反映するかで結果は変わります。次の数値は、売上高5,000,000円、期首棚卸高800,000円、当月仕入高3,000,000円、期末棚卸高1,200,000円を使った比較です。
| 区分 | 金額 | 原価率 |
| 売上高 | 5,000,000円 | ― |
| 期首棚卸高 | 800,000円 | ― |
| 当月仕入高 | 3,000,000円 | ― |
| 期末棚卸高 | 1,200,000円 | ― |
| 簡易計算(仕入高÷売上高) | 原価 3,000,000円 | 60.0% |
| 正しい売上原価(期首+仕入−期末) | 原価 2,600,000円 | 52.0% |
| 差 | 400,000円 | 8.0ポイント |
仕入高を売上高で割る簡易計算では、原価は3,000,000円、原価率は60.0%です。棚卸込みで計算した売上原価は2,600,000円、原価率は52.0%になります。原価額の差は400,000円、原価率の差は8.0ポイントです。
この月は、期末在庫が期首より40万円増えています。そのため、仕入れた金額の全額が当月に売れた商品の原価にはなっていません。仕入高を使う簡易計算は速報確認に使い、月次決算や在庫を含む比較では棚卸込み計算を使うと、数値の用途を整理できます。
単品原価率と全体原価率がずれる理由
商品ごとの原価率を単純に平均しても、店舗全体の原価率にはなりません。全体の原価率は、商品ごとの原価額を合計し、商品ごとの売上高も合計してから割る加重平均で求めます。販売数の多い商品ほど、全体の数値に大きく影響します。
ラーメンは売価850円、原価297円、月販1,000食、ビールは売価550円、原価137円、月販400杯とします。商品別原価率はラーメン34.9%、ビール24.9%で、単純平均は29.9%です。販売数量と売上高を反映した計算は、次の表で確認できます。
| 商品 | 売価 | 原価 | 単品原価率 | 月販数 | 売上高 | 原価計 |
| ラーメン | 850円 | 297円 | 34.9% | 1,000食 | 850,000円 | 297,000円 |
| ビール | 550円 | 137円 | 24.9% | 400杯 | 220,000円 | 54,800円 |
| 合計 | ― | ― | 単純平均29.9% | ― | 1,070,000円 | 351,800円 |
| 全体原価率 | ― | ― | 32.9% | ― | ― | 351,800円÷1,070,000円 |
合計売上高は1,070,000円、合計原価は351,800円です。したがって全体原価率は351,800円÷1,070,000円×100=32.9%となり、単純平均29.9%より3.0ポイント高くなります。売上構成が、原価率の高いラーメンに寄っているためです。
商品の価格やレシピを見直すときは単品原価率を使い、店全体の利益を見るときは加重平均の全体原価率を使います。単品の数値だけを見て「店の原価率は30.0%」と判断すると、販売構成の変化を見落とす可能性があります。
ロス率・歩留まりの計算
仕入れた材料をすべて商品として販売できるとは限りません。歩留まりは、加工前の材料に対して、実際に提供できる部分がどれだけ残ったかを示す割合です。魚100gを下処理し、可食部が65gになった場合、歩留まり率は65g÷100g×100=65.0%です。100gあたり100円の材料でも、可食部100gに換算した実質原価は100円÷0.65=約153.8円になります。
廃棄、調理ミス、盛り付け過多などのロスも、実際原価を押し上げます。ロス率を見るときは、廃棄・作り直しなどのロス金額を売上高で割ります。月間売上高500万円に対してロス金額が5万円なら、ロス率は1.0%です。商品別の差を詳しく調べるときは、理論原価と実際原価の差の見方が役立ちます。
粗利率と必要売価の換算表
原価率と粗利率、必要売価の一覧
目標値が決まれば、粗利率は100%から原価率を差し引いて求められます。必要売価は、原価を目標原価率で割ると算出できます。原価100円と原価1,000円の2パターンを並べると、価格設定に使いやすくなります。
| 原価率 | 粗利率(売上総利益率) | 原価100円のときの必要売価 | 原価1,000円のときの必要売価 |
| 20% | 80% | 500円 | 5,000円 |
| 25% | 75% | 400円 | 4,000円 |
| 30% | 70% | 333円 | 3,333円 |
| 35% | 65% | 286円 | 2,857円 |
| 40% | 60% | 250円 | 2,500円 |
| 45% | 55% | 222円 | 2,222円 |
| 50% | 50% | 200円 | 2,000円 |
| 55% | 45% | 182円 | 1,818円 |
| 60% | 40% | 167円 | 1,667円 |
| 65% | 35% | 154円 | 1,538円 |
| 70% | 30% | 143円 | 1,429円 |
| 75% | 25% | 133円 | 1,333円 |
| 80% | 20% | 125円 | 1,250円 |
| 85% | 15% | 118円 | 1,176円 |
表では、原価率と粗利率の合計が100%になっています。たとえば20%なら、粗利率は80%、原価100円の必要売価は500円です。30%まで上がると粗利率は70%に下がり、原価100円の必要売価は約333円、原価1,000円なら約3,333円になります。
表の原価率50%では、原価100円の必要売価は200円です。目標に置く割合が低いほど、同じ原価でも必要売価は高くなります。逆に割合を高く取れば、必要売価は下がります。表の必要売価は原価だけを基準にした金額です。家賃や人件費などの固定費、決済手数料、値引きの影響は別に確認してください。
目標原価率から販売価格を逆算する方法
目標原価率を先に決めて販売価格を設定するときは、次の式を使います。
売価=原価÷目標原価率
原価300円、目標原価率30%なら、「300円÷0.3=1,000円」です。目標原価率を30%と表示していても、計算では30%を0.3に置き換えます。税抜価格で考える場合は、原価も売価も税抜にそろえます。
実際の価格は、計算結果だけで決めません。競合価格、顧客が受け入れる価格、消費税、決済手数料、値引き後の金額を確認します。売価1,000円で原価300円なら粗利額は700円ですが、決済手数料や包材費を含めると残る金額は小さくなります。目標原価率とともに、1個あたりの粗利額も確認してください。
目標利益率から必要売価を求める方法
商品単体で目標とする粗利率から売価を決める場合は、次の式に当てはめます。
売価=原価÷(1−目標利益率)
原価300円、目標利益率70%なら、「300円÷(1−0.7)=1,000円」です。この例の利益率は、商品単体の粗利率として扱っています。営業利益率を目標にする場合は、人件費、家賃、広告費、決済手数料などの固定費や販管費も含め、事業全体で計算する必要があります。
個別商品の計算では、原価300円の商品から700円の粗利益を得る価格かどうかを確認します。事業全体の計画では、商品ごとの粗利額を合計し、固定費を差し引いた営業利益が目標に届くかを見ます。商品単体の粗利率が70%でも、販売数が少なければ固定費を回収できません。必要売価と販売数量を組み合わせて考えてください。
業種別の平均値と目安を確認する
業種別の平均原価率の確認
業種別に比べるときは、企業形態と原価の範囲をそろえます。法人企業と個人企業では、事業規模や費用の集計方法が異なります。単一の平均値だけで自社の適正値を決めないでください。ここでは、中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和7年確報(令和6年度決算実績)の売上高と売上原価から、売上原価÷売上高×100で計算した数値を示します。出典の統計表は、中小企業実態基本調査 令和7年確報です。
業種別・企業形態別に数値が大きく異なるため、比較しやすいように法人企業と個人企業を分けて一覧にします。表の原価率は小数第1位までで、同じ調査年の売上高と売上原価を使っています。
| 業種 | 法人企業の原価率 | 個人企業の原価率 |
| 合計 | 74.8% | 45.8% |
| 建設業 | 74.9% | 45.5% |
| 製造業 | 79.1% | 33.8% |
| 情報通信業 | 55.1% | 16.5% |
| 運輸業・郵便業 | 75.9% | 8.0% |
| 卸売業 | 85.6% | 73.7% |
| 小売業 | 70.5% | 64.9% |
| 不動産業・物品賃貸業 | 59.5% | 8.1% |
| 学術研究・専門・技術サービス業 | 45.5% | 6.6% |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 34.0% | 38.9% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 65.5% | 17.2% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 56.8% | 42.3% |
計算過程も確認します。法人企業の合計は、売上高664,935,575百万円、売上原価497,319,306百万円なので、497,319,306÷664,935,575×100=74.8%です。卸売業は173,163,020÷202,408,481×100=85.6%、小売業は53,754,438÷76,264,548×100=70.5%です。
法人企業の製造業は、売上原価108,871,732百万円÷売上高137,710,330百万円×100=79.1%です。宿泊業・飲食サービス業は、4,380,970百万円÷12,879,065百万円×100=34.0%です。個人企業では、合計が10,390,075百万円÷22,667,670百万円×100=45.8%、小売業が6,208,266百万円÷9,563,604百万円×100=64.9%、宿泊業・飲食サービス業が1,261,401百万円÷3,241,307百万円×100=38.9%です。
法人企業の卸売業85.6%と、宿泊業・飲食サービス業34.0%には51.6ポイントの差があります。商品を仕入れて販売する業態と、サービス提供の比重が高い業態では、売上原価の構造が異なるためです。統計値をそのまま自社の目標値に置き換えるのは避けてください。業種、企業形態、原価の範囲を確認するための比較材料として利用してください。
業種によって原価に含まれるものが変わります
小売業では、販売した商品の仕入原価が売上原価の中心です。製造業では材料費に加えて、製造工程の加工費や製造に直接かかわる費用を集計します。飲食業では食材費や飲料費が中心ですが、仕込みや加工、包材を管理原価に含める場合もあります。
外注費、運送費、包材費、加工費を売上原価に含めるかどうかは、会計処理と社内管理ルールを確認してください。統計上の原価率と、自社が商品採算のために集計する原価率では、範囲が一致しないことがあります。比較する前に、売上高の税区分、対象期間、原価に含める費用をそろえると、数値を読み違えにくくなります。
飲食業の実務的な原価率目安
飲食店で使われる「原価率30%前後」は、現場で用いられる実務上の目安です。公的統計の平均値を直接示す言葉ではありません。中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和7年確報(令和6年度決算実績)では、宿泊業・飲食サービス業の原価率は法人企業34.0%、個人企業38.9%です。「30%前後」と統計上の34.0%や38.9%は、同じ意味で扱わないようにしてください。
自店の計算では、食材費に飲料費を含めるか確認します。期限切れの廃棄、まかない、仕込みロス、調理ミスを、原価やロスとしてどう記録するかも決めておきます。業態ごとの詳しい考え方を確認するときは、飲食店の原価率の目安を参照してください。
数値が高いときの原因と改善手順
原価率が高くなる4つの原因
数値が高いときは、全体の値だけで原因を決めず、前月や前年同月から変わった点を確認します。売価、仕入単価、ロス、売上構成の4項目に分けると、最初に見る数値と対策を整理しやすくなります。次の表は、原因を切り分けるための一覧です。
| 原因 | 数字への現れ方 | 最初に見る数字 | 打ち手 |
| 売価が低い | 粗利額が計画より小さい | 値引率・平均客単価 | 値引ルールの見直し、価格改定 |
| 仕入単価が高い | 同じ販売数量でも原価額が増える | 仕入先別の単価・値上げ時期 | 相見積り、発注ロットの調整 |
| ロス・廃棄が多い | 理論原価と実際原価の差が開く | 廃棄額・使用量・棚卸差異 | 発注量の調整、仕込み量と保管方法の見直し |
| 売上構成が原価率の高い商品に寄っている | 単品原価率は変わらないのに全体が上がる | 商品別の原価率と売上構成比 | 販売する商品の入れ替え、セット構成の見直し |
売価が低い場合は、値引率が上がったか、平均客単価が下がったかを見ます。仕入単価が高い場合は、仕入先ごとの単価と値上げの時期を確認します。廃棄や過剰使用が多い場合は、廃棄額、使用量、棚卸差異を商品別に調べます。
高原価率の商品に売上構成が偏っている場合は、商品別の原価率と売上構成比を掛け合わせ、全体への影響を見ます。売上が減少した月は、固定的に仕入れた商品が残り、廃棄や在庫差異の影響が大きくなることもあります。全体原価率だけを見て値上げや仕入先変更を決めず、商品別・原因別に切り分けてください。
手順1:理論原価と実際原価の比較
理論原価は、レシピや標準使用量から計算した「本来かかるはずの原価」です。実際原価は、実際の仕入れ、使用量、廃棄を反映した原価です。レシピ上の食材使用量が1食250円なのに、実際の原価が1食270円なら、1食あたり20円の差があります。1,000食では差額は2万円です。
差額が出たときは、廃棄、盛り付けの過剰使用、仕入単価の上昇、計量ミスを順に確認します。商品別の確認で見つからない場合は、日別、時間帯別、担当者別に使用量を記録します。理論値と実績値を同じ単位で並べると、金額の差が生じた場所を絞り込めます。
手順2:仕入と発注の見直し
仕入先ごとに、単価、納品条件、最低発注量を比べます。単価だけで判断せず、送料、納品頻度、支払条件、ロットも含めて、1単位あたりの負担を確認してください。原価が1個10円下がっても、最低発注量が増えて廃棄が増えれば、実際原価は下がらないことがあります。
発注量と販売量を照合し、在庫過多や欠品の頻度を記録します。値上げを受けた場合は、売価変更、代替食材、容量変更、商品構成の見直しを検討します。発注頻度、ロット、納品日を整理してから仕入先と交渉すると、単価以外の条件も含めて話し合えます。廃棄額と値引額も月次で集計してください。
手順3:売価・売上構成・FL比率の確認

低価格商品の販売比率、高原価商品の売れ行き、商品別の粗利額を確認します。高原価でも粗利額が大きく、集客に役立つ商品は、原価率だけで一律に削減しません。値上げによって販売数が落ちる可能性、セット販売で客単価が上がる可能性、容量変更で満足度が変わる可能性を、販売実績と合わせて判断します。
食材原価と人件費を合わせて見るときは、FLコストとFL比率を使います。FLコストは食材原価と人件費の合計、FL比率はFLコスト÷売上高です。この割合を下げようとして仕込みを増やし、人件費率が上がれば、会社全体の利益が改善しないことがあります。詳しい計算はFL比率の計算と目安で確認できます。
手順4:在庫と棚卸の精度向上
棚卸日、担当者、数量単位、評価単価を統一します。期首棚卸高、当月仕入高、期末棚卸高を毎月記録し、前月との差異を確認してください。商品コード、数量、単価、金額、差異理由を在庫管理表やExcelに残すと、記録漏れを見つけやすくなります。
棚卸漏れがあると期末在庫が少なくなり、売上原価と原価率が高く見える可能性があります。反対に二重計上が起きると在庫が多くなり、売上原価が低く見えることがあります。破損や廃棄を在庫から除く処理が月をまたぐと、原価率の変動が大きくなるため、発生日と処理月を記録します。仕訳の流れを確認する場合は、売上原価の仕訳と三分法を参照してください。
FL比率による確認
飲食店やサービス業では、食材原価だけを見ると人件費の影響を見落とします。売上高500万円、食材原価150万円、人件費175万円の場合、原価率は30.0%、人件費率は35.0%、FL比率は65.0%です。仕入先を変えて食材原価を10万円下げても、仕込み時間が増えて人件費が15万円増えれば、合計コストは5万円増加します。
食材原価、人件費率、FL比率を月次で並べると、改善策の効果を確認できます。値上げ、仕入先変更、メニュー変更、作業方法の変更を行った月は、売上高と販売数量も記録してください。詳しい飲食業の管理方法は、FL比率の記事で役割ごとに確認できます。
よくある質問
原価率の計算式は何ですか
計算式は「原価率(%)=売上原価÷売上高×100」です。単品なら販売価格と商品原価、月次なら対象期間の売上高と売上原価を使います。売価1,000円、原価300円なら30.0%です。税込・税抜と計算期間をそろえてください。
原価率と粗利率はどう違いますか
違いは、分子に使う金額です。売上原価の割合が30.0%なら粗利率は70.0%で、両者の合計は原則100%になります。営業利益率は販管費を差し引いた後の割合なので、別の指標です。換算の一覧は、前の表で確認できます。
原価率は何%が適正ですか
適正値は、業種、商品構成、原価の範囲、固定費、販売価格によって変わります。法人企業の卸売業は85.6%、宿泊業・飲食サービス業は34.0%など、統計にも大きな差があります。業種別統計と自社の過去実績を比べ、原価率だけでなく粗利額や営業利益まで確認してください。
仕入高÷売上高で計算してもよいですか
速報値や簡易確認には使えますが、正確な売上原価を求めるときは棚卸を反映します。式は「期首棚卸高+仕入高−期末棚卸高」です。期末在庫が増えた月は仕入高の全額が売上原価にならないため、仕入高÷売上高の計算とずれることがあります。例では差が8.0ポイントです。
目標原価率から販売価格をどう決めますか
売価=原価÷目標原価率で求めます。原価300円、目標原価率30%なら、300円÷0.3=1,000円です。市場価格、顧客ニーズ、固定費、決済手数料、必要な粗利額も確認し、計算結果をそのまま販売価格にしないようにします。
原価率が100%を超えることはありますか
売上原価が売上高を上回れば、原価率が100%を超えることはあります。売価の設定ミス、在庫評価損、廃棄・破損、棚卸差異、売上計上漏れなどが原因になります。商品別と月次別に異常値を分け、売上と原価の計上期間や原価範囲を点検してください。
原価率は英語で何といいますか
英語ではcost rate、またはcost of sales ratioと表現します。
INVOYで請求書の作成・受取をかんたんに
原価率と請求・入金の月次管理
毎月確認するなら、売上の計上と請求・入金の状況も同じ締め期間で整理すると便利です。請求書の作成や受取をまとめて管理し、売上高の集計漏れを確認する流れを整えます。
まとめ
計算の基本は「売上原価÷売上高×100」です。正確な月次管理では、期首棚卸高+仕入高−期末棚卸高で売上原価を計算し、仕入高だけを使った簡易計算との差も確認します。
業種別統計と比べるときは、法人企業か個人企業か、どの費用を原価に含めるかをそろえてください。粗利率と必要売価を換算すれば、価格設定にも活用できます。数値が高いときは、売価、仕入単価、ロス・廃棄、売上構成、棚卸精度を順に確認すると、原因と対策を整理しやすくなります。



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