領収書の基礎知識

領収書の但し書きの書き方|用途別記入例一覧とNG例・インボイス対応

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領収書 但し書き

但し書きは「何に対する支払いか」を示す欄です。「品代として」より「事務用品代として」「会議用飲食代として(4名分)」のように書くと明確です。

この記事では記入例30パターン以上と、「お品代」「上様」「空欄」、インボイス制度、収入印紙、訂正対応を整理します。2026年8月時点の国税庁情報をもとにしていますが、実務では最新情報を確認し、税理士や所轄税務署にも相談してください。

目次

領収書の但し書きとは?何を書く欄なのか

何に対する支払いかを示す欄

領収書の但し書きは、金額、日付、宛名、発行者名だけではわからない支払い内容を補う欄です。「書籍代として」「タクシー代として」など、経費性や勘定科目を判断できる具体性が必要です。

どこに書くのか

一般的には金額欄の下や中央付近の「但」「但し」欄に書き、レシートでは明細欄が近い役割を持つ場合があります。税込11,000円のコピー用紙なら「事務用品代として(コピー用紙5箱)」と書くと、同じ11,000円でも「品代として」より明確です。

摘要・品目との違い

摘要は帳簿上の補足欄、品目は商品やサービス名、但し書きは領収書上の取引内容欄です。会議の飲食代なら、摘要に参加者4名などを残します。

但し書きが必要な4つの理由

消費税の仕入税額控除を受けるため

インボイス制度で消費税の仕入税額控除を受けるには、帳簿と請求書等の保存が必要です。国税庁タックスアンサー No.6625 では、適格請求書の記載事項に「取引内容」が示され、領収書では但し書きや明細が該当します。「お品代として」だけでは、課税仕入れの内容や軽減税率の対象かを判断しにくい場合があります。

経費として認めてもらうため

但し書きが具体的だと経費精算や帳簿付けが進めやすくなります。同じ5,500円でも「書籍代として」と「手土産代として」では、勘定科目や社内ルールが変わります。

税務調査で使途を説明できるようにするため

領収書には税法上の保存義務があります。法人の場合、国税庁タックスアンサー No.5930 では、領収書などを原則として一定期間保存する必要があると示されています。「展示会配布用チラシ印刷代として(1,000部)」なら使途を説明しやすくなります。

収入印紙が必要か判断するため

領収書は、金銭または有価証券の受取書として印紙税の対象になる場合があります。税込52,800円でも消費税額4,800円が区分されていれば、印紙税の記載金額は48,000円として扱われる場合があります。

書くときの4つの基本ルール

品名や用途は具体的に書く

但し書きは「お品代」「商品代」ではなく、品名や用途を具体的に書きます。文房具なら「文房具代として(ボールペン20本)」、業務用の本なら「書籍代として(書名1冊)」のようにします。

複数ある場合は代表品目に他○点を添える

欄内に書ききれない場合は、「コピー用紙他3点として」「清掃用品他5点として」のように主要品目でまとめ、明細も保存します。コピー用紙4,000円、ファイル2,000円、ペン1,000円なら「事務用品代として(コピー用紙他2点)」です。

事実と異なる内容は書かない・書かせない

但し書きは実際の取引内容どおりに書き、虚偽記載や空欄領収書への受領者追記は避けます。

末尾に「として」を付ける

末尾は「事務用品代として」「出張宿泊代として」のように「として」を付けるのが一般的です。

記入例一覧30パターン

会議費・接待交際費

会議や打ち合わせの飲食代は、目的と参加人数を入れます。国税庁タックスアンサー No.5265 では、交際費等から除かれる飲食費として1人あたり10,000円以下という基準が示されていますが、会議費そのものの判定基準とは別の制度です。

旅費交通費・宿泊費

交通費や宿泊費は、区間、日付、人数、利用目的を残します。

消耗品費・事務用品費

消耗品や事務用品は、品名と数量を入れます。金額が大きい備品は、工具器具備品などの資産計上を確認します。

広告宣伝費・外注費

広告宣伝費や外注費は、成果物や対象期間を入れます。

その他の科目

勘定科目記載例補足
会議費会議用飲食代として(4名分)裏面や摘要に参加者、議題を残します
会議費会場使用料として利用日や会議名を控えます
会議費お茶菓子代として会議に関連する支出とわかるようにします
接待交際費接待飲食代として(5名分)相手先と参加者を別途記録します
接待交際費手土産代として(菓子折)贈答先を控えると説明しやすいです
接待交際費ゴルフプレー代として目的や参加者を記録します
旅費交通費電車代として(東京から大阪往復)区間を入れると確認しやすいです
旅費交通費タクシー代として利用目的を摘要に残します
旅費交通費駐車料金として利用日や訪問先を控えます
旅費交通費ガソリン代として業務利用分とわかる資料を残します
宿泊費出張宿泊代として(8月1日から2日、1名分)期間と人数を入れます
消耗品費コピー用紙代として(10箱)品名と数量を入れます
消耗品費清掃用品代として雑費とせず内容を書きます
消耗品費店舗備品消耗品代として少額備品は社内基準を確認します
事務用品費文房具代として(ボールペン20本)業務利用がわかる品名にします
事務用品費ファイル・封筒代として複数品目は代表品目でまとめます
新聞図書費書籍代として(書名1冊)書名を残すと説明しやすいです
新聞図書費新聞購読料として(8月分)対象月を入れます
通信費切手代として(110円切手100枚)枚数を入れると明確です
通信費宅配便送料として荷物の内容を控えます
広告宣伝費チラシ印刷代として(1,000部)部数や用途を入れます
広告宣伝費求人広告掲載料として掲載媒体や期間を控えます
外注費デザイン制作業務委託料として(8月分)対象月と業務内容を入れます
外注費原稿執筆料として成果物名を控えます
研修費セミナー参加費として講座名を残します
研修費資格講座受講料として業務関連性を説明できるようにします
修繕費エアコン修理代として修理対象を入れます
地代家賃8月分事務所家賃として対象月を入れます
支払手数料振込手数料として何の手数料かを明確にします
荷造運賃梱包資材代として出荷関連の支出とわかります
工具器具備品パソコン本体代として(1台)金額により資産計上を確認します
諸会費〇〇協会年会費として単なる会費ではなく団体名を入れます
福利厚生費従業員懇親会費用として(10名分)対象者と人数を控えます
寄附金〇〇への寄附金として寄附先や証明書類を確認します

これはNG|避けるべき表現と修正例

「お品代」「品代」は本当にダメなのか

「お品代として」「品代として」だけで直ちに無効とは限りませんが、領収書だけでは内容を特定しにくくなります。インボイスでは取引内容の記載が必要なため、「事務用品代として」「書籍代として」のように具体化します。

「雑費」「その他」「会費」も避ける

「雑費として」「その他として」は支出内容を示していません。「会費として」も処理が分かれる場合があるため、「清掃用品代として」「宅配便送料として」「〇〇協会年会費として」のように書きます。

空欄のまま受け取った場合

但し書きが空欄の領収書は、自分で追記せず、発行者に記入または再発行を依頼します。

NG例なぜ避けたいか修正例
お品代として何を購入したか特定しにくいです事務用品代として(コピー用紙10箱)
品代として商品や用途が不明確です書籍代として(書名1冊)
雑費として内容の説明になりにくいです清掃用品代として
その他として取引内容を示していません宅配便送料として
会費として何の会費か判断しにくいです〇〇協会年会費として
仕入れ代として何を仕入れたか不明です商品仕入代として(〇〇100個)
空欄記載事項を満たさない可能性があります発行者に記入または再発行を依頼します
実際と異なる品目税務上や法務上の問題につながる可能性があります事実どおりに記載します

宛名「上様」は認められるのか

適格請求書では宛名の記載が必要

宛名が「上様」の領収書も、直ちにすべて無効とはいえません。ただし、国税庁タックスアンサー No.6625 では、適格請求書の記載事項に「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」が示され、通常の適格請求書では会社名や屋号などが必要です。

適格簡易請求書では宛名不要のケースがある

小売業、飲食店業、タクシー業などの書類は、適格簡易請求書として扱える場合があります。適格簡易請求書では交付を受ける事業者の氏名または名称の記載が不要とされますが、登録番号、取引日、取引内容、税率ごとの金額は必要なので確認します。

インボイス制度における位置づけ

適格請求書の記載事項6項目と取引内容

領収書は、必要事項を満たせば適格請求書として扱える場合があります。制度全体はインボイス制度とは?概要や影響、必要な対応をわかりやすく解説も参考になります。取引内容は但し書きや明細にあたり、軽減税率の対象品目がある場合はその表示も必要です。

適格簡易請求書の記載事項

適格簡易請求書は、小売業、飲食店業、タクシー業などで認められる簡易な書類です。レシートでも、発行者の登録番号や税率ごとの記載などを確認します。

記載事項適格請求書適格簡易請求書
作成者の氏名または名称・登録番号必要です必要です
取引年月日必要です必要です
取引内容必要です。ここが但し書きや明細に相当します必要です。ここが但し書きや明細に相当します
税率ごとに区分して合計した対価の額必要です必要です
適用税率必要です消費税額等との選択でよい場合があります
税率ごとに区分した消費税額等必要です適用税率または消費税額等のいずれかでよい場合があります
交付を受ける事業者の氏名または名称必要です不要とされています

出典は国税庁タックスアンサー No.6625 です。制度や記載例は変更される可能性があるため、実務で使う前に最新情報を確認してください。

軽減税率の対象品目がある場合

酒類と外食を除く飲食料品や、定期購読契約に基づき週2回以上発行される新聞など、軽減税率の対象品目が含まれる取引では、対象品目とわかる記載が必要です。

曖昧な記載が仕入税額控除に与える影響

「品代として」「商品代として」だけでは、課税仕入れの内容、軽減税率の対象、事業との関連性を説明しにくい場合があります。仕入税額控除には帳簿と適格請求書等の保存が必要です。

収入印紙(印紙税)との関係

5万円未満は非課税、5万円以上は確認が必要

金銭または有価証券の受取書にあたる領収書は、印紙税の対象になる場合があります。国税庁タックスアンサー No.7105 では、売上代金に係る受取書について、記載金額が5万円未満のものは非課税、5万円以上100万円以下のものは200円と示されています。

売上代金の受取書では、100万円超200万円以下は400円、200万円超300万円以下は600円、300万円超500万円以下は1,000円、500万円超1,000万円以下は2,000円とされています。売上代金以外の受取書は、5万円未満は非課税、5万円以上は200円とされています。

消費税額を区分記載した場合の扱い

印紙税では、消費税額等が区分記載されている場合、一定の文書についてその消費税額等を記載金額に含めない扱いがあります。国税庁タックスアンサー No.7124 では、金銭または有価証券の受取書も対象文書に含まれると示されています。

商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円と区分した領収書では、記載金額は48,000円として扱われ、5万円未満のため印紙税が課税されない例が示されています。一方で「52,800円税込」だけでは、消費税額が明らかでないため扱いが変わる可能性があります。

クレジットカード決済・相殺の場合

クレジットカード決済では、領収書に「クレジットカード利用」と明記されていれば印紙が不要とされるケースがあります。国税庁の質疑応答「クレジット販売の場合の領収書」でも、クレジット利用の旨を記載しない場合は第17号文書に該当する扱いが示されています。

相殺は、債権債務を消し合った事実を証明する書類なら、印紙税上の受取書に該当しない場合があります。国税庁タックスアンサー No.7126 では、相殺の事実が文書上明らかでないと受取書に該当する可能性が示されています。

用途別・業種別のより詳しい書き方

寄附金

寄附金は寄附先や目的がわかるよう、「〇〇への寄附金として」と書きます。詳しくは寄附金の領収書の書き方と但し書きをご確認ください。

美容院

美容院では施術代と物販が同じ会計に含まれることがあるため、内容を分けます。詳しくは美容院の領収書の但し書きの書き方をご確認ください。

衣装代

衣装代は業務専用性が問われやすいため、撮影用、舞台用、接客用など用途を残します。詳しくは衣装代の領収書の但し書きの書き方をご確認ください。

日雇い

日雇いの現金受取は、給与か報酬かによって扱いが異なります。詳しくは日雇いバイトの領収書と但し書きをご確認ください。

間違えた・訂正したいときの対処

訂正印ではなく再発行を依頼する

但し書きを間違えた場合は、発行者に再発行を依頼するのが基本です。受領者の書き換えや二重線と訂正印での修正は、真正性やインボイス要件の確認を難しくする場合があります。

手元にない・不備がある場合の代替証拠

領収書を紛失したり、但し書きが不十分だったりしても、レシート、クレジットカード明細、銀行振込明細、納品書、注文メール、契約書などで説明できる場合があります。ただし、仕入税額控除では帳簿と適格請求書等の保存が原則です。

よくある質問

自分で書いてもよいですか

但し書きは原則として発行者が書くため、空欄の領収書に受領者が書き足すことは避けます。

レシートでも代わりになりますか

レシートでも、取引年月日、取引内容、金額、発行者、登録番号、税率ごとの表示などが確認できれば保存できる場合があります。小売業や飲食店業などでは、適格簡易請求書として宛名なしのレシートが使えるケースもあります。

空欄・「なし」でも経費にできますか

他の資料で取引内容を説明できれば、経費処理できる可能性はあります。ただし、社内規定やインボイスの記載事項で不足する場合があるため、再発行が安全です。

宛名が「上様」でも使えますか

すぐにすべて無効とはいえませんが、適格請求書では原則として交付を受ける事業者の氏名または名称が必要です。

収入印紙はいくらから必要ですか

売上代金に係る金銭または有価証券の受取書では、記載金額が5万円未満なら非課税、5万円以上100万円以下なら200円とされています。消費税額が区分記載されていれば、消費税額を除いて判定できる場合があります。

複数品目はどう書きますか

代表品目に「他○点」を添えます。「コピー用紙他3点として」「清掃用品他5点として」のように書き、明細も保存します。

INVOYで領収書・請求書の発行をかんたんに

発行時の記載漏れを減らす方法

INVOYでは、インボイス制度に対応した請求書や領収書を作成でき、但し書き、登録番号、税率ごとの金額などの記載漏れを減らせます。詳しくはINVOYの詳細はこちらをご確認ください。

まとめ

確認しておきたい要点

但し書きは、具体的な取引内容を、事実どおりに、発行者が書くことが基本です。「品代」「上様」「空欄」は直ちに無効とは限りませんが、経費精算やインボイス対応では追加確認が必要です。

収入印紙やインボイスの記載事項は制度改正で変わる可能性があります。基本的な領収書の考え方は、領収書の基礎知識もあわせて確認すると整理しやすくなります。

この記事の投稿者:

reg@olta.co.jp

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