
請求書払いサービスの比較を始めると、「カード払い」「掛け払い代行」「請求書受領サービス」が同じ検索結果に並び、どれが自社に合うのか迷ってしまう方は少なくありません。
この記事を読み終えるころには、3つのタイプの違いがはっきりと整理でき、手数料や支払い延長期間、審査の有無といった比較軸をもとに、自分の立場に合うサービスを自信を持って選べるようになります。
実際に請求書払いサービスを導入した事業者の多くは、月末の資金繰りに余裕が生まれたり、経理の請求書処理時間を大幅に削減できたりといった成果を得ています。一方で、サービス選びを間違えると、手数料負担だけが増えて期待した効果が出ないこともあります。
「専門用語が多くて難しそう」と感じている方でも、本記事では一つひとつの仕組みをかみ砕いて解説しますので、最後まで読めば自社に最適な一社を絞り込めるはずです。資金繰りの不安を抱える個人事業主の方も、請求業務の負担に悩む経理担当の方も、この記事を出発点にしてください。
目次
請求書払いサービスとは何か
請求書払いサービスとは、取引で発生する請求書の「支払い」または「受け取りと処理」を、外部のサービスを使って効率化・最適化する仕組みの総称です。
一般的に請求書払いは、商品やサービスを先に受け取り、後から請求書に基づいて代金を支払う後払いの決済方法を指します。BtoB(企業間取引)では広く使われており、銀行振込や口座振替が代表的な支払い手段です。 ただし、検索結果に並ぶ「請求書払いサービス」は、実際には立場や目的の異なる複数のカテゴリが混在しています。
支払う側が資金繰りを改善したい場合と、請求する側が回収業務を楽にしたい場合では、選ぶべきサービスがまったく異なります。まずはこの前提を押さえることが、比較の第一歩になります。
なぜ請求書払いサービスが注目されるのか
近年、請求書払い関連サービスの市場は急速に拡大しています。ITRの調査によると、電子請求書受取サービス市場の2023年度売上金額は190億円で、前年比82.0%増という高い伸びを示しました。さらに2028年度には525億円規模に達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は22.5%とされています。
この成長の背景には、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応、慢性的な人手不足による業務効率化のニーズ、そして資金繰りを柔軟にしたいという中小企業や個人事業主の切実な課題があります。請求書をめぐる作業や支払いのタイミングを最適化したいという需要が、サービス利用を後押ししているのです。
個人事業主から大企業まで利用が広がる
請求書払いサービスは、もはや大企業だけのものではありません。
請求書カード払いの分野では、法人カードを持たない個人事業主でも、個人名義のクレジットカードで利用できるサービスが増えています。一方、請求書受領サービスや掛け払い代行は、取引量が多い中堅・大企業のバックオフィス効率化に強みを発揮します。自社の規模と課題に合わせて選べる選択肢が、年々豊富になっています。
請求書払いサービスの3つのタイプと違い
請求書払いサービスを比較するうえで最も重要なのは、3つのタイプを混同しないことです。それぞれ「誰が」「何のために」使うのかが異なります。ここを最初に切り分けておくと、比較表を見たときの判断がぐっと速くなります。
請求書カード払い(BPSP)
請求書カード払いは、受け取った請求書の支払いをクレジットカードで行うサービスです。BPSP(Business Payment Service Provider)とも呼ばれます。
利用者がサービスに支払い情報を登録すると、サービス会社が利用者に代わって取引先へ銀行振込を行い、利用者はその金額をカードで、翌月以降に支払う仕組みです。
最大の利点は、カードの締め日と引き落とし日を活用して、実質的に支払い期日を後ろ倒しできる点にあります。たとえばINVOYのカード払いでは、支払いを最大60日間延長できます。GMOペイメントゲートウェイの「請求書カード払い byGMO」でも、最大約60日程度の支払い延長が可能です。急な支払いに対応したい、月末の資金繰りに余裕を持たせたいという、支払う側のニーズに応えるサービスです。
BtoB掛け払い・後払い決済代行
掛け払い代行(後払い決済代行)は、請求する側の事業者が使うサービスです。取引先への与信審査、請求書の発行、入金管理、督促、未回収リスクの保証といった一連の請求業務を外部に委託できます。PaidやGMO掛け払い、NP掛け払いなどが代表的なサービスです。
このタイプは「売掛金を確実に回収したい」「新規取引先の与信判断を任せたい」という、請求する側の課題を解決します。請求書カード払いとは立場が正反対であるため、同じ比較表に並べると意図が混ざってしまいます。自社が代金を受け取る側なのか、支払う側なのかをはっきりさせて選ぶことが大切です。
請求書受領・支払管理サービス
請求書受領サービスは、取引先から届く請求書の受け取り、内容確認、承認、支払い、保管までを一元管理するサービスです。経理・バックオフィスの業務効率化を目的としており、AI-OCRによるデータ化や会計ソフトとの連携、電子帳簿保存法への対応が主な機能です。
代表的なサービスにはSansanの「Bill One」があり、電子請求書受取サービス市場で47.0%という高い売上シェアを占めています。請求書処理の手作業を減らし、月次決算を早めたいという経理担当者の課題に直結するサービスです。INVOYの請求書受取では、受け取った請求書を一元管理ができます。
請求書カード払いサービスの比較ポイント
ここからは、支払う側の関心が高い請求書カード払いを中心に、比較すべき具体的な項目を解説します。サービスごとに条件が異なるため、次の4つの軸で見比べると判断しやすくなります。
手数料率と最低手数料
請求書カード払いの手数料は、支払額に対して一定の割合で発生します。一般的な相場は支払額の2%から4%程度です。たとえばINVOYのカード払いでは、手数料は支払額の3%で、1万円未満の支払いには一律300円が設定されています。
少額の支払いでは最低手数料の影響が大きくなるため、1回あたりの支払額が小さい場合は、最低手数料が低いサービスや定率制のサービスを選ぶと負担を抑えられます。逆に高額の支払いがメインなら、手数料率そのものが低いサービスを優先するとよいでしょう。手数料が経費として計上できるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
支払い延長できる期間
支払い延長期間は、資金繰り改善の効果を左右する重要な要素です。多くのサービスがカードの締め日と引き落とし日を活用して、最大60日程度の延長を可能にしています。手元資金を温存しながら支払いを後ろ倒しできるため、季節要因で売上が変動する事業や、大きな仕入れが続く時期に有効です。
ただし、延長できる日数はカードの締め日と利用日の関係によって変わります。月初に利用すれば延長日数は長く、月末に利用すれば短くなる傾向があります。最大日数だけでなく、自社の支払いサイクルに合うかを確認することが大切です。
振込スピードと対応カードブランド
支払い期限が迫っている請求書を処理する場合は、振込スピードが重要になります。サービスによって最短即日、翌営業日、3営業日以内など差があるため、急ぎのニーズがある方は入金スピードを必ず確認しましょう。
対応するカードブランドも比較軸の一つです。Visa、Mastercard、JCB、American Express、Dinersなど、サービスごとに使えるブランドが異なります。手持ちのカードやポイント還元率の高いカードが使えるかどうかで、実質的な負担額が変わってきます。
法人・個人事業主の対応可否
利用できる対象も確認が必要です。法人カードのみ対応のサービスもあれば、個人事業主が個人名義のカードで利用できるサービスもあります。屋号宛ての請求書に対応しているか、開業して間もない事業者でも審査に通るかなど、自社の状況に合わせてチェックしましょう。GMOペイメントゲートウェイは売掛債権の審査実績が10万件以上あり、審査ノウハウの蓄積が利用のしやすさにつながっています。
立場別の請求書払いサービスの選び方
ここまでの比較軸を踏まえ、自分がどの立場かによって選ぶべきサービスは変わります。代表的な3つのケースに分けて、選び方の指針を示します。
支払いを後ろ倒しして資金繰りを改善したい場合
仕入れや外注費の支払いが続き、入金までのつなぎ資金を確保したい場合は、請求書カード払いが適しています。手数料率と支払い延長期間を最優先で比較し、自社の支払い金額や頻度に合うサービスを選びましょう。
たとえば月に複数回の支払いがあるなら、登録や手続きが簡単で、振込スピードが速いサービスが使いやすくなります。 ファクタリングと混同されることがありますが、ファクタリングは売掛金を早期に現金化する仕組みで、支払いを延ばす請求書カード払いとは目的が逆です。資金を「早く受け取る」のか「遅く支払う」のかで、選ぶ手段が分かれます。
請求業務と未回収リスクを減らしたい場合
代金を受け取る側で、与信審査や入金管理、督促に手間を感じているなら、掛け払い代行が向いています。未回収保証が付くサービスを選べば、取引先が支払えなくなった場合でも代金を回収できる安心感があります。新規取引を増やしたいが与信が不安という事業者にとって、リスクを抑えながら販路を広げる手段になります。
経理の請求書処理を効率化したい場合
毎月大量の請求書を処理し、確認や入力、保管に時間を取られているなら、請求書受領サービスが解決策です。AI-OCRでのデータ化や会計ソフト連携、承認ワークフローの有無を比較し、自社の会計システムと相性の良いサービスを選びましょう。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応状況も、必ず確認したいポイントです。

請求書払いサービスを使う際の注意点
便利な請求書払いサービスにも、注意すべき点があります。導入前に把握しておくことで、想定外のトラブルを避けられます。
手数料負担とカード限度額
請求書カード払いは手数料が発生するため、利用するほどコストが積み上がります。支払い延長によるメリットと手数料負担を天秤にかけ、本当に必要な場面で使うことが大切です。また、支払額がカードの利用限度額を超えると利用できないため、高額の支払いを予定している場合は事前に限度額を確認しておきましょう。
取引先に知られるかという不安
「カード払いを使っていることが取引先に知られないか」という不安を持つ方は多いです。多くの請求書カード払いサービスでは、サービス会社の名義ではなく利用者の名義で振込が行われるため、取引先に立替の事実が伝わらない仕組みになっています。ただしサービスによって振込名義の扱いが異なるため、気になる場合は事前に確認しておくと安心です。
対象外の支払いと税務処理
サービスによっては、税金や社会保険料、給与の支払いに対応していない場合があります。これらの支払いをカード化したい場合は、対応可否を必ず確認してください。また、支払った手数料の会計処理や、インボイス制度のもとでの仕入税額控除の扱いについても、不明な点があれば税理士に相談することをおすすめします。
よくある質問
最後に、比較検討中の方からよく寄せられる疑問にお答えします。
請求書カード払いは違法ではないですか
請求書カード払いは、サービス会社が利用者に代わって取引先へ支払いを行う正規の決済代行サービスであり、違法ではありません。多くの事業者が資金繰り改善の手段として利用しています。ただし、クレジットカードの規約上、換金を目的とした利用は禁止されているため、あくまで事業上の支払いに使うことが前提です。
個人事業主でも利用できますか
利用できるサービスが多くあります。法人カードを持っていなくても、個人名義のクレジットカードで使えるサービスを選べば問題ありません。屋号宛ての請求書に対応しているかどうかは、サービスによって異なるため、申込前に確認しましょう。
手数料はどのくらいかかりますか
請求書カード払いの手数料は、支払額の2%から4%程度が一般的です。INVOYの場合は支払額の3%、1万円未満は一律300円です。少額の支払いでは最低手数料の影響が大きくなるため、支払額に応じて最適なサービスを選ぶと負担を抑えられます。
支払いはどのくらい延ばせますか
多くのサービスで最大60日程度の支払い延長が可能です。延長できる日数はクレジットカードの締め日と利用日の関係で決まり、月初に利用するほど長く延ばせる傾向があります。最大日数だけでなく、自社の支払いタイミングに合うかを確認することが大切です。
カード払いと掛け払い代行はどう違いますか
請求書カード払いは支払う側が使い、支払いを後ろ倒しして資金繰りを改善するサービスです。一方、掛け払い代行は請求する側が使い、与信審査や請求書発行、回収、未回収保証を代行してもらうサービスです。立場と目的が正反対であるため、自社がどちらの側かをはっきりさせて選ぶことが重要です。
請求書払いと銀行振込・ファクタリングの違い
請求書払いサービスを検討すると、銀行振込やファクタリングといった既存の手段との違いが気になる方も多いはずです。それぞれの特徴を整理しておくと、サービスを選ぶ際の判断がより明確になります。
銀行振込との違い
銀行振込は、請求書に記載された口座へ自分の資金から直接支払う、もっとも基本的な方法です。手数料は振込手数料のみで安く済みますが、支払いのタイミングを後ろ倒しすることはできません。手元の資金がそのまま減ってしまうため、資金繰りに余裕がない時期には負担になります。 これに対して請求書カード払いは、手数料として支払額の2%から4%程度が発生するものの、カードの締め日と引き落とし日を活用して最大60日程度支払いを延ばせます。つまり「コストを抑えたいなら銀行振込」「支払いのタイミングを調整したいならカード払い」という使い分けが基本になります。日々の少額支払いは銀行振込、資金繰りを調整したい大きな支払いはカード払い、と組み合わせる事業者も少なくありません。
ファクタリングとの違い
ファクタリングは、自社が持つ売掛金をファクタリング会社に売却し、入金予定日より前に現金化する仕組みです。つまり「お金を早く受け取る」ための手段です。一方、請求書カード払いは「お金を遅く支払う」ための手段であり、資金の流れる方向が正反対です。 入金を早めたいのか、支払いを遅らせたいのか、自社のキャッシュフローのどこに課題があるのかを見極めることで、選ぶべき手段が決まります。両者を混同すると、本来の課題に合わない契約をしてしまう恐れがあるため、目的をはっきりさせてから検討しましょう。
契約前に確認したいチェックリスト
請求書払いサービスを契約する前には、次の点を確認しておくと失敗を防げます。手数料率と最低手数料の金額、支払い延長できる最大日数、振込スピード、対応カードブランド、法人・個人事業主の対応可否、税金や社会保険料など対象外の支払いの有無、そして取引先への振込名義の扱いです。 これらをサービスごとに一覧にして比べると、自社の優先順位に合う一社が見えてきます。INVOYのように累計取扱高100億円以上の実績を持つサービスは、利用者数の多さが安心材料になります。実績や審査ノウハウの蓄積も、長く使ううえでの判断材料に加えるとよいでしょう。
まとめ
請求書払いサービスを比較する際は、まず「請求書カード払い」「掛け払い代行」「請求書受領サービス」という3つのタイプを切り分けることが出発点になります。支
払いを後ろ倒しして資金繰りを改善したいなら請求書カード払い、請求業務と未回収リスクを減らしたいなら掛け払い代行、経理の請求書処理を効率化したいなら請求書受領サービスが適しています。
請求書カード払いを選ぶ場合は、手数料率(一般的に2%から4%、INVOYは3%)、支払い延長期間(最大60日程度)、振込スピード、対応カードブランド、法人・個人事業主の対応可否という5つの軸で比較すると、自社に合う一社を絞り込めます。
市場は2023年度に前年比82.0%増と急成長を続けており、選択肢は年々豊富になっています。手数料負担や対象外の支払い、税務処理といった注意点も押さえたうえで、自分の立場と課題に合ったサービスを選び、資金繰りや業務効率の改善につなげてください。



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